- 1 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/19(水) 22:53:22.94 ID:NwNEiLoAO
-
オムライスさん
ttp://vipmain.sakura.ne.jp/593-top.html
別府ログさん
ttp://yeisu.hp.infoseek.co.jp/matome/obake/obake.html
まとめて下さってます、本当にありがとうございます。
前回の続きです、少しシリアスめかもしれません、グロとか注意。時々出てくるクックルは場面が変わる時の目印です。
あと前スレ>>60がどうなったry
- 3 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/19(水) 22:57:25.75 ID:NwNEiLoAO
-
( ΦωΦ)「朝であるな」
(#゚;;-゚)「朝です」
('A`)「朝だな」
( ΦωΦ)「……いつの間に来たとかは突っ込まんぞ。さ、注射しといてくれ」
('A`)「理科室からホルマリン漬けの標本が次々なくなるミステリーが発生してるんだが」
( ΦωΦ)「きにすんな」
(;'A`)「お前どんどん適当になってきてねぇ?」
<_プー゚)フ「細かい事は気にするな!!」
(;'A`)「もう良いよ分かったよ……じゃあ注射するぞー」
(#゚;;-゚)「は、はいです!」
( ΦωΦ)おばけとかのようです フォースサバイバー(後編)
- 9 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/19(水) 22:59:36.40 ID:NwNEiLoAO
-
でぃの背中にごつい注射器を刺し、液体を注入する。
するとでぃの姿は、ゆっくりと腐敗した体からごく普通の少女へと変化して行く。
二本、三本、と手袋をしたドクオの手により、注射をされるでぃ。
昨日よりも多い五本目の注射が終わった頃には、でぃは普通の少女と変わらぬ姿となっていた。
何故こんな変化を遂げるか。
もう、なにも言うまい。突っ込んでいてはキリが無いのである。
長くても効き目は五時間程度、ドクオの言葉に頷くでぃ。
人間の姿を取り戻したでぃは嬉しそうに礼を言い、風呂で待機している姉の元へと走っていった。
その顔は本当に嬉しそうで、恋をしてるって顔で。
見ていると、何となく、幸せになれた。
恋、してみたいな。
('A`)「恋愛童貞かよお前」
(#ΦωΦ)「やかましいわ」
- 12 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/19(水) 23:01:13.60 ID:NwNEiLoAO
-
(*‘ω‘*)「ほら、髪の毛乾かすっぽ」
(*゚ -゚)「は、はいです」
(*‘ω‘*)「バレッタでとめてっと……よし、着替えもすんだし、あとは軽く化粧でもするっぽ」
(*゚ -゚)「お、お化粧ですかっ?」
(*‘ω‘*)「なんだ、化粧は初めてっぽ?」
(*゚ -゚)「はいです……」
(*‘ω‘*)「ま、でぃの場合は魅力を引き出すためにやる事だっぽ、面貸せっぽ」
(*゚ -゚)「は……はい、です」
- 13 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/19(水) 23:03:05.04 ID:NwNEiLoAO
-
<_プー゚)フ「準備できたかー!?」
(*゚ー゚)「で、出来たです」
<_プー゚)フ
(*゚ー゚)?
<_プー゚)フ「あ、でぃか」
(*゚ー゚)「でぃです」
(*‘ω‘*)「いやー力作力作。さ、とっとと出掛ける準備しろっぽ、ハンカチとティッシュ忘れるなっぽ」
(*゚ー゚)「はいです!」
<_プー゚)フ
(*‘ω‘*)
<_プー゚)フ「女こえぇ」
(*‘ω‘*)「どう言う意味だ」
- 15 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/19(水) 23:05:11.68 ID:NwNEiLoAO
-
( ΦωΦ)「うおーい、そろそろ時間であるぞー」
(*‘ω‘*)「ん、もう準備おkだっぽ」
(*゚ー゚)「おけです!」
( ΦωΦ)
( ΦωΦ)「あ、でぃか」
(*゚ー゚)「でぃです。……あ、でも、ゾンビのでぃをモララーさんは知ってるんですよね……」
(*‘ω‘*)「あー名前や存在は知ってるっぽ」
(*゚ー゚)「……じゃあ、偽名、使うです」
( ΦωΦ)「偽名?」
(*゚ー゚)「はいです、今はゾンビのでぃじゃなくて、皆さんのお陰で人間です」
(*‘ω‘*)「ん」
- 17 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/19(水) 23:07:04.17 ID:NwNEiLoAO
-
(*゚ー゚)「だから私はゾンビとしてじゃなく、人間としてモララーさんとお会いしたいんです」
(*‘ω‘*)「あー、なるほど」
( ΦωΦ)「? なら、偽名は何とするのであるか?」
(*゚ー゚)「……しぃ、です」
(*‘ω‘*)「…………分かったっぽ、じゃあ、しぃ」
(*゚ー゚)「はいです」
(*‘ω‘*)「……行ってきなさいっぽ、普通の女の子として、遊んできなさいっぽ。はい、駅までの地図」
(*^ー^)「はいです! 行ってきます!」
- 18 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/19(水) 23:09:07.24 ID:NwNEiLoAO
-
( ΦωΦ)「ついて行かんでも、良いのであろうか……」
(*‘ω‘*)「邪魔してやんなっぽ。……それより」
( ΦωΦ)「む?」
(*‘ω‘*)「時間、どれくらい効くんだっぽ?」
( ΦωΦ)「長くても五時間かそこら、らしいが……」
(*‘ω‘*)「でぃに説明したっぽ?」
( ΦωΦ)「うむ」
(*‘ω‘*)「……大丈夫なら、良いんだけどっぽ」
( ΦωΦ)「?」
(*‘ω‘*)「この恋愛童貞が」
(´ΦωΦ)そ
(*‘ω‘*)「……腐った自分なんか、好きな人に見せたい訳、ねぇっぽ」
( ΦωΦ)「あ……」
(*‘ω‘*)「今は……11時か、夕方までに、帰ってこいっぽ……でぃ」
- 19 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/19(水) 23:11:09.44 ID:NwNEiLoAO
-
(*゚ー゚)「はぁっ……はぁっ……ああ、体が軽い……!」
( ・∀・)「ん、あれ……かな?」
(*゚ー゚)「モララーさんっ」
( ・∀・)「あ、はい」
(*゚ー゚)「えと、その、初めまして! で……しぃと申しますです!」
( ・∀・)「……? 初めまして、しぃちゃん、僕はモララー……って知ってるみたいだね」
(*゚ー゚)「は、はいです! 聞いてましたから!」
( ・∀・)「? 杉浦たちは居ないんだね」
(*゚ー゚)「はいです、私だけです……だ、ダメでしたか?」
( ・∀・)「ううん、そんな事ないよ。じゃあデートだね」
(*゚ー゚)「ぁ、あ、は、はいです」
( ・∀・)「それじゃ、行こうか? そこの隣接してる遊園地のチケット、今朝友達に叩き付けられたとこだし」
- 23 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/19(水) 23:13:02.51 ID:NwNEiLoAO
-
〜今朝〜
ピンポンピンポンピンポンピンポン
( ・∀・)「はいはい、誰だろ、こんな朝の早くか ピターン! おぶっ!?」
(#;A;)「じね゙よ゙り゙あ゙じゅ゙ゔゔわ゙あ゙あ゙あ゙あああああん!!!!」
(;#)∀・)「ちょ、何!? 何いきなり!? 何投げたの!? 遊園地のチケット!? しかも二枚!?」
(#;A;)「ぎょ゙ゔい゙げよ゙お゙お゙おおおおお!!!!」
(;#)∀・)「どうしたの!? 朝早くから何なの!? 何で泣いて……あ、行っちゃった」
〜終了〜
- 25 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/19(水) 23:15:03.57 ID:NwNEiLoAO
-
( ・∀・)「今日行けよって言ってたし、どうせだから行こうか?」
(*゚ー゚)「はいです!」
(*゚ー゚)(ドクオさん、かな……? ありがとうございますです、ドクオさん!)
( ゚∋゚)
('A`)「みんな死ねば良い」
<_プー゚)フ「どうした不健康!」
('A`)「今なんかメロキュン乙女電波が届いた、みんな死ねば良い」
l从・∀・ノ!リ人「ぶっそーなのじゃ!」
/ ゚、。 /゙コクコク
- 28 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/19(水) 23:17:19.16 ID:NwNEiLoAO
-
(*゚ー゚)「わー……わー……」
( ・∀・)「ん? 遊園地は初めて?」
(*゚ー゚)「はいです! わぁ、いろんな乗り物がある……」
( ・∀・)「まだ時間はあるから、ゆっくり色んなのに乗ろうか?」
(*^ー^)「はいです!」
(*・∀・)(おう、かわいい)
(#'A` )┠゙┠゙┠゙┠゙┠゙
( ・∀・)(脳内になんか変な顔と共に呪いみたいなのが届いた気がする)
(*゚ー゚)「どうしたんですか?」
(・∀・*)「ううん、最初は何に乗ろうかと思って」
(*゚ー゚)「じゃあ、じゃああのお馬さん乗ってみたいです!」
(・∀・*)(しょっぱにハードルの高いメリーゴーランド……! うん、分かった。じゃあ行こうか」
(*^ー^)「はいです!」
- 30 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/19(水) 23:19:13.71 ID:NwNEiLoAO
-
(*゚ー゚)「ひゃあ! ま、回る!」
( ・∀・)「ほら、ちゃんと掴まって?」
(*゚ー゚)「は、はいです……よいしょっと」
(*・∀・)(必死にポールにしがみついてる……)
( ゚∋゚)
(*゚ー゚)「ふあー……キラキラしてました……」
( ・∀・)「楽しかった?」
(*゚ー゚)「はい、すっごく! 次は何に乗りますか?」
(*・∀・)(僕はちょっぴり恥ずかしかった……。何に乗りたい?」
(*゚ー゚)「次はモララーさんの番ですっ」
(*・∀・)「んー……じゃあ、も一つ回るの行こうか?」
- 32 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/19(水) 23:21:11.08 ID:NwNEiLoAO
-
(*゚ー゚)「あわわわわわっモララーさん回しすぎです!」
( ・∀・)「おおおおおおっだが終わらんよ!」
(*xーx)「目が、目が回りますっです!」
( x∀x)「遠っ心っ力!」
( ゚∋゚)
(*xーx)「目がー……」
( x∀x)「ああ、三半規管が……」
(*xーx)(目が飛んでくかと思った……普段なら色々飛んでってた……)
( ぅ∀・)「あーコーヒーカップはくらくらする……次はどうする?」
(*゚ー゚)「あ、んと、……あ! あの高いの!」
( ・∀・)「コーヒカップの後にジェットコースター……意外とハードだね、しぃちゃん……」
- 34 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/19(水) 23:23:15.58 ID:NwNEiLoAO
-
(*゚ー゚)「きゃー!!」
(;・∀・)「うぉあー!!」
(*>ー<)「きゃー! きゃー!!」
(;・∀・)「おわー! ぬわーーー!!」
( ゚∋゚)クックー
( ・∀・)「はー……結構色々乗ったねー」
(*゚ー゚)「はいです、これで……半分以上、ですか?」
( ・∀・)「うん、半分は越えたかな」
(*゚ー゚)「残り、みんな乗れたら良いな」
(*・∀・)「うん」
(*・∀・)グーキュルル
- 38 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/19(水) 23:25:18.34 ID:NwNEiLoAO
-
(*・∀・)「……お、お昼にしようか? もう三時過ぎちゃったけど」
(*゚ー゚)「ふふっ、はいです。楽しくって、あっという間に時間が過ぎちゃいます」
(*・∀・)「うん、僕もだよ。じゃあレストランもあるし、入ろうか?」
(*゚ー゚)「はいです!」
(((*゚ー゚)(( ・∀・)
((*゚ー゚)゙ ズルッ
(*゚ー゚)?
(*゚−゚)!!
(*゚−゚)(……足、戻りかけてる……)
(*゚−゚)(どう、しよう……)
(・∀・ )「しぃちゃん?」
(*゚ー゚)「な、何でもないです!」
(* − )(……今は、でぃじゃなくて、しぃ……でぃじゃなくてしぃ……)
- 41 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/19(水) 23:27:04.86 ID:NwNEiLoAO
-
( ・∀・)「よいしょ、……うん、良い雰囲気だね」
(*゚ー゚)「は、はいです」
( ・∀・)「しぃちゃんは何にする?」
(*゚ー゚)「んと……モララーさんのと一緒で、良いですか?」
( ・∀・)「ん、分かった。すみませーん、ハンバーグセット二つ」
(,,゚Д゚)「かしこまりましたー」
(*゚ー゚)「……」
( ・∀・)「ふー……ん、どうしたの? しぃちゃん」
(*゚ー゚)「ぇ、あ、な、何でもないです! 大丈夫です!」
( ・∀・)「そう……? さっきから少し変だよ?」
(*゚ー゚)「そ、そんな事は……」
<ネー ナンカクサクナーイ?
(*゚−゚)!!
- 42 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/19(水) 23:29:03.54 ID:NwNEiLoAO
-
ξ゚听)ξ「んー……確かに、何か腐った感じの臭いがするわね」
('、`*川「何かしらこれー……さっきまでしてた?」
川 ゚ -゚)「してなかったと思うが……」
(*゚−゚)「……」
( ・∀・)「しぃちゃん?」
(* − )(どうしよう、どうしよう、私のせいだ……私のせいで、皆さんが、嫌な思いを……)
( ・∀・)「……しぃ、ちゃん?」
(* − )(どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうすれば良いの? 私は、私はやっぱり、人間じゃないんだ……どうしよう……!)
- 45 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/19(水) 23:31:04.84 ID:NwNEiLoAO
-
(* − )(どうし…………っ!)
(*つ−゚)
(*゚;−゚)
(*゚;−゚)(あ……顔、まで……)
( ・∀・)「しぃちゃ」
(*つ−゚)「ごめん、なさい……お手洗い……行ってきます……」
( ・∀・)「あ、しぃちゃん…………どう、したんだろう……」
ガチャ パタン
(*゚;−゚)「……時間、切れ……かな」
(*゚;−゚)「楽しい思いしたよ……手を繋いだり、頭を撫でてもらったりしなかったけど……お話できた……」
(* ;− )「……十分だよ、十分だよ……」
(*つ−;)「…………十分……だよ……っ」
- 47 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/19(水) 23:33:05.23 ID:NwNEiLoAO
-
(*゚;−゚)「お化粧直しの道具、貸してもらって、よかった……このままじゃ、外にも出れない……」
(*゚;−゚)「よいしょ……よいしょっと……」
(*゚−゚)「……うん、大丈夫……このまま出て、もう帰ろう…………もう、あちこち、戻ってる……」
ガチャ パタン
(*゚−゚)「……あれ、モララーさん……居ない?」
(*゚−゚)「あれ、あれ? 席に居ない……荷物も……」
(*゚−゚)「も、モララーさんっ!」
( ・∀・)「ん? こっちこっち」
(*゚ー゚)「あ……モララーさんっ、どうして外に?」
( ・∀・)「キャンセルして出てきちゃった」
- 50 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/19(水) 23:35:04.81 ID:NwNEiLoAO
-
(*゚−゚)「へ……」
( ・∀・)「ご飯食べるより、しぃちゃんと遊びたいから」
(*゚−゚)「あ、」
(*゚−゚)(……優しい。私があそこに居るの、嫌がってたから……お腹、空いてるはずなのに)
( ・∀・)「さ、何に乗ろうか? やっぱ観覧車は最後だよね」
(*゚−゚)(どうしよう、言い出せない)
( ・∀・)「あ、ゴーカートでも行こうか?」
(*゚−゚)(こんな風に笑ってくれるのに、帰ります、なんて)
( ・∀・)「お化け屋敷も王道的に外せないよねー……あ、ミラーハウスとかあるんだ」
(* − )(こんな、人間に装った私のために、笑ってくれてるのに)
( ・∀・)「ビックリハウスってのは何だろう……部屋が回るアレかな」
(* − )(ごめんなさい、モララーさん……私は汚い女の子です…………ごめんなさい、ごめんなさい)
( ・∀・)「まぁまだ時間はあるから、たくさん回ろう!」
(* − )(ごめんなさい、私には、時間がないんです)
- 52 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/19(水) 23:37:14.52 ID:NwNEiLoAO
-
( ・∀・)「さ、行こう! しぃちゃん!」
(*゚−゚)「あっ」
(((*゚−゚)つ⊂( ・∀・) テコテコ
(*゚ー゚)「……はい、です」
( ・∀・)「ん! 楽しいのが、一番!」
(*^ー^)「はいです!」
私は本当に、この人が好きだ。
それでも手を振りほどくのは、私なんだ。
伝えられない、ごめんなさい、
この手はもう、死体の物に戻りつつあります。
- 53 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/19(水) 23:39:03.18 ID:NwNEiLoAO
-
( ・∀・)「次はゴーカートだ!」
(*゚ー゚)「はいです!」
( ・∀・)「よーし次はお化け屋敷だ!」
(*゚ー゚)「はいです!」
(V・∀・)「つ、次はビックリハウスだ!」
(*^ー^)「ふふっ、はいです!」
( ・∀・)「よっし次はミラーハウスだ!」
(*^ー^)「はいです!」
腐敗した死体に戻ろうとしているのに、
あちこちの肉が裂け、腐敗臭を溢れさせているのに
私はそれを必死で隠して、隠して、もう隠しきれないほどになるまで隠して、笑っていた。
でも、最後の乗り物
観覧車の前に来た時、鐘が鳴る。
- 57 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/19(水) 23:41:26.93 ID:NwNEiLoAO
-
カラーン カラーン
( ・∀・)「ん? ……ああ、もう四時か」
(*゚;−゚)「……はい、です」
( ・∀・)「これで最後かな? 今日はナイトパレードも無いみたいだし」
(#゚;−゚)「……あ、」
(・∀・ )「ん?」
(つ;-⊂)「見ない、で、下さい」
(・∀・ )「……しぃ、ちゃん……?」
(つ;-⊂)「違うんです、違うんです、私は…………あ、ああっ……見ないで……見ないで、下さい……!!」
ずるずると、顔の皮膚が崩れて落ちて行く。
顔を隠した手の指の隙間から、ぼたり、左目が転がり落ちた。
手足の皮膚が崩れ、体内に残った体液が服に染みを作る。
ぽっぽさんに借りた服は茶色く変色し、左手の肉がぼとり。手の甲の骨が覗いた。
- 58 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/19(水) 23:43:22.17 ID:NwNEiLoAO
-
嫌、嫌。
モララーさんの目の前で、こんなの、嫌。
モララーさんは驚いた顔をして私を見つめている。
私は、その目を見返す事ができなかった。
他のお客さんも不思議に思い、私とモララーさんを見ている。
見ないで、崩れて行く私を。
(つ;;-⊂)「……モララー、さん」
( ・∀・)「う、ん……」
(#゚;;-゚)「…………今日は、ありがとう、ございました」
( ・∀・)「あ……しぃ、ちゃん」
(#゚;;-゚)「違うんです、違うんです…………私は、でぃ。ゾンビなんです、人間じゃ、ないんです」
( ・∀・)「君が、でぃちゃん?」
(# ;;- )「……さよう、なら……です……楽しかった、です」
(;・∀・)「あ、待って!」
- 60 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/19(水) 23:45:06.13 ID:NwNEiLoAO
-
ぼたぼたぼた。
体液と肉片を溢して、私は走る。
ああ、体が重い。
人間の時はあんなに、あんなに軽かったのに。
体のパーツを落としているから、物理的には軽くなっているかもしれない。
なのに、なのに胸がこんなにも重い。
切ない、悲しい、悔しい。
人間でありたかった。
人間として出会いたかった。
普通の女の子なら、どれだけ幸せだっただろう。
こんな思いをするならただの死体でありたかった。
- 62 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/19(水) 23:47:09.64 ID:NwNEiLoAO
-
がたん!
( ΦωΦ)「……む? でぃが帰ってきたか……?」
(*‘ω‘*)「どけっぽ弟、みんなと向こう行っとけっぽ」
(;ΦωΦ)「う、うむ……把握した……」
|ωΦ;)))
(*‘ω‘*)「……おいでっぽ、でぃ」
(# ;;- )「は、い……です」
(*‘ω‘*)「やっぱり、時間切れかっぽ」
(# ;;- )「はい、ごめんなさい、です」
(*‘ω‘*)「怒っちゃいねぇっぽ……楽しかったっぽ?」
- 65 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/19(水) 23:49:33.56 ID:NwNEiLoAO
- (# ;;- )「はい、はいです、楽しかった……で、す……」
(*‘ω‘*)「……うん、なら、よかったっぽ……無理、すんなっぽ」
(# ;;- )「ふ、ぅ……っゔぅ゙ぅ……」
(*‘ω‘*)「……よしよし、泣けっぽ、好きなだけ」
「う、ぅ、……うわ、ぁ、ああぁああぁあああああぁぁっ!! うわぁああああぁぁぁあぁあぁぁぁんっ!!」
( ΦωΦ)「……」
l从・−・ノ!リ人「……でぃ、ないてるのじゃ」
/ ゚、。 /「……」
_,,
<_プ−゚)フ「……」
ミ,,゚Д゚彡「余計な事、すんなよオレンジ」
_,,
<_プ−゚)フ「……しねーもん、でぃのためだもん」
( ΦωΦ)「我輩らは、戻ろう。妹者と鈴木はそばに居てやってくれである」
l从・−・ノ!リ人「……はーくなのじゃ」
/ ゚、。 /゙コク
- 66 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/19(水) 23:51:09.59 ID:NwNEiLoAO
- _,,
<_プ−゚)フ
( ΦωΦ)「そう、眉間に皺を寄せるな」
ミ,,゚Д゚彡「……まあ、誰がワリーってのじゃねぇじゃん? あれ」
_,,
<_プ−゚)フ「分かってるけど、もやもやする」
( ΦωΦ)「エクスト……」
ミ,,゚Д゚彡「相手の男の出方次第だろ、俺らにゃ何もできねーっつーの」
三<_フ,゚Д゚彡フそ ヒュビッシュ!
( ΦωΦ)「犬の言う事ももっともである、妙な嫌がらせはやめておけ、エクスト」
_,,
<_プ−゚)フ「……触れたら殴るのに」
ミ;,゚Д゚彡(触れなくて良かった……)
( ΦωΦ)「ほら、飯を作って皆を待っていよう」
- 68 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/19(水) 23:53:05.07 ID:NwNEiLoAO
-
(# ;;- )「ぐすっ……ひぐ、ぅっ……」
l从・д・`ノ!リ人「なくなーなのじゃー……」
/ ゚、。/ヨシヨシ
(# ;;- )「私っ……やっぱり、行かなかった方が……こんな……っ!」
(*‘ω‘*)「楽しかったんだっぽ?」
(# ;;- )「は、い……っ」
(*‘ω‘*)「なら、その気持ちを大事にしろっぽ。時間を守れなかったのは、でぃだっぽ……守る事が出来なかったんだっぽ」
(# ;;- )「はい、で……す……ひくっ」
(*‘ω‘*)「それでも楽しかったなら、幸せだったなら、その思い出を大事にしろっぽ」
l从・д・`ノ!リ人「おっきい姉者……」
(*‘ω‘*)「それと……ちゃんと、モララーにも謝れっぽ。でぃが嘘ついてたって罪悪感でいっぱいなの、分かってるっぽ。
それに、謝ると多少はスッキリできる筈っぽ」
(# ;;- )「はいっ……はい、です……っ」
- 71 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/19(水) 23:55:00.83 ID:NwNEiLoAO
-
(*‘ω‘*)「だってよモララー」
(#゚;;-゚)「ぇっ……」
(;・∀・)「ぜー……ぜー……」
(#゚;;-゚)「い、つ……から……」
(;・∀・)「ぜーひゅーぜーひゅーぜーひゅーぜーひゅー」
(*‘ω‘*)「落ち着けこのモヤシが」
/ *゚、。/人从・∀・*ノ!リ人 イヨッシャ
(;・∀・)「ゲホッ、ゲホッ……はい、これ……落ちてたよ」
(#゚;;-゚)「あ……私の、パーツ……」
(*‘ω‘*)(ビニール袋いっぱいの肉片……左腕や目が見当たらないと思ってたら……)
- 74 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/19(水) 23:57:12.12 ID:NwNEiLoAO
-
( ・∀・)「やっぱり、でぃちゃんだったんだ」
(#゚;;-゚)「やっぱり……?」
( ・∀・)「うん、なんとなくそうなんじゃないかなって、思ってたから」
(#゚;;-゚)「……ごめんなさい、嘘、ついて……」
( ・∀・)「嘘?」
(#゚;;-゚)「は、はい……名前とか、人間を装ったりとか……」
( ・∀・)「僕はそんなの嘘だと思わないよ」
(#゚;;-゚)「ぇ、なん、で?」
( ・∀・)「ゾンビって知られたくなかったなら、名前を変えるのはしょうがないよ。僕はでぃちゃんって言うゾンビを知っていたから」
(#゚;;-゚)「は、ぅ」
( ・∀・)「人間に装うってのも、嘘だとは思わない。それこそ、お化粧みたいなものじゃないのかな」
(#゚;;-゚)「……モララー、さん」
- 76 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/19(水) 23:59:37.71 ID:NwNEiLoAO
-
( ・∀・)「でも、言ってほしかったな、うん」
(# ;;- )「…………ごめん、なさい……です」
( ・∀・)「だから、もう隠し事はやめよう? 無理に、装わなくても良いから」
(#゚;;-゚)「許して、くれるん……ですか?」
( ・∀・)「? 僕は元から怒ってないよ?」
(#゚;;-゚)「あ、ぁ、ぅ……」
( ・∀・)「改めてでぃちゃんを見て分かった」
(#゚;;-゚)「ふぇ」
( ・∀・)「でぃちゃんはゾンビとか関係なく可愛い」
(*#゚;;-゚)「ぁ、あ」
(*・∀・)
(*#゚;;-゚)
(#゚A゚ )┠゙┠゙┠゙┠゙┠゙┠゙┠゙┠゙
- 77 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/20(木) 00:01:04.92 ID:Bu8LrK6rO
- (・∀・;)「うわ何か居る!!」
(#゚A゚)「ファッキュー……」
(;ΦωΦ)「ごめん、それ我輩が呼んだ」
(;・∀・)「杉浦!?」
(;ΦωΦ)「い、いやその、でぃの手足がぶらぶらしてるから……繋げてもらおうと……」
(#゚A゚)「ファッキュー……」
<_プー゚)フ「不健康が壊れたぞ!」
l从・∀・ノ!リ人「きゃーなのじゃー!」
(*‘ω‘*)「手ぇ洗って飯の続き作ってくるっぽ」
/ ゚、。 /オテツダイ
ミ,,゚Д゚彡「ねむてー」
(;#゚;;-゚)(フリーダム……)
- 83 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/20(木) 00:03:18.93 ID:Bu8LrK6rO
-
(#゚A゚)「一応繋げたけど、走ったりするとちぎれる可能性があるからやめといてね」
(;#゚;;-゚)「は、はひ、です」
(#゚A゚)「あと昨日も言ったけど、しっかり身体を拭いて冷やす事」
l从・∀・ノ!リ人「冷やすなら妹者におまかせなのじゃー!」
(#゚A゚)「うん、一緒にいれば腐るの遅くなると思うから」
(;#゚;;-゚)「はひ……」
(#゚A゚)「あ、空飛ぶ北京原人」
(゚-;;゚#)ミ「へ?」
(゚-;;゚#)-(゚A゚#) プスッ チュー
(*゚ -゚)ペカッ
- 86 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/20(木) 00:05:02.02 ID:Bu8LrK6rO
-
( ・∀・)「しっかり手ぇ洗って着替えてきたよー……おお」
(#゚A゚)「どんなに可愛くてもどんなに良い子でも悲しい事に死体なんだから、素手で触らないようにね」
(;・∀・)「はひ」
(;ΦωΦ)「しかし、あんまり死体死体と言うのは……」
(*゚ -゚)「あ、私は気にしませんです。死体である事は確かに悲しいけど、受け入れた事実ですから」
(ΦωΦ )「そう、か……」
(#゚A゚)「じゃあ俺もう帰るから、また何かあったら連絡ちょうだいね」
(;ΦωΦ)「う、うむ。把握である」
(*゚ -゚)「本当に、ありがとうございました!」
(;・∀・)「ま、またー……」
(#゚A゚)「リア充死ねやアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」
(;ΦωΦ)「最後に大爆発!?」
- 90 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/20(木) 00:07:05.44 ID:Bu8LrK6rO
-
( ΦωΦ)
( ・∀・)
(*゚ -゚)
( ΦωΦ)「…………さーて、晩飯の手伝い行こー」
(*・∀・)(゚- ゚*)
<キャッキャウフフ☆
_,,
(∩+ω+)アーアーキコエナーイ
- 92 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/20(木) 00:09:13.41 ID:Bu8LrK6rO
-
結果、何やらでぃとモララーは仲良くなった。
ちょくちょくドクオを呼び出しては、注射をしてもらっているらしい。
学校では標本が無くなったかと思えば、液体だけ無くなって戻ってくると言う事件が頻発していた。
ホルマリンってのは何か毒劇物らしく、地味に大変な事になってたらしい。
基本的に我輩の所為なんだけど、取り敢えずそ知らぬ顔をしておこうと思う。
あと今回は女性二人がメインだった事もあり、我輩激しく影うっすい。
別に恋愛童貞だからではない、決してない。
<_プー゚)フ「れんあいどーてー?」
( ΦωΦ)「言うな、何も言うな」
まあ、何だかんだで意外と平和である事に変わりはない。
さて、庭でいちゃついとる二人を何とかしに行くか。
おしまい
- 94 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/20(木) 00:09:50.21 ID:Bu8LrK6rO
-
おまけのおばけ。
<_プー゚)フ「で、俺に何か出来るのか?」
( ΦωΦ)「んー……あ、買い物に出てる時、食材の在庫を確かめに行ってもらうとか」
(#゚;;-゚)「突然届いた送り主の分からない小包の中を確認する、とか?」
ミ,,゚Д゚彡「堂々と覗きとか」
(ΦωΦ )「死ね」
(*‘ω‘*)「おばけらしく誰かを呪うとか」
(;ΦωΦ)「呪い!?」
<_プー゚)フ「やってみるか!」
(ΦωΦ;)「やるなよ!!」
- 95 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/20(木) 00:11:01.27 ID:Bu8LrK6rO
-
(*‘ω‘*)「まあまあ物は試しだっぽ、どうせだからドクオを呪えっぽ」
<_プー゚)フ「不健康だな! 分かった!」
(;ΦωΦ)「分かるな!!」
_,,
<_フ-−-)フ「ぬぬぬぬぬぬ……」
(;ΦωΦ)「何か頑張ってる! やめんか!!」
<_プー゚)フ「取り敢えず念じたぞ!!」
(#゚;;-゚)「……な、何を……?」
<_プー゚)フ「首寝違えて下痢になってぎっくり腰になれって」
(;ΦωΦ)「ド外道ッ!!」
(*‘ω‘*)「ま、どーせただの遊びだっぽ。ドマンジュウに出来る事は少しずつ探せば良いし、
でぃと一緒にちょっぴり古くなった飯の処理なんかをしてくれたら大喜びだっぽ」
<_プー゚)フ「任せろ! おばけは腹壊さねぇ!」
(#゚;;-゚)「私も、新鮮な物より少し古いものの方が身に付きやすい気がしますし」
- 98 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/20(木) 00:13:16.65 ID:Bu8LrK6rO
-
(*‘ω‘*)「だからほら、今日はもう寝ろっぽ。明日からしっかり動いてもらうっぽ」
( ΦωΦ)「へーい」
<_プー゚)フ「はーい!」
(#゚;;-゚)「はいです」
( ΦωΦ)「でぃ、犬を繋いでおいてもらえるか」
ミ;,゚Д゚彡「ちょ!! だから側には!!」
(#゚;;-゚)「はい、分かりました。行きましょうですフサさん」
ミ;,゚Д゚彡「いてぇ! マジで腐敗臭で鼻がいてぇ!!」
(#゚;;-゚)「む、女の子に失礼ですよ?」
ミ;,゚Д゚彡「しょうがねぇだろテメェはゾンビなんだから!!」
(#゚;;-゚)「しょうがないから我慢してくださいです、さ、行きましょう」
- 100 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/20(木) 00:15:04.87 ID:Bu8LrK6rO
-
( ゚∋゚)クックルドゥドゥドゥ!!
( ΦωΦ)「んじゃ、いてきまー」
<_プー゚)フ「今日はついてくぞ!」
( ΦωΦ)「はいはい。じゃあでぃ、鈴木、妹者と家を頼んだのである」
/ ゚、。 /゙コクコク
(#゚;;-゚)「はい、分かりました。行ってらっしゃいです」
( ΦωΦ)「いてきまー」
<_プー゚)フ「まー!」
- 102 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/20(木) 00:17:14.21 ID:Bu8LrK6rO
-
<_プー゚)フ「呪い効いたかな!」
(´ΦωΦ)「効かん方が平和で良いではないか……期待するな」
_,,
<_プ3゚)フ「ぶー」
( ^ω^)「おっ、おはようだお! 杉浦、エクスト!」
( ΦωΦ)「おはようである」
<_プー゚)フ「おはー!」
( ΦωΦ)「……む? ドクオはどうした?」
( ^ω^)「休みだお、何か首を寝違えてぎっくり腰やった上に激しい下痢らしいお……何をしてたやら……」
( ΦдΦ)
<_プд゚)フ
( ΦдΦ )
Δ゚д゚Δ
おしまい。
- 104 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/20(木) 00:18:41.11 ID:Bu8LrK6rO
- 支援ありがとうございました。
エクストの正面は無理があったと思っている。
>>73
……すまねぇ……普通にうっかりだ……
>>75
そのはっそうは なかったわ
>>96
つ「でぃ&ぽっぽ」
明日投下しようと思ったけど、なんとなくスレ立てしてみたら立ったから投下した。少し反省している。
- 112 ◆tYDPzDQgtA 2008/11/20(木) 00:23:55.17 ID:Bu8LrK6rO
- >>106
力強く萌えた。ありがとうございます!ありがとうございます!
>>108
.*'。.+゚,<_フ*^∀^)フ.*'。.+゚,
わあい萌えまみれや!ありがとうございます!