5 ◆XCE/Wako2nqi 2010/06/06(日) 21:06:24.89 ID:vOkYZ9zoO

 雪崩れ込むは西のあやかし、防ぎきれぬ砦達。

 それでも何とか立ち塞がり、彼ら彼女らは立ち回る。

 時には逃げ遅れた者を助け、時には襲い掛かる者を蹴散らして。



     ( ^ω^)百鬼夜行のようです。

      【十話 百二山河 崩してみせよ。 後】



 そんな中、不意に見付けたその姿。

 まるっこくて小さくて、緑色のその姿。


   あれ、あんたどっかで会った事ある?


7 ◆XCE/Wako2nqi 2010/06/06(日) 21:09:13.00 ID:vOkYZ9zoO

 人間達が避難する、内藤宅。
 家主は不在の屋敷では、陰摩羅鬼が一人でその場をせっせと纏めていた。


( ゚∋゚)「人間さん達が一杯でてんてこ舞いですねぇ」

( ゚∋゚)「あ、こらこら上っちゃ駄目、このくっくるは山ではありません」

( ゚∋゚)「掛け軸引っ張らないでね、怒られるの私ですから」

( ゚∋゚)「厠は一つだから順番でね、うん、そこら辺でしないの」

( ゚∋゚)「あ、食材はありますので、申し訳ありませんが食事は皆さんで拵えて貰えますか?」

( ゚∋゚)「そこ、火事場泥棒みたいな事をしたら外に放り出しますからね」

( ゚∋゚)「あるいはこのくっくるの筋肉ばすたぁを受けて貰います」

( ゚∋゚)

( ゚∋゚)「素直でよろしい」


14 ◆XCE/Wako2nqi 2010/06/06(日) 21:12:09.30 ID:vOkYZ9zoO

( ゚∋゚)「人間さんが沢山だと大変ですね、ご飯も沢山要るし」

( ゚∋゚)「内藤さん達はちゃんと食べてるんでしょうか」

( ゚∋゚)「ふささん遅いですね」

( ゚∋゚)

( ゚∋゚)「くっくるの初めて☆保母体験」

( ゚∋゚)「あ、止めて止めて、鶏冠を引っ張らないで」

( ゚∋゚)「全く、突っ込み役が居ないとボケる事もままならない……」

( ゚∋゚)

( ゚∋゚)クックー

( ゚∋゚)

( ゚∋゚)(ちょっと寂しいなあ……)


18 ◆XCE/Wako2nqi 2010/06/06(日) 21:15:35.49 ID:vOkYZ9zoO

<ニャー

( ゚∋゚)「おや、猫が」

<ニャアン

( ゚∋゚)「くっくるはご飯ではありませんよ、かじらないで」

<ニャン

( ゚∋゚)

( ゚∋゚)「あなたも此処に避難しておきますか?」

<ウニャ

( ゚∋゚)「あ、良い? そうですか」

<ニャー トトトト ピシャン

( ゚∋゚)「あら、行っちゃった、律儀に襖まで閉めて」

( ゚∋゚)

( ゚∋゚)「…………え?」


21 ◆XCE/Wako2nqi 2010/06/06(日) 21:18:31.02 ID:vOkYZ9zoO


(;TДT)「町の方は砦達が頑張ってるから、おれは未だ行かなくても良さそうだなー……」


 お山の上から町を見下ろすのは、一匹の狼。
 茶灰色の毛並みを生温い風に靡かせ、己の持ち場に立って居た。

 狼もかは、山を守る山の主。
 当人の情けなさから余り知られては居ないが、実は立派な位置に居る。

 ぽんと姿を人に変え、辺りをきょろきょろ見回す。
 今のところは、山には何も来ていないらしく、空気は平穏を保っている。

 しかしそれも、いつ崩れるかは解らない。

 この大進軍が、山に手を伸ばさぬ訳が無いのだから。


 小さいとは云え、迷えば数日は出られぬ山。

 その山を、たった一匹で受け持つ狼。
 もかの力は、確かな物なのだ。


24 ◆XCE/Wako2nqi 2010/06/06(日) 21:21:28.91 ID:vOkYZ9zoO

(;TДT)「ももんじー、問題なさそうかー?」

/ ,' 3 「ないぞー」

(;TДT)「かっぱー、問題なさそうかー?」

( ^^ω)「ないホマー」

(;TДT)「てっそー、いしー、かねだまー、だいだらー、みこしー、ばくー、問題はー」

(=゚ω゚)ノ「なぃょぅ」

〈::゚−゚〉「ナイデス」

¥・∀・¥「ないよー」

|(●),  、(●)、|「ないねー」

( ´Д`)「ありませんぞー」

('(゚∀゚宦uないんだよ!」

(;TДT)「んー、何かあったら呼ぶんだぞー」


29 ◆XCE/Wako2nqi 2010/06/06(日) 21:24:51.03 ID:vOkYZ9zoO

( ´Д`)「一気に出したね」

(;TДT)「数合わせらしいぞー」

( ´Д`)「ですよねー」

(;TДT)

( ´Д`)

(;TДT)「顔だけだと八頭身ってわかんないぞー……」

( ´Д`)「しょうがないじゃないの……」

(;TДT)「まあ問題ないなら良いぞー、隠れとけよー」

( ´Д`)「頼りにしてるよ、山の神」

(;TДT)「神なんかじゃないぞー……ただの狼だぞー……」

( ´Д`)「シシガミサマ」

(;TДT)「やめて」


32 ◆XCE/Wako2nqi 2010/06/06(日) 21:27:39.94 ID:vOkYZ9zoO

( ´Д`)「シシガミサマ」

(;TДT)「だからやめて、なんだー」

( ´Д`)「>>1さんは居ないの?」

(;TДT)「良いから引っ込んでなさい」

( ´Д`)チェッ

(;TДT)「みんなちゃんと避難しとけよー……」

('(゚∀゚宦uそれだけもかを頼りにしてるんだよ!」

(;TДT)「なおるよ……だからって町からわざわざ戻ってこなくても……」

('(゚∀゚宦u山の方が落ち着くよ! シシガミサマ期待してるよ!」

(;TДT)「シシガミサマやめて」

('(゚∀゚宦uわっはー」

(;TДT)「……」


40 ◆XCE/Wako2nqi 2010/06/06(日) 21:30:36.85 ID:vOkYZ9zoO

〈::゚−゚〉「みんな、もかサンを慕ってるデス」

(;TДT)「そーなのかー……?」

〈::゚−゚〉「ダカラみんな、山にこもるデス」

(;TДT)「……」

〈::゚−゚〉「もかサンに何かあったら、ワタシタチががんばるデス」

(;TДT)「……ありがと、ぃし」

〈::゚−゚〉「えへ、じゃあもどるデス、頑張ってデス」

(;TДT)「うん、ありがとなー」


 狼もかは、人から好かれる。

 それは確かな力を持つものの、心は優しく気は弱く、己の力を盾にしないから。
 弱きに優しく強きにも優しい、すぐに泣く根性なし。

 それでも面倒見の良いもかは、縄張りである山の妖怪達から愛されていた。


46 ◆XCE/Wako2nqi 2010/06/06(日) 21:35:10.93 ID:vOkYZ9zoO

 もかには、双子の姉が居る。
 随分と前に、喧嘩別れをしてしまった姉が。

 もかと違い、姉は己の力に絶対の自信を持っていた。
 容姿は麗しく、恐ろしく強い雌の狼。

 そんな姉は、弱きも強きも全て構わず食い殺した。

 気弱で平和主義のもかは、姉が恐ろしくてしょうがなく。
 何度も何度も全てを蹂躙する姉を止めようとしたが、その度に蹴散らされる。


 力で劣っていた訳ではない。

 ただ、もかには心に弱さがあり。
 姉には、その弱さが存在しなかった。


 その弱さは、所謂、優しさ。

 姉に対して、雌に対して本気でぶつかれないもか。
 血を分けた弟すらも食い殺さんと、本気で噛みつく姉。

 生まれて育って数百年。
 もかは、たった一人の肉親から、優しさを与えられた事は無かった。


48 ◆XCE/Wako2nqi 2010/06/06(日) 21:36:39.03 ID:vOkYZ9zoO

 狩りの方法を先に覚えたのは姉。
 喧嘩の方法を先に覚えたのも姉。
 生きる術を全て先に身に付けたのは、姉。

 生きる事に貪欲で、食う事に貪欲で、遊ぶ事に貪欲だった。

 それは狼と云う高潔な存在から、大きくかけ離れた存在。


 そんな姉は恐ろしく、強く、美しい。
 しかし鈍臭い弟に対しては、いつもいつでも厳しかった。


 狩りが下手で怒鳴られた。
 喧嘩が弱くて殴られた。

 お前はなんて役立たずなのだと、いつでも虐げられていた。


 けれどもかは姉が唯一で、他に従うものなど、なくて。


49 ◆XCE/Wako2nqi 2010/06/06(日) 21:39:44.16 ID:vOkYZ9zoO

 だけど姉が、西の仲間入りをしようとした時。
 もかは初めて、姉に反発をした。

 ひたすら己の為に生きようとする姉。

 狼とは、弱いものを強いものから助け、群れの先頭で全てを守るものだと信じるもか。

 二人の間の亀裂は、もはや修繕不可能なまでに深くなっていた。


 西に行く姉に、初めて牙を剥いた。
 姉はそんなもかを軽く往なし、嘲笑って踏みつけた。

 お前の様な弱者に何が守れるのか、と、笑う。


 その日から一人ぽっちになったもかは、一人ぽっちで生きる様になる。

 狩りも喧嘩も下手くそで、何度も野垂れ死にそうになったけれど。
 その度に、心優しい妖怪が手を差し伸べてくれたから。

 もかの中の「優しさ」と云うものは、どんどん強く大事で愛しい物へと変わってゆく。


52 ◆XCE/Wako2nqi 2010/06/06(日) 21:42:36.38 ID:vOkYZ9zoO

 優しくされたから優しさを返そう。
 優しくされたいなら優しさを与えよう。
 優しさを得たら幸せになれるから、この優しさを育もう。

 それは、恐ろしく純粋で、恐ろしく無垢で、恐ろしく愚かな狼だった。


 だがその優しさはゆっくりと実を結び、友と呼べる存在は増えていった。

 狐や、狸や、色んな獣に妖怪が、自分を助けてくれたから、親しくなれた。
 先代九尾からも与えられた優しさは、もかの力に姿を変える。

 その力はいつしか、山の主になれるほど、強大な物へと変わる。


 彼の力の糧は、優しさ。

 全てを包み込み、抱き込み、愛する様な優しさ。
 けれど押し付けがましくない、父性と云うに相応しい優しさ。

 欲しがれば与えられるその優しさに、山の妖怪達は、彼を心から慕う様になる。


55 ◆XCE/Wako2nqi 2010/06/06(日) 21:45:35.54 ID:vOkYZ9zoO

 何かを傷付けるくらいなら、その対象すらも愛したい。
 そうすれば、みんな幸せになれるはず。

 だからおれはみんなに優しくするし、いじめたりなんかしない。

 どうしようもない甘ったれの論理は、今まで壊れる事は無かった。

 自分が優しくすれば、皆が自分にも優しくしてくれたから。



 けれど、それももうおしまい。


 生暖かい風が、ぶわりと強く舞った。

 木々をざわざわ揺らす風に目を瞑り、再びそっと目蓋を持ち上げる。


 するとそこには、懐かしい顔があったから。


63 ◆XCE/Wako2nqi 2010/06/06(日) 21:48:14.84 ID:vOkYZ9zoO

リi、゚ー ゚イ`!「…………久しいな」

(;TДT)「…………ぇ……?」

リi、゚ー ゚イ`!「久しいな、と云うた、応えんのか」

(;TДT)「ぁ、え……ぇ……そ、え?」


 もかの前に立つのは、黒衣を纏った美しい女。
 すらりとした長身の、細身の女だった。


 結い上げた長い髪は、茶灰色。
 整った顔立ちは冷たく鋭い印象を受ける。

 にこりと笑う事もせず、もかに声をかける女。


 その女の頭には、狼の耳が生えていた。


70 ◆XCE/Wako2nqi 2010/06/06(日) 21:51:50.64 ID:vOkYZ9zoO

 もかは突然現れたその姿に、目を白黒させ、口をぱくぱくと開閉させる。

 驚いて言葉も出ないと云う風に、獣の耳をぺたりと伏せさせ、尾もだらしなく垂れ下がる。

 それもそのはずで、この女は。


(;TДT)「ねぇ……ちゃん…………何で……?」


 先程まで思い馳せていた、生き別れの姉、その人で。


リi、゚ー ゚イ`!「殺しに来たよ」

(;TДT)「ぇ……」

リi、゚ー ゚イ`!「お前を、殺しに来たよ」


 何だか、涙が、出そうになった。


75 ◆XCE/Wako2nqi 2010/06/06(日) 21:54:41.94 ID:vOkYZ9zoO



ミセ*%ー゚)リ「おやっさーん!来たよ来たよー!」

(‘_L’)「ん」

ミセ*%ー゚)リ「ほら、すっげぇ数だよ!」

(‘_L’)「……」

ミセ*%ー゚)リ「おやっさん?」

(‘_L’)「……楽しそう、だな、白稚児」

ミセ*%ー゚)リ「うへ、ばれたか」

(‘_L’)「…………まあ、良い」

ミセ*%ー^)リ「へへっ……誰かの役に立てるの、嬉しいね」

(‘_L’)「……ああ、そう、だな」


80 ◆XCE/Wako2nqi 2010/06/06(日) 21:58:06.75 ID:vOkYZ9zoO

 北の門は二人の門番、小娘一人に大男。

 みせりはぴょんぴょんと跳ねて、こちらに向かい押し寄せる妖怪達に頬を緩める。
 怖くない訳ではないが、それ以上に胸が高鳴るのだ。

 死にかけた事はあったが、それは病によるもの。
 こう云った争い事と云うのは、少々遠いものだった。

 故に、みせりは楽しんでいる。

 新しい玩具をぽんと目の前に置かれた様に。
 今から大きなお芝居の幕が上がる様に。

 胸がどきどきと、緊張と興奮で満たされる。


 その隣でのっそりと立つのは、猫背の男。
 犬神ふぃれんくとは、太刀を鞘から抜いて肩にかける。

 どこまでも緊張感を見せぬその姿は、犬神の持つ強みでもある。


86 ◆XCE/Wako2nqi 2010/06/06(日) 22:02:35.57 ID:vOkYZ9zoO

(‘_L’)「来る、ぞ」

ミセ*%ー゚)リ「おうよ!」


 何を考えているか解らないから、太刀筋すらも見えやしない。
 隙があるようで全く無くて、噛み付く暇も与えない。

 ずっしりと、石像の如く重くその場に構える犬神。

 その周りをちょこまかと、子供特有のすばしっこさで翻弄させる白稚児。


 足りないのは遠隔射撃のみ、とみせりはにんまり笑って見せた。


 ついに押し寄せた黒い波を引き裂く様に、真っ直ぐに駆けて行く。

 犬神が止める間も無く小さな白が黒い渦の中に飛び込む。
 それは一見無謀な行動であり、死にに行くようなものだった。


90 ◆XCE/Wako2nqi 2010/06/06(日) 22:06:01.10 ID:vOkYZ9zoO

 しかしその一滴の白は、黒を瞬く間になぎ倒す。
 黒い海に落ちた白い雫は、波紋を広げる様に、己を中心に波を起こす。

 鉄の色を煌めかせ、両手を振り上げ駆け回る。
 けらけらと、子供らしく笑いながら黒いものを斬り付けた。

 恐ろしくも狂おしく、愛らしい子供の踊り。
ttp://imepita.jp/20100606/755820

 まるでつむじ風だと、犬神は小さく笑う。

 致命傷は与えない様に、手足や胸を薄く引き裂く一対の刃。

 そこから逃れた黒い波は、次の防波堤に迎え撃たれる。


 みせりの刃を避けて油断した者は、待ち構える巨大な太刀により手足を落とされた。

 一振り毎に風を起こし、空気を引き裂き襲い掛かる。

 それは幼いつむじ風とはまるで違う、狂い風。

 すべてを真っ直ぐに断ち切る太刀の風。


92 ◆XCE/Wako2nqi 2010/06/06(日) 22:08:48.91 ID:vOkYZ9zoO

 くるくると遊ぶ風とは違い、襲い掛かる風の圧を感じる頃には、もう地べたを這いずった。

 死にはしない程度に、を約束とした砦の仕事。
 命は落とさぬが、四肢を落とす事になるとは思わなかったであろう。

 先に巻き起こるつむじ風で粗く篩にかけ、太刀の風で残りを落とす。

 砦の中でも一番順調、かつ、完璧なその仕事。


 しかし、つむじ風の動きが、ふと止まった。


ミセ*%ー゚)リ「おやっさーん! ちょっと任せて良いー!?」

(‘_L’)「ん、?」

ミセ*%ー゚)リ「あっちに逃げ遅れてるの居るみたいなのー! 避難させるー!」

(‘_L’)「ああ、行って、こい」

ミセ*%ー゚)リ「おーっす!」


96 ◆XCE/Wako2nqi 2010/06/06(日) 22:11:11.99 ID:vOkYZ9zoO

 ふと町の方へ目をやると、何やら緑色が慌てて転げ回っている姿を見つけ。
 みせりはそれを逃げ遅れた妖怪と見なし、持ち場をぴょんと離れて駆け出した。

 犬神の横をすたたと通り抜け、軽い身のこなしで町の通りへ駆けて行く。

 そして、角をひょいと曲がった、その瞬間。


(;ノAヽ)「あだっ! いでっ! つつくなノーネ! 餌じゃないノーネ!」


 あぶらすましが、西の烏についばまれていた。


(;ノAヽ)「のぎゃーっ! 蓑を引っ張るなノーネ! これ作るの大変だったノーネ!!」

ミセ*%ー゚)リ

(;ノAヽ)「あっち行けノーネ! しっしっ! …………んぇ?」

ミセ*%ー゚)リ「……でーじょぶ?」


101 ◆XCE/Wako2nqi 2010/06/06(日) 22:14:30.12 ID:vOkYZ9zoO

(;ノAヽ)「この惨状でよくそれが聞けるノーネ! 見るだけならオマエもあっち行けなノーネ!」

ミセ*%ー゚)リ「や、助けるけどね、うん……そぉい!」

(;ノAヽ)「のぎゃっ!」

ミセ*%ー゚)リ「でーじょぶ? 怪我は?」

(;ノAヽ)「な、無いノーネ……」

ミセ*%ー゚)リ「なら良かった、危ないから避難しなよ?」

(;ノAヽ)「あ、ありがてぇノーネ……」

ミセ*%ー゚)リ

(;ノAヽ)

ミセ*%ー゚)リ「どっかで会ったコトある?」(ノAヽ;)


107 ◆XCE/Wako2nqi 2010/06/06(日) 22:17:22.94 ID:vOkYZ9zoO

ミセ*%ー゚)リ「聞くって事は、無いのか……」

( ノAヽ)「ノネ……あ、ノーネはのーねなノーネ」

ミセ*%ー゚)リ「わたしはみせり、よろしくね」

( ノAヽ)

ミセ*%ー゚)リ?

( ノAヽ)「前髪降りてるのにイルリじゃないノーネ」

ミセ#%ー゚)リ「癖っ毛だよ、他所のネタ持ってくんなよ」

( ノAヽ)「いやもう今さらなノーネ」

ミセ;%ー゚)リ「まあそうだけどさ……それより何でこんなとこ居んの? 避難してないなんて」

( ノAヽ)「油売りに出稼ぎから帰ってきたとこなノーネ、帰ってきたらてんてこ舞いなノーネ」

ミセ*%ー゚)リ「あーなるほろ……今ね、西の妖怪が攻めて来てんの、危ないよ」

(;ノAヽ)「な、なんでまた……」


112 ◆XCE/Wako2nqi 2010/06/06(日) 22:24:04.20 ID:vOkYZ9zoO
ミセ*%ー゚)リ「それはわたしも聞きたいけど……取り敢えず近いからうち来なよ」

( ノAヽ)「ノネ」

ミセ*%ー゚)リ「ん?」

( ノAヽ)「あれ」

ミセ*%ー゚)リ?


( `ー´)ノシ(### )ペチペチ

ミセ*%ー゚)リ

ミセ*%ー゚)リ「亀いじめてんね」

( ノAヽ)「亀なノーネあれ」

ミセ*%ー゚)リ「しかもまた見覚えあるね」

( ノAヽ)「西に引っ越した油なめなノーネ」

ミセ*%ー゚)リ「あんたは?」

( ノAヽ)「あぶらすまし」

ミセ*%ー゚)リ「似たようなもんか」

115 ◆XCE/Wako2nqi 2010/06/06(日) 22:27:04.74 ID:vOkYZ9zoO

ミセ*%ー゚)リ「そこのちっこいのー、亀をいじめちゃいけないよー」

( ノAヽ)「うらしまー」

( `ー´)「あ、のーね」

( ノAヽ)「ようねーの」

( `ー´)

( ノAヽ)

ミセ*%ー゚)リ「友達?」

( `ー´)「幼馴染み」

( ノAヽ)「ノネ」

ミセ*%ー゚)リ「うんまあ、あんたらの友好関係はまあ良いから、いじめんのやめなさい」

( `ー´)「いや、なんかそれっぽい事しろって言われたから……せめてみみっちい事を……」

( ノAヽ)「何しとるノーネ……」

( `ー´)「上からの命令で嫌々じゃネーノ……」

( ノAヽ)「せちがれー」


118 ◆XCE/Wako2nqi 2010/06/06(日) 22:29:09.60 ID:vOkYZ9zoO

ミセ*%ー゚)リ「取り敢えず、せーばい」

( `ー´)「あでっ」

ミセ*%ー゚)リ「ほら亀さん、海にお帰り」

( ノAヽ)「その亀は淡水だと思うノーネ」

(;´ー`)「お、おう……助けてくれたのかヨ」

ミセ*%ー゚)リ

( ノAヽ)

( ´ー`)

ミセ*%ー゚)リ「あと二匹かな」

( ノAヽ)「ノネ」

( ´ー`)「初対面の筈なのに、この馴染み方はなんだヨ……」


120 ◆XCE/Wako2nqi 2010/06/06(日) 22:32:15.98 ID:vOkYZ9zoO

ミセ*%ー゚)リ「亀さん、木霊とかしらない?」

( ´ー`)「ねーよだヨ、木霊なら甲羅の中に避難してるヨ」

 ( [)゙ヒョコ
( ´ー`)

ミセ*%ー゚)リ「ああうん、ぱーぺき」

( `ー´)「森の木霊が何でこんなとこに?」

( ´ー`)「友達探してたんだってヨ」

ミセ*%ー゚)リ「あー、たぶん大丈夫だからみんなわたしんちに避難してね」

( ´ー`)「はいヨ」

( `ー´)「俺は?」

ミセ*%ー゚)リ「めんどくせーからおいで」

( `ー´)「はーい」


125 ◆XCE/Wako2nqi 2010/06/06(日) 22:35:11.62 ID:vOkYZ9zoO

( ノAヽ)「ところでイルリ」

ミセ#%ー゚)リ「みせりだっつの」

( ノAヽ)「あれオマエの仲間のノーネ?」

ミセ*%ー゚)リ「ん?」

( ノAヽ)「門のところの、囲まれてるノーネ」
  _,,
ミセ;%Д゚)リ「ぅおおおおやっさあああああん! 存在忘れてたぁあああああああ!!」

( `ー´)「あ、取りこぼしがこっちに来た」

( ´ー`)「上からも来てるヨ」

( [)「ゴェ」
  _,,
ミセ;%Д゚)リ「なごやかにいってないで逃げろよ!!」

( ノAヽ)「ごめす」
  _,,
ミセ;%Д゚)リ

( ノAヽ)「もう捕まったノーネ」
  _,,
ミセ;%Д゚)リ「ばかたれぇえええええええええ!!!!」


129 ◆XCE/Wako2nqi 2010/06/06(日) 22:38:32.30 ID:vOkYZ9zoO

( ノAヽ)「バカにバカって云われたノーネ」

( ´ー`)「これは失礼なはなしだヨ」

(;`ー´)「オマエらひどいんじゃネーノ?」
  _,,
ミセ;%Д゚)リ「何でみんなしてあっさり捕まってんの!?」

( ノAヽ)「いやーうっかり」
  _,,
ミセ;%Д゚)リ「もうやだこいつら! 助ける方の身にもなってよ!」

( ´ー`)「俺も火吹けないし何もできないヨ」

( `ー´)「まさか味方に捕まるとは」

( ノAヽ)「もう寝返ったと思われてるんじゃないノーネ」

( `ー´)「ははは」
  _,,
ミセ#%Д゚)リ「おまえらたいがいにしろぉぉぉぉお!!」


132 ◆XCE/Wako2nqi 2010/06/06(日) 22:41:45.85 ID:vOkYZ9zoO
  _,,
ミセ;%Д゚)リ「結構な数いるし、こんなんわたし一人じゃ……」

  「困った時にはすぐ参上!」
  _,,
ミセ;%Д゚)リ!?

  「お呼びとあらば即参上!」
  _,,
ミセ;%Д゚)リ「呼んでないよ!?」

  「そこは誰って聞いてほしいニダ……」

  「あかんて語尾出したら……」
  _,,
ミセ;%Д゚)リ

  「て、天が呼ぶ地が呼ぶ人が呼ぶ!」

  「アホを助けろと人が呼ぶ!!」

<ヽ`∀´>「前鬼にだー!!」

(゚A゚*)「後鬼のー!!」

  <ヽ`∀´>「二人合わせて、前後のおn」(゚A゚*)

  _,,
ミセ#%Д゚)リ「遊んでないで何とかしろぉあああああああッ!!!!」

139 ◆XCE/Wako2nqi[sage] 2010/06/06(日) 22:45:43.00 ID:vOkYZ9zoO

<ヽ´Д`>「名乗りすら許されないニダ……世知辛いニダ……」

(゚A゚*)「まあまあ……」

<ヽ´Д`>「ウリもうやっていける気がしないニダ……にだのーこんびは解散ニダ……」

(゚A゚*)「どんだけ心弱いねんにだやん」

<ヽ´Д`>「のーちゃんの突っ込みならどこでも通用するニダ……さよならニダ……」
  _,,
ミセ#%Д゚)リ「だぁから遊んでんなぁあああああああああッ!!!!」

(゚A゚*)「ほなにだやん、うち犬神さんとこ手伝いに行くからこっちよろしく」

<;ヽ´Д`>「あ、のーちゃん……」
  _,,
ミセ#%Д゚)リ「何なのよあんたらは! 遊びに来たのか手伝いに来たのか!」

<;ヽ´Д`>「て、手伝いに来ましたニダ! 巫女から派遣されて来ましたニダ!」
  _,,
ミセ#%Д゚)リ「じゃあ手伝いなさい!!」

<;ヽ´Д`>「はひぃっ!」


147 ◆XCE/Wako2nqi[sage] 2010/06/06(日) 22:50:27.30 ID:vOkYZ9zoO
<ヽ`∀´>「ウリナラマンセー! そぉい!」
  _,,
ミセ;%Д゚)リ「何だその掛け声……そぉい!」

<ヽ`∀´>「これでも式神みたいなもんニダ! 多少は使えるニダ!」
  _,,
ミセ;%Д゚)リ「まぁありがたいけどさぁ……遊ぶの控えてよ?」

<;ヽ´Д`>「申し訳ないニダ……久々でつい……」
  _,,
ミセ;%〜゚)リ「にだーがそうだと調子狂うなぁ……」

<;ヽ´Д`>?

<;ヽ´Д`>

<;ヽ´Д`>「そういやお嬢ちゃん、なんか見覚えあるニダ……」
  _,,
ミセ;%〜゚)リ「初対面だけどね……」

<;ヽ´Д`>???


151 ◆XCE/Wako2nqi[sage] 2010/06/06(日) 22:52:31.25 ID:vOkYZ9zoO

ミセ*%ー゚)リ「ほいっと、いっちょあーがりっ!」

( ノAヽ)「あー怖かった」

ミセ;%ー゚)リ「そう思うなら多少は逃げて」

( ノAヽ)「んじゃ避難するノーネ」

ミセ#%ー゚)リ「なーんか腹立つわー……」

( `ー´)「あっちに避難するのか?」

ミセ*%ー゚)リ「うん、あれがうち、わたしはおやっさんとこ戻るから、にだーこいつら宜しく」

<ヽ`∀´>「把握ニダ!」

ミセ*%ー゚)リ「おやっさーん! だーいじょーぶーっ!?」

( ノAヽ)

<ヽ`∀´>

( ノAヽ)「ヨロシコ」

<;ヽ`∀´>「ま、任せるニダ!」


154 ◆XCE/Wako2nqi[sage] 2010/06/06(日) 22:55:31.49 ID:vOkYZ9zoO
 薄い紫に緑の妖怪、もとい式神のにだーとのー。

 前鬼後鬼の二匹が加わり、これで北の砦の守りは更に強まった。

 金棒を振り回す二匹の鬼と、どっしり構える犬神御仁。
 そして白稚児が跳ね回る、北の砦の守りは鉄壁。

 その砦は、四方の砦で随一の力を誇る事となる。
 門から先へは、蟻の子一匹通す事はない。


 さあ、破ってみせろよこの守り。
 我ら北の門番は、最強と謳うに相応しい。


ミセ*%ー゚)リ「おらおらかかって来いやーっ!」

(‘_L’)「……」

ミセ*%ー゚)リ「あでっ、何で叩くのおやっさん」

(‘_L’)「直ぐ、調子に乗る」

ミセ*%ー^)リ「うへへ、つい」

(‘_L’)「…………まあ、良い……行くぞ」

ミセ*%ー^)リ「おーっす!」

 
8 ◆XCE/Wako2nqi[sage] 2010/06/06(日) 23:08:52.67 ID:vOkYZ9zoO


( ^Д^)「で」

( ゚д゚ )ブランカ

( ^Д^)「南のたぁんな訳だけどぉ」

( ゚д゚ )ブルスコ?

( ^Д^)「取り立てて何もないわけでぇ」

( ゚д゚ )

( ^Д^)

( ゚Д゚ )クワッ

(;^Д^)そ


16 ◆XCE/Wako2nqi[sage] 2010/06/06(日) 23:11:07.00 ID:vOkYZ9zoO

(;^Д^)「だってさぁん……本当に何もない……いやすくりぷと攻撃はされたけど」

( ゚д゚ )サインコサイン ボ

( ^Д^)「あぁぁぁぁぁああん暇ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん」

( ゚д゚ )ヒマナラナンカシロヨ

( ^Д^)「何かって云ってもなぁん……なぁんもないしぃ……」

( ^Д^)

( ^Д^)「みるないま普通に喋った?」

( ゚д゚ )ボインボ ハッ

( ^Д^)

( ゚д゚ )ボインボインッ

( ^Д^)「喋ったよね? ね? 喋ったよね普通に? ね? ね? ね???」

::(( ゚゚Д゚゚ ))::クワァッ!!

(;^Д^)「ひぃいっ!?」


23 ◆XCE/Wako2nqi[sage] 2010/06/06(日) 23:14:17.41 ID:vOkYZ9zoO



ノパ听)「そぉおおおおおおおおおいやぁああああああああああッ!!!!」

ノパ听)「この町を襲う等ぉ!! 言語!! 道!! 断!!!!」

ノパ听)「このひぃとに力で打ち勝てる様になってから出直せぇぇぇぇぇぇいッ!!!!」

∬´_ゝ`)「それは無茶じゃない?」

ノパ听)

∬´_ゝ`)

ノパ听)「誰だ!!」

∬´_ゝ`)「どうも、流石の姉者です」

ノパ听)

∬´_ゝ`)

ノパ听)「盛岡屋のか!!」

∬´_ゝ`)「それは弟者」


32 ◆XCE/Wako2nqi[sage] 2010/06/06(日) 23:17:31.96 ID:vOkYZ9zoO

ノパ听)「むむ、むむむむ……」

∬´_ゝ`)「何? そんなにまじまじと見ちゃうくらい美人?」

ノパ听)「ハッ! 有髪族のババア俺だ結婚してくれぽじしょんか!!」

∬´_ゝ`)「捻るわよドチビ」

ノパ听)「むむむむむむ……」

∬´_ゝ`)(思ったより阿呆ねこの子……)

ノパ听)「すらっとぼいんにばいんばいんで美人……つまりしゅう姉様の後釜狙いか!!?」

∬´_ゝ`)「思ったより可愛いわねあなた、毒婦の君を狙えるくらい美人?」

ノパ听)「加齢しゅ」

∬´_ゝ`)「面貸せや」

ノパ听)「ごめんなさい!!」


39 ◆XCE/Wako2nqi[sage] 2010/06/06(日) 23:21:08.80 ID:vOkYZ9zoO

ノパ听)「じゃあ何だ! 通りすがりのぼいんか!! このひぃとを見下しに来たか!!」

∬´_ゝ`)「まあ、あなた小さいけど……」


 ノパ听)←130cm
 ∬´_ゝ`)←180cm
ttp://imepita.jp/20100606/756110

ノパ听)「何だ! 敵か!! 力勝負か!!?」

∬´_ゝ`)「蟻に勝とうとは思わないわよ、あと敵じゃないわ」

ノパ听)「予想以上にでかいぞババア!」

∬´_ゝ`)「解った殺す」

ノパ听)「ごめんなさい!!」

∬´_ゝ`)「大体、あなたの方がババアでしょ? 何百年生きてるのよあなた」

ノパ听)

∬´_ゝ`)

ノパ听)「見た目で勝利!!」

∬´_ゝ`)「カチ割るぞ」

44 ◆XCE/Wako2nqi[sage] 2010/06/06(日) 23:24:52.74 ID:vOkYZ9zoO

ノパ听)「取り敢えず何者だ!! 名乗れ!!」

∬´_ゝ`)「名乗った名乗った」

ノパ听)「そうだっけ!!」

∬´_ゝ`)「もう良いわ……私は女天狗の姉者、大天狗の上司に云われて加勢に来たのよ」

ノパ听)

∬´_ゝ`)

ノパ听)「良い男か!!」

∬´_ゝ`)「それそれ」

ノパ听)「女天狗とは珍しいな! 親もえりぃと大天狗か!!」

∬´_ゝ`)「父は木ノ葉天狗だけど」

ノパ听)

∬´_ゝ`)

ノパ听)「お前の方が偉いじゃないか……」

∬´_ゝ`)「父者涙目ではあるわね」


52 ◆XCE/Wako2nqi[sage] 2010/06/06(日) 23:27:32.73 ID:vOkYZ9zoO

ノハ´凵M)「結構ひどい女だな……悪女め……」

∬´_ゝ`)「えぇ、そこで声の大きさ落としちゃうの……」

ノハ´凵M)「艶女め……」

∬´_ゝ`)「誰が月に三十万は自由に使えるモテ系三十代か」

ノハ´凵M)「大人の女のお色気むんむんめ……」

∬´_ゝ`)「そう云われるのは悪い気はしないけど」

ノハ´凵M)「デカババア俺だ結婚してくれ……」

∬´_ゝ`)「小突き回して水没させっぞ」

ノハ;´゚听)「水は駄目だ! わわわわたしは南国の蟻じゃないから水は駄目だ!!」

∬´_ゝ`)「いや、南国の蟻も水はいけるかどうか……」

ノハ;´゚听)「蟹の四肢とか食い千切って動けなくして中から食う事は出来るけど水は駄目だ!!」

∬´_ゝ`)「恐ろしい上にその顔むかつくわ」


54 ◆XCE/Wako2nqi[sage] 2010/06/06(日) 23:30:24.83 ID:vOkYZ9zoO

∬´_ゝ`)「……一応いま、其処ら中に敵が跋扈してる訳だけど」

ノパ听)「うん」

∬´_ゝ`)「あなた、緊張感って知ってる?」

ノパ听)「噛み砕けないものはしんない」

∬´_ゝ`)

ノパ听)「あと噛んで運べないものもしんない」

∬´_ゝ`)

ノパ听)

∬´_ゝ`)「脳みそ筋肉?」

ノパ听)「かもな!!」

∬´_ゝ`)「否定しろよ」


56 ◆XCE/Wako2nqi[sage] 2010/06/06(日) 23:33:04.21 ID:vOkYZ9zoO

ノパ听)「しかし」

∬´_ゝ`)「うん?」

ノパ听)「顔そっくりだな」

∬´_ゝ`)「兄者の方が似てるわよ?」

ノパ听)「? 兄もいるのか?」

∬´_ゝ`)「いや、弟の兄者」

ノパ听)「?? だから兄じゃないのか?」

∬´_ゝ`)「いや、弟の、兄者」
 _,
ノパ听)「??? 弟の兄ならお前の兄じゃないのか?」

∬;´_ゝ`)「だ、だから兄者は弟の……」
 _,,
ノパ听)????


63 ◆XCE/Wako2nqi[sage] 2010/06/06(日) 23:36:06.27 ID:vOkYZ9zoO

∬#´_ゝ`)「あーもー面倒臭い! 良いからこの辺でうろちょろしてるのぶっ飛ばすわよ!」

ノパ听)「おう! デカババア!」

∬´_ゝ`)「どんだけ私を怒らせたいのクソチビが」

ノパ听)「じょーく! じょーくあべにゅー!」

∬´_ゝ`)「そいっ」

ノハ; )「もるすぁっ」

∬´_ゝ`)「ほら遊んでないで、これでも助っ人なのよ私」

ノパ听)「結構のってた癖に……」

∬´_ゝ`)「あ?」

ノパ听)「ごめんなさい!!」


68 ◆XCE/Wako2nqi[sage] 2010/06/06(日) 23:39:10.99 ID:vOkYZ9zoO
ノパ听)「ちぎってはなげー!! ちぎってはなげー!!」

∬´_ゝ`)「膝折りっと」

ノパ听)「噛んでー! なげーる!!」

∬´_ゝ`)「へし折りっと」

ノパ听)「正義のぱーんち! だだっだーん!!」

∬´_ゝ`)「踏み折りっと」

ノハ´゚听)「地味だぞババア……」

∬´_ゝ`)「あんたが煩いのよクソチビ」

ノパ听)「ぐるんぐるんぐるんぐるんるーん!!」

∬´_ゝ`)「……」

ノパ听)「がすとがすとがすとがすとがすとー!!」

∬´_ゝ`)「ぐるーんがーすとー……」ボソリ

ノパ听)「すーぱーろぼっ…………」

∬´_ゝ`)

ノパ听)

71 ◆XCE/Wako2nqi[sage] 2010/06/06(日) 23:42:34.77 ID:vOkYZ9zoO

ノパ听)「姉者……いま……」

∬´_ゝ`)「聞き違いよ」

ノパ听)「ぐるんがすと……」

∬´_ゝ`)「聞き違いよ」

ノパ听)「デカババア……」

∬´_ゝ`)「歯ぁ食い縛れ」

ノパ听)「ごめんなさい!!」

∬´_ゝ`)(……強いのは確かだけど、頭は良くはないのね……まあ可愛いげはあるけど)

ノパ听)(しかしでけーなー)

∬´_ゝ`)(小柄ってれべるじゃない小ささだけど、この小ささに惑わされたら負け、か……)

ノパ听)(おっぱいもでけーなー、しゅう姉様より小さいけど)

∬´_ゝ`)(ふふっ、なかなかやるのよね、この蟻んこちゃん……
      この子を敵に回すのは怖いし、弟も居るし……町の味方しときましょうか)

ノパ听)(女装してるおっさんみたいなでかさだなー)


76 ◆XCE/Wako2nqi[sage] 2010/06/06(日) 23:45:29.79 ID:vOkYZ9zoO

∬´_ゝ`)「ほら蟻さん、あっちからも御出座しよ」

ノパ听)「ありんこぱーんち!!」

∬´_ゝ`)「あら蟻さん、あっちからも」

ノパ听)「ありんこきーっく!!」

∬´_ゝ`)「蟻さん、こっちも居るわよ」

ノパ听)「ありんこさいくらっしゃー!!」

∬´_ゝ`)「あ、空からも」

ノパ听)「ありんこえたーなるふぉーすぶりざーど!!」

∬´_ゝ`)「相手は死ぬ…………って、殺しちゃ駄目なんでしょ?」

ノパ听)「そうでした!! しゅう姉様からそう云われてたんだった!!」

∬´_ゝ`)「しっかし、この量を、こんな奴等を殺すな……だなんてね」

ノパ听)「甘ちゃんだと思うか?」

∬´_ゝ`)「ぇ……え、ええ……まあ……」


81 ◆XCE/Wako2nqi[sage] 2010/06/06(日) 23:48:21.48 ID:vOkYZ9zoO

ノパ听)「みんなはそう云う、甘やかすと付け上がる、はやくみんな殺してしまえ」

∬´_ゝ`)「蟻さん……?」

ノパ听)「毒の壷の中でもそうだった、みんな勝手に殺し合って相討ちだ」

∬´_ゝ`)「……」

ノパ听)「この世は何処でも毒の壷だ、皆が足を引っ張り合って殺し合う、誰もそれを疑問に思わん」

∬´_ゝ`)「…………」

ノパ听)「そんな中で、しゅう姉様はわたしたちに共存しようと持ち掛けた
      誰もが憎み合う様な毒の壷の中で、誰かを殺すのが嫌だと泣いて」

∬´_ゝ`)「それが、弱さだとは思わない?」

ノパ听)「思う、甘ったれの弱虫だと」

∬´_ゝ`)「それでも、」

ノパ听)「それでもわたしは、しゅう姉様の弱さが嬉しかった」

∬´_ゝ`)「嬉しい……?」


87 ◆XCE/Wako2nqi[sage] 2010/06/06(日) 23:51:15.45 ID:vOkYZ9zoO

ノパ听)「誰も弱みなんて、見せない」

∬´_ゝ`)「ああ……なるほどね」

ノパ听)「みんながみんな、意地をはって強がって誰にも隙を見せない」

∬´_ゝ`)「でも、あなたの姉様は、あなたに弱さを見せてくれた」

ノパ听)「わたしにじゃない、わたしたちにだ」

∬´_ゝ`)「……独占欲は無いの?」

ノパ听)「しゅう姉様は強くて美しい、そして弱くて甘ったれで根性無し
      わたしはしゅう姉様が大好きで、壷に入る前から大好きだった」

∬´_ゝ`)「なら、どうして?」

ノパ听)「好きなもの、素晴らしいもの、みんなと分かち合わなくてどうするんだ?」

∬´_ゝ`)「あ……」


93 ◆XCE/Wako2nqi[sage] 2010/06/06(日) 23:54:34.37 ID:vOkYZ9zoO

ノパ听)「甘いもの、美味しいもの、みんなを呼んでみんなで運んで、みんなで食べる
      それが幸せであって、一人でみんな食べてしまっても、美味しさは薄れるぞ」

∬´_ゝ`)「なーるほど……」

ノパ听)「独り占めして誰かが餓えるのは、幸せか?」

∬´_ゝ`)「幸せじゃないわね、それが家族なら、なおさら」

ノパ听)「町のみんなは家族だ」

∬´_ゝ`)「…………ねぇ」

ノパ听)「なんだ」

∬´_ゝ`)「蟻には、女王蟻が居るでしょう? その女王の為に食べ物を運ぶ、とは思わないの?」

ノパ听)「? 何いってるんだ?」

∬´_ゝ`)「え?」

ノパ听)「このひぃとが、女王蟻だぞ?」


116 ◆XCE/Wako2nqi[sage] 2010/06/06(日) 23:57:12.24 ID:vOkYZ9zoO

∬´_ゝ`)「あら……あらあらあら、まあまあ……あはははっ」
 _,
ノパ听)「種族の頭が働かなくて、誰がそれに従うんだ?」

∬´_ゝ`)「なるほどねー……あははっ、産卵に専念しない女王蟻なんて、初めて聞いたわ……あはははっ」
 _,
ノパ听)「そりゃ、わたし以外に居ないからだろ……? 卵はしょっちゅうゲロってるし」

∬´_ゝ`)「ははっ、あははっ、変な自覚あるのねあなた……これは愉快だわぁ」
 _,
ノパ听)「…………ババア、変……」

∬´_ゝ`)「そりゃ、あなたを皆が好く筈だわ……そして嫌われもする筈ね」

ノパ听)(殴られなかった……)

∬´_ゝ`)「気に入ったわ蟻さん、一緒にこいつら片付けて、盃でも交わしましょう!」

ノパ听)「お、おう! 解ったぞババア!!」

∬´_ゝ`)「あと面貸せや」


124 ◆XCE/Wako2nqi[sage] 2010/06/07(月) 00:00:14.65 ID:vOkYZ9zoO

 淡い桃色の、癖のある長髪が風に靡く。
 赤い袴に五ツ衣、薄絹がふわり、動きに合わせて舞っている。

 しゅっと尖った鼻に切れ長の目、麗しいかんばせを持つ長身の女天狗、姉者。

 その傍らに立つのは、姉者の腰ほどまでしか背丈のない、小柄なありんこ。
 ありんこひぃとは動きやすそうな黒衣を纏い、白い膝っ小僧をくるりと晒していた。

 端から見れば異端な組み合わせ。
 されど出会ったばかりの二人は、予想を遥かに上回る程に相性が良い。


 四方の砦にあやかし共、空を守りて地を守る。

 東の焦げ茶に西の橙、南の緑に北の白。
 空を守るは緋色の烏、地を守るは深紅の蟻。

 それぞれ想いは交差して、駆け巡りますは町の中。


 さあ、いくさはまだまだ終わらない。



 『十話後編 おわり。』


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