791 ◆tYDPzDQgtA 2017/01/29(日) 21:01:15 ID:hJjhTYic0


 例えばそれは踏み固められたつなぐ道、時には森の獣道。

 騒がしい酒場の熱気、賑やかな町の営み。

 周囲にはいつも退屈とは無縁のものばかり。
 聞こえるのは風を斬る音、たゆたうような詩人の歌声、獣じみた幼い咆哮。

 刃を振るい、歌声を響かせ、魔力を用い、路銀を稼いで進むのは三人。


 一人は不機嫌そうに顔を歪める、若い女戦士。
 もう一人は、軽薄そうにへらへら笑う優男の吟遊詩人。
 そんな二人の後ろをついて歩く、小さな魔族の子供。



 【道のようです】
 【第十二話 いやなきもちをはらおう。 後編】



 彼らの進む先にはいつも、血肉の臭いと歌声が存在する。

792 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:03:12 ID:hJjhTYic0

 ずるずる、ざくざく。
 ずるずる、ざくざく。


 だまって歩いて数時間。

 お日様がかたむきはじめた頃に、小さな村にたどり着いた。

 動物がたくさん、デレに似た角の動物もいる。
 雪は減ってきたけど景色はまだ真っ白、お兄さんの息が白くて、たばこの煙と見分けがつかない。


ξ゚⊿゚)ξ「あー寒かった……宿はどこだぁ……」

爪'ー`)y‐「あっちの通りが冒険者用みたい、あーお店も並んでて便利そう」

ξ゚⊿゚)ξ「役所のならびに全部あると楽で良いわー……」

ζ(゚- ゚*ζ「おはなやくしょ?」

ξ゚⊿゚)ξ「そうそう、クエスト完了したって言いに行く?」

ζ(゚- ゚*ζ「デレ?」

ξ゚⊿゚)ξ「そうあんた」

ζ(゚- ゚*ζ" パァァ

ξ゚⊿゚)ξ(嬉しそうに)

爪'ー`)y‐(そんなに嬉しいか)

793 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:04:21 ID:hJjhTYic0

 おつかい、おつかい。
 はじめてのおつかい。

 デレが頑張ったっていっていいのかな。
 ほめてもらえるのかな。

 わくわく、わくわく。


爪'ー`)y‐「じゃあ僕はこの肉と肉を売ってから宿の方行くから」

ξ゚⊿゚)ξ「役所で荷物渡したら行くわ」

ζ(゚- ゚*ζピタ

ξ゚⊿゚)ξ?

ζ(゚- ゚*ζ「しらないひとこわい……」

ξ゚⊿゚)ξ「あぁー……」

ζ(゚- ゚*ζ「ぅー……」

ξ゚⊿゚)ξ「……やめる?」

ζ(゚- ゚*ζ

ξ゚⊿゚)ξ

ζ(゚- ゚*ζ「やる」

ξ゚⊿゚)ξ「よく言った」

794 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:05:29 ID:hJjhTYic0

 こわい。
 知らない人は、デレを怖い目で見るからこわい。

 こわいけど、タカラみたくやさしいかもしれない。

 お姉さんが隣にいるから、怖いことないから、頑張って。


ζ(゚- ゚*ζ「が、がぅ……」

( ・∀・)「ようこそー本日はどのようなご用件でしょうか?」

ξ゚⊿゚)ξ「ほらデレ」

ζ(゚- ゚*ζ「ぅ……お、おはな、あつめた……」

( ・∀・)「ああ、雪の花採取ですか? ありがとうございます、パーティ名は?」

ξ゚⊿゚)ξ「焼きたてパンと溶かしバター、はい証明章」

( ・∀・)

ξ゚⊿゚)ξ

( ・∀・)「あー……はいはい、あの最近よく見る」

ξ゚⊿゚)ξ(マジで有名なのか)

795 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:06:38 ID:hJjhTYic0

( ・∀・)「はいではお花を受けとりますね、良いかな?」

ζ(゚- ゚*ζ「あ、あい!」

( ・∀・)「妹さんですか?」

ξ゚⊿゚)ξ「いや元奴隷で、花もこの子が集めたんですよね」

( ・∀・)「はぁそれはそれは、珍しい肌の色だなと思って……あっと、」パサ

ζ(゚- ゚*ζ「う?」

ξ゚⊿゚)ξ「あーほら、フードかぶってるから」

( ・∀・)「…………」

ξ゚⊿゚)ξ?

( ・∀・)「亜人、ですか? ……角は珍しい」

ξ゚⊿゚)ξ「ああいや」

ζ(゚- ゚*ζ「まぞく」

( ・∀・)「…………」

ξ゚⊿゚)ξ(あ、これは)

796 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:07:30 ID:hJjhTYic0

( ・∀・)「申し訳ありませんが、雪の花は受け取れません」

ζ(゚- ゚;*ζ「あぅ!?」

ξ゚⊿゚)ξ(あー)

( ・∀・)「魔族の触った物は受け取れません」

ζ(゚- ゚;*ζ「あ、ぅ……」

( ・∀・)「金ランクの冒険者の方ですし追い出しはしませんが、その魔族を連れ歩くのは控えて下さい」

ξ゚⊿゚)ξ「ほう」

ζ(。 。`*ζ「…………」


 この人は、こわい方のひとだった。
 デレや魔族を嫌いな方のひとだった。

 こういうのいっぱいあったから、知ってるけど。
 知ってるけど、やっぱりなんか痛い。


 お姉さんを見上げたら、すごく冷たい目をしてて。

 でも怒ったら、またお姉さんが大変かもしれないし。
 いまは近くにお兄さんもいないし、デレはどうすればいいんだろう。

 怒ったら、おこらないでっていうしかないのかな。
 ちゃんととめないと、お姉さんが人殺しになっちゃうから。


 うー。
 はなのおくが、つんとしていたい。

798 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:08:30 ID:hJjhTYic0

( ・∀・)「それでは、申し訳ありませんが」

ξ゚⊿゚)ξ「して、理由は?」

( ・∀・)「は?」

ξ゚⊿゚)ξ「うちのデレが、集めた花を、受け取れない理由は?」

( ・∀・)「……ですから、魔族だからですよ」

ξ゚⊿゚)ξ「ほう」

( ・∀・)「先の侵略や戦争についてはご存知でしょう? 魔族の行いを許せますか?」

ξ゚⊿゚)ξ「それはどうでしょうね」

( ・∀・)「……失礼ですが、人間の敵である人殺しの種族を連れ歩くのはお勧めしませんね
     あなたは確か、英雄と呼ばれる師匠をお持ちなんですよね? お師匠に恥じる事になりますよ」


 ひとごろし。

 デレは、ひとごろしの種族なんだ。


ζ(。 。`*ζシュン

799 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:09:24 ID:hJjhTYic0

 デレは人をころした事なんてないけど。
 デレと同じ種族のひとが人間をころしたから、デレもひとごろしの仲間なんだ。

 好きで魔族に生まれたわけじゃないけど、
 魔族がいやだって思ったこともなくて。

 パパとママは大好きで。
 でも、魔族だから迷惑かけるなら、違うほうがよかったのかな。

 にんげんなら、迷惑かけなかったのかなぁ。


ξ゚⊿゚)ξ「じゃああんたも人殺しの種族よね」


 お姉さんの、空気を裂くみたいな、よく通る声。


( ・∀・)「…………は?」

ξ゚⊿゚)ξ「は? じゃないわよ、あんたは何も知らないの?」

( ・∀・)「……いや、何がですか、急に」

800 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:10:05 ID:hJjhTYic0

ξ゚⊿゚)ξ「人間が魔族の世界に侵略もした、多くの魔族を人間が殺した、なら私達人間も人殺しの種族よ」

( ・∀・)「何を屁理屈を」

ξ゚⊿゚)ξ「屁理屈? ならついでに教えてあげるわ、人間を最も殺し、凌辱し、侵略してるのも人間」

(;・∀・)「っ……ですから!」

ξ゚⊿゚)ξ「それと師匠の事を口にしたわね」

(;・∀・)「……それがどうかしましたか」

ξ゚⊿゚)ξ「師匠は魔族に故郷も愛する人も奪われた
     けれどあの方が今最も愛するのは、養女である魔族の、私が姉様と慕う人よ」

(;・∀・)「…………」

ξ゚⊿゚)ξ「この場で叩き斬られないだけ有り難く思いなさい、私はね」


 ばき、めきめき。

 カウンターがへしゃげて、木くずに変わっていく。



ξ゚⊿゚)ξ「怒ってるわ、とても」

802 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:11:31 ID:hJjhTYic0

(;・∀・)「…………でも、あの……」

,,(*゚ー゚)「失礼しましたお客様」

(;・∀・)「所長……」

(*゚ー゚)「部下が大変な無礼を、心からお詫び申し上げます」

ξ゚⊿゚)ξ「いいえ、私こそカウンターを握り潰して申し訳無い」

(*゚ー゚)「……魔族のお嬢さん、お名前は?」

ζ(ぅ- ゚*ζ「……デレ……」

(*^ー^)「デレさん、お花をお受け取りします、渡して貰えますか?」

⊂ζ(゚- ゚*ζ「……あい」

(*^ー^)「ありがとうございます、確かに受けとりました、数を数えますので、少しお待ちください」

(;・∀・)「所長っ、魔族ですよ!?」

(*゚ー゚)「あなたこっちに来なさい」

803 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:12:36 ID:hJjhTYic0

ζ(゚- ゚*ζ「…………」

ξ゚⊿゚)ξ「デレ」

ζ(゚- ゚*ζ「あい……」

ξ゚⊿゚)ξ「負い目なんか感じるな」

ζ(゚- ゚*ζ「…………」

ξ゚⊿゚)ξ「胸を張れ、両親を蔑む事はするな」

ζ(゚- ゚*ζ「……あい」

,,(*゚ー゚)「お客様」

ξ゚⊿゚)ξ「はい」

(*゚ー゚)「本当に申し訳ございませんでした、今後このような事が起きないよう、指導を徹底します」

ξ゚⊿゚)ξ「いえ別に」

(*゚ー゚)「……ただ、その……まだやっぱり、魔族へ反感を持つ者は居まして……」

ξ゚⊿゚)ξ「ですよねぇ……」

804 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:13:22 ID:hJjhTYic0

(*゚ー゚)「あの者も普段はあんな感じじゃ無いんですよ……でもやっぱり先の戦争で色々……」

ξ゚⊿゚)ξ「分かります分かります……うちの村も消滅しました……」

(*゚ー゚)「坊主憎けりゃでつい脊髄反射であんな事を……本当に申し訳無いです……」

ξ゚⊿゚)ξ「いや私もカウンターを……」

(*゚ー゚)「適当に保険で直しますからそこは……それよりデレさんに申し訳なく……」

ξ゚⊿゚)ξ「あー……まぁ、こんな事もあるだろうなぁとは思ってました」

(*゚ー゚)「本当……本当に申し訳……デレさん嫌な思いをさせてごめんなさい……」

ζ(゚-|

ξ゚⊿゚)ξ「あー隠れた」

(*゚ー゚)「あぁぁぁ……役所が人選ぶなっていつも言ってるのに……」

ξ゚⊿゚)ξ「……まぁ、人には事情もありますから」

(*゚ー゚)「しかし……」

ξ゚⊿゚)ξ「それが私の道理にかなうかと言うと、また別問題なので」

(*゚ー゚)「仰有る通りです……」

805 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:14:01 ID:hJjhTYic0

( ・∀・)「……花数えました、254本です」

(*゚ー゚)「聞いた事もない本数が」

( ・∀・)「……合計銀貨二枚と銅貨五枚です」

ξ゚⊿゚)ξ「デレ」

ζ(゚-|

ξ゚⊿゚)ξ「受け取りなさい、あんたの金よ」

(*゚ー゚)「お支払して、手渡しで」

(;・∀・)「は!?」

,,ζ(゚|

ξ゚⊿゚)ξ

(*゚ー゚)

(;・∀・)

807 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:14:37 ID:hJjhTYic0

(;・∀・)っ◎「……代金です」

(*゚ー゚)「声が小さい」

(;・∀・)「代金です!」

(*゚ー゚)「何の」

(;・∀・)「雪の花の! 代金です!」

(*゚ー゚)「詳細をお伝えしなさい」

(;・∀・)「雪の花254本分の代金、銀貨二枚と銅貨五枚です! お受け取りください!!」

(*゚ー゚)「大声出さないでお客様に迷惑でしょ」

(;・∀・)「どうしろと!? 受けとりませんし!!」

(*゚ー゚)「後で指導室来なさいね、ほら貸して」

"ζ(゚-|

(*゚ー゚)「デレさん、嫌な思いをさせてごめんなさい
     集めてくれた雪の花のお代です、受け取ってください」

ζ(゚-|

ζ(゚- ゚*ζ,,|

ζ(゚- ゚*ζ「あい……ありあとござます……」

(*^ー^)「こちらこそ、ありがとうございました」

808 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:15:15 ID:hJjhTYic0

(*゚ー゚)「焼きたてパンと溶かしバターのツンさんも、申し訳ございませんでした」

ξ゚⊿゚)ξ「いえ、ところで一つ良いですか」

(*゚ー゚)「はい」

ξ゚⊿゚)ξ「カウンター、丸ごと取り替えですか?」

(*゚ー゚)「はい、もう古いので」

ξ゚⊿゚)ξ「それじゃあ失礼して」




( ・∀・)「…………」

(*゚ー゚)「はー……本当、再指導だから君」

( ・∀・)「だって……」

(*゚ー゚)「人は人を選んで良いけど、役所が人を選ばないで」

( ・∀・)「……はい」

809 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:16:27 ID:hJjhTYic0

(*゚ー゚)「……しかし、大変な相手に喧嘩売って」

( ・∀・)「……カウンター、叩き割られましたね」

(*゚ー゚)「素手一撃で木っ端とは……保険下りるけど……」

( ・∀・)「…………所長も魔族嫌いじゃないですか」

(*゚ー゚)「嫌いよ、でも役所の所長なのよこっちは、公務員としてのプライドはあるのよ」

( ・∀・)「…………」

(*゚ー゚)「嫌うなら好きなように嫌えば良い、でも公私は分けなさい」

( ・∀・)「はい……」

(*゚ー゚)「…………あんな小さい子供相手に、隣に英雄の弟子が居るのに、よく喧嘩売るわ本当」

( ・∀・)「……すみませんでした」

(*゚ー゚)「君あの子に謝らなかったでしょ、人は人の行動を役所や町全体で見るのよ」

( ・∀・)「…………」

(*゚ー゚)「もう面倒は起こさないで、花は適当に出荷して」

( ・∀・)「はい……」

(*゚ー゚)=3

(*゚ー゚)

(*゚ー゚)(魔族は嫌いだけど、種族問わず小さい子いじめるのはクソだわ……)

810 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:17:53 ID:hJjhTYic0



ξ゚⊿゚)ξ

ζ(゚- ゚*ζ

ξ゚⊿゚)ξ「久々に素手で本気だしたわ」

ζ(゚- ゚*ζ「あう」

ξ゚⊿゚)ξ「あの所長はプロだったわね」

ζ(゚- ゚*ζ「……あう」

ξ゚⊿゚)ξ「……デレ」

ζ(゚- ゚*ζ「あい……」

ξ゚⊿゚)ξ「手、繋ぐわよ」

ζ(゚- ゚*ζ「…………あい」

ξ゚⊿゚)ξ「何か買う? それはあんたが稼いだあんたの金よ」

ζ(゚- ゚*ζ" フルフル

ξ゚⊿゚)ξ「……宿に行きましょ、狐が待ってる」

ζ(゚- ゚*ζ「あい……」

ξ゚⊿゚)ξ(くそったれ、あいつら魔族みたいな顔してる癖に)

812 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:19:21 ID:hJjhTYic0



爪'ー`)y‐「…………で、落ち込んでんの?」

ξ゚⊿゚)ξ「そ、ベッドから出てこなくなったわ」

爪'ー`)y‐「はーん……まぁ差別はあるだろうねぇ、反感持つ人も居るよね」

ξ゚⊿゚)ξ「まぁ居るわ、こっちに魔族は少ないから余計ね……目立つのよやっぱり」

爪'ー`)y‐「で?」

ξ゚⊿゚)ξ「カウンター叩き潰した」

爪'ー`)y‐「うんうん、見事に酒場の話題を作ってくれて」

ξ゚⊿゚)ξ「焼きたてパンはどう思う?」

爪'ー`)y‐「焼きたてパンとしてはどうでも良いです」

ξ゚⊿゚)ξ「まぁそうよね」

爪'ー`)y‐「溶かしバターちゃんも別に差別なくそうとかそう言うの無いじゃん」

ξ゚⊿゚)ξ「溶かしバターもそう言うのは無いですね」

爪'ー`)y‐「でも身内がアレだとムカつくんだよね」

814 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:21:14 ID:hJjhTYic0

ξ゚⊿゚)ξ「まぁ人がどう思うかなんて自由だしどうしようもないじゃない」

爪'ー`)y‐「うんうん」

ξ゚⊿゚)ξ「でも私がそれに対して腹を立てるのも自由なわけよ」

爪'ー`)y‐「うんうん」

ξ゚⊿゚)ξ「だからキレた」

爪'ー`)y‐「はい好きー」

ξ゚⊿゚)ξ「きもーい」

爪'ー`)y‐「焼きたてパンとしてもそんな感じ、もうちょい俯瞰気味だけど」

ξ゚⊿゚)ξ「根絶出来るものじゃないしね」

爪'ー`)y‐「でも」

ξ゚⊿゚)ξ「でも」

爪'ー`)y‐「うちのデレは魔族とか抜きにあざといから……」

ξ゚⊿゚)ξ「うちの子が一番かわいい」

爪'ー`)y‐「わーかーるーぅ」

ξ゚⊿゚)ξ(これもしかしてペットでは)

爪'ー`)y‐(シッ)

815 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:22:48 ID:hJjhTYic0

爪'ー`)y‐(聞いた感じだと優しそうだった所長さんさ)

ξ゚⊿゚)ξ(あの人絶対魔族嫌いよ)

爪'ー`)y‐(だよね)

ξ゚⊿゚)ξ(雰囲気から察するのよねアレ、デレは気付いてなかったし隠すの上手かったけど)

爪'ー`)y‐(冒険者してて人を見慣れてると分かっちゃうよねー)

ξ゚⊿゚)ξ(いや私はあんたで慣れたんだけど)

爪'ー`)y‐(まーじーかー)

ξ゚⊿゚)ξ(うんマジ)

爪'ー`)y‐「あ、そうださっきお菓子貰ったんだよね」

ξ゚⊿゚)ξ「何を急に」

爪'ー`)y‐「お店のおばあちゃんに『あらー男前だねぇおやつあげようねぇ』(裏声)って」

ξ゚⊿゚)ξ「ンブッフ」

爪'ー`)y‐「デレおやつだよーおいでーお兄さんのお膝においでー」

ξ゚⊿゚)ξ

爪'ー`)y‐

ξ゚⊿゚)ξ「来ないわね」

爪'ー`)y‐「かなしい」

816 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:23:47 ID:hJjhTYic0

ξ゚⊿゚)ξ「ふむ……デレ、来い」

ζ(゚- ゚*ζ,,モソ…

爪'ー`)y‐「うーわ従順」

ξ゚⊿゚)ξ「膝に」

ζ(゚- ゚*ζ「あい……」モゾモゾ…

ξ゚⊿゚)ξ  バァ----z____ン!!
 つ(゚- ゚*ζ
   ⊂ ヽ

爪'ー`)y‐「当て付けかな?」

ξ゚⊿゚)ξ「うん、羨め」

爪'ー`)y‐「羨ましいと言うか何か敗北の決まっていた勝負なのに悔しさが」

ξ゚⊿゚)ξ「囀ずるが良い敗北者よ」

爪'ー`)y‐「世紀末感のある言いぐさやめて……」

818 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:25:50 ID:hJjhTYic0

ξ゚⊿゚)ξ「デレ、あんたは何が一番気に食わない?」

ζ(゚- ゚*ζ「…………」

ξ゚⊿゚)ξ「差別を受けた事か、自分の種族を愚弄された事か」

ζ(゚- ゚*ζ「…………」

ξ゚⊿゚)ξ「何が嫌でそう腐ってるのか、はっきり言いなさい」

爪'ー`)y‐「ツンちゃんもうちょっとソフトに聞きなよ」

ξ゚⊿゚)ξ「あんたは黙ってて」

ζ(゚- ゚*ζ「……おねさん」

ξ゚⊿゚)ξ「私?」

ζ(゚- ゚*ζ「おねさんおこる……ない……」

ξ゚⊿゚)ξ「…………」

ζ(゚- ゚*ζ「デレまぞく……おにさんとおねさん、いやなおもいする……」

819 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:26:33 ID:hJjhTYic0

ξ゚⊿゚)ξ「私たちが嫌な思いをするから嫌だ、と」

ζ(゚- ゚*ζ「あい……」

ξ゚⊿゚)ξ「たわけが」

ζ(゚- ゚*ζ「う?」

ξ゚⊿゚)ξ「私たちがそれだけの事を引きずるように見えるの?」

爪'ー`)y‐(見える)

ξ゚⊿゚)ξ(だまれ)

ζ(゚- ゚*ζ「ぅ……でも、おねさんおこる……ひとごろし、ない……」

ξ゚⊿゚)ξ「一般人は殺さないわよ……主に殺すのはこいつであって」

爪'ー`)y‐「今ならストレス発散で死んであげるよ……」

ξ゚⊿゚)ξ「じゃあメガンテして」

爪'ー`)y‐「MPが足りないなぁ……」

820 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:28:12 ID:hJjhTYic0

ξ゚⊿゚)ξ「……あんたは、あんたの事を考えなさい、デレ」

ζ(゚- ゚*ζ「…………」

ξ゚⊿゚)ξ「私たちは確かに弱い部分もある、守りきれない事もある
     それでも私たちは、あんたより大人なのよ、大人だから色々飲み込む術を知っているの」

爪'ー`)y‐「良い事かはさておき、僕らは色々と慣れちゃってる事も多いからねぇ」

ξ゚⊿゚)ξ(まぁ流せない事の方が多いけどな)

爪'ー`)y‐(慣れてもムカつくのが人間のさがだけどね)

ξ゚⊿゚)ξ「あんたはまだ子供よ、デレ、もっと自分の事を考えなさい」

ζ(゚- ゚*ζ「……ぅ……ぅぅー……」

ξ゚⊿゚)ξ「誰もあんたを捨てたりしない」

ζ(゚- ゚*ζ!

821 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:30:02 ID:hJjhTYic0

爪'ー`)y‐「僕らの旅の目的は一応王都の城下町近くに住む魔導師に会う、だけどさ
     もう一つの目的は、城下町に住むツンちゃんのお師匠さんの元に君を送り届ける、なんだよ」

ζ(゚- ゚*ζ

ξ゚⊿゚)ξ「あんたの居場所は今はここだけど、ちゃんと住む場所に届けるつもりなのよ」

ζ(゚- ゚*ζ

ξ゚⊿゚)ξ「それは捨てるって事じゃない、旅には危険が多いから、最も安全な場所に居て欲しいのよ」

ζ(゚- ゚*ζ

爪'ー`)y‐「嫌だったらはっきり言ってよぉデレ」

ζ(゚- ゚*ζ

ζ(゚- ゚*ζ「や」

爪'ー`)y‐「お?」

ζ(;- ゚*ζ「や、あ」

ξ゚⊿゚)ξ「あっ」

ζ(;- ;*ζ「やだぁ……」

爪'ー`)y‐「あーあー」

ξ゚⊿゚)ξ「あーあーあー」

823 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:32:42 ID:hJjhTYic0

ζ(;- ;*ζ「おねさんとおにさんいっしょいる……やだぁ……」

ξ゚⊿゚)ξ「あーあーもう泣くな泣くな」

ζ(∩-∩*ζ「やだぁぁぁ……」

爪'ー`)y‐「泣かない泣かない、捨てたりしないから」

ζ(∩-∩*ζ「うー……うぅー……やだぁ……デレいっしょいるぅ……」

爪'ー`)y‐「あぁー、珍しい駄々っ子だ」

ξ゚⊿゚)ξ「初めて駄々こねてるわね……」

ζ(∩-∩*ζ「うぇぇ……やだぁ……デレやだぁ……」

ξ゚⊿゚)ξ「デレ聞きなさい」

ζ(∩-∩*ζ「ぅ……ぅうー……」

ξ゚⊿゚)ξ「あんたも、あんたと一緒に居るのも好きよ、今の私には必要な存在」

ζ(;- ;*ζ「じゃあっ」

ξ゚⊿゚)ξ「それでも私は、あんたを守りたいの、私のワガママでこれ以上あんたを連れ回せない」

824 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:36:25 ID:hJjhTYic0

ξ゚⊿゚)ξ「だから、私が最も安全だと思う場所に送り届けたい、幸せになってほしいから」

ζ(;- ;*ζ「デレ……しあわせ、ない……いっしょいい……」

ξ゚⊿゚)ξ「私たちはあんたに必要な物を与えられない、あんたの親には不十分な人間なの」

ζ(;- ;*ζ「ないっ、デレ、おねさんとおにさんっ」

ξ゚⊿゚)ξ「情だけでは、人は人を育てられないのよ」

ζ(;- ;*ζ「っ……」

ξ゚⊿゚)ξ「育てる環境、育てる人間、育てる内容、ひとつ間違えば、あんたは歪んだ姿で育つ」

ζ(;- ;*ζ「ぅ、あ……あぅぅ……」

ξ゚⊿゚)ξ「ご主人のお願いを聞いてデレ、私はあなたに真っ直ぐ育ち、幸せになってほしい」

ζ(;- ;*ζ「…………」

ξ゚⊿゚)ξ「……あんたが立派に育ったら、その時私がまだ冒険者なら、あんたを迎えに行くわ」

ζ(;- ;*ζ!!

ξ゚⊿゚)ξ「一緒にまた旅をしましょう、隣に狐は居ないかも知れないけど、あんたを迎えに行くから」

爪'ー`)y‐「あっ何かひどーい僕だけ居ない扱いされてるー」

825 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:38:01 ID:hJjhTYic0

ξ゚⊿゚)ξ「あんたあと六年くらい一緒に旅する気なの?」

爪'ー`)y‐「別に契約満了して別れても六年後にまた組めば良いのでは?」

ξ゚⊿゚)ξ「ハッ」

爪'ー`)y‐「その頃には僕は……うわ……32だ……三十路入った……」

ξ゚⊿゚)ξ「私は……えーと……」

爪'ー`)y‐「24だよ」

ξ゚⊿゚)ξ「まだ若造ね」

爪'ー`)y‐「ソウダネ つか15の時に迎えに行くの?」

ξ゚⊿゚)ξ「私が15で冒険者始めたから」

爪'ー`)y‐「あーはいはい」

ξ゚⊿゚)ξ「……何にせよ、まだまだ旅は出来るわ」

爪'ー`)y‐「だねぇ、働き盛りだ」

826 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:39:15 ID:hJjhTYic0

ξ゚⊿゚)ξ「……だからねデレ、それまでに魔法覚えなさい」

ζ(;- ;*ζ「ぁ……あいっ!」

ξ゚⊿゚)ξ「姉様は魔族で、自然や精霊を使う魔法が得意なのよ、いっぱい教えてくれるわ」

爪'ー`)y‐「ツンちゃん教わらなかったの?」

ξ゚⊿゚)ξ「今思うと姉様は私の無魔力を察してた」

爪'ー`)y‐「あぁ……」

ξ゚⊿゚)ξ「私たちは魔法がてんでダメだから、しっかり覚えなさいよ?」

ζ(ぅ- ;*ζ「あいっ」

爪'ー`)y‐「怪我も病気もしないように丈夫に育つんだよー?」

ζ(゚-⊂*ζ「あいっ!」

ξ゚⊿゚)ξ「あと心を鍛えなさい心を」

ζ(゚- ゚*ζ「あ、あい……」

爪'ー`)y‐「威勢が」

828 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:40:49 ID:hJjhTYic0

ξ゚⊿゚)ξ「……別に離れたからって、あんたを捨てたり忘れるわけじゃないんだから」

爪'ー`)y‐「そーそー、デレが頑張って育つ間は僕らも成長するんだよ」

ξ゚⊿゚)ξ「……だからデレ、お別れしても泣くな、ちゃんとまた会うから」

ζ(゚- ゚*ζ「あいっ」

爪'ー`)y‐「僕の事も忘れないでよー?」

ζ(゚- ゚*ζ「あいっ!」

ξ゚⊿゚)ξ「まぁまだ先だしね別れるの」

爪'ー`)y‐「町二つくらい越さないとね」

ξ゚⊿゚)ξ「遠回りしたから結構距離あるわ」

爪'ー`)y‐「まあ楽しかったし良いじゃん?」

ξ゚⊿゚)ξ「良いけどね別に、お守りも手に入れたし」

爪'ー`)y‐「いやーガチだったねそれ」

ξ゚⊿゚)ξ「ガチだったわ、無いともう無理だわ」

829 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:42:42 ID:hJjhTYic0

爪'ー`)y‐「あ、そうだ繕い物しないと」

ξ゚⊿゚)ξ「出来るの?」

爪'ー`)y‐「君ね、散々君のインナー繕ってるの誰だと思ってるの」

ξ゚⊿゚)ξ「いつの間に出来るように……」

爪'ー`)y‐「必要に迫られたからね!! 料理もね!!」

ξ゚⊿゚)ξ「あんた料理うまくなったわよね……」

爪'ー`)y‐「そりゃどうも……」

ξ゚⊿゚)ξ「師匠には劣るが」

爪'ー`)y‐「褒めるか下げるかどっちかにして?」

ξ゚⊿゚)ξ「私の分もやって?」

爪'ー`)y‐「何で師匠はできるのに君は出来ないの?」

ξ゚⊿゚)ξ「出来なくはないわよ肉なんて焼けば食えるし」

爪'ー`)y‐「着れれば良い食えれば良い理論振りかざさないで」

ζ(゚- ゚*ζ(デレかじおぼえる……)

830 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:43:53 ID:hJjhTYic0

ξ゚⊿゚)ξ「まぁ別にいつでも良いわよ繕い物は、外套がちょっと焦げただけだし」

爪'ー`)y‐「結構高かったのにこれー」

ξ゚⊿゚)ξ「いやー直撃するとクソ痛いわね魔法って……」

爪'ー`)y‐「今後は下手に突っ込まないでよー? 無茶すると死んじゃうから」

ξ゚⊿゚)ξ「そうね、身のほどをわきまえないと」

爪'ー`)y‐「そう言うとこ素直だよね……」

ζ(゚- ゚*ζ「おねさんしぬ、ふっかつない」

ξ゚⊿゚)ξ「そうね、私は狐と違ってゾンビ体質じゃ無いものね」

爪'ー`)y‐「ゾンビも結構大変なんだからね?」

ζ(゚- ゚*ζ「ふっかついたい?」

爪'ー`)y‐「あー痛い時もある」

ξ゚⊿゚)ξ「あれ意識あんの?」

爪'ー`)y‐「ある時もある」

831 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:44:38 ID:hJjhTYic0

ξ゚⊿゚)ξ「えっ……意識あるの……いやあった気がするな……こっわ……」

ζ(゚- ゚*ζ「ひぇ……」

爪'ー`)y‐「頭弾け飛んだり心臓消滅したら死亡確定じゃない?」

ζ(゚- ゚*ζ「あい」

爪'ー`)y‐「そしたら死んだ扱いみたいで蘇生始まるんだよね、意識が残ってても」

ξ゚⊿゚)ξ「うへぇ……」

爪'ー`)y‐「まぁ頭吹き飛んだら意識もクソも無いけど、蘇生時は痛い時もある、何でかは知らない」

ζ(゚- ゚;*ζ「ぅぁ」

爪'ー`)y‐「僕の蘇生は身体の傷を巻き戻す感じに近いらしいから、まぁ何かじゅるじゅるする」

ξ゚⊿゚)ξ「よくしてる」

爪'ー`)y‐「なのに死亡確定じゃないと治らないんだよなぁ……痛いのは痛いまま……」

ζ(゚- ゚;*ζ ピト
  ⊂ ヽ,,

爪'ー`)y‐「はははデレは優しいなー」

832 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:45:47 ID:hJjhTYic0

爪'ー`)y‐「まぁ痛いのにも慣れちゃったけどさ、拷問慣れって言うの?」

ξ゚⊿゚)ξ「申し訳無さが」

爪'ー`)y‐「いやいやツンちゃんは殺す頻度は高いけどほとんど一発で殺してくれるし」

ξ゚⊿゚)ξ「……拷問された事が?」

爪'ー`)y‐「あるある」

ζ(゚- ゚;*ζ「なぜ」

爪'ー`)y‐「貴重な存在ではあるらしいからねぇ不死者、簡易的な不死者は作れても僕は稀みたい」

ξ゚⊿゚)ξ「でも薬師とかは?」

爪'ー`)y‐「竜の寵愛を受けるのは難しい事だしねぇ、この世界にはあの二人しか居ないかもね」

ξ゚⊿゚)ξ「ふむぅ……」

ζ(゚- ゚*ζ「しぬいたい?」

爪'ー`)y‐「死ぬ原因を食らった時は痛いね……意識が途絶えたらもう痛くないの」

ζ(゚- ゚;*ζ「……いしきある、なおる……?」

爪'ー`)y‐「意識あるまま蘇生入ると痛い事が多いね!」

ξ゚⊿゚)ξ「申し訳なく」

爪'ー`)y‐「慣れてる慣れてる」

833 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:46:32 ID:hJjhTYic0

ξ゚⊿゚)ξ「……じゃあ、死ぬ時って、どんな感じ?」

爪'ー`)y‐「んー……僕は死に慣れたからなぁ……」

ζ(゚- ゚;*ζ「なれ……」

爪'ー`)y‐「初めて死んだ時はー…………やっと死ねる、だったかなぁ」

ξ゚⊿゚)ξ「あー……」

爪'ー`)y‐「まぁ死にたくないとか怖いとかもあったけど、しかも蘇ったし」

ξ゚⊿゚)ξ「死ぬ感覚は?」

爪'ー`)y‐「寒い」

ξ゚⊿゚)ξ「寒いか」

爪'ー`)y‐「寒い中寝る感じだけど凍死とはまた違う感じなんだよねー、まぁ即死すると突然意識途切れるだけだけど」

ξ゚⊿゚)ξ「死に慣れこっえぇ……」

ζ(゚- ゚*ζ「こわ……」

834 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:47:09 ID:hJjhTYic0

爪'ー`)y‐「まあ僕がよく死ぬのは今さらだし、最初からずっと閲覧注意だから」

ξ゚⊿゚)ξ「何の話だ」

爪'ー`)y‐「今後グロ描写があっても注意は入れないって事だよ」

ξ゚⊿゚)ξ「だから何の話だ」

ζ(゚- ゚*ζ「おにさんだいよんのかべ?」

爪'ー`)y‐「デッドなプールだね」

ξ゚⊿゚)ξ「何の話をしてるんだお前たちは」

爪'ー`)y‐「ほらデレ、おやつ」

ζ(゚- ゚*ζ「ありあと」

爪'ー`)y‐「美味しいよねバームクーヘン」

ζ(゚〜゚*ζ「のどかわく」

爪'ー`)y‐「今ならなんとミルクがある」

ζ(゚- ゚*ζ「みうくー」

ξ゚⊿゚)ξ(こいつら……露骨に話題を……)

835 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:47:57 ID:hJjhTYic0

ξ゚⊿゚)ξ「ああそうだ、肉は買い取って貰えた?」

爪'ー`)y‐「うん、あの白い犬なんと珍しかったみたいでね」

ξ゚⊿゚)ξ「あ、役所に言うの忘れた」

ζ(゚- ゚*ζ「あう……」

爪'ー`)y‐「明日で良いじゃん、それより珍しかったみたいでね」

ξ゚⊿゚)ξ「高かった?」

爪'ー`)y‐「金貨になりました」

ξ゚⊿゚)ξ「マジかよ」

爪'ー`)y‐「なんと10枚」

ξ゚⊿゚)ξ「マジかよ……」

ζ(゚- ゚*ζ(デレよりたかい)

爪'ー`)y‐「はいお小遣い」

ξ゚⊿゚)ξ「え、良いの?」

837 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:50:30 ID:hJjhTYic0

爪'ー`)y‐「ツンちゃん三枚デレは二枚と銀貨三枚」

ξ゚⊿゚)ξ(こいつ自分の取り分だけ多く……)

ζ(゚- ゚*ζ「がう?」

爪'ー`)y‐「銀貨はカエル代、今の時期は高いって」

ζ(゚- ゚*ζ「うー」

ξ゚⊿゚)ξ「受け取りなさい」

ζ(゚- ゚*ζ「あい……」

ξ゚⊿゚)ξ「花の代金も渡したからお金持ちよデレ」

爪'ー`)y‐「お、良いねぇ何か奢ってよー」

ξ゚⊿゚)ξ「お前な……」

爪'ー`)y‐「冗談だから……」

ζ(゚- ゚*ζ(なにかかう……でもおみせいやがる……?)

ξ゚⊿゚)ξ「ほらデレが困ってる」

爪'ー`)y‐「冗談だからねー?」

ζ(゚- ゚*ζ(むむむ……)

ξ゚⊿゚)ξ「聞いてねぇな」

爪'ー`)y‐「つらい」

838 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:51:20 ID:hJjhTYic0

ξ゚⊿゚)ξ「……ところで拷問慣れってさ」

爪'ー`)y‐「あー、まず水瓶に頭突っ込まれるのも拷問だったよね」

ξ゚⊿゚)ξ「お前そんな軽く幼少期のトラウマを」

爪'ー`)y‐「あとは爪剥がされたり」

ξ゚⊿゚)ξ「痛い痛い痛い」

爪'ー`)y‐「あ、そうそうこれ見てほしいんだけど」ゴソゴソ

ξ゚⊿゚)ξ「脱ぐな脱ぐな」

爪'ー`)y‐「首の後ろのこれ」

ξ゚⊿゚)ξ「火傷? 傷跡?」

爪'ー`)y‐「奴隷の焼き印もどきを潰した痕」

ξ゚⊿゚)ξ「重いよ!!」

爪'ー`)y‐「あ、実際には奴隷じゃないよ? ご家庭ごとに勝手にやるアレだよ?」

ξ゚⊿゚)ξ「普通のご家庭には身内の奴隷は居ない」

爪'ー`)y‐「熱い正論がたまらない」

839 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:52:48 ID:hJjhTYic0

爪'ー`)y‐「あとこっちの傷が幼少期のやつ」

ξ゚⊿゚)ξ「傷跡は消えないのね」

爪'ー`)y‐「もとからあった分は消えないね」

ξ゚⊿゚)ξ「じゃあ私のこれは自分で縫ったやつ」

爪'ー`)y‐「きつい」

ξ゚⊿゚)ξ「あとこれが野党相手にした時の」

爪'ー`)y‐「何人くらい?」

ξ゚⊿゚)ξ「12人」

爪'ー`)y‐「世紀末覇者か」

ξ゚⊿゚)ξ「そっちのは?」

爪'ー`)y‐「女の子に刺されたやつ」

ξ゚⊿゚)ξ「さてはバカだな?」

爪'ー`)y‐「愛の狩人とか伝道師って言って」

ξ゚⊿゚)ξ「ラブハンターの称号は相当かっこいい人でもクソダサいぞ」

爪'ー`)y‐「うんまぁ割りとダサいな」

840 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:54:05 ID:hJjhTYic0

爪'ー`)y‐「あ、ツンちゃん背中のアレ見せてよ」

ξ゚⊿゚)ξ「お前、以前に見た時は怒ったくせに」

爪'ー`)y‐「目の前で女の子が歴戦の勇者が脱ぐ勢いで半裸になられたら心が負ける」

ξ゚⊿゚)ξ「いつか歴戦の勇者になろう……」ゴソゴソ

爪'ー`)y‐「いやなれば良いってもんでも……いやー立派な三本線」

ξ゚⊿゚)ξ「致命傷で死にかけたやつよ」

爪'ー`)y‐「だろうなぁこれ」

ξ゚⊿゚)ξ「背骨を抉られてた」

爪'ー`)y‐「深いな!?」

ξ゚⊿゚)ξ「もう動けもしなかったところを先生に助けられたのよね」

爪'ー`)y‐「命の恩人だね」

ξ゚⊿゚)ξ「ええ」

爪'ー`)y‐「で、熊は?」

ξ゚⊿゚)ξ「旅に出て最初にリベンジに行って殺した」

爪'ー`)y‐「強くなって……」

842 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:55:34 ID:hJjhTYic0

ζ(゚- ゚*ζ

ζ(゚- ゚*ζ(なぜ)


 なぜお姉さんとお兄さんは、上半身はだかで傷を教えあってるのだろう。


ζ(゚- ゚*ζ(まえかくしてるけど)

ζ(゚- ゚*ζ(けどなんかおかしい)

ζ(゚- ゚*ζ

ζ(゚- ゚*ζ(けっこんない……?)


 二人はいつでもなんかしゃべってる。
 静かにしてる時もあるけど、いっつもしゃべってる。

 デレはことばがとくいじゃないから見てるだけだけど、
 二人がしゃべるのを見て、くちにだすことばを覚えてる。

 でも二人はいっぱいしゃべるから、デレは覚えるのがおっつかない。

843 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:56:37 ID:hJjhTYic0

 でも、二人がしゃべってるのを見て聞くのはたのしい。
 なかよしのおしゃべりは、とってもたのしい。


ζ(゚- ゚*ζ「おにさん」

爪'ー`)y‐「ん?」

ζ(゚- ゚*ζ「おうた」

爪'ー`)y‐「おー、お歌聴きたいかー良いよーどんなお歌が良いかなー?」

ζ(゚- ゚*ζ「んと……んと……」

ξ゚⊿゚)ξ「歴戦の勇者で」

爪'ー`)y‐「なぜ君が決める」

◎⊂ζ(゚- ゚*ζ,,

爪'ー`)y‐「出さなくて良いから」

ξ゚⊿゚)ξ「察しなさいよ、やってみたかったのよ」

爪'ー`)y‐「ああ……」

845 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 21:59:05 ID:hJjhTYic0

 ぽろろん。



 美しき従者を従え、かの者は云う
 黒き影をたなびかせ、魔を統べる者は云う


 『嗚呼、愚かな行いを』


 濁る闇をたたえた瞳でねめつける
 色の無い痩けた頬を歪ませて笑う


 『争うなど愚か者の成す事』


 細く長い指先で指した先には
 おそろしくも偉大なる者の前には


 海を割り
 星を落とし
 空を引き裂き
 全てを焼き払う

 ああおそろしきその者
 ああ偉大なるその名は

846 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 22:01:00 ID:hJjhTYic0

ξ-⊿-)ξzzz…

爪'ー`)y‐「まーた寝た」

ζ(゚- ゚*ζ「ゆうしゃとは」

爪'ー`)y‐「実際に魔を統べる者って呼ばれた英雄様が居るんだよ」

ζ(゚- ゚*ζ「ひぇ」

爪'ー`)y‐「怖いよねー、見た事無いけどきっと魔王みたいな人だよ」

ζ(゚- ゚*ζ「こあい……」

爪'ー`)y‐「こう……でっかくて顔に傷があって一人称が我輩とかなんだよきっと……」

ξ゚⊿゚)ξそ「師匠!?」バッ

爪'ー`)y‐「うわびっくりした」

ξ゚⊿゚)ξ

ξ-⊿-)ξ「ゆめか……」スヤ…

爪'ー`)y‐「何なんだ君は……」

847 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 22:02:24 ID:hJjhTYic0

爪'ー`)y‐「さてデレ、怖いお姉さんは寝たよ」

ζ(゚- ゚*ζ「はだかで」

爪'ー`)y‐「腹が立つから着せとこ」ゴソゴソ

ζ(゚- ゚*ζ(ひどい)

爪'ー`)y‐「あまーいお酒があります」

ζ(゚ヮ゚*ζパァ

爪'ー`)y‐「ほーらミルクのお酒もあるし果物のお酒もあるぞー?」

ζ(゚ヮ゚*ζソワソワ

爪'ー`)y‐「なんと割るための飲み物まであるぞー? 軽食もあるぞー??」ガサガサ

ζ(゚ヮ゚*ζワクワク

爪'ー`)y‐(クク……こんなに喜んで、将来飲んべえだなこれ……)

ζ(゚ヮ゚*ζ(おにさんうれしそう)

爪'ー`)y‐「飲みますか?」

ζ(゚- ゚*ζ「はだかで」

爪'ー`)y‐「着ます……」ゴソゴソ

848 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 22:03:41 ID:hJjhTYic0

爪'ー`)y‐「はい、空酒は胃に悪いから軽く食べながらね」

ζ(゚- ゚*ζ「あいっ」

爪'ー`)y‐「ではこっそり、いただきまーす」

ζ(゚- ゚*ζ「いたぁきますっ」

爪'ー`)y‐「はいはい僕はこっちでデレのはこっち」

ζ(゚- ゚*ζ「おいしおいし」モグモグ

爪'ー`)y‐「あ゙ー……うっま……」ゴクゴク

ζ(゚- ゚*ζ(おじさん)

爪'ー`)y‐「お、これ美味しい、鳥の肉の薫製かな」モグモグ

ζ(゚- ゚*ζ「おいひおいひ」ゴクゴク

爪'ー`)y‐「アァー 麦のお酒と合いますナー」ゴクゴク

ζ(´-`*ζ「うま……あまいおいし……」ゴクゴク

849 名無しさん[sage] 2017/01/29(日) 22:05:15 ID:hJjhTYic0

爪'ー`)y‐「お酒に甘い肴も合うなー」モグモグ

ζ(゚- ゚*ζ「あまいちーず? おいしおいし……あまあまさくさく……」モグモグ

爪'ー`)y‐「そうそう果物が入ってる、バゲットに乗せると美味いなー」モグモグ

(*゚ー゚)「カエルの唐揚げお持ちしましたー」コンコン

爪'ー`)y‐「はーい待ってましたー」

ζ(゚- ゚*ζ「かえる?」

爪'ー`)y‐「デレがとったやつねー、揚げたて美味しいぞー」

ζ(´-`*ζ「はふ……はふふ……うま……うまうま……」モグモグ

爪'ー`)y‐「アァァー炭酸に合うゥー デレもおかわり飲め飲め」モグモグ

ξ-⊿゚)ξ"「良い匂いがする」モゾリ

爪;'ー`)y‐「あ」

ζ(゚- ゚;*ζ「あ」

ξ#゚⊿゚)ξ「あ」



 ものすごくおこられた。



 おわり。

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