167 ◆tYDPzDQgtA 2016/11/13(日) 21:01:12 ID:cCQKNLAk0


 例えばそれは踏み固められたつなぐ道、時には森の獣道。

 騒がしい酒場の熱気、賑やかな町の営み。

 周囲にはいつも退屈とは無縁のものばかり。
 聞こえるのは風を斬る音、たゆたうような詩人の歌声。

 刃を振るい、歌声を響かせ、路銀を稼いで進むのは二人。


 一人は不機嫌そうに顔を歪める、若い女戦士。
 もう一人は、軽薄そうにへらへら笑う優男の吟遊詩人。



 【道のようです】
 【第四話 いやいや休憩しませんか。】



 彼らの進む先にはいつも、血肉の臭いと歌声が存在する。

168 名無しさん[sage] 2016/11/13(日) 21:02:24 ID:cCQKNLAk0

 てっこらてっこら。
 街道を歩く。

 てっとこてっとこ。
 石畳の地面を踏んで。


 馬車がすれ違える程度の幅。
 街道を挟むようにちらほらと木々や秋色の草が生え、時おり土くれのように崩れた廃墟が見える。

 少し遠くには使われなくなった、朽ちた水道橋が、ただ静かに立ち尽くしていて。
 まだ見えないが、その先には同じように廃墟と化した関所が残されている。

 視界の良い場所もあれば悪い場所もあり、時おりうごめく影が見えた。


 次に目指すのはこの街道の先にある森。
 先に立ち寄った村で受けたクエストが「森の薬師に薬草を届ける」だからだ。

 少し距離があるので、食料は多目に買い込んだ。
 しかしその重い筈の荷物は既に軽く、それに比例するように私の前を歩く吟遊詩人の機嫌が悪い


 まあその原因は、どう足掻いても私なのだが。

169 名無しさん[sage] 2016/11/13(日) 21:03:50 ID:cCQKNLAk0

ξ゚⊿゚)ξ「……あの、」

爪' -`)

ξ゚⊿゚)ξ「…………」

爪' -`)

ξ゚⊿゚)ξ「あの」

爪'O`)「そーおーだーうれしいんーだーいーきるーよーろーこーびー」

ξ゚⊿゚)ξ!?

爪'O`)「たーとーえーむねのきずーがーいーたんーでーもー」

ξ;゚⊿゚)ξ

爪'O`)「なんのためーにーうーまれてーなーにをしーてーいきるのかー」

ξ;゚⊿゚)ξ

爪'O`)「こたえられーなーいーなんてーそーんなのーはーいーやだー」

ξ;゚⊿゚)ξ「ね、ねぇ真顔でマーチ歌うのやめて」

爪'O`)「いまをーいきるーことでーあついーこころーもーえーるー」

ξ;゚⊿゚)ξ「ねぇ」

170 名無しさん[sage] 2016/11/13(日) 21:04:43 ID:cCQKNLAk0

爪'O`)「だからーきみはーいーくーんーだーほーほーえーんでー」

ξ;゚⊿゚)ξ「あんたのお昼ごはん勝手に食べた事は謝るからやめて!」

爪'O`)「そーおーだーうれしいんーだーいーきるーよーろーこーびー」

ξ;゚⊿゚)ξ「やめて!!」

爪'O`)「たーとーえーむねのきずーがーいーたんーでーもー」

ξ;゚⊿゚)ξ「ごめんなさい!!!」

爪'O`)「あーあーあんぱんまーんー」

ξ;゚⊿゚)ξ「言っちゃってるから!! 完全に言っちゃってるから!!!」

爪' -`)「他にも言う事あるよね」

ξ;゚⊿゚)ξ「あんたが取って置いてたベリータルト勝手に食べた事もごめんなさい!!」

爪' -`)

ξ;゚⊿゚)ξ「えっ か、勝手に酒場でランチ五人前食べた事もごめんなさい……?」

爪' -`)

ξ;゚⊿゚)ξ「えっえっ あっ 大イノシシのステーキ八枚食べた事も……!?」

爪' -`)「後半ほとんど初耳なんですがそれは」

ξ;゚⊿゚)ξ(しまった)

171 名無しさん[sage] 2016/11/13(日) 21:05:22 ID:cCQKNLAk0

爪' -`)「ツンちゃんさぁ、ほんと食にだけ貪欲なのやめよ? 人のご飯に手を出すのやめよ?」

ξ;゚⊿゚)ξ「心から申し訳なく」

爪' -`)「思うならさぁもうちょっとさぁ己の食欲と向き合ってさぁ」

ξ;゚⊿゚)ξ「己の食欲と……向き合う……」

爪' -`)

ξ;゚⊿゚)ξ

ξ;゚⊿゚)ξグーキュルル

ξ;゚⊿゚)ξ「向き合った結果が空腹を訴えている……」

爪' -`)「どうなってんだその胃袋は」

ξ;゚⊿゚)ξ「食欲だけはどうしても抑えられなくて……」

爪' -`)「睡眠時間短くても大丈夫なくせに……」

ξ;゚⊿゚)ξ「だ、だって……あの……お腹は空きますから……」

爪' -`)

ξ;゚⊿゚)ξ

爪'O`)「あんぱんまんはーきみっさー」

ξ;゚⊿゚)ξ「歌い出しすら無視するのやめて!!!」

172 名無しさん[sage] 2016/11/13(日) 21:06:40 ID:cCQKNLAk0

ξ;゚⊿゚)ξ「う、うぐぐ……でもあんただって!!」

爪' -`)「僕が何だい、この品行方正な僕が何をしたってんだい」

ξ゚⊿゚)ξ「村で女の子に手出しただろお前」

爪' -`)

ξ゚⊿゚)ξ「三人くらいは居ただろ」

爪;' -`)

ξ゚⊿゚)ξ「お前あそこの若い人ほとんど人妻だって分かっててやっただろ」

爪;' -`)

ξ゚⊿゚)ξ「後々苦情来たらお前これ処理出来るんだろうな」

爪;' -`)

爪'ー`)「さぁ!! 早く目的地に行こう!!!」

ξ゚⊿゚)ξ「おい   おい」

173 名無しさん[sage] 2016/11/13(日) 21:07:39 ID:cCQKNLAk0

爪'ー`)y‐「でもだいぶ食べてくれたよね」

ξ゚⊿゚)ξ「申し訳なく」

爪'ー`)y‐「もーツンちゃんほんと食べるの堪えて」

ξ゚⊿゚)ξ「頑張ります」

爪'3`)y‐「もー」プンスー


 ばーかばーか遥かなる胃袋ーとかよく分からない罵倒をしながら先へと歩いていく狐。

 しかし実際に食べ物を減らしたのは私なので、正直言い逃れも出来ない。
 ほんとに食欲だけは抑えがきかないんだよなぁ、どうしてこんなに堪え性が無いんだろう。

 空腹に耐えるのも修行の一つだと思えば、もっと頑張れるのかな。


 私の前の方をずいずいと歩いていった狐。
 その背中を眺めつつ、夕飯まではどれくらいかかるのかなぁとお腹をおさえる。

 ほんとに食欲はどうにもならんな。

174 名無しさん[sage] 2016/11/13(日) 21:08:35 ID:cCQKNLAk0

,,爪'3`)y‐

ξ゚⊿゚)ξ(晩御飯どうしよう……肉がいいな……)

,,爪'3`)y‐

ξ゚⊿゚)ξ(この辺の草って食べられるわよね……)

('Д`;川 三3 キャー

ξ゚⊿゚)ξ「ん?」

爪;'Д`)y‐「魔物居たよ魔物! 廃墟からこんにちはしてた!」

ξ゚⊿゚)ξ「あーはいはい、引っ込んでなさいな。つか逆向いたら別人みたいだなお前」


 先にあった廃墟を覗くと、そこには角の生えた大きなうさぎ。
 ただ迷い込んだだけなのか、他に居るようには思えない。

 やっぱ戦えないと、こんなのでも怖いんだなぁ。
 弱くて可愛らしいやつなのになー、と魔物の頭を切り落とす。

 紐で足を縛り、斧の柄に逆さに吊るしておく。
 これで血抜きは出来るだろう。

175 名無しさん[sage] 2016/11/13(日) 21:09:39 ID:cCQKNLAk0

|'Д`)「倒したー?」

ξ゚⊿゚)ξ「倒した倒した」

爪'ー`)y‐「はーやれやれ……どこにでも居るなぁほんと」

ξ゚⊿゚)ξ「野性動物と変わんないしね、動物と共存するようになったのも多いし」

爪'ー`)y‐「人を襲わないのも居るって分かるけどさー、やっぱ怖いよね」

ξ゚⊿゚)ξ「犬や猫と変わらないわよ、悪さをすれば狩られるだけ、はいこれ肉」

爪'ー`)y‐「これ持って歩けと」

ξ゚⊿゚)ξ「夕飯」

爪'ー`)y‐「ほんとに飯は現地調達だね君は」

ξ゚⊿゚)ξ「それとも今たべる?」

爪'ー`)y‐「ハングリー精神(物理)かな?」

ξ゚⊿゚)ξ「おなかすいた」

爪'ー`)y‐「ほんと君さぁ」

176 名無しさん[sage] 2016/11/13(日) 21:10:37 ID:cCQKNLAk0

 結局その後、日が暮れ始めるまで休憩を挟むことはなかった。
 ぐるぐるとやかましい腹を擦りつつ、これも修行だと自分に言い聞かせる。

 忍耐力は身に付くはずだ、堪える事を覚えなくては。


爪'ー`)y‐「ここら辺で今日は休むかなー」

ξ゚⊿゚)ξ「廃墟があるし、中の確認するわ」

爪'ー`)y‐「その辺に薪落ちてないかなー」

ξ゚⊿゚)ξ「中に魔物は居ないか……天井も大丈夫そう……」

爪'ー`)y‐「ツンちゃんツンちゃん」

ξ゚⊿゚)ξ「んー?」

爪'ー`)y‐「蛇がいる蛇が」

ξ゚⊿゚)ξ「鶏肉に近い味がするわよ」

爪'ー`)y‐「5mくらいあるけど美味しいかな」

ξ゚⊿゚)ξ「サーペント系か、まぁ手を出さなければ今の時期は大人しいから」

爪'ー`)y‐「巻き付く力強いなぁ、あばらが折れそう」

三ξ;゚⊿゚)ξ「襲われてるならはっきりそう言ってくれる!?」

177 名無しさん[sage] 2016/11/13(日) 21:11:43 ID:cCQKNLAk0

爪'ー`)y‐「いやぁ木の棒かと思ったら尻尾の先で」ミシミシ

ξ;゚⊿゚)ξ「せめて助けられる段階で呼んでよ!!」

爪'ー`)y‐「これ手遅れかなぁ」メリメリ

ξ;゚⊿゚)ξ「ズェア!!」
  ⊂彡 バシュー

爪'ー`)y‐「うわー」ボトー

ξ;゚⊿゚)ξ「……折れてる?」

爪'ー`)y‐「そこそこに」

ξ;゚⊿゚)ξ

爪'ー`)y‐

ξ;゚⊿゚)ξ「一回死ぬ?」

爪'ー`)y‐「うん」


<メコー

178 名無しさん[sage] 2016/11/13(日) 21:12:57 ID:cCQKNLAk0

ξ゚⊿゚)ξ「死に慣れてるからってもうちょっと危機感とかさ」サクサク

爪'ー`)y‐「いやぁうっかりうっかり、ところでさツンちゃん」

ξ゚⊿゚)ξ「んー」サクサク

爪'ー`)y‐「斧でウサギの解体とか言う職人芸は何なの?」

ξ゚⊿゚)ξ「肉切りナイフが折れちゃって」サクサク

爪'ー`)y‐「えぇー……」

ξ゚⊿゚)ξ「と言うかあんたもナイフの一本くらい持てば? 丸腰じゃあんまりでしょ」

爪'ー`)y‐「持ってるよ? ほら」

ξ゚⊿゚)ξ「じゃあ使 なにそれ……趣味わる……」

爪'ー`)y‐「失敬な、芸術品ですよ」

ξ゚⊿゚)ξ「えっ……金色で宝石ついてるナイフってなに……」

179 名無しさん[sage] 2016/11/13(日) 21:14:03 ID:cCQKNLAk0

爪'ー`)y‐「懐にこれを忍ばせておく事で財布的に心が安らぐしこの装飾に癒されもする優れもの」

ξ゚⊿゚)ξ「だっさくない……?」

爪'ー`)y‐「ツンちゃんは審美観もへっぽこだからこれの良さがわっかんないかぁ可哀想になぁ」

ξ゚⊿゚)ξ

爪'ー`)y‐「これは観賞用として貴族が作らせたそれはもう財の費やされた由緒正しいナイフで」

ξ゚⊿゚)ξ「ちょうど良いサイズだから貸して」バッ

爪'ー`)y‐「金も宝石も本物でまってやめて肉切りに使わないで謝るからごめんだからやめて」

ξ゚⊿゚)ξ「切れ味わっる」ギチギチ

爪;'Д`)y‐「やぁぁぁぁめぇぇぇぇてぇぇぇぇよぉぉぉぉぉぉお!!!」

ξ゚⊿゚)ξ「ナイフとしては欠陥品なのでは」ゴリゴリ

爪;'Д`)y‐「あーやめてやめてあぁー!! お客様ー!! 欠けるからーあぁーっ!!!」

ξ゚⊿゚)ξ「なんか久々に見た気がするけどほんとブッサイクだなその顔」

爪#'Д`)y‐「イケメンですけどね!!!?」

180 名無しさん[sage] 2016/11/13(日) 21:15:28 ID:cCQKNLAk0

ξ゚⊿゚)ξ「ところで薪は?」

爪'ー`)y‐「はい」

ξ゚⊿゚)ξ「火つけるか」ゴソゴソ

爪'ー`)y‐「お、術式」

ξ゚⊿゚)ξ「買ってはいるんだけどさ、使うの難しいのよね」

爪'ー`)y‐「え、そう?」

ξ゚⊿゚)ξノシ「うん……なかなか……起動しない……」

爪'ー`)y‐

ξ゚⊿゚)ξノシ

爪'ー`)づ

ξ゚⊿゚)ξ

爪'ー`)ノシ ボッ

ξ゚⊿゚)ξ「ついた」

爪'ー`)y‐「つくよ」

181 名無しさん[sage] 2016/11/13(日) 21:16:14 ID:cCQKNLAk0

ξ゚⊿゚)ξ「えぇ……何で……」

爪'ー`)y‐「魔力無いタイプの体質?」

ξ゚⊿゚)ξ「調べたこと無い……」

爪'ー`)y‐「本来なら一般人でも術式使うくらいの魔力はある筈なのになぁ」

ξ゚⊿゚)ξ「いっつも起動に時間かかるのよね……滅多にそんな話聞かないのに」

爪'ー`)y‐「たまに居るらしいよー魔力蓄えられない体質の人、逆なら大魔導師になれるのにねぇ」

ξ゚⊿゚)ξ「むー……不便だ……」

爪'ー`)y‐「魔法は使えた方が便利だしねぇ……特に術式くらいは」

ξ゚⊿゚)ξ「あんたは魔法は?」

爪'ー`)y‐「一般人レベル」

ξ゚⊿゚)ξ「ンンン」

182 名無しさん[sage] 2016/11/13(日) 21:17:24 ID:cCQKNLAk0

爪'ー`)y‐「歌に魔力乗せる事は出来るよ」

ξ゚⊿゚)ξ「マジか」

爪'ー`)y‐「君が戦ってる時に僕が歌ってるの何だと思ってた?」

ξ゚⊿゚)ξ「あたるあたる〜♪的なアレかと」

爪'ー`)y‐「何的なアレだそれは」

ξ゚⊿゚)ξ「バフだったのねあれ」

爪'ー`)y‐「その通りだけどバフって言わない」

ξ゚⊿゚)ξ「テンションシステムは」

爪'ー`)y‐「無いです」

ξ゚⊿゚)ξ「むー、魔力かぁ……こればっかりはどうしようも無いような」

爪'ー`)y‐「魔導師ギルドで調べてもらう? 確か無料で適性検査受けられるよね」

ξ゚⊿゚)ξ「なんか哀れみの視線を向けられそうだからやだ」

爪'ー`)y‐「ああうんあるよね何かそう言うアレ」

183 名無しさん[sage] 2016/11/13(日) 21:18:35 ID:cCQKNLAk0

ξ゚⊿゚)ξ「かと言って、あんたに術式全部押し付けるのもね」

爪'ー`)y‐「底が浅いから日に何枚も強いの使うとアレだよね」

ξ゚⊿゚)ξ「と言うか術式って何なの? アレ結局どう言うやつ?」

爪'ー`)y‐「んー、魔導師が描いた簡易型魔方陣みたいなやつ?」

ξ゚⊿゚)ξ「ふむ」

爪'ー`)y‐「術式があれば一般人でも簡単に火を起こしたりする事が出来るけど、
     魔力が必要ないわけじゃないんだよね、多少の魔力を消費して発動させる」

ξ゚⊿゚)ξ「ふむふむ」

爪'ー`)y‐「だから魔力が無い体質だと発動にやたら時間がかかったり、下手すれば発動しない」

ξ゚⊿゚)ξ「ふむむ」

爪'ー`)y‐「ちなみに使い捨てで一枚銅貨五枚くらいから買えます、高いのは金貨積んでも買えない」

ξ゚⊿゚)ξ「説明乙」

爪'ー`)y‐「きさまー☆」

184 名無しさん[sage] 2016/11/13(日) 21:19:42 ID:cCQKNLAk0

ξ゚⊿゚)ξ「便利だけど万能じゃないのは魔法と一緒ね」

爪'ー`)y‐「世の中そんなもんさ」

ξ゚⊿゚)ξ「むう、やっぱりマッチ使うか」

爪'ー`)y‐「携帯用魔力とかは? 空気中の魔素貯めて使うやつ」

ξ゚⊿゚)ξ「あれオーダーメイドでたっかい」

爪'ー`)y‐「あれ必要な人少ないからねぇ……」

ξ゚⊿゚)ξ「魔力必要な時はあんたに頼むわ……」

爪'ー`)y‐「それは良いけど、今までは使えてたの?」

ξ゚⊿゚)ξ「時間かけて使える時と使えない時の半々」

爪'ー`)y‐「そりゃマッチ持つわ」

ξ゚⊿゚)ξ「でもあると便利だから補充はする」

爪'ー`)y‐「えらいぞー」

ξ゚⊿゚)ξ「しねー」

爪'ー`)y‐「ひどーい」

185 名無しさん[sage] 2016/11/13(日) 21:20:17 ID:cCQKNLAk0

ξ゚⊿゚)ξ「はい肉焼けた」

爪'ー`)y‐「本来ならお弁当食べられたのにね!」

ξ゚⊿゚)ξ「ごめんて」

爪'ー`)y‐

ξ゚⊿゚)ξ「極めて申し訳なく」

爪'ー`)y‐「あ、ウサギは意外と美味し 固いな」

ξ゚⊿゚)ξ「そんなもんよ」

爪'ー`)y‐「蛇の方は 美味しいなおい」

ξ゚⊿゚)ξ「うむ」

爪'ー`)y‐「何かウサギのが美味しそうなのにな……」

ξ゚⊿゚)ξ「普通の蛇は食うとこ少ないけどこれは多いから」

爪'ー`)y‐「繊維が割けやすいのが良いな……」

ξ゚⊿゚)ξ「うまい」

爪'ー`)y‐「くやしい」

186 名無しさん[sage] 2016/11/13(日) 21:21:25 ID:cCQKNLAk0

ξ゚⊿゚)ξ「現地調達も悪くは無いでしょ」

爪'ー`)y‐「認めると後々面倒そうだから否定はしないにとどめておくよ」

ξ゚⊿゚)ξ「かしこいなお前」

爪'ー`)y‐「君が際立ったアホなだけだよ」

ξ゚⊿゚)ξ「ころす」

爪'ー`)y‐「やめて」

ξ゚⊿゚)ξ「そうだ、森へは道なりに行くと良いのよね」ガサガサ

爪'ー`)y‐「そうそう、地図の通りに」

ξ゚⊿゚)ξ「地図の通り……」ガサガサ

爪'ー`)y‐

ξ゚⊿゚)ξ

爪'ー`)y‐「逆さだね」

ξ;゚⊿゚)ξ「わわっわわわ分かってましたけど」

爪'ー`)y‐「ツンちゃん……」

ξ;゚⊿゚)ξ「うっかりくらいはしますけど!? 方向感覚はしっかりしてますけど!?」

187 名無しさん[sage] 2016/11/13(日) 21:22:24 ID:cCQKNLAk0

ξ゚⊿゚)ξ「んー、まだ距離あるか……」

爪'ー`)y‐「森のこっちに入ると村があるね」

ξ゚⊿゚)ξ「あ、そこ行った事ある」

爪'ー`)y‐「おぉ、どんな場所?」

ξ゚⊿゚)ξ「野菜が美味い」

爪'ー`)y‐「ツンちゃん」

ξ゚⊿゚)ξ「鉱山の麓にあって、みんな人当たりが良くて……私まだ初心者だったから、世話になったわ」

爪'ー`)y‐「ほうほう、じゃあ森に入る前に村で一旦休憩するか」

ξ゚⊿゚)ξ「久々に顔見せるのも良いか……んじゃ次は先にこの村で」

爪'ー`)y‐「何か思い出とかある?」

ξ゚⊿゚)ξ「鉱山に魔物が出たからそれを始末するクエストを受けた」

爪'ー`)y‐「結果は」

ξ゚⊿゚)ξ「鉱夫ドン引き」

爪'ー`)y‐「せやろな」

188 名無しさん[sage] 2016/11/13(日) 21:23:24 ID:cCQKNLAk0

ξ゚⊿゚)ξ「でもドン引きしてから爆笑されたわ」

爪'ー`)y‐「面白かったんだろうね……君と言う存在が……」

ξ゚⊿゚)ξ「言い方が腹立つなおい」

爪'ー`)y‐「酒場は?」

ξ゚⊿゚)ξ「無いと思う?」

爪'ー`)y‐「絶対ある」

ξ゚⊿゚)ξ「大にぎわい」

爪'ー`)y‐「ですよねー稼げそー」

ξ゚⊿゚)ξ「女の子には手出さないでよ、殺されるから」

爪'ー`)y‐「出せる相手にしか手出さないから」

ξ゚⊿゚)ξ

爪'ー`)y‐「出せる相手だったからつい」

ξ゚⊿゚)ξ

爪'ー`)y‐「ごめんて」

189 名無しさん[sage] 2016/11/13(日) 21:24:02 ID:cCQKNLAk0

ξ゚⊿゚)ξ「さて、そろそろ寝るか」

爪'ー`)y‐「ツンちゃんお先にどうぞ」

ξ゚⊿゚)ξ「んー」ゴソゴソ

爪'ー`)y‐「じゃ、子守唄いっきまーす」

ξ゚⊿゚)ξ「子守唄言うなや……」


 ぽろん。


 その瞳は闇のよう
 何かを得ようとさまよう

 その指先は骨のよう
 何かを解こうとさまよう

 その瞳は何も見ない
 何かを得る事はかなわず

 その指先は何にも触れず
 何かを解く事はかなわず

 その瞳は闇のよう
 こちらを決して見はしない

190 名無しさん[sage] 2016/11/13(日) 21:25:06 ID:cCQKNLAk0

 チチチ チュンチュン


ξ゚⊿゚)ξ「何だったのあの歌、クッソ暗かったんだけど」

爪'ー`)y‐「何か思い付いたからつい」

ξ゚⊿゚)ξ「はい銅貨」

爪'ー`)y‐「律儀だね君も」

ξ゚⊿゚)ξ「水汲んでくる、ついでに朝飯探すわ」

爪'ー`)y‐「柔らかいお肉でねー」

ξ゚⊿゚)ξ「野性の動物や魔物にんなもん求めんなよ……」

爪'ー`)y‐「僕は朝食の準備と夜営の後片付けするかな……」

爪'ー`)y‐「先にお茶入れて、と」

爪'ー`)y‐「パンまだあったかなー」

191 名無しさん[sage] 2016/11/13(日) 21:25:33 ID:cCQKNLAk0

爪'ー`)y‐「しかし酒場があると稼げるからありがたいなぁ、まだまだ財布に余裕あるけど」

爪'ー`)y‐「まぁ酒場の無いとこなんてそうそう無いけどねー」


ズシィンズシィン


爪'ー`)y‐「ん? 何の音だろ」

-=三ξ゚⊿゚)ξそ ガサッ バタバタ

爪'ー`)y‐「あ、ツンちゃんお帰」


<メゴシュ



,,ξ゚⊿゚)ξ「あービビった……何でこんなとこにサイクロプス居んのよ……」ズルズル

爪 Д;;#。,,

ξ゚⊿゚)ξ

ξ゚⊿゚)ξ「柔らかい肉を探しに行こう」

192 名無しさん[sage] 2016/11/13(日) 21:26:17 ID:cCQKNLAk0

爪'ー`)y‐「お兄さんはひどいと思いました」

ξ゚⊿゚)ξ「非常に申し訳なく」

爪'ー`)y‐「護衛が護衛対象を放置はひどいと思いました」

ξ゚⊿゚)ξ「本当に申し訳なく」

爪'ー`)y‐「給料払ってるんだぞ!」

ξ゚⊿゚)ξ「廃墟から出てると思わなくて……その……申し訳なく……」

爪'ー`)y‐「まあお肉美味しいですけど」

ξ゚⊿゚)ξ「頑張って子供の肉を探したから許して」

爪'ー`)y‐「やだなぁその言い方……もう良いけどさ、許すけどさ」

ξ゚⊿゚)ξ「引き付けてから斬ろうと思ってたのよ……」

爪'ー`)y‐「その道中に僕が居たと……」

ξ゚⊿゚)ξ「申し訳なく……」

爪'ー`)y‐「分かったから……」

193 名無しさん[sage] 2016/11/13(日) 21:27:16 ID:cCQKNLAk0

爪'ー`)y‐「本来ならお詫びに良い事したいなって感じなんだけど」

ξ゚⊿゚)ξ

爪'ー`)y‐「ホームランバーはちょっとな……」

ξ゚⊿゚)ξ「私の形容詞にホームランバーを使うのいい加減にやめろ?」

爪'ー`)y‐「はんぺん」

ξ゚⊿゚)ξ「やめろや」

爪'ー`)ノシ「せめておっぱいが生えていればなぁ」ペチペチ

ξ゚⊿゚)ξ「鎧を叩くな」

爪'ー`)y‐「鎧と言うか胸を触っているのですがね、触っても何にも楽しくないなこれ」

ξ゚⊿゚)ξ(忍耐……忍耐を……)

爪'ー`)y‐「ああ胸が無いと触ってもわっかんないかーごめんごめん! 生やす努力してね!!」

ξ#゚⊿゚)ξ(忍……耐……)

爪'ー`)y‐「あっ、努力してその結果だったらごめんね……? 魔力と一緒で無い体質なのかな……?」


<イヤーッ グワーッ

194 名無しさん[sage] 2016/11/13(日) 21:28:02 ID:cCQKNLAk0


爪'ー`)y‐「ツンちゃんそんな怒らんでも」

ξ゚⊿゚)ξ「ホームランバーだのはんぺんだの言われた後に胸触って「無い体質かな?」って言われて怒るなと」

爪'ー`)y‐「怒るなそりゃ」

ξ゚⊿゚)ξ「お前がやったんだよ」

爪'ー`)y‐「ツンちゃんにだけはこう言う雑な扱いしたくなるんだ……これって恋かな……?」

ξ゚⊿゚)ξ「ねえ狐」

爪'ー`)y‐「ダーリンって呼んで☆」

ξ゚⊿゚)ξ「クソ狐」

爪'ー`)y‐「つらい」

ξ゚⊿゚)ξ「死ぬのと殺されるのとあと死ぬのどれが良い?」

爪'ー`)y‐「死もしくは死あるいはやっぱり死みたいな選択肢やめよ?」

195 名無しさん[sage] 2016/11/13(日) 21:28:38 ID:cCQKNLAk0

爪'ー`)y‐「ほら怒んないで怒んないで僕ができる事なら色々してあげるから」

ξ゚⊿゚)ξ

爪'ー`)y‐「歌でも歌おうかな? ツンちゃんのためにしたためようか?
     ね? それともレディとしてエスコートしようか?」

ξ゚⊿゚)ξ

爪'ー`)y‐「ほら笑って笑ってツンちゃんもっと楽しくしようよお願いきいてあげちゃうよねぇねぇ」

ξ゚⊿゚)ξ「お前を消す方法」

爪'ー`)y‐「ごめんて」

ξ゚⊿゚)ξ「安易に胸をいじるのをやめろ」

爪'ー`)y‐「もっかい言って?」

ξ゚⊿゚)ξ「胸を」

爪'ー`)y‐「もう少しセクシーな感じで」

ξ゚⊿゚)ξ「ワタシ オマエ マルカジリ」

爪'ー`)y‐「ンン死にそうだな! 朝から2乙かなこれは!」

ξ゚⊿゚)ξ「死ぬような事を詰め込んできたのお前だぞ? 良いな?」

爪'ー`)y‐「今朝はなかなか調子が良くてつい口が回っちゃってね!」

196 名無しさん[sage] 2016/11/13(日) 21:29:18 ID:cCQKNLAk0

ξ゚⊿゚)ξ「飯食ったし片付けたし、そろそろ行くか」

爪'ー`)y‐「あ、殺されなかった」

ξ゚⊿゚)ξ「忍耐の修行だから」

爪'ー`)y‐「つまりやりたい放題って事?」

ξ゚⊿゚)ξ「粛清はする」

爪'ー`)y‐「一回粛清されたから程々にしよう」

ξ゚⊿゚)ξ「忘れ物無し、と……」

爪'ー`)y‐「あ、ツンちゃん大変」

ξ゚⊿゚)ξ「うん?」

爪'ー`)y‐「今回ツンちゃん血まみれになってない」

ξ゚⊿゚)ξ「サイクロプス斬殺した帰りになってた」

爪'ー`)y‐「僕が死んでる間に」

ξ゚⊿゚)ξ「あんたが事故死してる間に」

爪'ー`)y‐「出来れば次からは守ってほしい」

ξ゚⊿゚)ξ「ごめんて……」

197 名無しさん[sage] 2016/11/13(日) 21:30:12 ID:cCQKNLAk0

爪'ー`)y‐「よし、じゃあ村目指して行きますかー」

ξ゚⊿゚)ξ「んー」

爪'ー`)y‐「その村は可愛い女の子居るかな」

ξ゚⊿゚)ξ「だからお前」

爪'ー`)y‐「手を出す出さないではなく僕のモチベに大きく関わるから」

ξ゚⊿゚)ξ

爪'ー`)y‐

ξ゚⊿゚)ξ「居たよ」

爪'ー`)y‐「よっしゃ」

ξ゚⊿゚)ξ「これくらいの」

爪'ー`)y‐「女児だそれ」

ξ゚⊿゚)ξ「好きじゃないの?」

爪'ー`)y‐「Fカップくらいのお姉さんが良い」

ξ゚⊿゚)ξ「クッソわがままな……」



 てっとこてっとこ。

 次の目的地まであとすこし。


 おわり。

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