1 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 20:52:44.80 ID:Nzt16H3sO

7xさん
ttp://nanabatu.web.fc2.com/boon/miseri_hennna_mori.html
ブーン文丸さん
ttp://boonbunmaru.web.fc2.com/rensai/forest/forest.htm

まとめて下さってます、ありがとうございます。



ミセ*゚ー゚)リ 女子小学生、いわゆる良い子ぶりっこ。

( ノAヽ) 森の人、心は狭いめ。カタカナ。

<ヽ`∀´> 森の人、どちらかと言うと普通。狩人。

( ´ー`) 恐竜、性格は微妙に良くない。主に乗り物。

( [) 森の妖精。喋れないけど意外とお役立ち。ゴェェ。


第六話はじまるよー

4 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 20:56:04.68 ID:Nzt16H3sO

 てっこらてっこら。
 森を歩いていた足が止まって、もうしばらくになる。

 その理由は、亀裂。

 地面に出来た大きな裂け目が、ミセリ達の行く手を阻んでいるのだ。


 あの後、もう一晩泊まってからネーノが村へと戻っていった。
 ネーノが帰ってから少しし、ミセリ達もレモナの元から離れて旅を再開した。

 三人の間にあった異様な溝がやっと埋まって、皆がすっきりした顔。

 旅立つ時、レモナは大きめの包みと薬をミセリに渡し
 「このまま進めば、本物の魔女に会える。その魔女なら何とかしてくれるかも」
 と言う情報を与え、ミセリ達を見送った。

 その顔はひどく清々しい笑顔で、近々モナーに顔を見せるとも言っていて。
 話を聞き、見ているだけだったミセリ達も、なんだか嬉しくなったもので。


 そんな事を思い出しながら、ミセリはネーヨの上に座り、溜め息を吐いた。


8 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 21:00:08.39 ID:Nzt16H3sO

ミセ*゚ー゚)リ「進めないねー……」

( ´ー`)「進めネーヨ」

<ヽ`∀´>「もう諦めて泳ぐニダ?」

( ノAヽ)「あ、サカナめっけたノーネ」

( [)「ゴェ」

ミセ*゚ー゚)リ「平和だなー……」

( ´ー`)「現実逃避すんなヨ」


 地面に走る亀裂。
 それは森を二つに分けるかの様に深く、広い。

 水が溜まっているその亀裂は、跨いで渡れる様な広さではなく、
 しっかり泳がなければ、対岸に辿り着けない距離がある。

 のんびり歩いて進んでいたミセリ達は、その亀裂を前に足を止めるしかなく
 もうその場に立ち止まって、まる一日が経っていた。

 そろそろ動かなきゃねーだ何だと言いながら
 ミセリがネーヨの背から降りて、亀裂を覗き込む。


10 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 21:04:03.60 ID:Nzt16H3sO

 透き通る水で満たされたその空間。
 手を水の中に入れれば、ひんやりとした柔らかさが手を包む。

 濡れた手を舐めてみると、その水は塩っぽい味がした。

 塩水がなんでこんなところにあるんだ、と小さな疑問を抱いたものの
 まぁこの森なら何でもありか、とすぐに疑問を投げ捨てる。

 時折小さな魚が横切るのを目で追いながら、よっこらせとミセリが立ち上がった。


ミセ*゚ー゚)リ「しょーがないなー……泳ぐかー……」

( ノAヽ)「泳ぐノーネ?」

( ´ー`)「他に渡りようがネーヨ、迂回できる距離じゃねーしヨ」

(;ノAヽ)「……ノーネ、泳げないノーネ……」

ミセ*゚ー゚)リ「ミセリもだから大丈夫!」

(;ノAヽ)「よけー大丈夫じゃないノーネ……」

( [)「ゴェ?」

( ´ー`)「オマエは俺に乗ってれば良いヨ」


12 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 21:08:05.56 ID:Nzt16H3sO

 取り敢えず服は脱がなければ、と言う事に気付いたミセリが
 襟巻きとマントを外し、ネーヨの腰に固定した荷物の中に突っ込む。

 その時、レモナに貰った包みを見て、首を傾げた。


ミセ*゚ー゚)リ「……ね、これって何?」

<ヽ`∀´>「薬じゃないニダ?」

( ノAヽ)「これゼンブは多すぎなノーネ、開けてみるノーネ」

ミセ*゚ー゚)リ「よっし来た、開けるよー!」

  ( [)
( ´ー`)「おー」


 風呂敷包みの様なそれの結び目をそっとほどき、布を広げて行く。
 皆が興味津々にミセリの手元を覗き込んでいると、姿を現した物。

 それはつるりとした素材で出来た、服だった。


15 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 21:11:28.23 ID:Nzt16H3sO
 包みの中から出てきた服をミセリがつまんで、持ち上げる。
 ぴらりんと広がったそれは、フリルがたっぷりあしらわれた
 上半身につける下着の様な形をしていた。

 胸に縫い付けられたリボン、フリルがメインの下着みたいな服。
 それを見たミセリは、ぱぁっと顔を輝かせる。


ミセ*゚ヮ゚)リ「かっわいいー!! 何これ、何これっ!?」

( ノAヽ)「ぴらぴらしてるノーネ……」

<ヽ`∀´>「大きさ的にミセリのみたいニダ……ん?」

( ´ー`)「大きさが合っても俺らはオスだからひらひらは着ネーヨ……」


 ひらひらの女の子らしい、白の上下。
 大きさやデザインからしてミセリの物らしく、ミセリは嬉しそうにはしゃぐ。

 首を傾げたニダーが服に手を伸ばし、その手が他の服を掴んだ。


 ぴろ、と引きずり出されたのは、オレンジと白の横縞模様。
 ニダーがそれを広げてみれば、その服は袖無しのツナギの様な形。

 少し微妙な顔をしてから、おずおずと自分の体に合わせる。
 オレンジと白の袖無しツナギは、ニダーにぴったりの大きさだった。

16 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 21:14:54.74 ID:Nzt16H3sO

<;ヽ´Д`>「……ウリのみたいニダ……」

(;ノAヽ)「うわ、これノーネのも同じ見た目なノーネ……」

( ´ー`)「オスには容赦ネーヨ、あいつ……」

ミセ*゚ー゚)リ「イイじゃんイイじゃんスゲーじゃん!」

(;ノAヽ)「ミセリだけヒイキなノーネ……」

ミセ*゚ヮ゚)リ「ほら、ミセリ女の子だから☆」

( [)「ゴェェ」

ミセ*゚ー゚)リ「なんかビコに否定された気がする」

([ )

<;ヽ´Д`>


18 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 21:18:43.06 ID:Nzt16H3sO

 結局、包みから出てきたのは四着の服と三つの帽子だった。

 ミセリ用の服と、ノーネニダービコーズの服と帽子。
 各々がそれを持って、不思議そうに頭を左右に揺らしていた。


ミセ*゚ー゚)リ「……つか、何で服?」

( ノAヽ)「知らんノーネ、イメチェンなノーネ?」

<ヽ`∀´>「今さらそれはないと思うニダ」

( [)「ゴェ」

ミセ*゚ー゚)リ「あ、ビコ似合う」

(*[)

( ノAヽ)「ノーネも着るノーネ」

<ヽ`∀´>「折角だからウリも着るニダ」

ミセ*゚ー゚)リ「わたしも!」


( ´ー`)


21 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 21:22:09.57 ID:Nzt16H3sO

ミセ*゚ー゚)リ「ネーヨ? どした……ぁ」

<ヽ`∀´>「あ…………」

( ノAヽ)「…………」

(;´ー`)「いや、き、気にしてネーヨ! 俺でけーしヨ!」

ミセ*゚ー゚)リ「ごめんねネーヨ……デリカシーなかった……」

<ヽ`∀´>「ごめんニダ、ちょっと舞い上がって……」

( ノAヽ)「悪かったノーネ……」

ミセ*゚ー゚)リ「着るの、やめとこっか……」

<ヽ`∀´>「そうニダね……」

( ノAヽ)「ノネ……」

(;´ー`)「やりづれぇぇぇ!! 着ろヨ! もう着ろヨ!! 気にすんなヨ!!」


26 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 21:26:14.18 ID:Nzt16H3sO

( [)「ゴェ」

ミセ*゚ー゚)リ「ん? 風呂敷がどったの?」

( [)「ゴェェ」

<ヽ`∀´>「あ、これ……」


 何とも言えない空気が漂い始めた時、ビコーズが服を包んでいた布を引っ張った。
 それを見たミセリが不思議そうに布を持ち上げれば、その布は奇妙な形をしていて。

 ばさりと広がった布は、大きいながらも、
 ノーネやニダーが持っている帽子と、同じ形をしていた。

 そしてその内側に挟まれていたらしきメモが、ひらりと。


( ノAヽ)「んぁー、っと……なになに。
      きょーりゅーくんのみずぎはつくれませんでした、ごめんね。れもな」

( ´ー`)「みずぎ……? と言うか、帽子で包んでたのかヨ……」

<ヽ`∀´>「お、ちゃんとかぶれそうニダ! ネーヨかぶってみるニダ!」

( ´ー`)「は、はいはいヨ……」


29 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 21:30:15.49 ID:Nzt16H3sO

 布の帽子には、一番小さいもの以外に耳を出す穴があいていた。
 顎の下で結んで止めるらしい紐がついたそれを頭に乗せて、ネーヨが耳を出す。

 そして顎の下で紐をきゅっと紐を結べば、古風な水泳帽の装着が完了。

 それに続いて三人がツナギを着直し、帽子をかぶる。
 ミセリに手伝われながら着替えを済ませた二人が、不思議そうな顔をする。


( ノAヽ)「ふく、変な感じなノーネ……」

<ヽ`∀´>「ウリもぴったりした服は初めてニダ……」

( ´ー`)「帽子すら初めてだヨ」

( [)「ゴェ」

( ´ー`)「オマエ違和感ネーヨ」


 オレンジと白の横縞に包まれた三人、帽子をかぶった四人。
 その姿は少し異様で、少しだけ面白かった。


32 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 21:34:07.51 ID:Nzt16H3sO

ミセ*゚ー゚)リ「んじゃわたしも着替えてくんねー」

( ノAヽ)「はいよー」

<ヽ`∀´>「アイゴー」

( ´ー`)「それは違う」

( [)「ゴェ」

ミセ*゚ー゚)リ「あ、覗かないでよ?」

( ノAヽ)、 ペッ

( ´凵M)、 ペッ

  _,,
ミセ#゚Д゚)リ「ド失礼だぞあんたらっ!!」

<;ヽ´Д`>


36 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 21:37:14.17 ID:Nzt16H3sO

 ミセリが白いふりふりを片手に草むらに入って行き、ごそごそと着替えを始める。
 それを背後で聞きながら、着替えの終えた四人がのんびりと地面の亀裂を見ていた。

 亀裂と言うより、深い川の様なその空間。
 どうやって濡らさずに荷物を向こう岸に渡すかを、ぼんやり考えていた
 その時、ノーネがある事に気付いた。


( ノAヽ)「……デカイの、それなんなノーネ?」

( ´ー`)「んあ? ……あ、何だコレ?」

<ヽ`∀´>「なんか、ワッカになってるニダ」


 ネーヨの足元に落ちていた、ぺったりつぶれた奇妙なわっか。
 ぺろんとしたそれを持ち上げてみると、小さな栓がついていた。

 用途の分からないわっかは不思議な手触りで、革の様な革じゃない様なぺたぺた。

 んー、と四人が首を傾げていると、
 背後の草むらから、ミセリが出てくる音がして。


38 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 21:40:39.22 ID:Nzt16H3sO
イル*゚ー゚)リ「お待たせー! 着替えたよー!」

( ノAヽ)

<ヽ`∀´>

イル*゚ー゚)リ?

( ´ー`)「誰だヨ、オマエ」

イル;゚ー゚)リ「み、ミセリ! ミセリだよ!?」

( ´ー`)「どー見てもイルリだヨ、何だヨそれ」

イル;゚听)リ「カチューシャ外したんだもんしょうがないじゃん!?」

( ´ー`)「まぎらわしーヨ、メンドクセーヨ、誰だヨ」
  _,,
イル;゚Д゚)リ「だぁからミセリはミセリだってば!! しょーがないじゃん!!」

( ノAヽ)「あ、ミセリなノーネ」

<ヽ`∀´>「あの顔は確かにミセリニダ」

( [)゙

( ´ー`)「ホンモノなのは分かったヨ」
  _,,
イル;゚Д゚)リ「こいつら……」

42 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 21:43:11.14 ID:Nzt16H3sO

 カチューシャで上げていた前髪を下ろせば、誰だか分からなくなったミセリ。
 一瞬それが誰か判断出来なかった四人がやっと頷き、その姿を見つめる。

 ニンゲンと言うのは、髪型一つで誰だか分からなくなる物なのか
 そう頭の片隅で思うノーネ達を、水の中から見つめる二つの目。


 久しぶりに見た人の姿に驚く、水の中の生き物。

 水面に頭を出していたそれは、とぷんと沈み
 水の底に居る人物に、その事を告げる為に潜って行った。


 ミセリ達がきゃんきゃんと賑やかに話す中
 水面は元の静けさを取り戻して、波紋すら広げていない。


 その水底で涙を溢す人物の悲しみを表に出す事もなく
 水はただただ、静かに透き通っていた。


45 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 21:46:16.19 ID:Nzt16H3sO



 深い深い水の底。

 彼女は静かに涙を溢し、懺悔を繰り返しては泣き続ける。


 ごめんなさい。
 ごめんなさい。

 あなたを虐げたから
 だから私は、こんな体になり果てた。


 彼女を支える小さな彼らは朗らかに
 にこにこ笑って、彼女を泣き止ませようとくるくる踊る。

 それでも彼女は泣き止まず、水嵩は上がる一方。

 森の中に出来た海。

 そのしょっぱさは、涙の味。




47 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 21:49:19.09 ID:Nzt16H3sO


 【ミセ*゚ー゚)リ 変な森のようです】


  第六話 『ひたんにくれる。』 前編



 海の中へおいでよ、ここはとても綺麗だよ。





48 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 21:51:11.85 ID:Nzt16H3sO

 やっと落ち着いたのか、髪を下ろしたミセリが自分の服を畳む。
 切れた背中は繕ったが、あらゆるところが擦り切れ、薄汚れてしまったブラウス。

 どんなに洗っても落ちなくなった染みは血による物で、
 黒く変色した染みと、自分の左腕を見比べた。

 包帯を外した腕は、繋がったものの醜い傷跡を残している。
 分厚くなった皮膚を指でなでれば、少し悲しい感触。

 普段は見えない背中の傷も、腕よりはマシだが跡が残った。

 怪我は完治したし、命があるだけ十分。
 そうは思うが、どうしても傷が残ったのは悲しくて。

 これから着替えの時などに、あの惨劇を思い出して胸を痛めるのだろう。
 それを考えるだけで、ミセリは胸の辺りが苦しくなるのを感じた。


 それもこれも、自分が弱いから。
 もっと、強くならなきゃいけない。


51 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 21:54:32.58 ID:Nzt16H3sO

 服を畳み終わり、ネーヨの背中から外した荷物の上に重ねる。

 そしてゆっくり立ち上がり、
 白いフリルを揺らして、水辺でたむろする皆の元に向かった。


イル*゚ー゚)リ「何してんのー?」

( ノAヽ)「あ、イルリ」

イル#゚ー゚)リ「ミセリ」

<ヽ`∀´>「イルリ、これ何か分かるニダ?」

イル#゚ー゚)リ「こいつら……あん? 何? わっか?」

( ´ー`)「落ちてたんだヨ、変な素材で何なのかわかんネーヨ」

イル*゚ー゚)リ「ありゃ、また人間のが紛れ込んだのかな」


54 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 21:58:04.73 ID:Nzt16H3sO

 ぺたんこの不思議な輪を拾い上げたミセリが、小さな詮を開けて口に銜える。
 そして、ぷーっと輪の中へ息を吹き込んだ。

 すると輪はみるみるうちに膨らんで行き、あっと言う間にぱんぱんに。
 空気がいっぱいになると口から離して詮を閉め、ぽんぽんと軽く叩く。

 ドーナツ状になったそれは艶のある素材で、
 ミセリは手慣れた動きで、それに自分の体を通し、腰で止めた。


( ノAヽ)「…………なんなノーネ、それ」

イル*゚ー゚)リ「ん? 浮き輪だよ浮き輪、わたしが居たとこではいっぱいあったよ」

<ヽ`∀´>「って事は、また紛れ込んだニダ?」

イル*゚ー゚)リ「んー……ビニールだから、たぶんそうだね」

( ´ー`)「びにーる? つか、それ何に使うんだヨ?」

イル*゚ー゚)リ「これはねー……そぉい!!」

(;ノAヽ)「あ゙っ!!」


57 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 22:01:31.45 ID:Nzt16H3sO

 浮き輪に体を通したミセリが、それを叩いて破れていないかを確認すると
 ぴょん、とそのまま水の中に飛び込んだ。

 ばしゃん! と水しぶきを上げて水の中に入ったミセリに
 ノーネが驚いた声をあげて駆け寄ると、ミセリに起きた現象に、更に驚いた顔。


イル*゚ー゚)リ「いえーい! きもちーぞー!」

(;ノAヽ)「う……浮いてる……!?」

イル*゚ー゚)リ「浮き輪だからねー、これがあったら沈まないってすんぽーよ!」

(;ノAヽ)「す、すげぇノーネ! 貸せ!」

イル;゚ー゚)リ「いきなり!?」

<;ヽ`∀´>「て言うかミセリ……服のまま……」

イル*゚ー゚)リ「え、でも水着でしょ?」

<;ヽ`∀´>「みずぎ? って、何ニダ?」

イル*゚ー゚)リ「あぁ……こっちじゃいらなそうだからなぁ……」


60 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 22:04:07.03 ID:Nzt16H3sO

イル*゚ー゚)リ「水に入る時に着る服の事だよ、だから水着」

( ´ー`)「風呂の時も着るのかヨ?」

イル;゚ー゚)リ「お風呂は体を洗うために入るんだから……着てたら洗えないじゃん?」

<ヽ`∀´>「あ、なるほどニダ
      じゃあウリたちも、このまま水に?」

イル*゚ー゚)リ「そのまま水に」

(;ノAヽ)「気持ち悪そうなノーネ……」

イル*゚ー゚)リ「とか言いながらすぐ慣れるんでしょ?」

(;ノAヽ)「そうだろうけど……」

( [)

( ´ー`)「オマエは木の実のカラ持って入れヨ」

( [)゙ コロコロ


62 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 22:07:12.28 ID:Nzt16H3sO

イル*゚ヮ゚)リ「せっかくの水着なんだから、ちょっと遊ぼう!」


 とミセリが言い出したのが引き金となり、各々が好きな様に水遊びを始めた。

 ニダーは水に釣糸を垂らして魚がかかるのを待ち、
 そんなニダーを乗せながら、ネーヨは自分の尻尾を釣糸の代わりに垂らしていた。

 小さな水着と帽子を着こんだビコーズは
 固い木の実の殻で作った浮きを腰に結び付けて、のんびりと水の上を漂う。

 そしてミセリとノーネは、一つの浮き輪を奪い合いながら
 釣りの邪魔にならない場所で、ばしゃばしゃと水を堪能していた。


 ゆっくりのんびり羽を伸ばすぞと言わんばかりに、楽しげに遊ぶミセリ達。

 久々に何も気にせず出来る息抜きが、楽しくてしょうがなかった。


66 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 22:10:16.32 ID:Nzt16H3sO

イル*゚ー゚)リ「ちめてー! でもきもちー!」

( ノAヽ)「ちー」

( [)「ヂィィ」

<ヽ`∀´>「釣れんニダ」

( ´ー`)「釣れネーヨ」

イル*゚ー゚)リ「そんなエサに釣られクマー」

<ヽ`∀´>「エサつけてないニダ」

イル;゚ー゚)リ「釣れよーがねぇ!!」

( ノAヽ)「ウキワ貸せなノーネ」
  _,,
イル;゚Д゚)リ「ひ、引っ張るな! 溺れるから!」

( ´ー`)「あーミセリだヨ」

<ヽ`∀´>「ミセリの顔ニダ」
  _,,
イル;゚Д゚)リ「だからあんたらはっ!!」


69 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 22:13:17.95 ID:Nzt16H3sO

 きゃいきゃいとはしゃぎ回るミセリ達。
 こういった形で水に入るのは初めてなのか、ノーネやニダーも非常に楽しそうで。
 そこへ飛び込んだりはしないが、ネーヨもビコーズも水を楽しんでいた。

 そして遊び疲れたノーネが水から上がり、少し疲れた顔で地面に座る。

 亀裂では、浮き輪を独占して泳ぐミセリとぷかぷか漂うビコーズの姿があった。


<ヽ`∀´>「お疲れニダ」

( ノAヽ)「ちかれた」

( ´ー`)「マンキツしといて何いってんだヨ」

( ノAヽ)「ハラヘリなノーネ、飯なノーネ」

<ヽ`∀´>「サカナが釣れないニダ」

(;ノAヽ)「だからエサつけろなノーネ……」


72 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 22:16:27.71 ID:Nzt16H3sO

( ´ー`)「つーかヨ」

( ノAヽ)「んぁ?」

( ´ー`)「あのメスは、泳ぐの分かってたんだな」

<ヽ`∀´>「レモナ、ニダ?」

( ´ー`)「おうヨ、みずぎ渡すくらいだからヨ」

( ノAヽ)「教えとけよババァ……」

<;ヽ`∀´>「ノーネ、口悪いニダ」

( ノAヽ)「ハラヘリフルレリロ〜」

<;ヽ´Д`>

( ´ー`)「まーたしかに腹は減ったヨ、そろそろ飯にするか」

( ノAヽ)「てめぇ無視なノーネ」

( ´ー`)「ツッコミ マンドクセ」


74 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 22:20:03.12 ID:Nzt16H3sO

イル*゚ー゚)リ「やっぱいーなー泳ぐのー」

( [)「ゴェ」

イル*゚ー゚)リ「きもちーよねー?」

( [)「ゴェェ」

イル*゚ー゚)リ「さっきごぇ以外言わなかった?」

( [)「ゴェ?」

イル*゚ー゚)リ「なに言ってるかわかんないけど、楽しいねー」

( [)゙ コクコク

イル*゚ー゚)リ「なんて分かりやすい意思表示……っと、そろそろ上がろっか?」

( [)「ゴェ」


 透明な浮き輪にしがみついたまま、ミセリがばた足で岸まで戻ろうとし。
 ビコーズもそれにくっつき、ちまちまとばた足をして泳いでいた。

 その時


77 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 22:23:43.33 ID:Nzt16H3sO

 いつの間にかミセリの背後に迫っていた、黄色い何か。

 それは親指くらいの太さで、紐状の物。
 うねうねと動きながらミセリに近付いてくるそれは、触手と言うのが相応しく。

 ぬる、とミセリの脇腹を撫でた。


イル;゚ー゚)リ「うへぁ!?」

( [)「ゴェ?」

イル;゚ー゚)リ「あ、な、なんか、お腹んとこに……うぎゃあっ!?」

(;[)「ゴェェ!?」
  _,,
イル;゚Д゚)リ「ぎゃっ、きゃああ!! うきゃわぁぁぁぁ!!?」

(;[)「ゴェェ!! ゴェェェェ!!?」


82 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 22:26:29.28 ID:Nzt16H3sO

 悲鳴を上げたミセリの足に絡み付いた触手が、ぬるぬるとその体を捕える。
 水着の隙間から腹や腰に絡まるそれに、ミセリがじたばたともがく。

 それを見たビコーズが濁った声をあげると、
 異常に気付いたノーネ達が、慌ててミセリの元へ駆け寄った。


(;ノAヽ)「イルリ! どしたノーネ!?」

<;ヽ`∀´>「イルリ大丈夫ニダ!?」

(;´ー`)「どーしたヨ、イルリ!?」
  _,,
イル;゚Д゚)リ「あんたら後でふっとばす!
      助けっ、ぎゃー!! きもちわりー!!」

(;ノAヽ)「イルリー!!」

<;ヽ`∀´>「イルリー!!」
  _,,
イル;゚Д゚)リ「えー加減にせんかーい!!」


85 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 22:29:42.31 ID:Nzt16H3sO

 浮き輪から外れた体に、ぬらぬら絡み付く黄色い触手。
 溺れかけるミセリを見て、ネーヨが一歩踏み出した。

 そして首を伸ばし、ミセリの首根っこを銜えて持ち上げた。

  _,,
イル;゚Д゚)リ「ぎゃー……って、あれ?」

( ´ー`)「はいひょふはよ」
  _,,
イル;゚Д゚)リ「やっぱりなに言ってんのかわかんないけど……あんがと」

( ´ー`)「ひょう」

<;ヽ`∀´>「イルリ無事ニダ!?」

(;ノAヽ)「イルリ大丈夫なノーネ!?」

イル#゚ー゚)リ「うん大丈夫、ちょっと面貸して」

( ´ー`)「よいせ、やっと釣れたヨ」


88 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 22:31:40.29 ID:Nzt16H3sO

 ネーヨに助けられたミセリがノーネとニダーに鉄拳を食らわせてから、
 疲れた様に地面にペタリと座り込む。

 その傍らには同じ様に疲れたのか、ビコーズがちょんと座っていた。


イル*゚ー゚)リ「はービックリした……何だったの、あれ……」

( ´ー`)「シラネーヨ、取り敢えず釣れたけどヨ」
<ヽ#)∀´>「まぁ無事でよかったニダ」

( #)Aヽ)「ノネ」

( ^^ω)「ホマ」


イル*゚ー゚)リ

( ノAヽ)

<ヽ`∀´>

  ( [)
( ´ー`)


91 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 22:34:14.05 ID:Nzt16H3sO

 いつの間にか、薄青い頭の下から黄色い触手を生やした生物が
 ちょこん、とノーネの隣に座っていた。

 その姿は大きなクラゲの様な形で、顔は奇妙にむにょっている。

 それを一斉に見たミセリ達は、さっと顔色を変えて

  _,,
イル;゚Д゚)リ「なんかいるーっ!!」

(;ノAヽ)「蹴るノーネ! 蹴るノーネ!」

<;ヽ`∀´>「撃つニダ!?」

( ´ー`)「踏むヨ」

( [)「ゴェェ」

(;^^ω)「ちょ、ま、ホマァァァァァァ!!」


95 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 22:37:24.65 ID:Nzt16H3sO

( メメ#)ω)「ホントにもうしわけございませんホマ……悪気はなかったホマ……」
  _,,
イル;゚−゚)リ「な、何でわたしを襲ったのよ……」

( メメ#)ω)「イキモノが水に入るのめずらしいホマ……だから、敵かと……」

<;ヽ`∀´>「勘違いしたニダ?」

( メメ#)ω)「ホマ……それでビックリして……つい」

(;ノAヽ)「……」
  _,,
イル;゚−゚)リ「てゆーかあんた……何?」

( メメ#)ω)「ほ、ホマは……」

( ´ー`)「ちんじゅーだヨ、マルタスニム」
  _,,
イル;゚−゚)リ「マルニタ……って、なんか聞き覚えが」

( ´ー`)「マルタスニムだヨ」


97 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 22:40:41.46 ID:Nzt16H3sO

イル*゚ー゚)リ「ま、まあその、わたし達は別に悪いこととかしないから……」

( ´`ω)「ごめんホマ……うっかり絞め殺しかけて……」
  _,,
イル;゚Д゚)リ「こぅえぇ!!」

<ヽ`∀´>「まあ勘違いでよかったニダ、マルタスニムは水の中に住んでるニダ?」

( ^^ω)「ホマホマ、みんな水の中で住んでるホマ」

( ノAヽ)「水のなか……」

( ^^ω)「ホマ?」

( ノAヽ)「泳げるノーネ?」

( ´ー`)「それはグモンだろうヨ……」

( [)「ゴェ?」

( ^^ω)「泳げるホマ!」


100 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 22:43:25.39 ID:Nzt16H3sO

( ^^ω)「そうホマ!」

イル*゚ー゚)リ「ん?」

( ^^ω)「ゴメイワクおかけしたお詫びに、水の中に招待するホマ!」

イル;゚ー゚)リ「はい?」

( ^^ω)「エンリョせずにどうぞどうぞホマ! さあ!」

イル;゚ー゚)リ( 「へ? ぇ、あ? はい? ぃ、いゅわああああああ!!?」ゴェェェ!!」

(;ノAヽ)「ミセリーッ!?」

<;ヽ´Д`>「引きずり込まれたニダーッ!!」

(;´ー`)「そ、それはネーヨ……!」

(;ノAヽ)「おおお追っかけるノーネ!」

<;ヽ´Д`>「ええぇ!? で、でも今度こそ助けるしか!!」

(;´ー`)「一番チビこいのは待っ…………あん?」

(;´ー`)「……ビコーズ……?」


103 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 22:46:06.74 ID:Nzt16H3sO

 またもマルタスニムの触手に捕らわれたミセリが、水の中へと引きずり込まれた。
 どうやらそれと同時にビコーズも引きずり込まれたらしく、その姿が見当たらない。

 三人は顔を見合せ、深く頷いてから、水の中へと飛び込んだ。


 耳元で、空気が上って行くぼこぼこと言う音が聞こえる。
 全身を包む冷たさと圧迫感が、今は恐怖に感じた。

 鼻をつまんで飛び込んだノーネが、
 息を止めながら苦しさに眉間に皺を寄せて、ゆっくり瞼を持ち上げる。

 水に沈んだであろうミセリの姿を探そうと、ぼやけた視線を泳がせると


ミセ*゚ー゚)リ(ノAヽ;)


 目の前に、居た。


106 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 22:48:30.58 ID:Nzt16H3sO

(;ノAヽ)「のぎゃぶぇぼぶぁっ!!」

ミセ;゚ー゚)リ「落ち着け落ち着けー」

(;ノAヽ)「みみみミセリのイキリョウなノーネ! アクリョータイサン!!」
  _,,
ミセ;゚Д゚)リ「あくりょーかい……」

<;ヽ`Д´>「ミセごべらぼべぇ!!」
  _,,
ミセ;゚Д゚)リ「ニダーも落ち着いて!?」

( [)「ゴェェ」
  _,,
ミセ;゚Д゚)リ「ビコ…………は、いつもどーりだね」

( [)「ゴェゴェ」


109 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 22:51:17.39 ID:Nzt16H3sO

 水の中、随分深いところに潜ったにも拘わらず
 ミセリはいつもと変わらず話をして、息も出来ている様だった。

 ふとノーネが自分の口に手を当てると、息苦しさを感じない。
 それに続いてニダーもそれを確認すると、驚きを隠せない顔をした。


<;ヽ`∀´>「これは……?」

(;ノAヽ)「息ができるノーネ……?」

ミセ*゚ー゚)リ「うん、なんか出来るみたい。ね、ビコ」

( [)「ゴェ」

(;ノAヽ)「なんでまた……ノネ?」

ミセ*゚ー゚)リ「ん?」

(;ノAヽ)「イルリが……ミセリに……!?」

ミセ#゚ー゚)リ「水で前髪がもちあがってんのよ」


113 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 22:54:20.60 ID:Nzt16H3sO

( #)^ω)「早く来るホマー!」

ミセ*゚ー゚)リ「う、うん! ちょい待って!」

( ノAヽ)「なんでアイツ顔はれてるノーネ……」

(#´ー`)「殴ったからだヨ、セツメーもなく引きずり込むからヨ」

<;ヽ`∀´>「ネーヨ……水の中で殴って顔を腫らせるほどの力が……」

(#´ー`)「火も吐けそうだヨ」

<;ヽ`∀´>「ネーヨ……恐ろしい子ニダ……」


 更に水底へと進んで行くマルタスニム。
 そのクラゲらしい後ろを、ミセリ達もぎこちない泳ぎでを追いかける。


115 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 22:57:29.38 ID:Nzt16H3sO

 不思議と明るい水の中、息が出来る奇妙な水。
 魚が辺りをひらりと泳ぎ、突然の来訪者を歓迎する。

 あぶくがぷくぷく上がって行くのを見ながら、ミセリがマルタスニムに問いかけた。


ミセ*゚ー゚)リ「ねぇホマ、なんで息ができんの?」

( ^^ω)「ホマ? ああ、それはこの水が涙だからホマ」

ミセ*゚ー゚)リ「へい?」

( ^^ω)「涙だからホマ、だから息ができるホマ」

ミセ;゚ー゚)リ「せ、説明になってないよね?」

( ^^ω)「ホマ?」

ミセ;゚ー゚)リ「えぇ……?」


 疑問をぶつけたところで納得できる答えが帰ってくるはずもなく。

 ミセリが難しい顔で「LCLみたいなもんか」と呟いた時、
 やっと、その体が底へと辿り着く事が出来た。


117 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 23:00:33.52 ID:Nzt16H3sO

 とん、と水の中で地面に降り立つ。

 髪や水着は水に任せてゆらゆらと波打っているにも拘わらず、
 その足はしっかりと地に立ち、目を開けても痛まず、息苦しさも感じない。


 変な水の中だと小さく思いながら、無重力の様な世界で、くるりと回った。

 長い海草が揺らめき、貝殻や珊瑚が辺りにいっぱい落ちている
 否、落ちているのではなく、その貝殻や珊瑚は、家の形にも見える。


 ミセリがふわりと、歩く様な泳ぐ様な動作で貝殻に近付く。
 小さな窓や小さな扉が作られた貝殻は、確かに家。

 ミセリが目を丸くしてそれを見ていると、背後でノーネが小さな悲鳴を上げた。


(;ノAヽ)「のぎゃあああ……」

ミセ;゚ー゚)リ「どしたー……うおぉぉぉ……」


121 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 23:03:54.48 ID:Nzt16H3sO

( ^^ω)「ただいまホマー」

( ^^ω)「おかえりホマ! そのヒトたちはどうしたホマ?」

( ^^ω)「あ、そのヒトたちはホマが報告しに行こうとしてたとこホマ」

( ^^ω)「あ、知ってたホマ?」

( ^^ω)「ホマ、久々のお客さんだからカンゲイしようと思ったホマ」

( ´`ω)

( ^^ω)「オマエ何したホマ」

( ´`ω)「うっかり襲ったホマ……だからお詫びに招待したホマ……」

( ^^ω)「このキクラゲが……」

  _,,
ミセ;゚Д゚)リ(どれがどれだかわかんねぇ……!!)


123 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 23:06:19.60 ID:Nzt16H3sO

( ^^ω)「あ、みなさんこっちにどうぞホマ!」

( ^^ω)「なかまがボケたお詫びにゴチソウを用意しますホマ!」

ミセ*゚ヮ゚)リ「ゴチソウ!?」

( ノAヽ)「ハラヘリなノーネ!」

<ヽ`∀´>「あ、ありがとうございますニダ!」

  ( [)
( ´ー`)「クラゲ料理かヨ?」

  _,,
ミセ;゚Д゚)リ (;ノAヽ) <;ヽ`∀´>


( ^^ω)「クラゲはないけどサカナやエビがありますホマ!」

( ^^ω)「いや、今のはホマたちが食われかねなかったんだホマ」


126 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 23:08:31.76 ID:Nzt16H3sO

 大きな貝で出来た机に並べられる、魚や貝や海藻の料理。
 生魚を綺麗に切って並べれば、まるで花の様な美しさ。
 焼かれた貝に海藻のサラダも美しく並べられ、
 ここが水の中だと言う事を忘れてしまいそうなほどだった。

 なぜ水の中で物が焼けるのか、
 もうそんな事はどうでも良いし、考える事を放棄した。

 だからミセリ達は、ただただ目の前に広がる料理によだれを溢れさせる。

 時折、料理を運んでくるクラゲが食材に見える事もあったが
 料理が全て並び終えたその光景に、腹がきゅるると鳴いた。


( ^^ω)「さあ、召し上がれホマ!」

ミセ*゚ー゚)リ「いっただきまーす!!」

<ヽ`∀´>「いただきますニダ!」

  ( [)
( ´ー`)「いただくヨ」


( ノAヽ)


129 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 23:11:14.87 ID:Nzt16H3sO

ミセ*゚ー゚)リ「うわうまっ! おいしー!」

<ヽ`∀´>「サザエウマー」

( ´ー`)「エビか? これ……うめぇヨ、食うか?」

(;[))

ミセ*゚ー゚)リ「ネーヨ、ロブスターをカラごと食べるのは無茶だと思うなー」

( )´ー`))バリボリゴリ
  _,,
ミセ;゚Д゚)リ


( ノAヽ)


<ヽ`∀´>「? ネーヨ、食べないニダ?」

( ノAヽ)「んぁ? ……あー……」

( ´ー`)「ウメーヨ?」


132 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 23:13:43.01 ID:Nzt16H3sO

( ノAヽ)「……ノーネ、アレルギーなノーネ」

ミセ*゚ー゚)リ「え?」

( ノAヽ)「ギョカイルイ食べたらかいかいになるノーネ」

<ヽ`∀´>「え……でもノーネ、さっき……」

( ノAヽ)「ヤキザカナはいけるのーね、クサミなくなるから」

(;´ー`)「じゃあオマエ、これ……ナマばっかり……」

( ノAヽ)「食うモン、ないノーネ」

ミセ;゚ー゚)リ「ぇ、あ、う……か、貝は!? 焼いてるよ!?」

( ノAヽ)「それ焼いててもベツワクなノーネ、イソクササが売りなノーネ」

<;ヽ`∀´>「サラダは!?」

( ノAヽ)「エビ乗ってるノーネ」

(;´ー`)「……食うかヨ?」

( ノAヽ)「だからオマエそれはロブスターなノーネ、でっけーエビなノーネ」


134 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 23:16:02.22 ID:Nzt16H3sO

( [)「ゴェ」

( ^^ω)「ホマ?」

( [)「ゴェゴェェ」

( ^^ω)「ホマ? ホマホマ……」

( [)「ゴェェェ」

(;^^ω)「ホマホマ!?」

( [)「ゴェゴェェゴェ?」

(;^^ω)「ホマ! ホマホマホマ!!」

( [)゙「ゴェェ」

(ω^^;)三「ホマー!!」


136 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 23:19:15.99 ID:Nzt16H3sO

ミセ;゚ー゚)リ「どうしよう……ノーネ、食べるもんないよ……」

<;ヽ`∀´>「参ったニダ……」

( )´ー`))バリボリゴリ

( ノAヽ)「もう良いノーネ……気にせず食えなノーネ……」

(;^^ω)「緑のホマー!!」

(ノAヽ;)「緑のホマ!?」

(;^^ω)「間違えたホマ! 緑のヒトホマ! これをどうぞホマ!!」

(;ノAヽ)「ノネ……?」


 いじけていたノーネに差し出されたお皿には、
 ぷるりとした丸い物や、板状のサクッとした何かが乗っていて。

 それを受け取ったノーネは、不思議そうに首をかしげた。


141 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 23:21:31.60 ID:Nzt16H3sO

( ノAヽ)?

(;^^ω)「ミズマンジュウとアナゴパイですホマ!」

( ノAヽ)「スベスベマンジュウガニ?」

<;ヽ`∀´>「違う違うニダ」

(;^^ω)「サカナとかじゃないお菓子だから食べれると思うホマ!」

( ノAヽ)「ぇ……」

ミセ*゚ー゚)リ「あれ、何で知って……?」


( ^^ω)
 ( [)
( ´ー`)


ミセ*゚ー゚)リ「なにそのフォーメーション」


144 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 23:23:35.63 ID:Nzt16H3sO

ミセ*゚ー゚)リ「でも良かったねノーネ! これで食べれるよ!」

( ノAヽ)「ノネ……あ、ありがとなノーネ……」

ブルァァァァァ

(;ノAヽ)!?

( ´ー< ^^ω)「あ、パイがたまに吠えるホマ。そのまま食べて問題ないホマ」

<;ヽ`∀´>「ネーヨ! ペッしなさいニダ!!」

( )ノ〜ヽ))「パイウマウマなノーネ」

( [)゙

Σ ^^ω)「喜んでもらえて何よりホマ!」

<;ヽ`∀´>「ホマ減ってる! 減ってるニダ!」


ミセ;゚ー゚)リ「自由だなー……」


148 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 23:25:57.81 ID:Nzt16H3sO

 それから、各々が好きな料理をお腹いっぱい食べて、満足げに腹を撫でる。

 ノーネはお菓子を、ネーヨは数匹のクラゲを丸飲みにして満足したのか
 気分の良さそうな顔で、その場に寝っ転がっていた。

 幸せそうにぽんぽんになったお腹を撫でていると、一匹のクラゲが声をかけた。


( ^^ω)「皆さーん」

ミセ*´ヮ`)リ「お腹いっぱーい……どしたのー?」

(*ノAヽ)「ぐぇふ……どしたノーネ?」

( ^^ω)「折角だから、人魚に会いに行きませんホマ?」

ミセ*´ヮ`)リ「人魚……人魚までいるんだー……すげー……」

(*ノAヽ)「すげーノーネ……」


150 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 23:28:01.32 ID:Nzt16H3sO

<ヽ`∀´>「どこに居るニダ?」

( ^^ω)「この奥に泳いでったら、そこに居るホマ! いくホマ?」

ミセ*´ヮ`)リ「いくー」

(*ノAヽ)「ノネー」

  ( [)゙
( ´ー`)「折角だから行くヨ」


<ヽ`∀´>「らしいニダ、ご案内よろしくお願いしますニダ」

( ^^ω)「喜んでホマ! こっちホマー!」


 ひらりと泳ぎ始めたクラゲを追いかけて、ミセリ達がのをびりと水をかく。

 満腹で動きがのんびり過ぎるミセリとノーネをネーヨが引っ張り
 珊瑚の森の向こうへと、更に潜って行った。


153 ◆tYDPzDQgtA 2009/05/03(日) 23:30:16.37 ID:Nzt16H3sO
 海藻や珊瑚、磯巾着の隙間をすり抜けて辿り着いた場所は
 先程までよりも更に美しい、真珠や磨かれた珊瑚が輝く空間だった。

 その中央に存在する、大きな大きな薄い桃色の二枚貝。
 様々な物に見とれながら、ミセリ達が二枚貝に目を向けた。

 すると、道案内をしていたクラゲがその二枚貝を軽く叩いた。


( ^^ω)「お嬢様、お客様ホマ! ちょっと顔を見せてくださいホマ!」


 そう元気に告げたクラゲの言葉に頷く様に、
 二枚貝が、ゆっくり軋むように口を開く。

 流れ込む水によって踊る、長い髪。
 青や紫が混ざった、きらきら輝く鱗を纏わせた魚の尾。

 大粒の真珠をあしらった装飾品、水掻きのついた細くて白い手。


川 ゚ -゚)

 そして、冷たく涼しい、その美貌。



六話 前編、おわり

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