- 2 ◆tYDPzDQgtA 2008/07/13(日) 20:26:34.37 ID:KlInAq3LO
-
代理ありがとうございます。
http://stupidrabbits.web.fc2.com/
http://nagixnagi.blog38.fc2.com/
総合で投下した短編をまとめて下さってます、ありがとうございます
http://nanabatu.web.fc2.com/boon.html
まとめて下さってます、本当にありがとうございます。
- 3 ◆tYDPzDQgtA 2008/07/13(日) 20:28:06.60 ID:KlInAq3LO
-
りゅ、と蠢く目玉がふたつ。
その先に居るは二人のお稚児。
長い黒髪を垂らして泣きじゃくる、九羽屋の“でぃ”。
でぃを宥めて謝罪を繰り返す、武雲屋の“しぃ”。
そして幼い娘らを見守る眼差しは、何やらとても優しくて。
lw´‐ _‐ノv春の日々、のようです
『遊廓七不思議に挑め! 後編』
影は困ったように笑うだけ。
- 4 ◆tYDPzDQgtA 2008/07/13(日) 20:30:04.66 ID:KlInAq3LO
-
(#゚;;-゚)「ぐすっ……」
(*゚ー゚)「ご、ごめんね? こんな時間に人が居るなんて思わなくって……」
(#゚;;-゚)「えぇんです、うちが、悪いから……」
(*゚ー゚)「悪くない悪くない。……あ、私はしぃ、あなたは?」
(#゚;;-゚)「ぁ、う、うちは……でぃ、です」
(*゚ー゚)「でぃちゃんだね、何をしてたの? こんな所で」
(#゚;;-゚)「目がさめてしもたから、夜のお散歩に来たんですぇ」
(*゚ー゚)「そっか、あ、じゃあ一緒に行かない?」
(#゚;;-゚)「へ? ぇ、あ、ど、何処に、です、やろぉか……?」
(*゚ー゚)「遊廓七不思議」
(#゚;;-゚)?
(*゚ー゚)かくかくしかじか
- 5 ◆tYDPzDQgtA 2008/07/13(日) 20:32:31.90 ID:KlInAq3LO
-
(#゚;;-゚)「へぇ……ほんなら、うちもご一緒させてもろて、よろしいですやろぉか?」
(*゚ー゚)「うん、一人ではちょっと厳しかったから……じゃ、行こう!」
(#゚;;-゚)「あ、へぇっ」
しぃは何の躊躇いもなくでぃの手を握って歩き出したので、でぃは少しばかり驚いた様に目を見張る。
けれど酷く優しいしぃの笑顔に、自然と笑顔が漏れだした。
近しい人間と言えば姉女郎“はいん”と楼主“くー”位のもので、誰かに触れられる事など稀。
己の傷の事もあり、でぃは人に触れられたがらない。
けれどこれだけ自然に、これだけ優しく手を握られれば、嫌がる理由は見当たらなかった。
短い目に揃えられたおかっぱ頭を横目に見ながら階段を降り、少し、ほんの少し照れた様にでぃは笑った。
人の暖かさとは幸せなもの。
- 6 ◆tYDPzDQgtA 2008/07/13(日) 20:34:03.66 ID:KlInAq3LO
-
ざわりざわりと肌を撫でる夜の闇も、二人ならば怖くはない。
赤い着物と黒髪は、不思議と闇によく映えた。
(#゚;;-゚)「えぇと……何処に、行きはるん…?」
(*゚ー゚)「んーと、次は『九羽屋の井戸に投げ捨てられた女が数える皿の数』だったかな?」
(#゚;;-゚)「へ……九羽屋…?」
(*゚ー゚)「うん、どうしたの?」
(#゚;;-゚)「九羽屋に、怪談……初めて聞きますぇ」
(*゚ー゚)「私も初めて聞いたのばっかりだったからなぁ」
じゃり、じゃり。下駄は砂を踏み踏み九羽屋の前へ。
足音を立てぬ様にそろそろ歩く影は、建物の影から影へと移動する。
ふ、としぃは思い出す。
先程“しゅう”に見つかりかけた時。
誰かが自分の手を引いて、柱の影へと引き寄せられた事を。
- 9 ◆tYDPzDQgtA 2008/07/13(日) 20:36:07.78 ID:KlInAq3LO
-
自分を抱える大きな腕と、背中に感じたその腹部の感触は男の物だった。
けれどあの時は腕の主の事よりも、しゅうとでれに意識がいっていた。
故に腕に対して疑問や恐怖は浮かばず、どこか“自然のもの”だと感じて。
そして、あの腕はとても暖かかった。
それはまるで父親の様な。
(#゚;;-゚)「しぃ、はん……?」
(*゚ー゚)「へ? あ、つ、ついた?」
(#゚;;-゚)「へぇ……のないしましたん? ぼんやりしてはったけれど……」
(*゚ー゚)「んー……ううん、さっき不思議な体験をしたから、何だったのかなあ、って」
(#゚;;-゚)「? へぇ……井戸はあっちですぇ、横道から入って裏口の向こう側やから……」
(*゚ー゚)「詳しいねー……」
- 11 ◆tYDPzDQgtA 2008/07/13(日) 20:38:20.88 ID:KlInAq3LO
- でぃに案内されるがまま、九羽屋に忍び込む。
じゃり、と砂混じりの土を踏めば、その足音にすら肩が震えた。
柵を乗り越えた先にある裏口を横切って、建物の影から井戸のある方向を覗き込む。
(#゚;;-゚)「せやけど……皿屋敷とちやうんやから……」
(*゚ー゚)「うぅ、そうなんだけど……あっ、ほら声がっ」
────いちまぁい──にまぁい───
(#゚;;-゚)「うぁ、ほんまやぁ……はれ」
(*゚ー゚)「ん?」
(#゚;;-゚)「この声、くー姐様の……」
川 ゚ -゚)「三枚……四枚……ふふふ、たまってきたな、私の可愛い小判達よ……」
(*゚ー゚)「うわぁ、お金持ちだ……」
(#゚;;-゚)「くー姐様……守銭奴やから……」
(*゚ー゚)「えーと、皿屋敷もどきはくーさんのヘソクリでした……で良いかな?」
(#゚;;-゚)「へぇ」
- 12 ◆tYDPzDQgtA 2008/07/13(日) 20:40:44.71 ID:KlInAq3LO
-
(*゚ー゚)「1レスで終わる謎ってのもなぁ……盛り上がりにかける……」
(#゚;;-゚)「?」
(*゚ー゚)「あ、ううん何でもないよ。次行こうか?」
(#゚;;-゚)「次は、なんですやろぉか……」
(*゚ー゚)「んーと、『九羽屋裏の林にて、丑の刻参りをする女』だね」
(#゚;;-゚)「恐ろし……こっそり見たら、すぐ行こぉ?」
(*゚ー゚)「うん、これは一つだけ危ない気がする」
川 ゚ -゚)「うふふ……うふふ……」
井戸の前で壺に貯まった小判を愛でるくーを放置して、二人は九羽屋を後にした。
九羽屋と横の店の隙間を通り抜け、裏に広がる鬱蒼とした雑木林。
蝋燭の頼り無い灯りだけではようも見えない暗闇に、響きわたるは釘の音。
- 14 ◆tYDPzDQgtA 2008/07/13(日) 20:42:20.47 ID:KlInAq3LO
-
林の奥から聞こえてくる音に、二人のお稚児は身を強張らせる。
それでも己の目で確かめねばならぬから、呪いを恐れつつも奥へと進んだ。
なるたけ音をさせないように、今宵一番の注意を払って足を動かせば、ぼんやりと浮かび上がるそのすがた。
白い着物に乱れ髪、頭につけた鉄輪には三本の蝋燭が立てられて。
胸から下げられた鏡と口に銜えられた柘植の櫛、高下駄を履いたその女の手には長い長い五寸釘と金槌が握られていて。
(;*゚ー゚)「お、おぉう……かなり典型的な女の人が……」
草むらに身を潜め、恐ろしい物を見る目付きで女を見るしぃと、見覚えのある女の姿に首を傾げるでぃ。
川Д川「呪って、やる……呪ってやるわぁ……あははははぁ……」
(#゚;;-゚)「……あ、うちの貞子姉様や……何してはるんやろぉ」
(*゚ー゚)「……丑の刻参り、じゃないかな……って、うち?」
(#゚;;-゚)「あ、へぇ……九羽屋の子、やから……次、いかへん、かな?」
(*゚ー゚)「だから詳しかったのか……あ、うん行こう、うん」
- 16 ◆tYDPzDQgtA 2008/07/13(日) 20:44:15.31 ID:KlInAq3LO
-
でぃの言葉に激しく同意しつつ、しぃは来た時と同じ様に恐る恐るその場から離れて行く。
が、足元に落ちている小枝はあまりにも残虐で。
ぱきん!
カッ
川Д゚川「誰だッ!!!?」
(;#゚;;-゚)(;*゚ー゚)「「きゃああああああ!!」」
うわおっ!?
ばたばたばたがさがさがさ。
ぐるんと勢いよくこちらを向いた貞子から悲鳴をあげて逃げ出した二人に驚き、影は咄嗟に身を引いて隠れる。
しかし幼子二人を逃がした貞子はその影をしっかりと捉え、後ろから首を鷲掴みにして──────
あ゙ぁああああ───────ッ!!!!
- 17 ◆tYDPzDQgtA 2008/07/13(日) 20:46:17.59 ID:KlInAq3LO
-
(#゚;;-゚)「さ、さだ、貞子姉様、こわひ……」
(*゚ー゚)「びびびびっくりしたぁぁぁぁ……誰か居た気がしたんだけど」
(#゚;;-゚)「そう、やろぉか……?」
(*゚ー゚)「ま、いっか」
从 ゚∀从「ンだァ? 先刻の悲鳴はアよォ……でぃは居やしねェし、どこ行きやがったあのガキゃア」
(#゚;;-゚)「ぉ、はいん姉様……う、うちそろそろ戻らんとぉ」
(*゚ー゚)「あ、うん! じゃあまたねー」
(#゚;;-゚)「あの、あの、うち、その……お昼に、神社の裏っかわにおるからぁ……」
(*゚ー゚)「ん、じゃ明日行ってみるね!」
(#゚;;-゚)「へぇっ……ほんなら、またぁ!」
- 18 ◆tYDPzDQgtA 2008/07/13(日) 20:48:23.57 ID:KlInAq3LO
-
でぃがこっそりと九羽屋に戻って行くのを見送り、軽く手をふってからしぃは九羽屋に背を向け歩き出す。
目指すは最後の七不思議、『西門脇の小屋で男女の幽霊』。
先程の貞子から逃れた事と残り一つと言う事もあり、肩から力が抜けたしぃは溜め息をころりと転がす。
ああ疲れた、やっと終わる、と。
九羽屋前から西門へとほてほて歩くしぃの後ろから、何者かの足音。
その小さく軽い足音を聞いたしぃは、疲れた顔で立ち止まり、ひょいと首をめぐらせ後ろを見る。
しかしやはりと言うべきか、そこに人の姿はなく。
首を傾げながら前へ向き直ると
(*゚ー゚)ζ(゚ー゚*ζ
(*゚ー゚)つ#)ー゚*ζ
(*゚ー゚)「驚かせないでくれる?」
ζ(#)ー゚*ζ「驚いてなかったじゃあん……」
(*゚ー゚)「と言うか、なして居るのかと」
ζ(゚ー゚*ζ宦u抜け出してきたよ!」
(*゚ー゚)「帰ったら怒られるだろうに……」
- 21 ◆tYDPzDQgtA 2008/07/13(日) 20:50:21.45 ID:KlInAq3LO
-
ζ(゚ー゚*ζ「今いくつめ?」
(*゚ー゚)「あと一つ、生きたお稚児とヘソクリとりあるごっすんだったよ」
ζ(゚ー゚*ζ「なるほろ、最後のいこかー」
(*゚ー゚)「はいはい……」
行灯片手にへろっと戻ってきたでれの姿に、少しばかり安心したのか、力の入っていた肩を落として手を繋ぐ。
でれの手は思ったよりも冷たかったけれど、この暑さでは心地よくも思える。
でれの横顔を盗み見ても、いつもと変わらぬ気の抜けた顔。
悪気は無いのに腹が黒いから困り者のこのお稚児は、とても良い友人である。
性格は少々悪いが、顔は非常に愛らしいので将来有望だ。
ζ(゚ー゚*ζ「んぇー? 何ぃ?」
(*゚ー゚)「ううん、なんでも」
ζ(゚ー゚*ζ「変なしぃちゃーん」
(*゚ー゚)「あんたさんには言われたくないわ」
ζ(゚ー゚*ζ「うひー、あ、着いたよぉ」
- 22 ◆tYDPzDQgtA 2008/07/13(日) 20:52:27.80 ID:KlInAq3LO
-
ひょいと前を見やれば、確かに西門が目と鼻の先。
思ったよりも早く着いたな、と首を傾げながら聳える門を見上げてみせた。
娑婆へと繋がるその門は、どれだけの人が出て入り、どれだけの人が外の世界に焦がれた事か。
足抜けをする女達を待ち受ける門は、あまりにも無慈悲なのだろう。
ふぅ、と軽い溜め息を吐いて、しぃは門から目をそらす。
足をぽてぽて動かして、西門脇の小道に入り、一つだけぼんやり明かりがついている小屋を見付けた。
(*゚ー゚)「あ、あそこかな……?」
ζ(゚ー゚*ζ「幽霊が明かりつけるんだねぇ」
小屋に近づいて中に人の気配を感じ、しゃがみ。
ζ(゚ー゚*ζ「この辺りの小屋、みぃんな空き家なんだよねぇ」
(*゚ー゚)「そうなんだ」
ζ(゚ー゚*ζ「うん、だからもしかしたら本物かもぉ」
- 23 ◆tYDPzDQgtA 2008/07/13(日) 20:54:33.71 ID:KlInAq3LO
- (*゚ー゚)「しっ、話し声がする……」
ζ(゚ー゚*ζ「壁に耳あり障子に目あり、と……失礼ながらも御拝聴致す」
薄い壁にそう、と耳を当てれば目を瞑り、小屋から聞こえる囁き合いな耳を澄ませる二人のお稚児。
『ね、ね、────さん?』
『なんだい? ────さん』
『私ね、私ね……不思議だけど、とても幸せなの』
『僕もだよ、────さん』
『ふふ……苦しかったけれど、あんなに苦しかったけれど、やっとあなたの側に居られる……』
『もう離さないから、たとえ輪廻を重ねても、僕は君を離さないよ。僕は何度でも語ってみせる、愛してるよ───ぺにさすさん』
(*゚ー゚)「……普通の恋人さんだね」
ζ(゚ー゚*ζ「あっつあつぅ」
(*゚ー゚)「お邪魔せずに、帰ろうか……」
ζ(゚ー゚*ζ「そだねぇ」
- 25 ◆tYDPzDQgtA 2008/07/13(日) 20:56:26.88 ID:KlInAq3LO
-
(*゚ー゚)「最後の不思議もただの恋人さんだった、と……みぃんな人間だったよ」
立ち上がり、蝋燭片手に小屋から離れてしぃは一人ごちる。
やはり皆、ただの噂か、と何処か呆れた様な顔をしながら帰路に就く。
まあこれを言えばおつうも大人しくなるだろう、人様に迷惑をかけて回らなくて良かった。
武雲屋に戻る途中、ふと、前方から大きな影がやって来るのに気付き。
しぃはぐ、と身構えて、蝋燭を前へ差し出してその影に目を凝らした。
(ヽ´ω`)フラフラ
(*゚ー゚)「……ぶーん、さん?」
(ヽ´ω`)「お……? お、しぃ……終わったのかお……」
(*゚ー゚)「ぶーんさん、どうなすったんですか?」
(ヽ´ω`)「呪われるかと思ったお……貞子さんは怖すぎるお……」
(*゚ー゚)「だ、大丈夫ですか……?」
- 29 ◆tYDPzDQgtA 2008/07/13(日) 20:58:19.02 ID:KlInAq3LO
-
前方から行灯片手にやって来たのは武雲屋楼主のぶーん、その人。
ふらふらとした足取りに、やつれた顔で溜め息を吐くその姿は、ひどく歳を取った様に見えた。
(ヽ´ω`)「しかしまあ、しぃも一人でよくやるお……最後の不思議は怖くなかったのかお?」
(*゚ー゚)「へ、何で知って……」
(ヽ´ω`)「こうなった発端は僕だお……だからずうっと後ろをつけて見守ってたんだお……」
(*゚ー゚)「あー……しゅう姉様の時に引っ張ったのは」
(ヽ´ω`)「僕だお……でれには悪い事しちゃったお……」
(*゚ー゚)「へ? でれちゃんなら一緒に……」
黒羽織のぶーんを見上げて、しぃは首を傾げて後ろに居る筈のでれを振り返る。
しかし、そこにはでれの姿はおろか、行灯すらも存在しなくて。
(*゚ー゚)「あれ……?」
- 31 ◆tYDPzDQgtA 2008/07/13(日) 21:01:29.84 ID:KlInAq3LO
-
(ヽ´ω`)「九羽屋のでぃちゃんと居たのは見てたけど……でれはしゅうに取っ捕まったままの筈だお?」
(*゚ー゚)「だ、だって、さっきでれちゃんが抜け出してきたって」
(ヽ´ω`)「でれならついさっき行灯を取りに戻った時、しゅうに尻を叩かれてたお?」
(*゚ー゚)「ぇ……」
(ヽ´ω`)「……きっと狸にでも化かされたんだお、ほら」
ぶーんが指差す先には、顔を腫らせた一匹の狸が居て。
とたた、と走って行ってしまわれた。
(*゚ー゚)「えー……そんなあほなぁ……」
(ヽ´ω`)「この辺りの狸はいたずらっ子だから気を付けなきゃいけないお……いつものでれと違うところは無かったかお?」
(*゚ー゚)「あー、難しい事言ったり手が冷たかったりしましたねー……」
(ヽ´ω`)「それはきっと、がっつり狸の仕業だお……送り提灯みたいな事をして遊ぶんだお」
(*゚ー゚)「うわぁ、狸に化かされたのは初めてです……」
- 32 ◆tYDPzDQgtA 2008/07/13(日) 21:02:33.93 ID:KlInAq3LO
-
(ヽ´ω`)「僕はよくあったお」
(*゚ー゚)「そんなによくある事なんですか?」
(ヽ´ω`)「なんか遊び甲斐があったみたいで、何度も泥団子食わされたり肥溜めに落とされかけたりしたもんだお……」
(*゚ー゚)「うわ悲惨」
(ヽ´ω`)「まあ人を驚かせて遊ぶだけだから、適当にあしらうのが一番だお、眉に唾でも塗って」
(*゚ー゚)「眉唾眉唾、効くんですか? それ」
(ヽ´ω`)「鰯の頭って言うお……さ、もう帰るお?」
(*゚ー゚)「あ、はーい」
しぃの手を握って歩き出したぶーんの手は、人間の暖かさを持っていて。
これは狸じゃないんだな、と少し安心したしぃは、少しだけ笑ってぶーんに擦り寄った。
空はそろそろ白んできて、朝の烏がくぁ、と鳴く。
ようやく終わった七不思議、あとは少しだけ眠って花魁に言って聞かせるだけだ。
そのあとは、そう、お昼にでも神社に遊びに行こうかな。
でぃちゃんが待ってる筈だし、でれちゃんをつれて遊びに行こう。
- 33 ◆tYDPzDQgtA 2008/07/13(日) 21:04:13.66 ID:KlInAq3LO
-
ぱしーん! ぱしーん! ぱしーん!
ζ(;Д;*ζみゃああああああああ!!
ぱしーん! ぱしーん! ぱしーん!
(;ヽ´ω`)
(;*゚ー゚)
ぱしーん! ぱしーん! ぱしーん!
ζ(;Д;*ζうにゃああああああああ!!
ぱしーん! ぱしーん! ぱしーん!
でれは翌朝、起きる事も出来ないくらいに尻が腫れていた。
- 34 ◆tYDPzDQgtA 2008/07/13(日) 21:06:16.06 ID:KlInAq3LO
- ◎
翌日のお昼。 しぃはでぃに言われた通り、店を抜け出して神社に足を運んだ。
神社の裏にはでぃと見知らぬ少年が居り、互いに自己紹介をすれば簡単に打ち解ける。
そしてしぃは、昨晩の出来事を二人に話してみせた。
(#゚;;-゚)「西門脇の小屋でそんな事があったんやぁ……」
(*゚ー゚)「うん、さすがに怖くなかったけどね」
(´・ω・`)「西門脇の小屋かぁ……しゃきん兄さんがすんどった所やね」
(*゚ー゚)「住んでた? 今は?」
(´・ω・`)「肺の病気で亡くなりはったんよ、恋人さんも後を追ったんやって……」
(*゚ー゚)「…………恋人…?」
(´・ω・`)「うん、“ぺにさす”さんって言うたらしいよ」
(*゚ー゚)
(;゚ー゚)
- 35 ◆tYDPzDQgtA 2008/07/13(日) 21:08:55.03 ID:KlInAq3LO
-
少し驚いてたわ、驚いてたわねあの子
そうだね、まさか僕らに気付くなんて思いもしなかったよ
('、`*川 初盆が近いんだもの、化けて出たって……化けて出たって良いわよね? ね、しゃきんさん?
(`・ω・´) ふふ、そうだね……さあ、皆さんの夢枕に立ってお礼を言いに回ろうか
('、`*川 えぇ! ふふ、うふふ……
今宵、あなたの元へも…
おしまい。