怖いようですなおじゃない子。
僕の好きな子は、少し怖い。
顔が怖いとか、暴力を振るうとかじゃない。
ただ、なんか、ちょっぴり怖い。
ξ゚听)ξ「内藤君、プリント持ってきましたか?」
(;^ω^)「お……ごめんお、忘れたお……」
ξ゚听)ξ「昨日ちゃんと言いましたよね、私」
(;^ω^)「ご……ごめんなさいお……」
ξ゚听)ξ「明日は忘れないで下さい、忘れられると迷惑です」
(;´ω`)「ごめんなさいお……」
僕の好きな子は、なんだかちょっぴり、怖い。
怖いと言うか、怖く見えてしまう。
『怖いようですなおじゃない子。』
ξ゚听)ξ「内藤君」
( ^ω^)「は、はいはいお!」
ξ゚听)ξ「一回で結構です。それより、提出物を出していないのがあと内藤君だけです」
(;^ω^)「お……」
ξ゚听)ξ「先日も言いましたが、他の人達はみんな出しています」
(;´ω`)「おー……」
ξ゚听)ξ「早く出してもらわないと、先生にも言われています。私に文句を言われるのは構いませんが、みんなの足並みを乱さないで下さい」
(;´ω`)「ごめんなさいお……」
僕の幼馴染みである、僕の好きなこの子は委員長。
いつも不真面目な僕が迷惑をかけては、怒られてしまう。
彼女は性格が少しきついから、周りからは冷血女だなんだと呼ばれる事が多い。
なんだか、とても、申し訳ない。
でも、あの子は僕と二人になると、全然違う顔を見せてくれる。
そんな、放課後の図書室。
ξ゚听)ξ「……」
( ^ω^)「どうしたお?
ツン」
ξ゚听)ξ「ごめんなさい、きつい言い方して」
( ^ω^)「お?」
ξ゚听)ξ「昼、嫌な言い方したから、ごめんなさい」
( ^ω^)「あれは僕が悪いんだお、気にしないでだお。それよりツンがきつい子だって思われるのが申し訳ないお」
ξ゚听)ξ「私は平気です、でも、その」
( ^ω^)「おー、きにすんなおーよしよし」
ξ///)ξ「ぇうあ、頭を撫でないで下さい……私は子供じゃありません」
( ^ω^)「ツンはかーいいおーかーいいおー」
ξ///)ξ「やめ、う、ぇ、あうわわわ」
この子はとても、可愛い。
ξ゚听)ξ「内藤君、今は掃除の時間です」
(;^ω^)「お、ご、ごめんお……ちょっとトイレに……」
ξ゚听)ξ「お手洗いなら出来るだけ休み時間に行く様にして下さい。それではサボっていると見られかねません」
(;'A`)「おいおい、トイレくらい良いじゃねぇかよ」
ξ゚听)ξ「お手洗いに行く事自体は構いませんが、今は掃除の時間である事を言ってるんです」
(;'A`)「だから、」
ξ゚听)ξ「内藤君、行くなら早く行って下さい、みんなに迷惑がかかります」
(;´ω`)「お……は、把握だお……」
(#'A`)「あのなぁ委員長ッ」
(;´ω`)「きにすんなおドクオ、休み時間に暇あったのに行かなかった僕が悪いんだお」
('A`)「けどよぉ……」
ξ´兪)ξ「……」
( ^ω^)「なんつー顔してんだお」
ξ´兪)ξ「また嫌な言い方をしちゃいました……生理現象なのに……ごめんなさい……」
( ^ω^)「僕は気にしてないお?」
ξ´兪)ξ「鬱田君を怒らせちゃいました……申し訳ないです……」
( ^ω^)「ドクオもそんなに気にしてないお。でもツン、そう言うのをみんなの前で言えば……」
ξ゚听)ξ「それはいけません、私は委員長です。クラスをまとめて、憎まれ役になるのが私の役目です」
( ^ω^)「無理に憎まれ役にならなくても良いと思うお?」
ξ゚听)ξ「……それは、その、……性格、です、素直に言えない」
( ^ω^)「可愛い奴め」
ξ///)ξ「うぇあ」
ξ゚听)ξ「内藤君」
('A`)「今度は何だよ」
ξ゚听)ξ「鬱田君にではありません、内藤君にです」
(#'A`)モヤッ
(;^ω^)「な、なんだお?」
ξ゚听)ξ「この間提出したノートですが、先生が少し字が読みづら
(#'A`)「そんな事委員長が言わなくても良いだろ、口うるせぇな」
(;^ω^)「ど、ドクオ!」
ξ゚听)ξ「……すみませんでした。内藤君、はいノート」
(;^ω^)「つ……ツンっ!」
(#'A`)「ほっとけよあんな小姑!」
ξ
)ξ「……」
( ^ω^)「……ツン、図書室、好きだおね」
ξ
)ξ「は、い……」
( ^ω^)「……きにするなお、ツン」
ξ
)ξ「…………め、なさ……」
( ^ω^)「お?」
ξっ;)ξ「ごめん、なさい……口うるさくて、小姑で……」
(;^ω^)「な、泣くなおツン!
泣くなお!」
ξ;;)ξ「……ごめんなさい、嫌な奴で……憎まれ役とか言って、すぐ泣いて……」
(;^ω^)「もう無茶すんなおツン、泣くなお、泣くなお」
ξ;;)ξ「何で……ぇぐ、もっと……素直、に……ひぐっ……」
(;^ω^)「ツンの可愛いとことか、僕が知ってるお。
言っても良いなら僕がみんなに言いふらすお、ツンは本当は可愛くて健気で胸が小さい事を気にしてる普通な女の子だって!」
ξ
;;)ξ
ξ///)ξ「胸ぇっ!!」
(;^ω^)「おぉっ!?」
ξ///)ξ「胸は! 胸は言わないで下さい!
ばかっ!」
(;^ω^)「おおぉっ! じじじ冗談だお! ごめんお!!」
ξ///)ξ「ばか! あほ! うんこたれ!
はげ!!」
(;^ω^)「腹肉をひねらないでくれお! 地味に痛いお!
えーいもう好きだおツン!!」
ξ゚听)ξ
ξ゚听)ξ「へひ?」
(;^ω^)「あ…………なんつータイミングで……」
ξ///)ξ「…………ぇ、あ、ぉうぇあうあわわぁあああわわわわあかかかかか帰ります帰るですさようなりゃれうわあああ!!」
(;^ω^)「ツン待ってお!
日本語破門されそうになってるお! ツーンッ!!」
なんという
ことを。
(;´ω`)「はふぅ……ツンに顔あわせ……られるけど、あわせらんねーお……」
(;´ω`)「あのタイミングで告白とか……頭が不自由すぎるお僕……つーか脈絡無さすぎてミラクルだったお……」
(;´ω`)「あふぅん……僕はどうすれば……」
('A`)「うーい、どしたー内藤」
(;´ω`)「何でもねーお、ちょっとツンに……」
(#'A`)「は?
またあいつかよ、何言われたんだ?」
(;^ω^)「お、い、いや勘違いすんなおドクオ、ツンは何も……」
ガラガラ
|ξ゚听)ξ「おはようございます」
(^ω^;)「ズレた間のワルさもそれも君のタイミングゥッ!」
(#'A`)「おい委員長ッ!」
(;^ω^)「らめぇぇぇぇぇぇぇん!!」
ξ゚听)ξ「何ですか、鬱田君」
(#'A`)「前から言おうと思ってたんだけどな、お前なんで内藤を嫌ってんだよ!?」
ξ゚听)ξ「はい?」
(#'A`)「事あるごとに内藤に突っかかって、フォローも無しで!
何なんだよお前!」
(;^ω^)「ドクオ落ち着けお!
突っかかるとかかからないとかじゃなく、悪い事してんの基本的に僕だお!」
(#'A`)「だいたいもっと優しい言い方したって良いんじゃねぇのかよ!?
内藤を嫌うのは勝手だけどな、見ててイライラするんだよ弱いものイジメ!」
(;^ω^)「イジメじゃないって言うかお前は僕を弱いものとして見てたのかお!?
そこに微妙にショックだお!?」
(#'A`)「なんとか言えよ委員長ッ!!」
ξ゚听)ξ「……私は、別に、」
(#'A`)「うっせぇ!
内藤が嫌いなら関わらなきゃ良いだろ! 無視しとけよ鬱陶しい!!」
(;^ω^)「なんとか言えつって何か言おうとしたらそれかお!
ドクオぶっちゃけ矛盾してるお!? つーかもうやめんかーい!!」
ξ
)ξ「……」
(#'A`)「お前の偉そうな態度、前からイラついてたんだよ! 嫌いな奴にわざわざ突っかかったりしてよぉ!」
ξ
)ξ「……に……」
(#'A`)「この冷血女がッ!
委員長だからって調子乗んな……あん?」
(;^ω^)「ドクオ、もうやめ……お?」
(#'A`)「……んだよ委員長、何か」
ξ#゚听)ξ「ぃやっかましいわァッ!!」
(;'A`)「ひへっ!?」
(;^ω^)「おっ!?」
ξ#゚听)ξ「さっきからギャンギャンとスピッツみたいに吠えて!
耳が痛い! うるさい! 黙れ!!」
(;'A`)「な、なん、」
ξ#゚听)ξ「大体いつ私が内藤君を嫌いだって言ったの!? ああ!?
憶測で物を言うなこのモヤシがァッ!!」
(;'A`)「もやっ、じゃ、じゃあ、」
ξ#゚听)ξ「好きだよ! 大好きだよ!
悪いのか!! 私は内藤君が好きですよ!?
文句あります!!?」
(;'A`)「え、あ、その、あの、」
ξ#゚听)ξ「好き好き好き好き好き好き好き好きッ!! 私は内藤君がだ!
い! 好! き!! 分かったかこのモヤシがアアアアアッ!!!!」
(;'A`)「はひぃっ!
ごめんなさい分かりました!!」
ξ#゚听)ξ「ふー……ふー……」
(;^ω^)「あー……ツン、さん?」
ξ#゚听)ξ「何でッ!
す…………か……」
(;^ω^)
ξ゚听)ξ
(;^ω^)
ξ゚听)ξ「あれ?」
(;^ω^)「えー……そのー……あのー……」
ξ゚听)ξ「あ、あれ、あれ?」
(;^ω^)「さっきのは告白のお返事と受け取って……良いのか、お?」
ξ゚听)ξ「あ……う、あぇ……う……」
(;^ω^)「つ、ツンー?」
ξ///)ξ「うぇあわわわわわわわわわわわわぁ!!
うのわぉあああああああ!!!!」
(;^ω^)「ツン! 落ち着けおツン!
なんかこえーお!!」
(;'A`)「あの……なんか、ごめんな……知らずにひどい事言って……」
(^ω^;)「お前も今それを言うのかお!!
エメロル! エメロル!!」
ξ///)ξ「うわああぁあぁああああああ!!!!」
(;^ω^)「ツン! 応答しろお!!
ツーンッ!!」
結局その騒ぎは、先生が来てもなかなか終わらなかった。
冷血女の委員長と言われていたツン。
その委員長が近代まれに見る崩壊っぷりを見せた事は、みんなにはかなりの衝撃だったらしい。
ひどく戸惑ってはいるみたいだけど、これでツンの性格とかをちゃんと分かってもらえるなら、これはこれで良いんじゃないかなあ、と。
そして僕とツンは、あのままカップルとして祭り上げられてしまった。
僕は余裕でニヤニヤしていたのだが、ツンは始終崩壊したままでろくに話せる状態じゃなくて。
授業をサボってツンを隔離したり、ツンに腹肉ひねられたり、ドクオに蹴られたり。
なんか痛い思いとかしたけど。
ξ゚听)ξ「内藤君、静かにして下さい」
ξ´兪)ξ「……ごめんなさい、また嫌な言い方して」
ξ///)ξ「あばっばばばばばばばばばばばば…………うううう……他の人の前では二度と言いませんからね……」
ξ*゚听)ξ「……大好きですよ、内藤君が」
僕は、怖く見えてちょっと素直じゃないこの子が、大好きだ。
おわり。