从 ゚∀从ようです
从 ゚∀从「良い天気だなあ」
(-_-)「うん、」
从 ゚∀从「涼しいなあ」
(-_-)「うん、」
从
゚∀从「私の事は好き?」
(-_-)「うん、」
从
゚∀从ようです
彼女は青と薄茶を混ぜたような灰色がかったジーンズを穿いていて、薄いオレンジのぴったりとしたTシャツを着ていました。
赤い外跳ね髪を揺らす風は開け放たれた窓から入ってきていて、部屋の中を涼しくさせます。
彼女は赤い丸が描かれた箱から一本の煙草を抜いて口に銜え、安い透明なライターで火を点けました。
ふわ、と鼻を突く煙の臭いが、彼女が隣に居る事を教えてくれます。
僕は、彼女が吸う煙草の臭いが好きでした。
从
゚∀从「私さあ」
(-_-)「うん、」
从 ゚∀从「お前が好きだよ」
(-_-)「うん、」
从
゚∀从「お前も私が好きなんだよな」
(-_-)「うん、」
从
゚∀从「嬉しいよ、両思い」
(-_-)「うん、」
从
゚∀从「涼しいなあ」
(-_-)「うん、」
从 ゚∀从「秋だなあ」
(-_-)「うん、」
从
゚∀从「散歩に行かない?」
(-_-)「うん、」
从
゚∀从「やっぱり、良いや」
(-_-)「うん、」
从
゚∀从「シュークリーム買ってきたから、食べようか」
(-_-)「うん、」
煙草の火を窓の縁に押し付けて消した彼女は、足元のビニール袋からシュークリームが入った小さな袋を二つ取り出しました。
一つを僕の頭にのせて、吸い殻を水の入ったペットボトルに入れて窓際に置きます。
そしてシュークリームの袋を開けて、茶色のそれを掴んで取り出しました。
袋をその場に落として、シュークリームにかぶり付く彼女。
途端、ぼたぼた、とシュークリームな中身が床に落ちました。
彼女のTシャツと手を汚す白いクリーム。
がつがつ、と慌ててシュークリームを食べきった彼女は、手の甲で口許を拭ってため息を吐きました。
从
゚∀从「ああ、汚れた」
(-_-)「うん、」
Tシャツで手を乱暴に拭いて、Tシャツの裾を掴む手。
ばさ、と、脱ぎ捨てられたTシャツが、僕の肩に引っ掛かりました。
上半身が下着姿になった彼女はまた、赤い丸が描かれた箱から煙草を一本抜いて口に銜え、安物のライターで火を点けます。
ふわ。
僕の好きな、煙草の臭い。
飾り気の少ない赤の下着だけを身に付けた彼女の上半身は、至ってシンプルです。
けれど彼女には、それが一番似合っている様な気がしました。
从
゚∀从「下着姿だけどさ」
(-_-)「うん、」
从
゚∀从「多少は興奮とかするの?」
(-_-)「うん、」
从 ゚∀从「本当に?」
(-_-)「うん、」
从
゚∀从「嘘でしょ」
(-_-)「うん、」
从 ゚∀从「私は女として魅力ない?」
(-_-)「うん、」
从
゚∀从「無理してる?」
(-_-)「うん、」
右手の指先に火の点いた煙草を挟んだまま、彼女は僕の目の前にしゃがみこみます。
煙草の煙をいっぱいに吸い込んだ彼女は、壁に凭れながら膝を抱えて座る僕の顎を持ち上げて、唇に唇を押し付けました。
入ってくる舌がぬるりと上顎を撫で上げると、背中がぞくりとしました。
鼻に抜けるクリームの甘い香りに続いて、流れ込む煙草の煙。
(-_-)「けほ、けほ、」
从
゚∀从「苦い?」
(-_-)「けほ、う、ん、」
从 ゚∀从「甘い?」
(-_-)「うん、」
从
゚∀从「そっか」
(-_-)「うん、」
引き抜かれた彼女の舌と、離れる唇は唾液の糸を引いて、僕は胸に押し込まれた煙に噎せるばかり。
けほ、けほ。
数回の咳をしてから、頷きます。
从
゚∀从「私はお前が好きだよ」
(-_-)「うん、」
从
゚∀从「お前も私が好きなんだよな」
(-_-)「うん、」
从
゚∀从「せっかく下着姿なんだから、何かすれば良いのに」
(-_-)「うん、」
从
゚∀从「そう言って何もしない癖に」
(-_-)「うん、」
从
゚∀从「意気地無しだ」
(-_-)「うん、」
从
゚∀从「馬鹿」
(-_-)「うん、」
从
゚∀从「帰るぞ」
(-_-)「うん、」
僕の腕を掴んでいた彼女は僕をはっ倒して、僕が身に付けていた紺のTシャツを無理やり脱がせてしまいました。
そしてそのTシャツを着込み、ストラップのついていない赤い携帯電話を握って
ばたん
僕の部屋から、出ていってしまいました。
のそ、と身体を持ち上げた上半身裸の僕は、彼女に掴まれていた右腕を撫でて立ち上がります。
彼女が置いていった赤い丸が描かれた箱から煙草を一本抜いて、口に銜えます。
かち、かち。
数回プッシュしてから火の出たライターで煙草の先端に火を点け、胸一杯に煙を吸い込みました。
(-_-)「けほ、けほ、」
やっぱり噎せた僕は数回咳き込んで、開け放たれた窓の縁に両腕を乗せて項垂れました。
僕が好きな煙草の臭いは、彼女が吸うから好きなんだ。
僕が吸っても、好きじゃない。
僕が好きなのは、
(-_-)「僕が好きなのは、ハインだから」
がちゃ
ドアの開く音、歩く音
背中にしがみつく、彼女の腕。
(-_-)「ごめんね」
「謝るなら、やめろよ馬鹿」
(-_-)「ごめんね」
「もう良いよ、馬鹿」
(-_-)「うん、」
「馬鹿」
(-_-)「好きだよ」
「馬鹿」
(-_-)「好きだよ」
「もっかい」
(-_-)「好きだよ、」
「うん、」
(-_-)「好きだよ、ハイン」
「うん、うん、」
良い天気だね
涼しいね
好きだよ
どうしたの
僕も好きだよ
好きだよ
僕も嬉しいよ
涼しいね
秋だね
散歩に行こうか
そうだね
食べようか
汚れちゃったね
寒くはない?
少し照れてるんだよ
本当だよ
どうだろう
嘘だけど
実はね
少し苦い
けっこう甘い
不思議な感じ
僕も好きだよ
好きだよ
でも恥ずかしいよ
ごめんね
意気地無しなんだ
ごめんね
(-_-)「ごめんね」
从
゚∀从「なんだよ、いきなり」
(-_-)「ううん」
从 ゚∀从「馬鹿」
(-_-)「うん」
从
゚∀从「好きだよ、馬鹿」
(-_-)「うん、僕も好きだよ」
投げ出した僕の足を枕に寝転がる彼女は青と薄茶を混ぜたような灰色がかったジーンズを穿いていて、上半身には飾り気の少ない赤い下着だけを身に付けています。
紺色のTシャツを胸に抱いて身体を丸くする彼女が可愛くて、僕は彼女の赤い外跳ね髪を撫で付けました。
僕を見上げてにっこり笑う彼女が、僕は好きです。
「好きだよ、ハイン」
「私もだよ」
終わり。