- 735 ◆tYDPzDQgtA 2017/01/22(日) 21:00:27 ID:A.tMRfhA0
例えばそれは踏み固められたつなぐ道、時には森の獣道。
騒がしい酒場の熱気、賑やかな町の営み。
周囲にはいつも退屈とは無縁のものばかり。
聞こえるのは風を斬る音、たゆたうような詩人の歌声、獣じみた幼い咆哮。
刃を振るい、歌声を響かせ、魔力を用い、路銀を稼いで進むのは三人。
一人は不機嫌そうに顔を歪める、若い女戦士。
もう一人は、軽薄そうにへらへら笑う優男の吟遊詩人。
そんな二人の後ろをついて歩く、小さな魔族の子供。
【道のようです】
【第十二話 いやなきもちをはらおう。 前編】
彼らの進む先にはいつも、血肉の臭いと歌声が存在する。
- 736 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:02:24 ID:A.tMRfhA0
まっしろつめたい降雪地帯はなかなか抜けず、ざくざくと雪を踏み締めて進んでゆく。
目の前を歩くのは、深い赤のマントと濃い青灰色のマント。
やっと服を買えたお姉さんは、斧を肩に担いで雪の中を進む。
小さいのに大きなお姉さんは、とても頼りになる。
誰よりも貪欲に生きようとするし、とても優しくてあたたかい。
少し前を歩くお兄さんは、よく笑う。
いつもにこにこ何かから逃げているのに、最近はちゃんと受け止められているみたい。
デレは、お兄さんとお姉さんがだいすきです。
ζ(゚- ゚*ζ「がう」
爪'ー`)y‐「ん?」
ζ(゚- ゚*ζ「う?」
爪'ー`)y‐「気のせいかな……うーさむー……」
お兄さんはさむいのが苦手みたい。
喉が冷えるのがだめなんだって。
- 737 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:03:05 ID:A.tMRfhA0
パパとママをころされて、デレはこわいひとに連れていかれた。
奴隷として叩かれたり痛い思いも怖い思いもたくさんした。
どれだけの期間を奴隷として過ごしたのかは覚えてないけど、やらされるのは肉体労働ばかりだった。
奴隷をしていた中では、角を掴んで揺さぶられるのが一番痛くて苦しくて怖かったな。
怒られる時はそうされるものだと思っていたけど、違うみたいだ。
パパもママもデレには優しかったし、もうよくは覚えていないけど。
売られて、本格的に奴隷として生きるんだと思ってた。
もうなにも楽しいことなんてないって思ってた。
でもお姉さんが、デレのために怒ってくれた。
お兄さんが、デレのためにお金を出してくれた。
お姉さんは怒ると誰よりも怖くて、ママくらい怖くて、きっとあのままだと人も殺したと思う。
怒ると知らないひとみたいになる。
デレはあんまり怒ってほしくないけれど。
それでもお姉さんは、自分や誰かのためによく怒る。
それにデレを拾った時は、特別な怒り方だったらしい。
- 739 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:05:12 ID:A.tMRfhA0
どうしてあんなに怒ったのか、聞いてみた事もあった。
ζ(゚- ゚*ζ『おこるふしぎ』
ξ゚⊿゚)ξ『私は人を殺すわ、だから人の道からは外れた』
ζ(゚- ゚*ζ『あう』
ξ゚⊿゚)ξ『けれどそんな外道にも、譲れない筋って物があるのよ』
私にはそれがあんただっただけ。
斧を研きながら言うお姉さんは、すごくまっすぐな目をしていた。
デレは、そんな目の人を外道だとは思えなくて。
けれど人を殺したのなら、それはどんな理由であれ人の道からは外れると。
お姉さんは自らを戒めるように、自分を縛り付けるように、ただ斧を磨いていた。
- 740 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:05:56 ID:A.tMRfhA0
お兄さんはどうしてお金を出してくれたのか。
デレを拾うの嫌がってたみたいなのに、どうしてなのかが不思議で聞いてみた事がある。
ζ(゚- ゚*ζ『おかねだすふしぎ』
爪'ー`)y‐『んー? まぁ相棒が納得しないしねぇ、と言うか別に払ってないし』
ζ(゚- ゚*ζ『デレもってる』
爪'ー`)y‐『その金貨が君の値段としてつけられた金額だよ』
ζ(゚- ゚*ζ『たかい?』
爪'ー`)y‐『大人になった時、それが高いか安いか分かる筈だから』
僕はその命の値段を教えたかっただけ。
たばこの煙をぷかぷか、お兄さんは笑ってた。
自分以外にお金にうるさいお兄さんが、デレに金貨を渡した。
それは、とっても大変な事なんじゃないかなって思った。
- 741 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:08:05 ID:A.tMRfhA0
このお姉さんとお兄さんは、デレが今まで見てきた人間とはどれも違った。
汚いみたいな目をしないし、魔族だからって嫌わないし、奴隷だからってばかにしない。
気持ちの悪い生き物だって、敵だって目では見なかった。
ばっちいばっちいデレを助けてくれて、お金を渡して、宿まで連れてってくれて、綺麗にしてくれた。
お洋服もくれた、ご飯もくれた、あったかくてやさしくて、怖い事をされると思ったけどされなくて。
ζ(゚- ゚*ζ
ζ(゚- ゚*ζ モス
⊂ ⊂ ヽ,,
爪'ー`)y‐「どしたのデレ、寒い?」
ζ(゚- ゚*ζ「あたたかい」
爪'ー`)y‐「サンドウォームみたいになってる……」
ζ(゚- ゚*ζ「げしょ」
- 742 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:09:35 ID:A.tMRfhA0
爪'ー`)y‐「んー? ツンちゃん休憩出来そうなとこあるー?」
ξ゚⊿゚)ξ「いい感じに屋根だけがあるわー、バス停みたいなやつー」
爪'ー`)y‐「休憩しよー、デレが寒そうー」
ξ゚⊿゚)ξ「わかったー、この雪のなかで使える薪あるかな……」
二人とも、あったかくてやさしい。
爪'ー`)y‐「デレ行くよ」
ζ(゚- ゚*ζ「がう」
爪'ー`)y‐「……暖かいな君」
ζ(゚- ゚*ζ「デレたいおんたかい」
爪'ー`)y‐「寒さに強いタイプじゃねーの……」
ζ(゚- ゚*ζ「あついむり」
爪'ー`)y‐「ただの甘えたか今のは」
♪〜ζ(゚、゚*ζ
爪'ー`)y‐「こーいーつーめー」
ζ(>- <*ζキャー
- 743 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:10:57 ID:A.tMRfhA0
,,ξ゚⊿゚)ξ「何してんの」
爪'ー`)y‐「じゃれあいをまた見られた」
ζ(゚- ゚*ζ「おねさんも」
⊂ ⊂ ヽ,, ピト
ξ゚⊿゚)ξ「あったけー」
爪'ー`)y‐「寒いんじゃなくて甘えただったみたいです」
ξ゚⊿゚)ξ「実年齢よりだいぶ小さい子みたいよねあんた」
ζ(゚- ゚*ζ「がうー?」
爪'ー`)づ「九歳児にしては背も低いし甘えただし」
ζ(゚- ゚*ζ「うー」
ξ゚⊿゚)ξ「将来どうなるのかしらこの子……」
爪'ー`)y‐「パパみたいになるのでは?」
ξ゚⊿゚)ξ「恐らく大腿骨があんたの腕くらいあったような」
爪'ー`)y‐「立派な体躯だなー!!」
- 744 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:12:08 ID:A.tMRfhA0
爪'ー`)y‐「ほらデレ、火を起こさないとね」
ξ゚⊿゚)ξ「温かい物が飲みたい」
ζ(゚- ゚*ζ「あい!」
デレは魔族なので、人間よりもたくさん魔力を持っている。
でもまだまだ使い方が分からないから、なかなかうまく魔法は使えない。
ほんとなら小さい頃から魔法は使えるはずなんだけど、パパとママはデレに魔法を教えてはくれなかった。
人間の里の近くで生きていて、人間の世界にはもともと魔法はなくて。
だから人間の世界に居るのなら、その世界の自然のことわりに従う方が良い。
どうしても必要なとき以外は、おいそれと魔法を使ってはいけない。
それに魔法をたくさん使える魔族が近くにいるとわかったら、人間はきっと怖がってしまう。
パパはほんとはたくさん魔法を使えるけれど、
人間の近くでいきる事を選んでからは、全然使わなくなったらしい。
どうしてここでいきるようになったのか、不思議に思った事もあった。
パパやママに聞いてみたら、魔族の世界で生きにくくなったからだって。
戦争? が起きたり、ちょうへい? があったり。
パパはもともと人間が好きで、戦いたくなかったって。
- 745 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:13:26 ID:A.tMRfhA0
あの里の人間に良くしてもらったから、パパは人を好きになって。
だからパパはママを連れて里の近くにこっそり棲んで、里を魔物から守ってるって。
その良くしてくれた里の人はもう死んじゃって、里にパパ達の事を知る人はいなくなったけど。
それでもパパはずっとあの森で、人間と寄り添って生きるんだって言ってた。
そう言えば、魔物にちかいせいかつをするのは、魔物から警戒されないため。
自然の中でこっそり生きるため、そしてそれが出来るタイプの種族だったから、らしい。
パパやママの種族は力が強いから、魔物くらいなら魔法が無くても倒せるって。
魔法は教えてはもらえなかった。
でもお兄さんとお姉さんは魔法が得意じゃない。
お姉さんは魔法がぜんぜん使えないみたいだし、お兄さんは普通の人くらいしか出来ない。
だからデレは、必要だから、二人のために魔法を使うよ。
今は小さな火を出すくらいしか出来ないけれど、いつかはパパみたいに強い魔法を使えるようになりたい。
ただ、教えてくれる人がいない。
どうやって魔法を覚えればいいんだろう、魔女さんとはたまにしか会わないし。
それに人間が使う魔法は、人間用の魔法。
よくにてるけど、魔族の魔法とは少し違う。
だからデレは人間の魔法より、魔族の魔法を使う方が得意だと思う。
- 746 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:14:43 ID:A.tMRfhA0
でもそうなると、もっと教えてくれる人がいない。
パパママ以外に、魔族なんて見たことない。
こまったなぁ。
二人の役に立ちたいのに、これじゃぜんぜん役に立てない。
デレは考えることは出来ても、それを口に出して言葉にするのが苦手。
だからちゃんと気持ちが伝えきれないし、伝わらない事もある。
覚えること、勉強する事がたくさんある。
まず言葉の勉強をして、魔法の勉強をして、他にもたくさん。
うー、役に立てるまでたいへん。
ζ(゚- ゚*ζ「ゔぅ゙ー……」
爪'ー`)y‐「唸ってる」
ξ゚⊿゚)ξ「唸ってるわ」
爪'ー`)y‐「何か居るのデレ」
ξ゚⊿゚)ξ「何の気配も無いわよ」
- 747 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:15:36 ID:A.tMRfhA0
ζ(゚- ゚*ζ「がう!」ザクザク
爪'ー`)y‐「デレ素手で雪を掘ると霜焼けになるよ」
ξ゚⊿゚)ξ「犬じゃないんだからあなた」
ζ(゚- ゚*ζ 「がうー!」
⊂彡 ザシャー
爪'ー`)y‐「あ、冬眠してたカエルが」
ξ゚⊿゚)ξ「なるほど、肉を掘っていたのね……」
爪'ー`)y‐「嫌な字面だな肉を掘るって……」
もやもやして発散するために掘ったんだけど、嬉しそうだからまぁ良いや。
カエルはお肉として食べよう、ここらへんのはきっと肥えてて美味しいよ。
近くにまだいるし、もういくつか掘ってお昼ご飯にしてもらおう。
ζ(゚- ゚*ζ 「がうー!」
⊂彡 ガシャー
爪'ー`)y‐「まるで鮭をとる熊のように」
ξ゚⊿゚)ξ「お肉が増えるわ」
爪'ー`)y‐「やったねツンちゃん」
ξ゚⊿゚)ξ「生態系を破壊しない程度に努めるわ」
爪'ー`)y‐「努めないと生態系を破壊するの怖すぎない」
- 748 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:16:35 ID:A.tMRfhA0
ξ゚⊿゚)ξ「そういや雪も減ってきたし、そろそろ次の街よね」
爪'ー`)y‐「間に村を挟むけど次の街はでっかいぞー、回りきるのに何日もかかるよ」
ξ゚⊿゚)ξ「美味しいものがありそうね」
爪'ー`)y‐「何とカジノがある」
ξ゚⊿゚)ξ「またか」
爪'ー`)y‐「前回はツンちゃんに大負けしたけど次は僕が稼ぎますよーぉ」
ξ゚⊿゚)ξ「ほーん」
爪'ー`)y‐「あっ信じてないな? 信じてないな? 絶対稼ぐからな? 路銀増やしまくるからな?」
ξ゚⊿゚)ξ「期待せずに待つわ」
爪'ー`)y‐「期待してよーんねーぇー」
ξ゚⊿゚)ξ「あーはいはい期待期待」
爪'ー`)y‐「絶対稼ぎまくってやるぅ……」
- 749 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:17:37 ID:A.tMRfhA0
ζ(゚- ゚*ζ
ζ(゚- ゚*ζ?
お姉さんとお兄さんは二人で旅をしてた。
だからけっこんしてると思ったけど、なんか違うらしい。
お姉さんはぜんぜん興味無さそうだし、お兄さんはぜんぜん好みじゃないって言う。
どうやらお兄さんはえふかっぷが好きだけどお姉さんはえーかっぷまいなすらしい。
なんか違うみたい。
デレは二人がけっこんしたらパパとママみたいで良いなぁと思うんだけど、
ぜんぜんそんな素振りもないし、なんかそう言うんじゃないみたいで。
でもそうかもしれなくて。
ζ(゚- ゚*ζ(おとなわからん)
ζ(゚- ゚*ζ(うー?)
ζ(゚- ゚*ζ「おにさんけっこんない?」
爪'ー`)y‐「えっ何を急に……僕は一夜限りのが良い……」
ξ゚⊿゚)ξ「そうやって呪われたんだろうに」
ζ(゚- ゚*ζ「おねさんけっこん……?」
ξ゚⊿゚)ξ「私がもっと強くなって私より強い男が現れたら考えるわ」
ζ(゚- ゚*ζ(むりこれ)
- 750 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:19:15 ID:A.tMRfhA0
ξ゚⊿゚)ξ「ねぇ狐、薪が無いからちょっと燃えてよ」
爪'ー`)y‐「一応は雇用主なのになー! 薪代わりに燃やそうとされてるなー!!」
ξ゚⊿゚)ξ「しょうがないじゃないこの雪だもの」
爪'ー`)y‐「うーん……野宿になるとつらいなこれは」
ξ゚⊿゚)ξ「かまくらでも作る?」
爪'ー`)y‐「最終手段だなぁ」
ζ(゚- ゚*ζ「あなほる、はいる、あたたか」
ξ゚⊿゚)ξ「そうか、掘る方が良いわね」
爪'ー`)y‐「ねぇ着々と野宿への準備やめよ? 地図見ると近くに村あるからね?」
ξ゚⊿゚)ξ「村っつーと……クエスト受けてた気がするんだけど」
爪'ー`)y‐「あー、常に貼ってある回数こなすと小銭がもらえるアレ?」
ξ゚⊿゚)ξ「そうアレ、雪の花を集めろだっけ」
爪'ー`)y‐「ティガレックス湧きそう」
ξ゚⊿゚)ξ「湧かない」
- 751 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:21:17 ID:A.tMRfhA0
爪'ー`)y‐「薬草にもなるし見た目が綺麗だから数必要なんだっけね」
ξ゚⊿゚)ξ「んー……しかし、白い花って話だったような」
爪'ー`)y‐「……銀世界だなぁ」
ξ゚⊿゚)ξ「別に断っても違約金発生しないし……」
爪'ー`)y‐「まぁそうだけど……」
*⊂ζ(゚- ゚*ζ「がう?」
ξ゚⊿゚)ξ
爪'ー`)y‐
ξ゚⊿゚)ξ「よく見つけたわね……」
ζ(゚- ゚*ζ「いっぱいある」
ξ゚⊿゚)ξ「どこに……?」
ζ(゚- ゚*ζ「う? ゆきのなかある」
ξ゚⊿゚)ξ
爪'ー`)y‐
- 752 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:22:50 ID:A.tMRfhA0
ξ゚⊿゚)ξ「諦めよう、寒いわ」
爪'ー`)y‐「そうだねお小遣い程度の代金だしね」
ζ(゚- ゚*ζ「デレさがす」
ξ゚⊿゚)ξ「やめなさい霜焼けになる」
ζ(゚- ゚*ζ三 ピュー
ξ゚⊿゚)ξ「待ちなさいデレ! こら!!」
爪'ー`)y‐「あーあー……庭を駆け回る犬のように……」
ξ゚⊿゚)ξ「温かいものをせめて」
爪'ー`)y‐「燃やすものがないね!」
ξ゚⊿゚)ξ「生け贄になろ?」
爪'ー`)y‐「人の体はそんなに燃えないよ?」
ξ゚⊿゚)ξ「試そ?」
爪'ー`)y‐「やだよ?」
- 753 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:23:57 ID:A.tMRfhA0
お姉さんとお兄さんは雪に触っているとだめみたいだけど、デレはぜんぜん平気。
雪にさわってもすぐに溶けるし、そんなに冷たいなとも思わない。
だからデレが、二人の分も頑張る。
二人の役に立ちたいから、雪のなか、お花を探す。
雪の花って言うのは、魔力を吸って夜に少しだけ光る白い花。
デレは魔力を見つけるのが得意だから、どこにお花があるのかすぐにわかる。
魔力は少し光るみたいに見える。
匂いもするし、肌がぴりぴり、尻尾がざわざわする。
すこしだけ温かい気もするし、うんと、よくわかんないけど見つけられる。
ざくざく。
ざくざく。
お花あった。
もっともっと。
ざくざく。
ざくざく。
もっともっと。
- 754 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:25:36 ID:A.tMRfhA0
ξ゚⊿゚)ξ「最近あんまり死んでないじゃない」
爪'ー`)y‐「平和でよろしいのでは?」
ξ゚⊿゚)ξ「あんた死ななきゃ何にもなんないじゃない」
爪'ー`)y‐「そんな存在価値はゾンビ体質みたいな」
ξ゚⊿゚)ξ「違った?」
爪'ー`)y‐「違いますぅー吟遊詩人としてのポジション確立してますぅー」
ξ゚⊿゚)ξ「ふむ、……しかし燃やすものが無いとつらいな」
爪'ー`)y‐「うーん……こんな時は」
ξ゚⊿゚)ξ「こんな時は?」
爪'ー`)y‐「枯れ木無いかなこの辺」
ξ゚⊿゚)ξ「枯れ木? 通称の方?」
爪'ー`)y‐「そうそう通称枯れ木」
- 755 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:28:18 ID:A.tMRfhA0
爪'ー`)y‐「あれは魔物なのかなぁ」
ξ゚⊿゚)ξ「さぁ……でもよく燃えるわよね……」
爪'ー`)y‐「雨の中拾ってきても燃える枯れ木ね、この辺に無いかなー」
ξ゚⊿゚)ξ「探すか枯れ木……」
爪'ー`)y‐「わりと擬態してるんだよね」
ξ゚⊿゚)ξ「そうそう、よく鳴くし」
爪'ー`)y‐「パキッと割れば静かになるんだけどなー、割れてると見付けられなくて」
ξ゚⊿゚)ξ「枯れ木出てこーい、燃やすから出てこーい」
爪'ー`)y‐「お、あの辺ありそうじゃない?」
ξ゚⊿゚)ξ「あー枯れ木ありそうね、挟み撃ちで行くか」
爪'ー`)y‐「せーの」
ξ゚⊿゚)ξ「そいっ」
- 756 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:31:08 ID:A.tMRfhA0
ごそごそ。
ざくざく。
ばさっ。
"ζ(>- <*ζ" プルプル
ζ(゚- ゚*ζ プハ
雪の中をうろうろして、たくさんお花をつんできた。
寝てたカエルもいっぱいとって、だいまんぞく。
お兄さんとお姉さんは、何かを燃やして焚き火をつくってる。
ぱちぱち音がして、生き物の焦げるにおいがした。
お花とおにくいっぱい。
よろこんでくれるかな。
抱えるくらい集めたからよろこんでくれるよね。
いっぱいほめてくれるよね。
わくわく。
- 757 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:31:32 ID:A.tMRfhA0
ζ(゚- ゚*ζ,,「がうがう!」
ξ゚⊿゚)ξ「あら、おかえりなさいデレ」
爪'ー`)y‐「うわーまたいっぱい集めて」
ζ(゚- ゚*ζ" フンスフンス
ξ゚⊿゚)ξ「何ドヤ顔決めてるのバカ、荷物置いて座りなさい」
ζ(゚- ゚*ζ!?
爪'ー`)y‐「あーあー鼻水出てるー」
ξ゚⊿゚)ξ「鼻も手も真っ赤じゃないの、ほら鼻かんで」
ζ(>- <*ζ プィーム
爪'ー`)y‐「はいお茶」
ζ(゚- ゚*ζ ホカホカ
ζ(゚- ゚*ζ
ζ(゚- ゚*ζ(おこられた)
- 758 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:32:12 ID:A.tMRfhA0
ξ゚⊿゚)ξ「あーもう尻尾も髪も雪まみれ」ゴシゴシ
爪'ー`)y‐「風邪引くよー?」バサバサ
ζ(゚- ゚*ζ「がう……」
おこられた。
しょんぼり。
ξ゚⊿゚)ξ「すごい量の花ねこれ……袋あったかしら」
爪'ー`)y‐「袋詰めはちょっと、せっかくデレが集めたんだし」
ζ(゚- ゚*ζ"
ξ゚⊿゚)ξ「束ねておくか……ちょうど良い紐は……」
爪'ー`)y‐「ツンちゃんのリボンなら」
ξ゚⊿゚)ξ「余ってるしそれで良いわ」
- 759 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:34:08 ID:A.tMRfhA0
爪'ー`)y‐「リボン好きだよねツンちゃん」
ξ゚⊿゚)ξ「姉様が私に付けるの好きだったのよね」
爪'ー`)y‐「習慣かー……よいしょ、こうかな?」
ξ゚⊿゚)ξ「役所に渡すだけなのに可愛らしく」
爪'ー`)y‐「ツンちゃんに任せると可愛いげがなくなるから」
ξ゚⊿゚)ξ「でも私あんたのセンスは信じてない」
爪'ー`)y‐「もう許そ?」
ξ゚⊿゚)ξ「ナイフ見せて」
爪'ー`)っ=ニニフ+ ギラギラ
ξ゚⊿゚)ξ「やっぱ趣味悪いわ」
爪'ー`)y‐「なーんーでー!?」
ξ゚⊿゚)ξ「何でてお前……
ζ(゚- ゚*ζ(ほうせきいっぱい)
- 760 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:34:58 ID:A.tMRfhA0
ξ゚⊿゚)ξ「デレ、暖まった?」
ζ(゚- ゚*ζ「あい」
ξ゚⊿゚)ξ「あんた小銭のためにそんなに頑張らなくても良いんだから、そこまで困窮してないのよ」
ζ(゚- ゚*ζ「あい……」
爪'ー`)y‐「ツンちゃん言い方が悪い」
ξ゚⊿゚)ξ「マジか」
爪'ー`)y‐「ツンちゃんはデレが風邪引かないか心配なだけだよー」
ζ(゚- ゚*ζ「あう?」
爪'ー`)y‐「実際雪の花の代金は安いし、そのためにデレが風邪を引いたら何にもならないでしょ?」
ζ(゚- ゚*ζ「うー……」
爪'ー`)づ「でもよくこれだけ集めたねー、偉い偉い」
ζ(- -*ζ「ぅー」
ξ゚⊿゚)ξ「私が悪者みたいなんだけど」
爪'ー`)y‐「このお姉さん怖いもんねー」
ξ゚⊿゚)ξ「あん?」
- 761 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:35:35 ID:A.tMRfhA0
爪'ー`)y‐「顔は怖いし素行も怖いし小さいくせに凶悪だしで十分悪いお姉さんかも知れない」
ξ゚⊿゚)ξ「スッゾオラーァアン?」
爪'ー`)y‐「やめてよ輩化するの怖いよ」
ξ゚⊿゚)ξ「喧嘩売られたなら買わないと」
爪'ー`)y‐「買うと言えば最近女の子と寝てない」
ξ゚⊿゚)ξ「最低だなその発想……」
爪'ー`)y‐「チビッコ&チビッコじゃ僕の女の子抱きたい欲が満たされない」
ξ゚⊿゚)ξ「次の街で買えよ……」
爪'ー`)y‐「買うか適当に見繕って連れ込むけどさぁ」
ζ(゚- ゚*ζ(かう……? どれい……?)
爪'ー`)y‐「もっとこうあるじゃん……何か……あるじゃん……」
ξ゚⊿゚)ξ「ねえよ知るかよ……」
- 762 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:36:01 ID:A.tMRfhA0
爪'ー`)y‐「あー潤いが欲しい……」
ζ(゚- ゚*ζ「おみずのむ……?」
爪'ー`)y‐「潤い(物理)」
ξ゚⊿゚)ξ「良かったわね潤いよ」
爪'ー`)y‐「雪解け水じゃ無くて女の子に求め求められするタイプの潤いがね」
ξ゚⊿゚)ξ「おい子供に説明すんな」
ζ(゚- ゚*ζ?
ζ(゚- ゚*ζ。o(おんなのこ=ξ゚⊿゚)ξ)
ζ(゚- ゚*ζ。o(もとめる=ひつよう)
ζ(゚- ゚*ζ。o(もとめられる=うた)
|
\ __ /
_ (m) _ピコーン
|ミ|
/ .`´ \
ζ(゚- ゚*ζ!
- 763 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:36:46 ID:A.tMRfhA0
爪'ー`)y‐「子供だからと避けて通れる話題ではないよツンちゃん」
ξ゚⊿゚)ξ「いや教える側は避ける事が出来る話題だろうがこれは」
ζ(゚- ゚*ζ「おねさん?」
ξ゚⊿゚)ξ「んぁ?」
ζ(゚- ゚*ζ「う?」
ξ゚⊿゚)ξ「え?」
ζ(゚- ゚*ζ「うるおい?」
ξ゚⊿゚)ξ
爪'ー`)y‐
ζ(゚- ゚*ζ?
ξ゚⊿゚)ξ「いやー……」
爪'ー`)y‐「乾ききってんなぁ……」
ζ(゚- ゚*ζ???
- 764 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:37:18 ID:A.tMRfhA0
ξ゚⊿゚)ξ「デレ……ずっと思ってたんだけど……あんた、私達を何か勘違いしてない……?」
ζ(゚- ゚*ζ?
爪'ー`)y‐「僕たちは旅をする上でパートナー同士だけど、男女の関係ではないよ……?」
ζ(゚- ゚*ζ??
ξ゚⊿゚)ξ「分かってないわよ」
爪'ー`)y‐「結婚はしてないし今後もしない関係です」
そζ(゚- ゚*ζ!?
ξ゚⊿゚)ξ「驚かれたぞおい」
爪'ー`)y‐「思ったより深刻そうだなおい」
ζ(゚- ゚*ζ「……けっこんしない……?」
爪'ー`)y‐「無いねぇ」
ξ゚⊿゚)ξ「無いわぁ……」
ζ(゚- ゚*ζ
ζ(゚- ゚*ζ(がぅー……)
- 765 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:37:55 ID:A.tMRfhA0
やっぱりなかった。
おこられたよりしょんぼり。
けっこんしたらデレがまんなかに居られると思ったのに。
二人はいちねんけいやくらしいから、一年でわかれちゃうみたいだし。
そうなったらデレはどうなるんだろう。
やだな。
さみしい。
ζ(゚- ゚*ζ「ぅ゙ぅ゙ー……」
ξ゚⊿゚)ξ「唸るな唸るな」
爪'ー`)y‐「そんなに結婚させたかったの……?」
ξ゚⊿゚)ξ「結婚の認識が異なる気がするのよね……」
爪'ー`)y‐「だいぶライトな感じするよね……」
ξ゚⊿゚)ξ「狐と結婚……はしないな……」
爪'ー`)y‐「さしもの僕もそれは無いと思うわー……」
- 766 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:39:11 ID:A.tMRfhA0
ξ゚⊿゚)ξ「まぁ、えー……何だ……」
爪'ー`)y‐「そうね……うん……」
ζ(゚- ゚*ζ「…………」
ξ゚⊿゚)ξ「飯食ったら行くか」
爪'ー`)y‐「そうだね日が落ちちゃうしね」
ζ(゚- ゚*ζ(ぐぬぅ……)
ξ゚⊿゚)ξ(納得いかない顔してる)
爪'ー`)y‐(さすがにあのワガママは聞けないぞー?)
ξ゚⊿゚)ξ(まぁパーティ契約的には似たようなもんだと納得してもらうしか)
爪'ー`)y‐(一年契約って知ってるから納得しないよあれ)
ξ゚⊿゚)ξ「延長する?」
爪'ー`)y‐「急に風俗みたいな事言い出さないでびっくりするから」
ξ゚⊿゚)ξ「知らんがな」
- 767 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:39:48 ID:A.tMRfhA0
二人はえんちょうするとかしないとか言いながら、後片付けをして歩き出した。
デレはおっきな花の束を抱えて、二人の後ろについていく。
結婚ないのはわかったけど、何でないのかはわかんない。
二人が離ればなれになったら、またデレは一人になっちゃう気がする。
デレはどこにいけば良いんだろう、二人の後ろがデレの居場所なのにな。
さみしいな、やだな。
一人はやだな、こわいな。
また売られるのかな。
おうちにはもう誰もいないし。
お姉さんはデレを助けてくれたご主人だから、一緒にいたいな。
でもお兄さんも助けてくれたし、やっぱり一緒にいたいな。
はぁ、お別れやだな。
ざくざく、ざくざく。
雪を踏む音がひろがって、消える前につながってく。
- 768 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:42:23 ID:A.tMRfhA0
はあはあ、冷たい空気を吸うおと。
ざくざく、凍った雪を踏みわるおと。
冷たくてぴんとはりつめたような匂い。
寒いところの匂いは、お姉さんのお守りの匂いに似てる。
ひんやりして、ひりひりして、でもすっとする匂い。
いやな気持ちがきれいになっていくみたいで、好きな匂い。
お姉さんは冷たくてしゃんとする匂い。
お兄さんは甘くてあったかい匂い。
ふたりともいいにおいがする。
ζ(゚- ゚*ζ「う」
ξ゚⊿゚)ξ「ん?」
ζ(゚- ゚*ζ「いる」
爪'ー`)y‐「んー? 魔物かな」
- 769 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:43:35 ID:A.tMRfhA0
ζ(゚- ゚*ζ「まものにおい」
ξ゚⊿゚)ξ「……真っ白で目視じゃ分からんな、音は」
爪'ー`)y‐「…………何の音もしないね」
ξ゚⊿゚)ξ「……気配はあるな、でもどこに……」
ζ(゚- ゚*ζ「おねさん!」
ξ゚⊿゚)ξ"「ん、ぅおっ!?」バッ
爪'ー`)y‐「え? え? 魔法飛んできた?」
ξ゚⊿゚)ξ「あービビった……火の魔法か今の」
爪'ー`)y‐「ヒール……はこんな風にはしないよね」
ξ゚⊿゚)ξ「あのバカはバカ正直だからな……」
ζ(゚- ゚*ζ「おねさん! まだくる!」
- 770 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:44:11 ID:A.tMRfhA0
- -=◎
ヒュッ -=◎ 三ξ;゚⊿゚)ξ
-=◎ 「なんかエネルギー弾みたいなの来たんだけど!?」
爪'ー`)y‐「ツンちゃんしか狙わねぇなこのエネルギー弾!」
ζ(゚- ゚*ζ「おねさんよけて! まりょく! かたまり!」
三ξ;゚⊿゚)ξ「解読しろ狐ェ!」
爪'ー`)y‐「えーと……無属性の魔力のかたまりがツンちゃんを襲ってる感じ?」
三ξ;゚⊿゚)ξ「雪で動きにくいのに私だけ狙うのやめろ!!」
ζ(゚- ゚;*ζ「ぁー! おねさん! あぶな!」
ξ;゚⊿゚)ξ"「あっ」ズルッ
爪'ー`)y‐「あ」
< ズシャー バリバリー ウギャー
爪'ー`)y‐「……ツンちゃんがこうなるの初めて見たな……」
ζ(゚- ゚;*ζ「おねさーん!!」
- 771 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:45:14 ID:A.tMRfhA0
ξ;゚⊿゚)ξ「死んだらどーす……あれ、ほぼ無ダメ……?」
爪'ー`)y‐「あれ、エネルギー弾モロに食らってなかった?」
ξ゚⊿゚)ξ「三発くらい貰ったような……意外とダメージ無いのかあれ」
ζ(゚- ゚*ζ(ない……つよいのだった……)
爪'ー`)y‐「じゃあ押し勝てるのでは?」
,,ξ゚⊿゚)ξ「よし、飛んできたのはあっちからだな」
ζ(゚- ゚*ζ(おかし……いたいない、なんで……?)
爪'ー`)y‐「ん? あ、ツンちゃーん、お守り外れてるよー?」
ξ゚⊿゚)ξ「持っといて、金具で下げると駄目ね……すぐ壊れる……」
そζ(゚- ゚*ζハッ
ζ(゚- ゚;*ζ「おねさーん!! こっちもどるー!!」
ヒュッ -=◎
-=◎ ξ゚⊿゚)ξ"「? どうしたのデレ」クルッ
爪'ー`)y‐「あ」
ζ(゚- ゚;*ζ「あ」
< バリバリー ウギャアアアア
- 772 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:45:57 ID:A.tMRfhA0
ξ ⊿ )ξ
ζ(゚- ゚;*ζ「おねさ! おねさん!! だいじ!?」
爪'ー`)y‐「うわー焦げてる」
ξ゚⊿゚)ξ「痛い」
爪'ー`)y‐「血が出てる」
ξ゚⊿゚)ξ「すごく痛い」
爪'ー`)y‐「鎧焦げてる」
ξ゚⊿゚)ξ「さっき無ダメだったのに」
爪'ー`)y‐「うわまだビリビリする、魔法攻撃こっわ」
ζ(゚- ゚*ζ「おねさん……おまもり……」
ξ゚⊿゚)ξハッ
爪'ー`)y‐「あー、これマジで効果あるの?」
ξ゚⊿゚)ξ「貸して」
爪'ー`)つ「はい」
- 773 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:46:32 ID:A.tMRfhA0
ξ゚⊿゚)ξ「お守り握って」
-=◎)⊿゚)ξそ メゴォ バリバリー
ξ゚⊿゚)ξ
ξ゚⊿゚)ξ「平気なんだけど」
爪'ー`)y‐「お守り貸して」
ξ゚⊿゚)ξつ「ん」
-=◎)⊿ )ξ=゚そ メゴォ バリバリー
ξ ⊿ )ξ=3 プシュー…
爪'ー`)y‐「効果あるねこれ」
ζ(゚- ゚;*ζ「お、おねさーん!!」
ξ゚⊿゚)ξ「クソ痛い」
爪'ー`)y‐「はいお守りちゃんとつけて」
ξ゚⊿゚)ξ「今は腕にはめよう」
- 774 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:47:02 ID:A.tMRfhA0
爪'ー`)y‐「ところで何がさっきから攻撃してきてんの」
ζ(゚- ゚;*ζ「まもの」
ξ゚⊿゚)ξ「本当に魔法使う魔物とか居たのね」
爪'ー`)y‐「めっちゃ居るよね」
ξ゚⊿゚)ξ「初遭遇だわ……」
爪'ー`)y‐「わりと多いけど今まで遭遇してなかったの……」
ξ゚⊿゚)ξ「だから魔防が大事なんて思ってもなかった」
爪'ー`)y‐「ヒールに感謝しようね……」
ξ゚⊿゚)ξ「今度あったらこてんぱんにしてあげなきゃ……」
爪'ー`)y‐「感謝ァ」
ξ゚⊿゚)ξ「たまには本気で相手をしてあげないと」
爪'ー`)y‐「お礼にフルボッコにするとか……」
- 775 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:47:52 ID:A.tMRfhA0
ξ゚⊿゚)ξ「おー、お守りつけたら魔法もらっても痛くも痒くもない」
爪'ー`)y‐「ツンちゃーん新品の外套焦げてるよー」
ξ゚⊿゚)ξ「っざけんなよ……結構したのにこれ……」
爪'ー`)y‐「あと歩いてくと血が落ちてるの怖い……」
ξ゚⊿゚)ξ「これくらいなら掠り傷よ、よし見付けた」
爪'ー`)y‐「どんなのー?」
ξ゚⊿゚)ξ「なんか犬みたいなやつ、投げるから受け取れー」
爪'ー`)y‐「魔物のパーツが飛んでくるから受け取ろうねデレ」
ζ(゚- ゚*ζ「ない……」
爪'ー`)y‐「無いけどあるんだよ……」
ζ(゚- ゚*ζ「ごはんなる?」
爪'ー`)y‐「うーん、夕飯はこの先の村で食べるかなぁ」
ζ(゚- ゚;*ζ「あ」
爪'(◎=-:;",ヒュッ
ボヂャッ「あ゙」
- 776 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:49:31 ID:A.tMRfhA0
,,ξ゚⊿゚)ξ「急に撃ってきてビビっ……うわ」ボタボタ
爪 ,;:,,
ζ(゚- ゚*ζ「おにさんぐしゃぐしゃ……」
ξ゚⊿゚)ξ「久々に顔面粉砕したわね……」
ζ(゚- ゚*ζ「まものあぶない」
ξ゚⊿゚)ξ「そうね、後で役所に報告しましょ」
ζ(゚- ゚*ζ「おにく?」
ξ゚⊿゚)ξつ「ああこれ? 暴れるから握り潰したのよ、頭」デロリ
ζ(゚- ゚*ζ「みそぉ……」
ξ゚⊿゚)ξ「みそね」
爪 ,:;, ジュルジュル
ξ゚⊿゚)ξ「あ、戻ってく」
- 777 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:50:17 ID:A.tMRfhA0
爪 Д,;,ジュルジュル
ζ(゚- ゚*ζ(こわい)
爪'ー`)y‐+ペカーン
ξ゚⊿゚)ξ「段階飛ばしてない?」
爪'ー`)y‐「長々再生シーンを見せるわけにも」
ζ(゚- ゚*ζ「う? おにさん、ふくついてる」
爪'ー`)y‐「んー? ……おや、何だろこのキラキラしたもの」
ξ゚⊿゚)ξ「何かの粒……結晶?」
爪'ー`)y‐「氷……じゃないな、青くて透明な……石みたいな……」
ζ(゚- ゚*ζ「うー? こっちある」
ξ゚⊿゚)ξ「あんたの脳漿が散った辺りね」
爪'ー`)y‐「僕の頭の中に何かあったんだろうか」
ξ゚⊿゚)ξ「爆弾が?」
爪'ー`)y‐「それはない」
- 778 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:51:09 ID:A.tMRfhA0
爪'ー`)y‐「僕が死んでたあたりにいっぱい何かの結晶が落ちてる……」
ξ゚⊿゚)ξ「大事な部位かも知れないから集めておきましょ」
爪'ー`)y‐「確かに……僕の頭にあったのなら無くしちゃいけないかもしれない……」
ζ(゚- ゚*ζ「がうがう……」
ξ゚⊿゚)ξ「集めてみるとそれなりの量ね……」
爪'ー`)y‐「割れた感じじゃないね」
ξ゚⊿゚)ξ「元からこの大きさだったって事?」
爪'ー`)y‐「うーん……脳内にこんなのが散らばってたのかな……だとしたらやだな……」
ξ゚⊿゚)ξ「本当に何なのかしらこれ……綺麗だけど……」
ζ(゚- ゚*ζ「あつめた」
爪'ー`)y‐「これくらいかな?」
ξ゚⊿゚)ξ「そうね、袋に入れときましょ、今度ヒールにでも聞いてみたら分かるかも」
爪'ー`)y‐「あの子は魔女としてはそこそこだからねぇ」
- 779 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:51:44 ID:A.tMRfhA0
ξ゚⊿゚)ξ「さて、この肉はどうしましょ」
爪'ー`)y‐「身体の方は綺麗だし分別して売れるんじゃない?」
ξ゚⊿゚)ξ「皮剥ぐにも雪の中じゃね……処理だけしてこのまま持っていくか」
ζ(゚- ゚*ζ「デレもつ」
ξ゚⊿゚)ξ「花持ってろ」
爪'ー`)y‐「それより手当てしないと、ほら術式」
ξ゚⊿゚)ξ「デレ使える?」
ζ(゚- ゚*ζ「がんばる」
⊂ζ(゚- ゚⊂ζ ポワワー
ξ゚⊿゚)ξ ポワワー
爪'ー`)y‐「おー治る治る」
ξ゚⊿゚)ξ「装備は傷ついたけど、まぁ今度直すか……ありがとデレ」
ζ(゚- ゚*ζ「あい!」
- 780 名無しさん[sage] 2017/01/22(日) 21:52:57 ID:A.tMRfhA0
おにくをずるずる。
あしおとざくざく。
デレがもっと言葉が得意だったらな。
お姉さんが怪我せずに済んだのにな。
デレがもっと魔法を使えたらな。
お姉さんの怪我もすぐに治せるのにな。
デレやっぱりやくたたずだな。
もっともっと、二人におんがえししたいのにな。
魔法が使えたら、たくさん役に立てるのに。
どうして魔族なのに魔法使うのが下手なんだろう。
ううんわかってる。
教えてもらってないからだってわかってる。
でもやっぱり、なんだかもやもやするなぁ。
おわり。