- 83 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 21:15:09 ID:KS7qCuO.O
( ΦωΦ)「こんしゃーす、杉浦亭の出前でーす」
lw´‐ _‐ノv「あーい」
( ΦωΦ)
lw´‐ _‐ノv
( ΦωΦ)「すみません間違えましたー」
lw´‐ _‐ノv「間違ってない間違ってない」
( ΦωΦ)「いいや間違ってる今ごろ海外で裏カジノで富豪になってるはずの人が居るなど」
lw´‐ _‐ノv「どこからどうしてそうなった」
( ΦωΦ)
lw´‐ _‐ノv
( ΦωΦ)「シュー姉?」
lw´‐ _‐ノv「はいな」
【思い出屋さんのようです】
( ΦωΦ)「えっ?」
- 84 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 21:17:37 ID:KS7qCuO.O
( ΦωΦ)「白目……クーは?」
lw´‐ _‐ノv「実家へ」
( ΦωΦ)「何でシュー姉がここに?」
lw´‐ _‐ノv「帰って来たから」
( ΦωΦ)「何で?」
lw´‐ _‐ノv「自分の店に帰って来ちゃ駄目なの?」
( ΦωΦ)「あ、いえ……えぇ……?」
lw´‐ _‐ノv「それよりご飯」
( ΦωΦ)「あ、はい……肉まんどうぞ……」
lw´‐ _‐ノv「どんな罰ゲームだよ……ここに来てからずっと肉まん食ってたぞ……」
( ΦωΦ)「いや、クーだと思って……」
lw´‐ _‐ノv「あの子どんな嫌がらせ受けてんのよ……」
( ΦωΦ)「取り敢えずはい、肉まん30個」
lw´‐ _‐ノv「一食分じゃねーか」
( ΦωΦ)「えっ」
lw´‐ _‐ノv「えっ」
- 85 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 21:19:28 ID:KS7qCuO.O
lw´‐ _‐ノv「美味しいけど血糖値が怖いわーこれ」
( ΦωΦ)「その体長で血糖値て」
lw´‐ _‐ノv「いくら私が身長130cmの美ロリボディつっても二十歳越えてるから」
( ΦωΦ)「合法ですね」
lw´‐ _‐ノv「好きにして良いのよ」
(*´ΦωΦ)「えっ、あ……え……その……」
lw´‐ _‐ノv「照れんなよ困るだろうが」
(*´ΦωΦ)「や、す、すみません……」
lw´‐ _‐ノv「その顔止めろよ戸惑うだろうが、童貞かお前は」
(*´ΦωΦ)「……」
lw´‐ _‐ノv「激しくボケたんだから突っ込んでくれよ……妹が恋しいよ……」
(*´ΦωΦ)(姉譲りだなーあいつ)
- 86 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 21:21:10 ID:KS7qCuO.O
lw´‐ _‐ノv「全く困ったロリコンだよ君は」
( ΦωΦ)「いえ別にそう言うわけでは」
lw´‐ _‐ノv「気にするな君の嗜好は把握している」
(*´ΦωΦ)
lw´‐ _‐ノv「その顔やめろって……淫乱美幼女ボディのシューちゃんも戸惑うわ……」
lw´‐ _‐ノv←130cm無乳22歳
川 ゚ -゚)←170cm巨乳20歳
( ΦωΦ)←190cm魔乳18歳
lw´‐ _‐ノv「要るのかよ今の補足」
( ΦωΦ)「さあ」
lw´‐ _‐ノv「こんな時だけクールになんなよ」
- 87 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 21:23:12 ID:KS7qCuO.O
( ΦωΦ)「で、店どうすんスか」
lw´‐ _‐ノv「やるよ」
( ΦωΦ)「クーは?」
lw´‐ _‐ノv「一緒にやりたいなーって」
( ΦωΦ)「そのクーは?」
lw´‐ _‐ノv「帰っちゃった」
( ΦωΦ)
lw´‐ _‐ノv
( ΦωΦ)「どうすんの?」
lw´‐ _‐ノv「悩んでたけど悩むの諦めた」
( ΦωΦ)「シュー姉」
lw´‐ _‐ノv「はいな」
( ΦωΦ)「アホだろ」
lw´‐ _‐ノv「シビアだな君」
- 88 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 21:25:10 ID:KS7qCuO.O
( ΦωΦ)「ほらもー、またアホな事言ってあいつしょげたんでしょー?」
lw´‐ _‐ノv「出ていった理由はただの家出だって告げた」
( ΦωΦ)「ふざけんな」
lw´‐ _‐ノv「まさかここでまで怒られるとは」
( ΦωΦ)「それは怒るよ、それはしょげるよ、それは駄目だよ」
lw´‐ _‐ノv「いや、うん、超ごめん」
( ΦωΦ)「無いわ、引くわ、ドン引きだわ」
lw´‐ _‐ノv「ごめんて、ごめんて本当に……そんな怒るなよ……」
( ΦωΦ)「クーに謝ってきなさい」
lw´‐ _‐ノv「あとで」
( ΦωΦ)
lw´‐ _‐ノv
( ΦωΦ)「飯抜き」
lw´‐ _‐ノv「ごめんなさい」
- 89 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 21:27:15 ID:KS7qCuO.O
lw´‐ _‐ノv「はーあーもークーにもロマ男にも怒られるしもー」
( ΦωΦ)「ロマ男言うな」
lw´‐ _‐ノv「今日中には迎えに行きますよーだ、それよりそっちの棚見てこいよ」
( ΦωΦ)「は?」
lw´‐ _‐ノv「行けよ、あんた背中が煤けてるぜ」
( ΦωΦ)「喧しいわ」
lw´‐ _‐ノv「黙って行け」
( ΦωΦ)「何なのよ急に……分かりましたよーだ行きますよーだ」
lw´‐ _‐ノv「はいはい行け行け」
lw´‐ _‐ノv
lw´‐ _‐ノv「……久々の仕事、かあ」
- 90 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 21:29:04 ID:KS7qCuO.O
( ΦωΦ)「んっとにもう……何なのだシュー姉は……」
( ΦωΦ)「居なくなったと思ったら戻ってきてるし……」
( ΦωΦ)「しかも居なくなった理由が理由だし……」
( ΦωΦ)「アホなんちゃうんかシュー姉」
「聞こえてんぞー」
(ΦωΦ )「我輩は事実しか口にしてませーん」
「ファック」
(ΦωΦ )「やかましい」
( ΦωΦ)「全くもう……大体、なぜにこんな客の様な真似を……」
( ΦωΦ)
( ΦωΦ)(……思い出、手放したのか? 我輩が?)
( ΦωΦ)「…………」
- 91 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 21:31:27 ID:KS7qCuO.O
見慣れたがらくたまみれの棚。
そこはいつも、客の思い出が並ぶ場所。
我輩から見ればがらくたでも、きっと思い出の持ち主からすれば大切なもの。
そんな中に、我輩の思い出も存在するのだろうか。
( ΦωΦ)(我輩の……思い出……)
ゆっくりと、上から順に棚を見る。
見覚えのある物はまだ見つからない。
腰を屈めて棚の下を覗き込む。
埃をかぶったがらくたまみれ。
( ΦωΦ)(あ、)
手放してしまった思い出。
手放したかった思い出。
そのいずれかはわからない、我輩の思い出。
手を伸ばす、くたびれたケーキカップ。
- 92 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 21:33:30 ID:KS7qCuO.O
よれよれの、紙製ケーキカップを手に、我輩はカウンターへと戻る。
そこに座るのは、まるで何年も前からそこに存在していた様なシュー姉の姿。
肘をついて、手を組んで、顎を乗せて。
にっこりと、我輩を見て笑った。
ああ、この人は、
lw´‐ _‐ノv「おいで、ロマネスク」
( ΦωΦ)「う、む……」
lw´‐ _‐ノv「あなたの手放した、あなたの思い出……あなたの中へと返してあげる」
( ΦωΦ)「……」
悔しいほどに、この人はきれいな人だ。
- 93 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 21:36:37 ID:KS7qCuO.O
そっとカウンターに持ってきたそれを乗せると、シュー姉は嬉しそうに細い目を更に細くする。
何でも見透かしている様な笑顔が、悔しくて、大好きで。
小さい頃から変わらない様な、細くて白い手。
ケーキカップに触れた指先に見とれていると、視界は真っ白に塗り潰された。
白い世界。
声がする。
少女の声が二つと、声変わり前の少年の声。
ああ、あの声は我輩。
そして、二つの声は、
『ロマネスク、なにしてるの?』
『こっちおいで、一緒に遊ぼう』
幼馴染みの姉妹が、笑顔で手招きをしている。
我輩は照れながら、二人のそばへと歩み寄った。
- 94 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 21:38:34 ID:KS7qCuO.O
この頃はまだ、シュー姉の背が一番高かった。
シュー姉、我輩、直野と言う階段状態で、それが悔しかった。
女子達と遊ぶ事を恥じた事など一度も無いが、女子に身長で負けるのは悔しかったな。
お陰で今は2m近い身長なのだが。
姉妹はビニールシートの上に、ままごとセットを広げて我輩を呼ぶ。
どうせ父親役にでもなれと言うのだろう、女子はままごとが本当に好きだ。
『ロマネスク、おかあさん役やって』
『まさかの』
『クーが娘でわたしは小姑ね』
『なにその組合わせ』
『旦那が蒸発して嫁と孫だけが残された家にやって来た旦那の母親が嫁をいびるっていう』
『やだよそんなリアルなままごと』
- 95 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 21:40:36 ID:KS7qCuO.O
『あらロマネスクさん、ここに埃がたまってますわ。そんなだからあの子が出て行ったのね』
『ちょ、おま、』
『おかーさん、おなかすいたー』
『えっ、ちょ、』
『あら嫌だわロマネスクさん、娘にご飯も作ってあげないだなんて、母親失格ではなくて?』
『……』
『おかーさーん』
『ほらクーちゃんいらっしゃい、おばあちゃんがご飯を作ってあげるわ』
『結構ですわお義母様、その子は私が育てると言ったじゃありませんか』
『ノリよった』
- 96 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 21:42:13 ID:KS7qCuO.O
『それよりもご自分の息子の教育はどうなっていたんでしょうね、我が子を置いて蒸発なんて』
『まあっ! うちの子が悪いとでもおっしゃるのかしら!?
あなたに妻としての魅力が無かったのが原因でしょう!?』
『あら不思議ですわねお義母様、ならお義母様に連絡くらい行くのではありませんか?
あの人は誰にも、お義母様にも、何も言わずに、突然、消えたんじゃないですか』
『まあぁぁぁっ……! 何て嫁なのかしらロマネスクさんっ! あの子が悪いと言うつもり!?』
『あら、私はそんな事、ひとっことも言ってませんわ?
さあこっちへいらっしゃいクー、すぐご飯にしますからね』
『はーいおかーさん』
『待ちなさいロマネスクさんっ! まだ話しは終わっていませんよっ!?』
『すみませんお義母様、クーがお腹を空かせているので、親としての勤めを果たしますわ』
『なっ……なんって嫁なのかしら……っ!!』
- 97 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 21:44:28 ID:KS7qCuO.O
『ダメじゃんロマネスク』
『個人的には善戦したつもりだよ』
『嫁いびりなのにただの嫁姑バトルだよ』
『知らんよ』
『ロマネスク、おなかすいた』
『ままごと関係なくハラヘリか』
『うん』
『じゃあうち来い、なんか探す』
『わーい』
『わーい』
『ハラヘリ増えとる』
- 98 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 21:46:37 ID:KS7qCuO.O
『参ったな、何も無いか』
『おなかすいたー』
『おなかすいたー』
『あーはいはい……なんか作れるかな……』
キッチンで見つけたホットケーキミックス。
そのパッケージ裏に書いてあった、カップケーキの作り方。
他に食う物も見つからず、我輩はそれを作ってみようと材料や道具を集める。
カップケーキならば火も使わず、電子レンジのみで作れる。安全面でも安心できた。
粉を卵と牛乳で溶き、偶然あったケーキカップに入れる。
それを電子レンジに並べ、数分。
軽快な音をさせる電子レンジを開いてみれば、そこには湯気の立ち上るふわふわのカップケーキ。
甘い匂いを漂わせるそれらを皿に並べ、牛乳をコップに注いで二人の元へ持っていった。
- 99 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 21:48:22 ID:KS7qCuO.O
カップケーキを見た二人の顔は、ぱっと明るくなった。
いいにおい、おいしそう、と口々に言う姿が、妙に嬉しくて。
そしてカップケーキを頬張る二人の顔が、底抜けに嬉しそうで、美味しそうで。
ああ、我輩は、この顔が好きだ。
誰かの喜ぶ顔が。
嬉しそうに、我輩の作ったものを頬張る姿が。
この姉妹が、幸せそうに笑うのが。
( ;ωΦ)「あ……」
( ⊃ω;)
( ⊃ω∩)
だから我輩は、今でも料理を作るんだ。
- 100 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 21:50:28 ID:KS7qCuO.O
ああ、そうだ。
そうだ、我輩は。
直野姉妹が幸せそうに食べるから、我輩はいつも、暇さえあればお菓子を作って。
二人に食べさせては、嬉しそうな顔に、嬉しくなって。
我輩が今でも料理をする理由。
我輩が今、調理系に進みたい理由。
我輩は、二人が好きだ。
( ⊃ω∩)「……」
lw´‐ _‐ノv「受け取ったね、思い出」
( ⊃ω∩)「う、む……」
lw´‐ _‐ノv「今、あなたが必要としている思い出……進路についてだね」
( ⊃ω∩)「……」
lw´‐ _‐ノv「ロマネスク」
( ⊃ω∩)「む……」
lw´‐ _‐ノv「あなたの作るお菓子も、あなたも、大好きだよ」
- 101 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 21:52:47 ID:KS7qCuO.O
( ⊃ω∩)「シュー姉……」
lw´‐ _‐ノv「もちろん、クーも……ロマネスクが大好きだよ」
( ⊃ω∩)「む……」
lw´‐ _‐ノv「クーもロマネスクも、素直じゃないからね……たまには素直になりな」
( ⊃ω∩)「素直クールのくせに……」
lw´‐ _‐ノv「まあ確かに」
( ΦωΦ)「はぁ……進むべき道は、ちゃんとわかった……ありがとうシュー姉」
lw´‐ _‐ノv「どういたしまして」
( ΦωΦ)「代金は?」
lw´‐ _‐ノv「また、あのカップケーキつくってちょうだいな?」
( ΦωΦ)「…………わかった」
lw´‐ _‐ノv「クーと、楽しみにしてる」
( ΦωΦ)「うむ…………クー、迎えに行くか?」
lw´‐ _‐ノv「そうね……んじゃ、一緒に行こうか」
( ΦωΦ)「ん」
- 102 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 21:54:55 ID:KS7qCuO.O
からんころん。
( ΦωΦ)「あれ」
lw´‐ _‐ノv「ん?」
( ΦωΦ)「何で普通に店出てるの?」
lw´‐ _‐ノv「今さっき行くって言ったからじゃん?」
( ΦωΦ)「いや、普通は思い出ひとつ見たらもう終わったから」
lw´‐ _‐ノv「メタ言うなよ萎えるだろうが」
( ΦωΦ)「いやマジで」
lw´‐ _‐ノv「ロマ男の思い出が何の山も落ちも無かったからレス数すくねーんだよ、18レスだよ」
( ΦωΦ)「ドメタじゃねーか」
lw´‐ _‐ノv「しょうがねーだろこのまま最終回だよ」
( ΦωΦ)「最終回は次回だろ」
lw´‐ _‐ノv「めんどくせーからコレが最終回だよ」
( ΦωΦ)「えっ」
- 103 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 21:58:09 ID:KS7qCuO.O
lw´‐ _‐ノv「はいはい実家行くぞー」
( ΦωΦ)「えっ、ちょ、えっ?」
lw´‐ _‐ノv「このまま前後編にする事もなく最終回だよ!」
( ΦωΦ)「投げ遣りすぎるよ!」
lw´‐ _‐ノv「文句言うなよ! 不定期にしたらガチでなかなか書かないんだよ!!」
( ΦωΦ)「自分のせいじゃねーか!! つーかメタはもう良いよ!!」
lw´‐ _‐ノv「言い出したのお前だろうが! 近々俺屍リメイク出るから必死なんだよ!!」
( ΦωΦ)「ゲームしたいだけだよ! ゲームしたいだけだよ!!」
lw´‐ _‐ノv「そうだよ積みゲー必死で崩してんだよ!!」
( ΦωΦ)「グランナイツ積まずにやれよ!!」
lw´‐ _‐ノv「うるせー死ね!!!!」
- 104 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 22:00:40 ID:KS7qCuO.O
lw´‐ _‐ノv「さ、実家につきましたね」
( ΦωΦ)「そんな平然と」
lw´‐ _‐ノv「過去は引き摺らない良い女なの」
( ΦωΦ)「あーはいはい、おばさーん杉浦ですー」
ノパ听)「お! 杉浦くん!」
( ΦωΦ)「相変わらずお小さい、クー居ます?」
ノパ听)「杉浦くんは相変わらずでっかいね! そっちのは私の娘?」
( ΦωΦ)「あーはい、娘さんです、ほらシュー姉ご挨拶」
lw´‐ _‐ノv「おかんただいまー」
ノパ听)=三⊃#) _‐ノvそ デュクシ
- 105 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 22:02:12 ID:KS7qCuO.O
lw´#) _‐ノv
lw´#) _‐ノv「え?」
ノハ#゚听)「突然家出してバカ娘!!」
lw´#) _‐ノv「あ、ごめんなさい、もう多分しません」
ノハ#゚听)「よし!!」
( ΦωΦ)(ちっせー母娘だなあ)
ノパ听)←120cm 38歳 爆乳
( ΦωΦ)(胸の遺伝子はクーに行ったのか)
ノパ听)「あ、クーだったね?」
( ΦωΦ)「あ、はい」
ノパ听)「さっき入れ違いで出てっちゃった」
( ΦωΦ)「なんつう」
- 106 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 22:04:27 ID:KS7qCuO.O
lw´‐ _‐ノv「なんだ、クーって部屋から出られたんだ」
ノパ听)「部屋が物置状態でへこんでた!」
lw´‐ _‐ノv「ははは、ざまぁ」
ノパ听)「シューの部屋もね!」
lw´‐ _‐ノv「ははは、ひでぇ」
( ΦωΦ)「で、クーはどこ行ったのか分かります?」
ノパ听)「さあ?」
( ΦωΦ)「ですよねー」
ノパ听)「まあ、でも」
( ΦωΦ)「?」
ノパー゚)「店だと思うよ?」
- 107 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 22:06:14 ID:KS7qCuO.O
にっこり笑うヒートおばさんの言葉を信じ、先ほど来た道を戻る。
シュー姉は腑に落ちないといった顔をしているが、我輩は何となく予想していた。
lw´‐ _‐ノv「むう……クーは店、嫌いなのになあ……」
( ΦωΦ)「ま、行ってみりゃわかる」
lw´‐ _‐ノv「まあね……母さんが言うんだし……」
( ΦωΦ)「おはさんは、そんなに勘が良いのか?」
lw´‐ _‐ノv「アホみたいな顔しといて、なーんでもお見通し」
( ΦωΦ)「親をアホとか言わないの」
lw´‐ _‐ノv「はーい」
( ΦωΦ)(しかし……クーが店、か……)
( +ω+)(逃げられんもんだなあ、因果ってのは……)
- 108 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 22:08:16 ID:KS7qCuO.O
からんころん。
川 ゚ -゚)「ようこそ、直野骨董店へ」
( ΦωΦ)「あ、本当に居た」
川 ゚ -゚)「ロマネスク、こっちにおいで」
( ΦωΦ)「む? ん、ああ」
川 ゚ -゚)「さ、て…………左奥の棚へどうぞ “お客様” 」
( ΦωΦ)「えっ……」
lw´‐ _‐ノv「…………」
川 ゚ -゚)「あなたの心に引っ掛かった何か、それが必ず見付かるはずです……どうぞ、お探しください」
( ΦωΦ)「クー……」
lw´‐ _‐ノv「……良い仕返しじゃない、受けてたってやんよ」
- 109 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 22:11:13 ID:KS7qCuO.O
店に戻った我輩達を出迎えたのは、カウンターに座る仮店主。
先日の姿からは想像も出来ないような、威風堂々たるその姿。
それはまさしく、店主に相応しい風格。
( ΦωΦ)「(クー、どうしたのだ?)」
川 ゚ -゚)「(実家で母さんと話したんだ、姉ちゃんの事と店の事)」
( ΦωΦ)「(ヒートおばさんと?)」
川 ゚ -゚)「(そしたらさ、母さんは『シューにもクーと同じ様な思い出がある』って)」
( ΦωΦ)「(ははーん……だからか、その態度は)」
川 ゚ -゚)「(見透かすのは、姉ちゃんだけの特技じゃねぇよ)」
こいつ、シュー姉が手放した思い出が何か、もう察してるな。
そしてその思い出が、今必要とされていると感付いている。
( ΦωΦ)(こえー女達)
- 110 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 22:12:31 ID:KS7qCuO.O
何やら、今日は色々あって頭がこんがらがるな。
駆け足過ぎる事もあり、疲れが出始めた。
ええと、確かまずはクーが実家に戻ってシュー姉が帰って来ていた。
そしてシュー姉に我輩の思い出を見てもらい、買い取った。
んでクーを迎えに実家に行くと、クーが居なくてとんぼ返り。
店に戻ってみたらクーが居て、今度はシュー姉の思い出を見る、と。
( ΦωΦ)
( ΦωΦ)「もうちょっと落ち着いた進め方出来なかったの?」
川 ゚ -゚)「これプロット無いのよ、説明乙」
( ΦωΦ)「その場のフィーリングだけって一番タチが悪いな」
川 ゚ -゚)「ちょくちょく矛盾あるぞー、はっはっ」
( ΦωΦ)「最終回くらい真面目にさぁ……」
川 ゚ -゚)「えっ」
( ΦωΦ)「えっ」
- 111 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 22:14:48 ID:KS7qCuO.O
川 ゚ -゚)「これ最終回?」
( ΦωΦ)「うん」
川 ゚ -゚)「ふざけんなよ……」
( ΦωΦ)「ああ、うん……諦めろ……」
川 ゚ -゚)「話の流れ的に大盛り上がりするようなのじゃ無いのはわかってるけど、おま……」
( ΦωΦ)「諦めろ……あとメタ萎えるから止めよ……」
川 ゚ -゚)「うん……」
( ΦωΦ)「……あ、そうだ」
川 ゚ -゚)「ん?」
( ΦωΦ)「我輩、調理進むわ」
川 ゚ -゚)「おう」
( ΦωΦ)「そのキッカケがさ」
川 ゚ -゚)「お前んち行った時のカップケーキだろ?」
( ΦωΦ)
- 112 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 22:16:04 ID:KS7qCuO.O
( ΦωΦ)「…………知ってるの?」
川 ゚ -゚)「覚えてたの、あのカップケーキまた食べたい」
( ΦωΦ)「……明日持ってくる」
川 ゚ -゚)「わーいやった」
( ΦωΦ)「……まあ、喜ぶ顔が好きなんだけどさ……」
川 ゚ -゚)「好きなのはシュー姉だろ?」
( ΦωΦ)
( ΦωΦ)「知ってるの……?」
川 ゚ -゚)「分かるわアホ」
( ΦωΦ)「え……死にたい……今すごい……怒濤の死にたさ……」
川 ゚ -゚)「生きてカップケーキ食わせろ」
( ΦωΦ)「うん……」
- 113 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 22:18:33 ID:KS7qCuO.O
何やら、二人がわいわいと話している。
その仲睦まじい様子は、聞いているだけで少し落ち着く。
あの二人は昔から仲が良いからなあ、あの二人なら幸せになれるんじゃないかなあ。
lw´‐ _‐ノv(こんな私でも、一番大事なのは妹の幸せなのよねー……)
棚をゆっくりと眺め、少しだけ笑う。
仲な良い二人と、まさか私が客になるなんてと言う意外性に。
lw´‐ _‐ノv(クーの仕返しか……前、ひどい見方したからなあ……)
lw´‐ _‐ノv(私も、なかなか不器用だね……)
素直になれないのは、私も、か。
- 114 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 22:20:09 ID:KS7qCuO.O
ゆっくりゆっくりと棚を見て、指でなぞって、ぴたりと止まった指先。
そこにあるのは小さくて、色のくすんだ古い錠前。
ああ。
lw´‐ _‐ノv(……鍵を開け閉めするのは、いつもあの子)
あの子は鍵。
私は鍵がなければ何も出来ない、小さな錠前。
私にとってのあの子は、本当に、大事で大事でしょうがない。
あの子が居なければ、私は何も出来ないんだ。
依存しているのは、私。
- 115 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 22:22:28 ID:KS7qCuO.O
lw´‐ _‐ノv「持ってきたよ、店主さん」
川 ゚ -゚)「こちらへどうぞ、お客様」
lw´‐ _‐ノv「……どんな思い出を、手放したのかしらね」
川 ゚ -゚)「それは、見てみなきゃ、ね」
にこりと、かすかに笑う妹。
ああ、勝てる気がしない。
私はこの子が、大好きだ。
弱いところ、強いところ、泣き虫で弱虫で、意気地無しで意地っ張り。
みんなみんな、可愛い妹。
そんな妹の手が、錠前に触れる。
その手に、私は手を重ねた。
世界は白で、塗り潰される。
- 116 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 22:24:20 ID:KS7qCuO.O
『おねーちゃん、おねーちゃん』
『なーに、クー』
『何してるの?』
『お仕事の、練習』
『……そう』
寂しそうにうつむく妹が、可愛くて、切ない。
祖父から渡された鍵と錠前、そこに刻まれた思い出を覗く、思い出屋の修行。
持ち主のいない状態でも、思い出を見れる様になるための、修行。
私は思い出屋が嫌いじゃない。
でも私が思い出屋に関わると、妹が悲しそうな顔をする。
それを見るのが嫌で、思い出屋を継ぐ事を拒絶していた。
じいっと、私の手元の鍵を見る妹。
その横顔を、じいっと見つめる私。
ふと目があうと、寂しそうに笑った。
- 117 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 22:26:27 ID:KS7qCuO.O
祖父と毎日喧嘩をした。
妹と離れるのが、妹を悲しませるのが嫌で。
祖父は言う。
『クーは思い出に揺れ動かされる、優しさは弱さになる、あの子にこの仕事は向かない』
私は言う。
『私は思い出にとまどわない、でもそれは冷たさ、そんな人間から思い出を買いたいと思う?』
私はクーの様に、思い出のひとつひとつに感情を動かさない。
どんなに悲惨な思い出も、どんなに痛ましい思い出も、顔色変えずに売れるだろう。
けど、そんな冷たい店主から、思い出を買いたいか?
悲しい思い出に同情し、つらい思い出に眉を寄せ、痛い思い出に恐怖する。
そんな、人間味のある店主だからこそ、思い出を買いたくなるんじゃないか?
- 118 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 22:30:23 ID:KS7qCuO.O
祖父が、そんな人間だ。
悲しみも、苦しみも、痛みも、みんな共有して語り合う様な店主だった。
だからこそ、そのつらさを知るのは分かる。
だからこそ、私が店主に合うと言うのだろう。
でも私は、そんな祖父が好きだったのに。
『おねーちゃん……?』
『ん?』
『おねーちゃん、お店をつぐの……?』
『……』
『おねーちゃんと……はなればなれ、なの?』
この、泣きそうな顔で私を見上げる妹が、たまらなく好きなのに。
- 120 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 22:32:42 ID:KS7qCuO.O
結局私は、選択肢から逃げた。
祖父とただただ争い、妹の笑顔を裏切り、家を飛び出した。
あの家出は、妹の悲しむ顔が見たくないからしたんだ。
『おじいちゃん……これ、返す』
『見れたか?』
『……見れたよ』
『…………そうか』
『おじいちゃん、私、』
『お前もクーも、店からは離れられないんだ』
『え、』
『お前達には、そう言う血が流れてしまっているから』
『…………』
『すまない……こんな血筋で』
- 121 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 22:34:05 ID:KS7qCuO.O
祖父の悲しそうな顔は、妹とよく似ていた。
その顔を見たくなくて、見たくなくて、私はひたすらに逃げた。
ああ、この思い出は
『おねーちゃん……ずっと、一緒だよね?』
この思い出は、私の、
『すまない、シュール……』
私の、やるべき事。
- 122 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 22:36:11 ID:KS7qCuO.O
lw´‐ _‐ノv「……分かった」
川 ゚ -゚)「……姉ちゃん、」
lw´‐ _‐ノv「この店、一緒にやろう」
川 ゚ -゚)「え……?」
lw´‐ _‐ノv「つらい思い出を察すれば、私がそれを見る」
川 ゚ -゚)「姉、ちゃん?」
lw´‐ _‐ノv「だから、普段はクーがここに座っていて」
川 ゚ -゚)「姉ちゃん、でも、ここは」
lw´‐ _‐ノv「ここは、私達の居場所……どっちかだけの居場所じゃない」
川 ゚ -゚)「…………姉ちゃんだけ、つらいじゃん」
lw´‐ _‐ノv「私はどんな思い出でも、心を動かさない……人の痛みを、私の痛みとは感じない」
川 ゚ -゚)「ッ」
- 123 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 22:38:16 ID:KS7qCuO.O
lw´‐ _‐ノv「クーは、思い出を分かち合う店主で居て」
川 ゚ -゚)「姉ちゃんは……思い出をただ売るだけの店主……?」
lw´‐ _‐ノv「そう……でも、私は苦しくないよ」
川 ゚ -゚)「私、は……」
lw´‐ _‐ノv「クーと一緒に居られる事が、私の幸せだから」
川 ゚ -゚)「私も……私も、姉ちゃんと一緒が良い……」
lw´‐ _‐ノv「二人の店主でも、良いじゃん……一緒に頑張ろう?」
川 ゚ -゚)「うん……私は、どんな思い出でも受け入れられる様になるから」
lw´‐ _‐ノv「私は、少しでも心が揺れる店主になる様に」
川 ゚ -゚)「…………よろしくね、姉ちゃん」
lw´‐ _‐ノv「うん、よろしくね……クー」
- 124 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 22:40:09 ID:KS7qCuO.O
何やら、我輩のよくわからない内に二人は和解したらしい。
詳細は分からんが、姉妹が仲良く出来るのは良い事なのだろう。
もっとも、これが先代の望んだ結末かは分からんが。
我輩は毎日、この二人の元に食事を運ぶ日々が始まる事は、分かった。
( ΦωΦ)(……我輩の思い出も、二人の思い出も、ここに繋がった……か)
因果やら、因縁やらは、全て同じ場所に繋がる。
そしてそれは、容易く断ち切れるものでもないのだ。
二人で並んで店に出る日もあれば、片方だけが店に出る日もある。
これが新たな日常、我輩達を取り巻く変化と、縁。
手放したかった、姉と店の思い出。
手放すべきだった、妹と店の思い出。
手放してしまった、愛しい姉妹の思い出。
その三つが絡まって、我輩達はここに居る。
- 125 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 22:42:07 ID:KS7qCuO.O
姉を奪う思い出屋が嫌いだと、悲しみに任せて手放したかったクーの思い出。
思い出屋として悲しみを持たぬために、手放すべきだったシュー姉の思い出。
面倒臭い姉妹に挟まれて、我輩は今日も店の扉を開く。
からん、ころん。
lw´‐ _‐ノv「ようこそ、直野骨董店へ」(゚- ゚ 川
その骨董店は、様々な思い出が渦巻く埃臭い場所
それこそが
思い出屋さんのようです。
【思い出屋さんのようです おわり。】
- 127 名も無きAAのようです 2011/10/30(日) 22:44:16 ID:KS7qCuO.O
lw´‐ _‐ノv「店も片付いたなー」
川 ゚ -゚)「綺麗になってまあ」
( ΦωΦ)「片付けたの我輩だけどね」
lw´‐ _‐ノv「じゃあ、次に来た人が新しい思い出屋の第一号の客だね」
川 ゚ -゚)「だね、感慨深い特別な人だ」
( ΦωΦ)「無視かよ」
lw´‐ _‐ノv「あ、人来た」
川 ゚ -゚)「おお……ドキドキするな……せーので言うよ姉ちゃん」
からんころん。
lw´‐ _‐ノv「ようこそ、直野骨董店へ!!」(゚- ゚ 川
( ^Д^)「直野ー? こないだ貸したエロゲどうなったー?」
川 ゚ -゚)
( ^Д^)「お? 直野のお姉さんこんちゃー…………どしたん直野」
川 ゚ -゚)「お前、朝日が拝めると思うなよ」
(;^Д^)「急に!? 急に何で即死コール!? 何で!?」
川#゚ -゚)「歯を食い縛れエエエエエエエエエッ!!!!」
(;^Д^)「いやあああああああああッ!!!?」
【おしまい。】