- 86 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 21:02:51 ID:/iTu5ocUO
行く道は様々、賑やかな街や静かな村。
時には冷たい風を、時には暖かな風を受けて歩いて行く。
周囲にはいつも移り変わり続ける景色。
聞こえるのは人の声や風の音、喧騒も静けさも耳へと流れ込む。
石畳を踏み、土を踏み、景色の中を渡り歩くのは、三人。
一人はどこか情けない顔をした、人の良い魔導師。
もう一人は、表情を浮かべず自由に振る舞う戦士。
その二人の間に居るのは、明るく元気な女の子。
【旅のようです】
【二話 おい、腹減った】
彼らの間にはいつも、穏やかでいて賑やかな空間が存在する。
立ち絵
- 87 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 21:04:58 ID:/iTu5ocUO
わたしは今、森に居ます。
ミセ*゚ー゚)リ「……前もこんな始まりじゃなかった?」
(‘_L’)「そうなのか」
(´・_ゝ・`)「メタ言わないの」
ミセ*゚ー゚)リ「ねぇせんせ、また森? そんなに変な森に行きたいの?」
(´・_ゝ・`)「行きません、今日はこの奥に住む人に会いに来たの」
(‘_L’)「こんな所に知り合いが居るのか」
ミセ*゚ー゚)リ「人間なのかも怪しいね」
(´・_ゝ・`)「取り敢えず言わせて欲しい」
ミセ*゚ー゚)リ「任せろぃ!」
(´・_ゝ・`)「いや君じゃないの」
(‘_L’)「じゃあ誰にだ」
(#´・_ゝ・`)「君だよ!!」
- 88 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 21:06:21 ID:/iTu5ocUO
(#´・_ゝ・`)「何でしれっと居るの!? いつのまに居たの!? いつから居たの!?」
ミセ*゚ー゚)リ「村出る時から居たよこの人」
(;´・_ゝ・`)「マジで!?」
(‘_L’)「鈍いなデミタス」
(#´・_ゝ・`)「ムカつくね君!!」
ええと、わたしたちは今、森に居ます。
先日滞在した村から滞りなく出発して、ここまで勉強をしつつ歩いてきました。
その時に、何やら旅支度にもならない旅支度をしたおっちゃんがついてきてました。
が、先生はどうやら気付いてなかったみたいです。
先生は天然か何かか。
先生の隣を歩く、白い髪によれた格好のおっちゃん。
一応は腰から剣を下げてはいるけど、その存在のオーパーツ感がすさまじい。
- 89 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 21:08:14 ID:/iTu5ocUO
(´・_ゝ・`)「……何でついてきたの?」
(‘_L’)「暇だった」
(´・_ゝ・`)
(‘_L’)
(´・_ゝ・`)「ミセリ君、こう言う時はニフラムを唱えるんだよ」
ミセ*゚ー゚)リ「トヘロスじゃダメ?」
(‘_L’)「どっちにしてもえげつない」
(´・_ゝ・`)「取り敢えず、役所のある町までは同行する」
(‘_L’)「ふむ」
(´・_ゝ・`)「そこで国と契約をして、ちゃんと仕事をして稼ぎ」
(‘_L’)「見ろ小娘、あの虫は食えるぞ」
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃん食べてみてよ」
(#´・_ゝ・`)「聞けよッ!!」
- 90 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 21:10:23 ID:/iTu5ocUO
(´・_ゝ・`)「本当に何で着いてきたの君……」
(‘_L’)「働くために」
(´・_ゝ・`)「嘘だ」
(‘_L’)「即答か」
ミセ*゚ー゚)リ「そりゃ嘘だ」
(‘_L’)「お前もか」
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃんほら虫だよ」
(‘_L’)「あれ食うと死ぬ」
ミセ*゚ー゚)リ「知ってる」
(‘_L’)「お前は教え子にどんな教育をしているのかを問いたい」
(´・_ゝ・`)「ちゃんと相手を見て言葉を選ぶ賢い子です」
ミセ*゚ー゚)リ「照れるよせんせー」
(‘_L’)「どうなってるんだお前達は」
- 92 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 21:12:32 ID:/iTu5ocUO
(´・_ゝ・`)「もう良いから行くよ、こんなところで野宿は嫌でしょ」
ミセ*゚ー゚)リ「ほーい」
(‘_L’)「おいデミタス」
(´・_ゝ・`)「何ですか」
(‘_L’)「腹が減った」
(´・_ゝ・`)「そこの草食べられるよ」
ミセ*゚ー゚)リ「その花の蜜おいしいよ」
(‘_L’)「もうやだこの教師と教え子」
(´・_ゝ・`)「それは僕の台詞だから」
(‘_L’)「デミタス何か寄越せ」
(´・_ゝ・`)「このカロリーメイトあげるから黙ってて」
(‘_L’)「甘んじてやろう」
ミセ*゚ー゚)リ「それせんせの苦手なポテト味だよね」
(´・_ゝ・`)「僕は昔からフルーツ派だからね」
ミセ*゚ー゚)リ「チョコもおいしいよ?」
- 93 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 21:14:24 ID:/iTu5ocUO
(´・_ゝ・`)「さ、無駄口叩いてると本当に日が暮れちゃうよ」
ミセ*゚ー゚)リ「ねーねーせんせ」
(´・_ゝ・`)「うん?」
ミセ*゚ー゚)リ「魔物って、居るんだよね」
(´・_ゝ・`)「居るよ」
ミセ*゚ー゚)リ「あれが魔物?」
(´・_ゝ・`)「え?」
私が指差した先を先生の目が追う。
そこには、狼が二足歩行している様な動物の姿。
(´・_ゝ・`)
ミセ*゚ー゚)リ
(´・_ゝ・`)「ベギラゴン」
(‘_L’)「あっつッ!!」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせ、おっちゃんが被弾してる」
- 94 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 21:16:09 ID:/iTu5ocUO
(´・_ゝ・`)「ああ驚いた、普通に魔物が出るとは思わなかった」
(‘_L’)「無視か」
(´・_ゝ・`)「はいはいホイミホイミ」
(‘_L’)「ベギラゴンの被ダメをホイミで補えると思うのか」
(´・_ゝ・`)「気力で治して」
(‘_L’)「お前もなかなか無茶を言うな」
先生とおっちゃんが談笑するなか、そっと倒れた魔物に近付いて様子を見る。
どうやらちゃんと仕留めたらしく、起き上がる様子はない。
元は灰色だったらしい黒く焦げた毛皮、血を流す事もなく炭化している。
これじゃ食べる事は出来なそうだし、毛皮も剥いで売れない。
咄嗟の事だったから、驚いて撃ってしまったのだろうな。
ミセ*゚ー゚)リ「せんせ、これ下級の魔物では無いみたい」
(´・_ゝ・`)「うん? 何かあった?」
- 96 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 21:18:58 ID:/iTu5ocUO
ミセ*゚ー゚)リ「このタイプの魔物は前に図鑑で見たことある、毛皮の色が灰色」
(´・_ゝ・`)「ああ、下級だったら毛皮は茶色だね……ふむ、こんなところに何でまた……」
(‘_L’)「実物を見るのは初めてか、小娘」
ミセ*゚ー゚)リ「ミセリ、うん初めて見る」
(‘_L’)(初めて見るのに全く怯えもしないのか……ポテンシャル高いな……)
(´・_ゝ・`)「今までこの辺りにこんな魔物が出るとは聞いてないな」
(‘_L’)「何らかの理由がある、か」
(´・_ゝ・`)「最近巣が出来たのかも知れない、元から叩いた方が良いね」
ミセ*゚ー゚)リ「魔物退治すんの?」
(´・_ゝ・`)「依頼でも無いなら普通はしないけど、突然こんなのが出たんじゃ町の人が困るね」
(‘_L’)「依頼を受けてから叩いた方が良いんじゃないか」
(´・_ゝ・`)「そこまで金銭求めてないし、たまには慈善も良いんじゃないかな」
ミセ*゚ー゚)リ(生々しいなー)
- 97 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 21:20:13 ID:/iTu5ocUO
(´・_ゝ・`)「この辺の地形からして、巣はあっちかな」
「おい」
(´・_ゝ・`)「はいはい、何ですかフィレンクト」
「おい」
(´・_ゝ・`)「だから何?」
(‘_L’)「俺は何も言ってないぞ」
(´・_ゝ・`)「あれ、ミセリ君?」
ミセ*゚ー゚)リ「わたしじゃなくてこれだよ」
(´・_ゝ・`)「これ?」
( ノAヽ)
(´・_ゝ・`)
( ノAヽ)「おい」
(´・_ゝ・`)「あ、はい」
- 99 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 21:22:35 ID:/iTu5ocUO
(´・_ゝ・`)「えっ、って言うか、えっ?」
( ノAヽ)「オマエ、ヒトのはなしを無視するのすきなノーネ?」
(´・_ゝ・`)「あ、いえ、どちら様ですか? 全身緑色ですけど」
( ノAヽ)「ノーネなノーネ、あっちに住んでるノーネ」
ミセ*゚ー゚)リ「ちっちゃいなー、ぬいぐるみみたい」
( ノAヽ)「撫でんなノーネちんちくりん」
_,
ミセ#゚Д゚)リ「ちんちくりんに言われたくないし!!」
( ノAヽ)「やーいちんちくりーんぺったんこー」
_,
ミセ#゚Д゚)リ「せんせこいつムカつく! ちんちくりんがちんちくりんって!!」
(‘_L’)「ぺったんこは否定出来んな」
_,
ミセ#゚Д゚)リ「これからだよ!!」
(‘_L’)「はは、ないない」
_,
ミセ#゚Д゚)リ「ムカつくぅううううう!!」
- 100 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 21:24:14 ID:/iTu5ocUO
(´・_ゝ・`)「あーはいはい、ところでノーネさんはホビットとかの種族ですか?」
( ノAヽ)「精霊みたいなもんなノーネ」
(´・_ゝ・`)「あーなるほど、森の生き物ですか」
( ノAヽ)「ノネ、森の人なノーネ」
(´・_ゝ・`)「ふむ、実物は初めて見る……すみません、ちょっと失礼して」
(;ノAヽ)「み、耳をめくるなノーネ! 尻尾ひっぱんなノーネ!!」
気が付いたら隣にいたのは、私の腰くらいまでしかない大きさの不思議ないきもの。
それは全身緑色で、二足歩行の、動物?
どうやら先生も初めて見たらしい、自称森の人。
動物みたいな先折れ耳に、愛嬌のあるシルエット。
ぬいぐるみみたい、と形容するのが相応しい姿のそれは、なんかムカつく。
先生にまさぐられてて、ちょっと良い気味です。
- 101 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 21:26:11 ID:/iTu5ocUO
(´・_ゝ・`)「ふむ……興味深い……」
(;ノAヽ)「ええいさわんなノーネ! おっさんにさわられても嬉しくないノーネ!」
ミセ*゚ー゚)リ「タッチ」
(ノAヽ#)「さわんなノーネちんちくりん!」
_,
ミセ#゚Д゚)リ「ほんとムカつくねあんた!?」
(´・_ゝ・`)「排泄孔もないのか……どんな食生活と構造なのか……」
(;ノAヽ)「のぎゃーっ!! どこさわってるノーネ!?」
ミセ*゚ー゚)リ「やーいちんちくりん不思議生命体ー」
(ノAヽ#)「うっさいノーネちんちくりん!!」
_,
ミセ#゚Д゚)リ「うっさいよバーカ!!」
(‘_L’)
(‘_L’)(めんどくせえ)
- 103 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 21:28:54 ID:/iTu5ocUO
(‘_L’)「あー、お前ら」
(´・_ゝ・`)「ほほう、爪も牙もない……」
(;ノAヽ)「あががが」
ミセ*゚ー゚)リ「変な顔ー」
(ノAヽ#)「のぎゃーす!! うっさいノーネ!!」
(‘_L’)
(‘_L’)「フンッ!!」 ゴインッ
(´・_ゝ・`)「あだっ」
_,
ミセ; Д )リ「あでっ」
(; A )「のぎゃっ」
(‘_L’)「良いか、二度と俺にツッコミをさせるな」
(´・_ゝ・`)「えぇ……何その怒り方……」
- 104 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 21:30:44 ID:/iTu5ocUO
(‘_L’)「大体ツッコミ役のお前が暴走してどうする、お前からツッコミを取って何が残る」
(´・_ゝ・`)「君よりは色々残る」
(‘_L’)
(´・_ゝ・`)
(‘_L’)「セイッ!!」
(´・_ゝ・`)「ベギラマ」
(‘_L’)「あっつッ!!」
(´・_ゝ・`)「さて、ところでノーネさんはなぜ僕らに声を?」
(;ノAヽ)「お、おぅふ……えと、あれやっつけたノーネ?」
(´・_ゝ・`)「魔物ですか?」
( ノAヽ)「ノネ、あれはノーネ達の村を襲ってくるノーネ」
(´・_ゝ・`)「ふむ、近くに巣があるならおかしい事では無いか……」
( ノAヽ)「村の仲間がケガしたノーネ……でもノーネ達じゃ、あんなの倒せないノーネ」
- 105 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 21:32:41 ID:/iTu5ocUO
(´・_ゝ・`)「それは……」
( ノAヽ)「オマエらニンゲンは、ノネたちより強いノーネ」
(´・_ゝ・`)「……」
( ノAヽ)「だから、タノミゴトがあるノーネ」
(´・_ゝ・`)「魔物を退治して欲しい、ですか?」
( ノAヽ)「ノネ……でも、ニンゲンみたくタクサンお金は払えないノーネ……」
(´・_ゝ・`)「……」
( ノAヽ)「でも、ノーネに出来るお礼なするノーネ! だからお願いしたいノーネ!!」
(´・_ゝ・`)「…………」
( ノAヽ)「……ダメなノーネ……?」
(‘_L’)「デミタス」
(´・_ゝ・`)「……」
(‘_L’)「どうする?」
(´・_ゝ・`)「受けるよ」
( ノAヽ)「!!」
- 106 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 21:34:16 ID:/iTu5ocUO
( ノAヽ)「じゃ、じゃあ!」
(´・_ゝ・`)「でもその前に」
( ノAヽ)「ぇぅ……お礼なノーネ……?」
(´・_ゝ・`)「いや、お礼にお金を求めたりはしません」
( ノAヽ)「ノネ?」
(´・_ゝ・`)「ただ少し、森の人について詳しく教えてほしいんです
まだ詳しく知られていない存在なだけに、今後何かがあった時に知らないと困るし」
( ノAヽ)「わ、わかったノーネ……痛くなきゃへーきなノーネ!」
(´・_ゝ・`)「あと考えてたのはそれじゃなくて、ミセリ君」
ミセ*゚ー゚)リ「はい?」
(´・_ゝ・`)「君を連れて行くのは危ないから、先に僕の知り合いの元に送り届ける」
_,
ミセ ゚Д゚)リ「えぇー?」
(´・_ゝ・`)「えぇー? じゃないの、さっきの魔物を見たでしょ」
(‘_L’)「まあ、危ないな」
(´・_ゝ・`)「下級ならまだしも、割りと危ない魔物の巣に行くんだ
君が今すぐすべき勉強じゃない、下手に怪我でもしたら親御さんに顔向け出来ない」
- 107 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 21:36:11 ID:/iTu5ocUO
- _,
ミセ ゚−゚)リ「むぅー……どーしても駄目なの?」
(´・_ゝ・`)「駄目なの、じゃあノーネさん少し待っていてもらえますか?」
( ノAヽ)「わかったノーネ、先に村のみんなに言っとくノーネ」
(´・_ゝ・`)「ありがとうございます、じゃあ急いで向かおう」
( ノAヽ)「あ、知り合いって森の奥に住むニンゲンなノーネ?」
(´・_ゝ・`)「あ、ご存じで?」
( ノAヽ)「森じゃヘンタイってユーメーなノーネ」
(´・_ゝ・`)「ああ、うん……まあ……」
( ノAヽ)「ま、そこならわかるからあとで迎えに行くノーネ」
(´・_ゝ・`)「ああ、重ね重ね申し訳ない、ありがとうございます」
( ノAヽ)「こっちが頼んだノーネ、きにすんなノーネ」
(‘_L’)「小さいのにしっかりしてるな」
( ノAヽ)「ニンゲンと同じとおもっちゃイカんでしょ」
(‘_L’)「また時事的なネタを」
- 108 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 21:38:22 ID:/iTu5ocUO
- _,
ミセ ゚−゚)リ「むぅ……」
( ノAヽ)「すねんなノーネちんちくりん」
_,
ミセ#゚Д゚)リ「うっせーバーカ! ちんちくりん!」
(#ノAヽ)「うっさいノーネつるぺったん!!」
_,
ミセ#゚Д゚)リ「んっだとこんなろぉおっ!?」
(#ノAヽ)「やーいやーいダンガイゼッペキつるぺったん!!」
_,
ミセ#゚Д゚)リ「むぎゃあああ! あんたなんかでっきらいだあああああ!!」
(#ノAヽ)「のしつけて返すノーネ!! バーカバーカ!!」
(´・_ゝ・`)
(‘_L’)
(´・_ゝ・`)「楽しそうだなーミセリ君」
(‘_L’)「なんか見覚えのある図だ」
(´・_ゝ・`)「気のせいだよ」
- 109 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 21:40:08 ID:/iTu5ocUO
(‘_L’)「ところでデミタス」
(´・_ゝ・`)「うん?」
(‘_L’)「ベギラマがまだ痛い」
(´・_ゝ・`)「ベホマ」
(‘_L’)「ホイミじゃない、だと……」
(´・_ゝ・`)「ほら二人とも、はしゃいでないで早く行かなきゃ」
(‘_L’)「流された、だと……」
(´・_ゝ・`)「うるさいよフィレンクト」
(‘_L’)「結構それは理不尽だ」
ミセ*゚ー゚)リ「照れてんだよおっちゃん」
(‘_L’)「何それキモい」
(´・_ゝ・`)「フィレンクト死なないかなぁ……」
(‘_L’)「生きる」
- 111 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 21:42:39 ID:/iTu5ocUO
ちんちくりんの森の人、ノーネと別れて少し急ぎ足で森を進む。
拾った小枝を振り回しながら、唇を尖らせるわたし。
先生の言い分はもっともだし、無理に行って困らせるつもりはない。
けれどまだまだ子供なわたしは、何だかおいてけぼりが悔しいのです。
(´・_ゝ・`)「ミセリ君、拗ねないの」
_,
ミセ ゚−゚)リ「拗ねてなーいもーん」
(´・_ゝ・`)「全くもう……フィレンクトからも何とか言ってよ」
(‘_L’)「拗ねると胸が縮むぞ」
_,
ミセ#゚Д゚)リ「これからだつってんでしょ!?」
(´・_ゝ・`)「フィレンクト、君は馬鹿だ」
(‘_L’)「ついに断言されたか、昔はもっと可愛かったぞお前」
(´・_ゝ・`)「何がどう可愛かったの……」
- 112 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 21:44:15 ID:/iTu5ocUO
(‘_L’)
(´・_ゝ・`)
(‘_L’)「背……背が……低かった……?」
(´・_ゝ・`)「別に構わないんだけどそこはかとなく腹立たしいなー」
_,
ミセ ゚−゚)リ「漫才すんな」
(´・_ゝ・`)「そんな拗ね方しなくても」
_,
ミセ ゚−゚)リ「うっせーホモかよ」
(´・_ゝ・`)「ミセリ君がグレた……フィレンクト責任とってよ……」
(‘_L’)「お前もうツッコミに疲れてるだろ」
(´・_ゝ・`)「あ、バレてる……」
(‘_L’)「事実だったのか……」
- 113 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 21:46:39 ID:/iTu5ocUO
(´・_ゝ・`)「あ」
_,
ミセ ゚−゚)リ「む?」
(´・_ゝ・`)「ミセリ君、ほらあれ」
_,
ミセ ゚−゚)リ「う?」
先生が指差す方向をみやれば、木々の隙間から覗く空。
そこにはうっすらと、けれどしっかり立ち上る細い煙り。
それは、近くに人が居ると言う証拠。
ミセ*゚ー゚)リ「……おうちがあるの?」
(´・_ゝ・`)「と言うか、搭だね……ほら、見えてきた」
- 115 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 21:48:32 ID:/iTu5ocUO
少し急いて歩くと、姿を見せ始める灰色の建物。
暗い森の中、異質であるにもかかわらず、その姿を溶け込ませる灰色の搭。
苔むした石の壁、石の壁に這いまわる蔦。
その姿は禍々しくもあり、無性に物憂げでもある。
ぞろりと天を睨む様に聳える、灰色の搭がそこにあった。
外界から遮断された空間。
来訪者を拒絶せんばかりの威圧感。
わたしはその搭を前に、息を飲んで見上げる。
ミセ;゚−゚)リ「……」
(´・_ゝ・`)「どうしたの?」
ミセ;゚−゚)リ「なんか、こわい……ね」
(´・_ゝ・`)「ははは、大丈夫だよ、住んでるのは変わってるけど良い人だから」
- 117 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 21:50:18 ID:/iTu5ocUO
笑ってそう言う先生の声を聞きながら、そっと搭に近付く。
近付いて大丈夫なのかと言う不安、近付いて覗き込みたい好奇心。
緊張にどくどくと高鳴る胸を押さえながら、入り口を覗いて、
「どちら様ですか」
ミセ;゚−゚)リ「ッ!?」
ふいに降りかかる、男の人の声。
「お客様ですか、お嬢さん」
低くて、でもよく通る綺麗な声。
耳に優しいのに、何だか冷たいその声音に、わたしは身を固くする。
声の主の姿はまだ見えない。
きょろきょろと周囲を見回すと、搭の入り口から、影。
- 118 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 21:52:21 ID:/iTu5ocUO
ミセ;゚−゚)リ「あ、ぇ……あの、えっと……」
川 ゚ -゚)「おや、可愛らしいお嬢さん」
ミセ;゚−゚)リ「あ……ぇ?」
川 ゚ -゚)「ご主人様にご用ですか」
ひょいと顔を見せたのは、とても綺麗な顔立ちの男の人。
男の人と言っても、まだ十代の少年とも言える若さ。
さらさらの黒髪、白い肌、深い青の目、整いすぎると言えるほどに美しく整った顔立ち。
そんな男の人に顔を覗き込まれて、わたしは思わず顔を真っ赤にして固まってしまう。
ttp://imepic.jp/20120219/781080
ミセ;//д/)リ「あ、ああ、あの、あの」
川 ゚ -゚)「? どうしましたお嬢さん、顔色が」
ミセ;//д/)リ「はひぇっ!? あ、いぇ、あの、う、うぇ……」
(´・_ゝ・`)「あ、こんにちは」
川 ゚ -゚)「おや、こんにちはお客様」
- 119 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 21:54:18 ID:/iTu5ocUO
(´・_ゝ・`)「どうも、デミタスと申します、ドクオさんはご在宅ですか?」
川 ゚ -゚)「ああご主人様のご友人の方ですか? いらっしゃいますよ」
(´・_ゝ・`)「良かった、留守だったらどうしようかと…………ん?」
川 ゚ -゚)「はい?」
(´・_ゝ・`)「もしかして……クーちゃん?」
川 ゚ -゚)「僕の名前をご存知とは……どこかでお会いしましたか?」
(´・_ゝ・`)「ああ、クーちゃんがまだこんな小さい頃に一度、さすがに覚えてないかな」
川 ゚ -゚)「デミタス、デミタス……聞き覚えが……」
('A`)「俺の後輩的存在だよ」
川 ゚ -゚)「あ、ご主人様」
(´・_ゝ・`)「あ、ドクオさん」
('A`)「よ、久し振り」
- 120 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 21:56:25 ID:/iTu5ocUO
(´・_ゝ・`)「お久し振りですドクオさん、相変わらずお元気そう……で…………顔色悪ッ」
('A`)「うん、もう地顔だからこれ」
(´・_ゝ・`)「と言うか彼クーちゃんですか?」
('A`)「うん、クーをクーちゃんって呼ぶのお前だけだしね」
(´・_ゝ・`)「えらく成長しましたね」
('A`)「イケメンにな」
綺麗な男の人に続いて顔を出したのは、顔色の悪いすごく細長い男の人。
裾を引きずるようなローブをまとい、背中を曲げる男の人は、どうやらドクオさんと言うらしい。
和気あいあいと先生と話す様子を見ると、このドクオさんが知り合いなのかな。
ぼーっと二人のやり取りを見ていると、綺麗な男の人、クーさんがまたわたしの顔を覗き込む。
川 ゚ -゚)「お嬢さん、大丈夫ですか」
ミセ;//д/)リ「うへぁっ!? だっだだだ大丈夫です!!」
川 ゚ -゚)「そうは見えませんが……熱でもあるのでは」
ミセ;//д/)リ「はひぇうぁわわわっ!!?」
- 121 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 21:58:14 ID:/iTu5ocUO
('A`)「取り敢えず三人とも入って、フィレンクトまた虫食ってるの?」
(‘_L’)「ハチノコうめえ」
('A`)「どうやって取ってきたのそれ……ほらクー、お嬢ちゃんで遊ぶな」
川 ゚ -゚)「遊んでませんよ失敬な、また僕の美貌がうら若き乙女の熱病の原因になったのかと」
('A`)「成長してからのクーは本当に腹立たしい」
川 ゚ -゚)「嫉妬しないで下さいよご主人様、いくらご自分の顔が優れないからって」
('A`)「顔が優れないなんて言いぐさがあるか」
川 ゚ -゚)「ありますよ顔面劣等感ご主人様」
('A`)「もう意味がわからないけど取り敢えず腹立たしい」
(´・_ゝ・`)「ミセリ君、大丈夫?」
ミセ;//д/)リ「ぐべぇ……」
(´・_ゝ・`)「紅一点の台詞じゃないよそれ」
- 122 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 22:00:08 ID:/iTu5ocUO
(´・_ゝ・`)「あ、ドクオさんお願いがあるんですけど」
('A`)「うん?」
(´・_ゝ・`)「ちょっと森に湧いた魔物を狩ってくるので、ミセリ君見ててもらえますか?」
('A`)「十年以上振りに会って一発目に子守りか、別に良いよ」
(´・_ゝ・`)「ありがとうございます、じゃあ少し行ってきますので」
(‘_L’)「晩飯」
(´・_ゝ・`)「こら」
('A`)「晩飯用意しとくね」
(´・_ゝ・`)「すみません本当に、ほらフィレンクトお礼言いなさい」
(‘_L’)「ざーっす」
(´・_ゝ・`)「大概にしろ」
(‘_L’)「肉で頼む」
(´・_ゝ・`)「本当に大概にしろ」
- 123 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 22:02:10 ID:/iTu5ocUO
先生とおっちゃんが、搭に入らずわたしを置いて背中を向ける。
搭から離れて行く二人に、追い付いた森の人が合流し、一緒に見えなくなっていった。
ぽつんとそれを見ていたわたし。
その頭に、ぽんと大きな手のひらが乗る。
('A`)「入りなよ、お茶でも入れよう」
ミセ*゚ー゚)リ「あ、はい……ありがとうございます」
('A`)「うん、礼儀正しい良い子だ」
ミセ*゚ー゚)リ「えへへ……せんせが良いせんせだから」
ドクオさんは少し顔はこわいけど、良い人らしい。
わたしの頭を撫でながら、うんうんと頷く疲れたような顔の、顔色の悪い背の高い男の人。
でも何だか、頭を撫でる手はとびきり優しい。
先生とも仲が良いみたいだけど、その理由がなんだか少し、わかった気がした。
- 124 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 22:04:14 ID:/iTu5ocUO
ミセ*゚ー゚)リ「えっと……ドクオさん?」
('A`)「うん、君は?」
ミセ*゚ー゚)リ「あ、ミセリです! ミセリ・アンジェニュともうします!」
('A`)「俺はドクオ・ソリテール、デミタスの先輩だよ、よろしくねミセリちゃん」
ミセ*゚ー゚)リ「はい! ……って、ドクオ・ソリテールって……戦争を終わらせた英雄の大魔導師の……?」
('A`)「あー、まあ一応そうなのか」
ミセ*゚ー゚)リ「おおお……! 目の前に英雄が……!!」
('A`)「まあ英雄なんてもんじゃないよ、ほら座って、お茶入れてく」
川 ゚ -゚)「入れました」
('A`)「余計な事をするなと何度言ったか覚えてる?」
川 ゚ -゚)「ご主人様は今まで食べたパンの数を覚えてるんですか?」
('A`)「約二万五千個くらい」
川 ゚ -゚)「きっしょ」
('A`)「主人に言うべき台詞じゃない」
- 125 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 22:06:28 ID:/iTu5ocUO
ミセ*゚ー゚)リ「英雄様と仲が良いなんて、せんせ教えてくれても良いのに……」
川 ゚ -゚)「あの顔ですからね」
ミセ*゚ー゚)リ「英雄に顔って関係あるの?」
川 ゚ -゚)「取り敢えず英雄顔ではありませんね」
ミセ*゚ー゚)リ「まあ……英雄らしい顔ではないかもだけど……えっと、クーさん?」
川 ゚ -゚)「はい、お嬢さん」
ミセ*゚ー゚)リ「クーさんはおいくつ?」
川 ゚ -゚)「15歳です」
ミセ*゚ー゚)リ「三つ上、だと……スゴく背が高いのに……」
川 ゚ -゚)「成長期ですから」
ミセ*゚ー゚)リ「クーさんはここの執事さん?」
川 ゚ -゚)「いえ、メイドです」
ミセ*゚ー゚)リ
川 ゚ -゚)
- 126 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 22:08:20 ID:/iTu5ocUO
ミセ;゚ー゚)リ「あの……男の人……?」
川 ゚ -゚)「ご覧の通り美男子です」
_,
ミセ;゚д゚)リ「自分で言った!」
川 ゚ -゚)「僕は現実をありのままに受け入れるタイプですので」
_,
ミセ;゚д゚)リ「……男の人だけど、メイドさんなの?」
川 ゚ -゚)「はい」
_,
ミセ;゚д゚)リ
川 ゚ -゚)
_,
ミセ;゚д゚)リ「えっ……と…………メイドさん……?」
川 ゚ -゚)「メイドさんです」
_,
ミセ;゚д゚)リ「メイドさんって……女の人の事じゃ……?」
川 ゚ -゚)「美しければ問題ありませんよ」
_,
ミセ;゚д゚)リ「あると思うよ!?」
- 127 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 22:10:13 ID:/iTu5ocUO
川 ゚ -゚)「お嬢さん、よく僕の顔を見てください」
_,
ミセ;゚д゚)リ「とても……美形です……」
川 ゚ -゚)「こんな国が傾かんばかりの美しいイケメンをいままで見た事がありますか?」
_,
ミセ;゚д゚)リ「…………ないっす」
川 ゚ -゚)「つまり僕は特別な存在なんですよ」
_,
ミセ;゚д゚)リ「顔の造形で言うと否定はできない」
川 ゚ -゚)「つまり僕は男でもメイドだと言う資格があるのです」
_,
ミセ;゚д゚)リ「よくわからない!?」
川 ゚ -゚)「大丈夫、大人になればわかります」
_,
ミセ;゚д゚)リ「クーさんもまだ子供だよ!?」
川 ゚ -゚)「僕は美しいですから」
_,
ミセ;゚д゚)リ「なおさらよくわからない!?」
- 129 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 22:12:35 ID:/iTu5ocUO
('A`)「はいお茶、だからクーはお嬢ちゃんで遊ぶな」
川 ゚ -゚)「いやー僕がメイドだって言って驚く人を見るのが久し振りでつい」
('A`)「ごめんねお嬢ちゃん、クーは変だから」
_,
ミセ;゚д゚)リ「あ、はい」
川 ゚ -゚)「そのまま頷かれた」
('A`)「お嬢ちゃんはデミタスの教え子だっけ、手紙で何度も見たよ」
ミセ*゚ー゚)リ「あ、せんせと文通してたんですか?」
('A`)「うん、近況報告程度のね、会ったのは久々だけど」
ミセ*゚ー゚)リ「ねぇドクオさん、せんせって昔はどんな感じだったの?」
('A`)「優等生」
ミセ*゚ー゚)リ「ぽいわー」
('A`)「フィレンクトは問題児」
ミセ*゚ー゚)リ「ぽいわー」
- 130 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 22:14:28 ID:/iTu5ocUO
ミセ*゚ー゚)リ「でもドクオさんは学校には行ってなかったんですよね?」
('A`)「うん、図書館で勉強してる時に知り合ったんだ」
ミセ*゚ー゚)リ「さすが優等生」
('A`)「一緒にいたフィレンクトがうるさくて注目の的だった」
ミセ*゚ー゚)リ「さすが問題児」
('A`)「あの頃はデミタスは堅物だしフィレンクトは馬鹿で面倒臭かったなあ」
ミセ*゚ー゚)リ「あーうん、わかりやすい」
('A`)「お互いがお互いに良い影響をもたらしたんじゃないかな、フィレンクトはまだ馬鹿だけど」
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃん言われ放題っすね」
('A`)「実際に勉強は出来ない馬鹿だよ」
ミセ*゚ー゚)リ「人としては?」
('A`)「すごく良い奴」
ミセ*゚ー゚)リ「おー」
- 131 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 22:16:09 ID:/iTu5ocUO
ミセ*゚ー゚)リ「じゃあせんせは人としてはアレだったの?」
('A`)「昔はね、ガリ勉で人からあまり好かれない真面目君」
ミセ*゚ー゚)リ「へー、ちょっと意外……昔から人は良かったとばっかり」
('A`)「うーん、俺のお灸が少しは効いたのかな」
ミセ*゚ー゚)リ「お、なになに?」
('A`)「好きだねーこう言う話、ちょっとあの二人が口喧嘩してた事があってね」
『机にばかり向かってどうする、少しは体を鍛えろ』
『だから脳筋と一緒にするなよ!!』
『君らうっさい、メテオ』
『『!?』』
('A`)「いやー懐かしい」
_,
ミセ;゚Д゚)リ「人を殺す勢いのお灸!?」
- 132 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 22:18:16 ID:/iTu5ocUO
- _,
ミセ;゚Д゚)リ「せんせがツッコミでベギラマ撃つの間違いなくドクオさんの影響だ……」
('A`)「何そのハードなツッコミ、怖い」
_,
ミセ;゚Д゚)リ「ツッコミでメテオ撃った人が!?」
('A`)「20年くらい前の事だからなあ」
_,
ミセ;゚Д゚)リ「ドクオさんはおいくつ?」
('A`)「35歳」
_,
ミセ;゚Д゚)リ「15歳でメテオ撃ってたの!?」
('A`)「ほらお茶冷めるから飲んで飲んで」
_,
ミセ;゚Д゚)リ「無理矢理な流し方された!?」
('A`)「今日は良いお茶葉をブッフォ」
_,
ミセ;゚3゚)リ.,',「確かに良い匂まっずッ!?」ブフォ
- 134 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 22:20:05 ID:/iTu5ocUO
('A`)「えっ何これ、凄い不味いこのお茶」
_,
ミセ;゚¬゚)リ「……前衛的な味っすね」
('A`)「あ、やめて飲まないで、これきっと毒か何か入ってる」
_,
ミセ;゚¬゚)リ「これが大人の味か……ゴクリ」
('A`)「やめて! 無理しないで! ちょっとクー、水と解毒薬持ってきて!」
川 ゚ -゚)「すり替えておいたのさ!!」
('A`)「お前かよ!!」
川 ゚ -゚)「どうですかお嬢さん、それが大人の味ですよ」
_,
ミセ;゚¬゚)リ「わたしまだ大人になれそうにないです」
川 ゚ -゚)「ふふ、お嬢さんにはまだ早かったようですね」
( 'A`) ☆川 #)- )そ パチーン
⊂彡
('A`)「お嬢ちゃんに謝りなさい」
川 #)-゚)「すみませんでした」
- 135 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 22:22:29 ID:/iTu5ocUO
川 ゚ -゚)「と言うか殴りましたねご主人様、この美貌にビンタしましたね」
('A`)「黙りなさい」
川 ゚ -゚)「あ、ごめんなさい」
('A`)「子供のお客さんに何を考えてるの、慣れてる相手ならまだしも初対面で」
川 ゚ -゚)「ツカミはこれでいけると思ってました」
('A`)「悔い改めなさい」
川 ゚ -゚)「すみませんでした」
('A`)「ほらお茶入れるから、余計な事しないようについて来なさい」
川 ゚ -゚)「えー、僕お嬢さんと遊ぶー」
('A`)「おやかましい」
川 ゚ -゚)「チッ、はーい」
('A`)「ビンタ二発目装填しようか」
川 ゚ -゚)「結構痛いからやめて下さい、主に心が痛いから」
- 136 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 22:24:07 ID:/iTu5ocUO
わいわいと席を離れて台所に向かうドクオさんとクーさん。
どつき漫才をするほど仲が良いとは、先生とおっちゃんみたいだ。
しかし顔色の悪い大魔導師と、超美形の……メイドさん。
不思議な組み合わせだなあ、付き合いも長いみたいだし、どんな縁で一緒に居るんだろう。
と言うか本当に男の人ばっかりだなあ、わたしの周囲に居る人。
ぽつんと残されたわたし。
少し離れた台所からは、わいわいと声がする。
今日はなんだか疲れたけど、まだ先生達を待たなきゃいけない。
大魔導師様とイケメンメイドさんのお陰で、レス数がかさむかさむ。
目の前に置いたままの、不思議な匂いのお茶。
どうやらクーさんはお料理なんかが苦手らしい、お茶はクーさんが入れたみたいだし。
再びカップを持ち、そっと口をつける。
ずず、と一口すすれば、むわりと込み上げる謎の味。
苦いとか甘いとかを超越した、いっそ複雑過ぎて謎に満ちきった味。
でも匂いは少し不思議なだけで、悪いものではない。
お砂糖なんかを入れてないからただのお茶のはずなのに、なぜか込み上げる謎フレイバー。
- 137 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 22:26:23 ID:/iTu5ocUO
普通のお茶葉をお湯で出すだけなのに、どうして不味く出来るのだろう。
そりゃ入れる人によって味の差はあるだろうけど、結局はお茶だ。
お茶である事は変わらない、ごく普通のお茶になるはずだ。
なのになぜ、このお茶からお茶の味がしないのか。
お茶の渋みとか甘味苦味はどこにもない。
もうどんな味と説明しがたい、そんな味。
_,
ミセ;゚¬゚)リ「一種の才能だなこれ……」
深淵を覗いた様な味を噛み締めつつ、ぐっと一気に残りを飲み干す。
けふ、と小さくげっぷを吐き出すと、戻ってくる謎フレイバーに意識が軽く飛んだ。
出されたものは全部食いきる。
それが信条です。
しかし目眩がする。
- 138 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 22:28:08 ID:/iTu5ocUO
('A`)「お嬢ちゃん、お茶持ってき……飲んだ!?」
_,
ミセ;゚¬゚)リ「深淵覗きました」
('A`)「無理しないで! お願いだから!!」
川 ゚ -゚)「ご主人様が必死なの初めて見たわ」
('A`)「吐いて! すぐ吐いて!! 解毒薬持ってきたから!!」
川 ゚ -゚)「僕のお茶の破壊力どんだけなんですか」
_,
ミセ;゚¬゚)リ「世界狙えます」
川 ゚ -゚)「狙ってみましょうか」
('A`)「やめなさい!!」
川 ゚ -゚)「ご主人様ガチで必死じゃないですか……そんな血相変えた気持ち悪いご主人様初めて」
('A`)「突っ込みきれない!! メテ」
_,
ミセ;゚Д゚)リ「それはやめて!?」
- 139 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 22:30:23 ID:/iTu5ocUO
('A`)「はぁ……取り敢えずこれ飲んでね……」
ミセ*゚ー゚)リ「薬ですか」
('A`)「体調悪くしない方が珍しいから」
ミセ*゚ー゚)リ「凄いなークーさんのお茶……」
('A`)「はい、これ普通のお茶とクッキー」
ミセ*゚ー゚)リ「わーいいただきます!」
小さな瓶に入った薬を飲んでから、口直しもかねて新しいお茶をいただく。
湯気の立ち上る、透き通った綺麗なオレンジ色。
香りはふわっと鮮やかに漂い、一口すすればほのかな苦味と独特の風味。
お砂糖を入れなくてもわずかに感じる甘みと、立ち込める紅茶の匂い。
こんなに上手に匂いを立たせるなんて、腕が悪ければできない事。
- 141 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 22:32:06 ID:/iTu5ocUO
お茶請けのクッキーを一枚、口に運ぶ。
さく、と優しく割れるそれは、口のなかいっぱいにバターとバニラエッセンスの風味。
少し甘いクッキーは、シンプルな見た目だけど、バターたっぷりのあでやかな味。
口に残った甘さは、ストレートの紅茶を含む事で一気に押し流され、残る後味は大変心地よいもの。
夢中になってクッキーを頬張り、紅茶をすすって堪能して。
さっきまでの深淵なんてまるで無かったかの様に、口のなかとお腹いっぱいに幸せが満ちる。
指に残ったクッキーの粉を舐めてから、最後の一口を飲み込んで。
ミセ*´ヮ`)リ「ごちそうさまでしたー……」
('A`)「良い食べっぷりだなー」
ミセ*´ヮ`)リ「すっごい美味しかったです……この旅で今のところナンバーワン……」
('A`)「よっしゃ」
ミセ*´ヮ`)リ「いいなークーさん……いっつもこんなの食べれて……」
川 ゚ -゚)「その代わりご主人様は毎日僕の食事を召し上がってます」
_,
ミセ;゚Д゚)リ「味の余韻がとんでった!?」
- 142 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 22:34:10 ID:/iTu5ocUO
ミセ*゚ー゚)リ「あ、そうだ……勉強しなきゃ」
('A`)「おお、じゃあ今日は特別講師するか」
ミセ*゚ヮ゚)リ「マジですか! ありがとうございます!」
('A`)「持てる知識を全て費やして君の教師になろう」
ミセ;゚ヮ゚)リ「何か重圧を感じる!?」
川 ゚ -゚)「じゃあ僕はそれをチラ見しながらモンハンしときますね」
('A`)「いつまでも2ndGしてないで積んでるの消化しなさい」
川 ゚ -゚)「今ちょっと下位トト様ハメ殺すのに忙しいですから」
('A`)「鬼畜の所業だ」
ミセ*゚ー゚)リ「あ、ドクオさんこれなんですけど」
('A`)「あーはいはい、この数式めんどくさいね、でも応用使うと楽だよ」
ミセ*゚ー゚)リ「お、ああなるほど、こうするんだ……」
('A`)「こっちはこう、乱数調整と同じ手法で」
ミセ*゚ー゚)リ「乱数調整した事ないっす」
- 144 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 22:36:28 ID:/iTu5ocUO
- 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(´・_ゝ・`)「えーと、この辺だね」
(‘_L’)「多分な」
(´・_ゝ・`)「森の中だと景色が変わらないから迷いそうだ」
(‘_L’)「案内をしてもらえば良かったんじゃないのか」
(´・_ゝ・`)「もし途中で襲われたら守りきれる自信が無い、無理はするもんじゃないよ」
(‘_L’)「ほー」
(´・_ゝ・`)「何、そのなんか感じ悪い相づち」
(‘_L’)「お前が自信が無いとか言うようになったのか」
(´・_ゝ・`)「学生の頃とは違うよ、僕だって現実を見てきて思い知った」
(‘_L’)「三年前にか」
(´・_ゝ・`)「……それもある、それだけじゃないけどね」
(‘_L’)「戦争は、お前を変えたか?」
(´・_ゝ・`)「さあ、変わったかも知れないし、変わってないのかも知れない」
- 145 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 22:38:21 ID:/iTu5ocUO
(‘_L’)「少なくとも、国への忠義は捨てたな」
(´・_ゝ・`)「捨てたわけじゃない、考えを改めたんだよ」
(‘_L’)「国に尽くす事を目標に生きてきたんだろう」
(´・_ゝ・`)「……盲信してたんだ」
(‘_L’)「まだ、守るべきだと思うのか」
(´・_ゝ・`)「国の、軍の方針にはついていけなかっただけだよ」
(‘_L’)「……まだ国のために命を捨てる覚悟でも持ってるのか?」
(´・_ゝ・`)「それは、わからない……でも、守るためなら命を投げ出せるとは思う」
(‘_L’)「お前は何を守るんだ? 国か、名誉か、自分のプライドか?」
(´・_ゝ・`)「ミセリ君だよ」
(‘_L’)「…………血の繋がりもない子供のために、死ねるのか」
- 146 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 22:40:12 ID:/iTu5ocUO
(´・_ゝ・`)「彼女の存在が、僕を前に進ませてくれたんだ……目的を見失っていた僕を」
(‘_L’)「国のやり方に納得出来ず、途方に暮れていたか」
(´・_ゝ・`)「ああそうだよ、気持ち悪いなあもう、人の感情を無駄に読みすぎ」
(‘_L’)「お前が読みやすいんだろうが」
(´・_ゝ・`)「はいはい、もう良いからさっさと済ませよう、あれが巣みたいだよ」
(‘_L’)「狼が洞窟に巣を作るのか」
(´・_ゝ・`)「まあ狼と言っても狼型だからね、ちゃんと戦えるの?」
(‘_L’)「当然だ、馬鹿にするな」
(´・_ゝ・`)「馬鹿でしょ?」
(‘_L’)
(´・_ゝ・`)
(‘_L’)「否定しきれない」
(´・_ゝ・`)「ああうん、馬鹿だよ間違いなく、疑問を抱かなくて良いくらい馬鹿だよ」
- 147 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 22:42:51 ID:/iTu5ocUO
(´・_ゝ・`)「学校を卒業してさっさと国を出たのに、腕が鈍ってないんだね」
(‘_L’)「自己鍛練はして……デミタス、後ろッ!!」
(´・_ゝ・`)「ベギラマ」
(‘_L’)
(´・_ゝ・`)
(‘_L’)「大丈夫そうだな」
(´・_ゝ・`)「うん平気」
(‘_L’)「今のはお前を庇った俺が負傷するフラグじゃないのか?」
(´・_ゝ・`)「負傷したかったの?」
(‘_L’)「いや別に」
(´・_ゝ・`)「じゃあ別に良いんじゃない?」
(‘_L’)「まあそうだけど」
- 148 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 22:44:56 ID:/iTu5ocUO
(´・_ゝ・`)「うん、巣にほとんどたまってるみたいだね」
(‘_L’)「一、二ので行」
(´・_ゝ・`)「ベギラゴン」
<ウギャー ピギャー ヘギョミツ
(‘_L’)
(´・_ゝ・`)
(‘_L’)「お前、頼りになりすぎだろ」
(´・_ゝ・`)「いや、これでも上級魔導師だし」
(‘_L’)「まあそうだけど、いや、まあ……うん……」
(´・_ゝ・`)「じゃ、入って残ってるの狩ろうか」
(‘_L’)「うん……まあ……」
- 150 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 22:46:29 ID:/iTu5ocUO
(´・_ゝ・`)「バギクロス」
(‘_L’)「おい狭い場所では止めいたたたた」
(´・_ゝ・`)「イオナズン」
(‘_L’)「あだだだだだだ」
(´・_ゝ・`)「ギガデイン」
(‘_L’)「痛い痛い痛い痛い」
(´・_ゝ・`)「よし、狩り終わったよ」
(‘_L’)「もうお前一人で良かっただろこれ」
(´・_ゝ・`)「一人だと心許ない」
(‘_L’)「どう言う心許なさだ」
(´・_ゝ・`)「MP切れたりしたらアレだし」
(‘_L’)「そう言えばドルマは?」
(´・_ゝ・`)「何それ?」
(‘_L’)「えっ」
(´・_ゝ・`)「えっ」
- 151 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 22:48:30 ID:/iTu5ocUO
(‘_L’)「……バギムーチョは?」
(´・_ゝ・`)「何それ?」
(‘_L’)「ジゴデインは?」
(´・_ゝ・`)「何それ?」
(‘_L’)「マヒャデドスとかメラストームは?」
(´・_ゝ・`)「何それ?」
(‘_L’)「…………お前、6までしかプレイしてない派だろ」
(´・_ゝ・`)「9の発売が楽しみだね」
(‘_L’)「いやもう…………ああ、うん、楽しみだな」
(´・_ゝ・`)「ジゴフラッシュ」
(‘_L’)「知ってるし敵かお前は!!」
(´・_ゝ・`)「さ、帰ろ帰ろ」
(‘_L’)「おい待て! 俺がマヌーサ状態だぞ!!」
(´・_ゝ・`)「はい、なんでもなおし」
(‘_L’)「統一しろよ!!」
- 153 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 22:50:51 ID:/iTu5ocUO
(´・_ゝ・`)「ドクオさんがメテオ撃つのに統一もクソも無いでしょ」
(‘_L’)「確かにそうだった」
(´・_ゝ・`)「じゃあ帰……フィレンクト、血が出てる」
(‘_L’)「うん、お前のせい」
(´・_ゝ・`)「ほら手当てするから座って」
(‘_L’)「ホイミで良い」
(´・_ゝ・`)「MP勿体ない」
(‘_L’)「じゃあジゴフラッシュ撃つなよ……」
(´・_ゝ・`)「マダンテ撃たれたい?」
(‘_L’)「すみませんでした」
(´・_ゝ・`)「そう言えば昔からよく怪我してたねフィレンクト」
(‘_L’)「まあな」
(´・_ゝ・`)「授業抜け出したり女子更衣室に侵入するからだよ」
(‘_L’)「自分の限界を知ってみたかった」
(´・_ゝ・`)「そんな知り方してどうすんの」
- 154 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 22:52:32 ID:/iTu5ocUO
(‘_L’)「……お前は怒らなかったな」
(´・_ゝ・`)「いやしょっちゅう怒ってたよ」
(‘_L’)「いやそうじゃなく、国を出た事を」
(´・_ゝ・`)「ああ……まあ、別に僕が怒る事でもないし」
(‘_L’)「……そうか」
(´・_ゝ・`)「怒りたいのは学費全額負担した国の方だと思うけど」
(‘_L’)「聞こえない聞こえない」
(´・_ゝ・`)「…………憧れたよ」
(‘_L’)「何にだ?」
(´・_ゝ・`)「自由奔放に、自分の意思を主張出来る事に」
(‘_L’)「何も考えない馬鹿だと言われていたけどな」
(´・_ゝ・`)「その通りじゃないの?」
(‘_L’)「うん、その通りだけどもう少しソフトに言え」
- 155 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 22:54:25 ID:/iTu5ocUO
(´・_ゝ・`)「国が少しおかしいって、いち早く気付いたんでしょ」
(‘_L’)「……俺は戦士だからな、魔導師より先に軍を知る事になった」
(´・_ゝ・`)「あの頃は、まだ戦争はしてなかったよね」
(‘_L’)「ああ、だがきな臭い状態はずっと続いていた」
(´・_ゝ・`)「七年前から始まったから……僕らは25歳か」
(‘_L’)「そのずっと前から、冷戦状態ではあった」
(´・_ゝ・`)「……それも、僕らは学校を卒業するまでは知らないも同然だった」
(‘_L’)「国も一応は隠していたからな、俺は18で卒業して軍について先に知った」
(´・_ゝ・`)「僕は大学まで進んだから、机に向かって本を読むばかりだった」
(‘_L’)「知って楽しいもんじゃない」
(´・_ゝ・`)「でも、僕はあまりにも世間知らずだった」
(‘_L’)「……知るべきだったのかは、俺にもわからん」
(´・_ゝ・`)「知らなきゃ、今こうしてないと思う……だから、知るべきだったんだよ」
(‘_L’)「…………そうだな」
- 157 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 22:56:29 ID:/iTu5ocUO
(´・_ゝ・`)「フィレンクト」
(‘_L’)「ん」
(´・_ゝ・`)「ありがとう」
(‘_L’)「何がだ」
(´・_ゝ・`)「色々、君には世話になったりしたから」
(‘_L’)「覚えは無いな」
(´・_ゝ・`)「なら、わからなくて良いよ……これからも、よろしくね」
(‘_L’)「おう」
(´・_ゝ・`)「……何、急に静かになって」
(‘_L’)「いや、デレ期入ったのかと思って」
(´・_ゝ・`)「きしょい」
(‘_L’)「気持ち悪いやキモいよりも心を抉るなそれ」
(´・_ゝ・`)「いや本当きしょい、発想がきしょい、マダンテ装填するレベル」
(‘_L’)「何かもう本当ごめん」
- 158 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 22:58:21 ID:/iTu5ocUO
(´・_ゝ・`)「あとさっきから国国言ってるけどさ、実際は国出てないよね」
(‘_L’)「実際は王都から離れただけだな」
(´・_ゝ・`)「紛らわしいからちゃんと言ってよ」
(‘_L’)「国を出たって言ったら何かかっこいいだろうが」
(´・_ゝ・`)「何なのそのわけわかんない美学にもならない発想」
(‘_L’)「でもかっこいいだろ」
(´・_ゝ・`)
(‘_L’)
(´・_ゝ・`)「否定は……しないかな……」
(‘_L’)「ほらな」
(´・_ゝ・`)「なんっか悔しいなあ……」
- 159 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 23:00:13 ID:/iTu5ocUO
(‘_L’)「じゃあ帰るか、腹も減りきって吐きそう」
(´・_ゝ・`)「うん、森の人に報告して生体調べてからね」
(‘_L’)「飯は?」
(´・_ゝ・`)「その草が食べられるよ?」
(‘_L’)「カロリーメイト」
(´・_ゝ・`)「はい、ベジタブル味」
(‘_L’)「おいこれ生産終了してる味だろうが、賞味期限どうなってる」
(´・_ゝ・`)「基本的に賞味期限は一年だけど」
(‘_L’)「とっくに過ぎてる!!」
(´・_ゝ・`)「虫とか雑草食べるんだからそれくらい平気じゃない?」
(‘_L’)
(´・_ゝ・`)
(‘_L’)「まあ確かに」
(´・_ゝ・`)「美味しい?」
(‘_L’)「メープルのが良い」
- 160 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 23:02:33 ID:/iTu5ocUO
- 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(´・_ゝ・`)「と、言うわけで」
(‘_L’)「飯をくれ」
(´・_ゝ・`)「我は求め訴えん。精霊界の偉大なる女王ルビスの名において、汝らを召喚する。
おお、汝らジン、イフリート、サラマンドラよ。
我の下に集いて我を守る盾となり、敵を貫く剣となれ」
(‘_L’)「えっ」
(´・_ゝ・`)「ベギラマッ!!」
(‘_L’)「真面目に詠唱した!?」
(´・_ゝ・`)「ただいま戻りましたドクオさん」
('A`)「お帰りー」
(´・_ゝ・`)「あれ、ミセリ君は?」
('A`)「勉強終わってクーと遊び疲れて寝てるよ」
- 161 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 23:04:57 ID:/iTu5ocUO
(´・_ゝ・`)「ははは、すみませんまだ子供で」
川 ゚ -゚)「ご主人様、お嬢さんとしてた『昼下がりの団地妻の殺戮、そして伝説へ』ごっこですが」
(;´・_ゝ・`)「子供らしからぬごっこ遊び!?」
川 ゚ -゚)「米屋役のお嬢さんが寝てしまわれたのでご主人様が代わりにしてください」
('A`)「嫌だ、それ団地妻に殺戮されるだけの役だし」
(;´・_ゝ・`)「間男が!?」
(‘_L’)「ところで誰だこのチビ」
川 ゚ -゚)「それは誰の事ですか中年ドグサレニート様」
(‘_L’)「お前だ」
川 ゚ -゚)「この美貌を前にしてチビ等とは解せぬ発言、撤回を願います」
(‘_L’)「断る」
川 ゚ -゚)「これでも身長175cmあるんですけど」
- 162 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 23:07:10 ID:/iTu5ocUO
(‘_L’)「ああそうか、俺は190ある」
川 ゚ -゚)
(‘_L’)
(´・_ゝ・`)「僕は185あるよ」
('A`)「俺2m」
川 ゚ -゚)「クソ共が」
('A`)「こら、客人に向かって何て事を言うんだ」
(;´・_ゝ・`)「ドクオさんも言われてますよ!?」
('A`)「10年くらい言われてるから慣れた、取り敢えずお茶持ってくるよ」
(´・_ゝ・`)「あ、すみません僕も手伝います、と言うかこの空間に居たくない」
川 ゚ -゚)「何なんですかあなたは、審美感の腐ったニートですね」
(‘_L’)「所詮は男だろうが、顔が良くても腹の中が腐ってるだろお前」
川 ゚ -゚)「審美感の腐ったドグサレニート様に腐ってるとか言われたくありませんけど」
(‘_L’)「じゃあお前は顔以外はどうしようもなく腐ってるな」
- 163 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 23:08:08 ID:/iTu5ocUO
川 ゚ -゚)「腹の中が黒かろうが腐っていようが美貌が国すら傾けますけど」
(‘_L’)「へー」
川 ゚ -゚)「クッソムカつくなこのオッサン」
(‘_L’)「黙れクソガキ」
川 ゚ -゚)「っせーよクソジジイ」
(‘_L’)「お前の主人はその三つ上だ」
川 ゚ -゚)「ご主人様はご主人様ですから関係ありませんよこのクソオッサンが」
(‘_L’)「お前の主人も相当ただのオッサンにしか見えないぞ」
川 ゚ -゚)「は? じゃあお連れの方もただのオッサンにしか見えませんけど?」
(‘_L’)
川 ゚ -゚)
(‘_L’)「お前、名前は?」
川 ゚ -゚)「クール・フロワです」
(‘_L’)「俺はフィレンクト・イネクプレシフだ、コンゴトモヨロシク」
川 ゚ -゚)「こちらこそコンゴトモヨロシク」
- 164 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 23:10:10 ID:/iTu5ocUO
(´・_ゝ・`)「……仲直りしましたかね」
('A`)「だと良いけど……似た様なタイプだから相性悪そうだと思ってたんだよなあ」
(´・_ゝ・`)「どっちも全く退きませんからね」
('A`)「まあご飯食べればどっちも機嫌なおるけどね」
(´・_ゝ・`)「ですね、このまま夕食作りましょうか」
('A`)「うん、出来たらお嬢ちゃんも起こそうか」
(´・_ゝ・`)「夜に寝れなくなりますからね」
('A`)「そうだ、今日は泊まってきなよ、客間は無いけどリビングに布団敷くから」
(´・_ゝ・`)「ああすみません、ありがとうございます」
('A`)「あ、それ何? 何か赤い」
(´・_ゝ・`)「ああ、森の人からお礼にって貰ったんです」
('A`)「へー、赤い水晶?」
(´・_ゝ・`)「いや、歯車王の心臓とかなんとか」
('A`)「何それこわい」
- 167 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 23:12:12 ID:/iTu5ocUO
('A`)「晩御飯どうしようかなー、材料なんかあったかな」
(´・_ゝ・`)「あ、これどうぞ」
('A`)「おお、肉……肉?」
(´・_ゝ・`)「さっき狩ってきました」
('A`)「……血抜きに時間かかるね」
(´・_ゝ・`)「圧力でもかけてみますか、魔法で」
('A`)「うまく行くかな……無念の死を抱き続ける大地よ、黒き呪縛となれ!」
(;´・_ゝ・`)「肉の血抜きにグラビデ!?」
('A`)「用途は間違えてる自信がある」
(;´・_ゝ・`)「どこからどう見ても間違ってます!」
('A`)「あ、血抜き出来てる」
(´・_ゝ・`)「……ドクオさんって妖精か何かですかね」
('A`)「ただの魔導師です」
- 168 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 23:14:13 ID:/iTu5ocUO
(´・_ゝ・`)「メニューはどうしましょうか」
('A`)「せっかく大量の肉があるから、肉料理……焼き肉……」
(´・_ゝ・`)「ドクオさん焼き肉いけるんですか?」
('A`)「無理、胃が負ける」
(´・_ゝ・`)「僕も20代後半辺りから胃がきついんですよね」
('A`)「歳ってとりたくないねぇ……じゃあビーフシチューのビーフOUTウルフINで」
(´・_ゝ・`)「何でファンタジーだとシチュー多いんですかね」
('A`)「味付けて煮込めば何でも食えるからだよ」
(´・_ゝ・`)「ああなるほど」
('A`)「圧力鍋壊れたからグラビデでいっか」
(;´・_ゝ・`)「良くない良くない!」
('A`)「静粛の闇に響く音無き呼び声の汝の身を捕えん」
(;´・_ゝ・`)「ドクオさんそれグラビジャです! 味方は基本的に撃てません!」
- 169 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 23:16:08 ID:/iTu5ocUO
('A`)「たくてくすやった事無いのにね」
(;´・_ゝ・`)「詠唱呪文一覧見てるとか言わないでください」
('A`)「と言うかSRPG出来ないんだよね」
(´・_ゝ・`)「スパロボのチュートリアルで全滅してましたよね」
('A`)「みんなからどうしたら死ねるのかを聞かれた」
(´・_ゝ・`)「普通はクリア出来る様になってますからね」
('A`)「回避率とか命中率は50%もあればいけると思うじゃん……」
(´・_ゝ・`)「あのゲームはいかに100%に近付けるかが問題ですから」
('A`)「あとどう動けば良いのかわからない」
(´・_ゝ・`)「慣れですよ慣れ」
('A`)「ディスガイア全キャラレベルカンストさせた奴に言われたくない」
(´・_ゝ・`)「何百時間やったかなー、ああドクオさん味付けこれで良いですか」
('A`)「あー完璧完璧、むしろパーペキ」
(´・_ゝ・`)「古い」
- 170 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 23:18:27 ID:/iTu5ocUO
('A`)「じゃ、あとは俺がやるからお嬢ちゃん起こしてきて、二階に居るよ」
(´・_ゝ・`)「はーい」
('A`)「あとは皿に盛るだけかな……」
(´・_ゝ・`)(ドクオさん家庭的だなー)
(´・_ゝ・`)(そう言えばドクオさんの家って初めてかも、家と言うか塔だけど)
(´・_ゝ・`)(魔導書とかどれくらいあるんだろう……)
(´・_ゝ・`)「あ、ここかな……おーいミセリ君」
ミセ*--)リ「くかー……」
(´・_ゝ・`)「ああ居た居た、ほらミセリ君起きて、晩御飯だよ」
ミセ*-〜-)リ「むにゃ……ごはん……」
(´・_ゝ・`)「もうこの男しか居ない絵面に耐えられないから早く起きて、むさ苦しい」
ミセ*゚ヮ゚)リ「ごはんのにおい!」
(´・_ゝ・`)「色気も何もない君が好きだよ」
- 171 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 23:20:19 ID:/iTu5ocUO
ミセ*゚ー゚)リ「あ、せんせおかえりなさーい、どうだった?」
(´・_ゝ・`)「おはよう、問題なく終わったよ、ところで何で君は魔女っ子な格好をしてるの?」
●
ミセ*゚ー゚)リ「クーさんと遊んでた」
(´・_ゝ・`)「間男が魔女っ子だと……」
ミセ*゚ー゚)リ「女装癖の米屋が昼下がりの団地へおもむき若奥様とSMプレイの果てに殺戮劇へ」
(´・_ゝ・`)「詰め込みすぎだからどれか省きなさい」
ミセ*゚ー゚)リ「じゃあSMを省く」
(´・_ゝ・`)「結局カオスだった」
ミセ*゚ー゚)リ「ねぇねぇせんせ、ばんごはんなーに?」
(´・_ゝ・`)「シチューだよ」
ミセ*゚ヮ゚)リ「わーいシチュー好き! たいていのものは煮込めば美味しくなる!」
(´・_ゝ・`)「うんそうだね、じゃあ降りようか」
ミセ*゚ー゚)リ「はーい!」
- 173 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 23:22:49 ID:/iTu5ocUO
ミセ*゚ー゚)リ「……せんせ」
(´・_ゝ・`)「うん」
ミセ*゚ー゚)リ「ばんごはん、シチューだよね?」
(´・_ゝ・`)「そのはずだけど」
ミセ*゚ー゚)リ「何でテーブルに、しかも台所に移動したテーブルにチャーハンが並んでるの?」
(´・_ゝ・`)「何でかなあ……」
('A`)「説明しよう」
ミセ*゚ー゚)リ「あ、おはよーございますドクオさん」
(´・_ゝ・`)「何があったんですか?」
('A`)「うんおはよう、それは数分前、デミタスが二階に上がった時までさかのぼる」
(´・_ゝ・`)「ほんの2、3分ですね」
- 174 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 23:24:18 ID:/iTu5ocUO
回想
川 ゚ -゚)「フィレンクト様、それは僕のファミ通なので返していただきたいのですが」
(‘_L’)「そこに積んであるだろう」
川 ゚ -゚)「いやあれ古いし、それ最新刊だし、と言うか僕の読みかけだし」
(‘_L’)「まあ待て、少ししたら返す」
川 ゚ -゚)「少し、はい返せ」
(‘_L’)「小学生か」
川 ゚ -゚)「脳内小学生に言われたくありませんけど」
(‘_L’)「はいはいほら返す」
川 ゚ -゚)「うーわ何かムカつくすっげームカつくその馬鹿にした目がとことんまでムカつく」
(‘_L’)「事実だろう」
川 ゚ -゚)「フィレンクト様よりマシだと思いますけど?」
(‘_L’)「あ?」
川 ゚ -゚)「やんのかオラ」
(‘_L’)「受けてたつぞ小僧が」
- 175 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 23:26:13 ID:/iTu5ocUO
('A`)「そして殴り合ったり物を投げ合う内に、シチューはああなった」
(´・_ゝ・`)「あ、床が食べてる……」
ミセ*゚ー゚)リ「簡単に言うとぶちまけられてる……」
('A`)「あの二人を会わせるべきではなかった」
(´・_ゝ・`)「僕もひしひしとそれを感じています」
('A`)「まああの二人は置いといて、急遽解凍した作りおきのチャーハンでも食べよう」
ミセ*゚ー゚)リ「ちぇっ、シチュー……」
(´・_ゝ・`)「まあまあ、恨むならフィレンクトにしようね」
-=三 □#)A )そ「クーでも良 あべしっ!!」
#-=三 □#)_ゝ `)そ「ドクオさ たわばっ!?」
_,,
ミセ;゚Д゚)リ「先生がたああああああ!!?」
- 176 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 23:28:30 ID:/iTu5ocUO
川 ゚ -゚)「ちょ、ご主人様に何してんですか!?」
(‘_L’)「お前こそデミタスに本を投げるな!!」
川 ゚ -゚)「あんたが避けるからでしょうが!!」
(‘_L’)「避けるわ!!」
川 ゚ -゚)「避けんなよ!!」
(‘_L’)「じゃあお前も避けんなよ!!」
川 ゚ -゚)「やだよ馬鹿じゃないの!?」
(‘_L’)「お前が馬鹿だろ!?」
_,,
ミセ#゚Д゚)リ「馬鹿はアンタらだあああああああああ!!!!」
(#)_L )そ「ひでぶッ!?」
川 #)- )そ「うわらばっ!?」
(#)A`)「良い飛び蹴りだ……」
( #)_ゝ・`)「そう言う問題かなぁ……」
- 177 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 23:30:09 ID:/iTu5ocUO
川 #)-゚)「ちょ、お嬢さ」
_,,
ミセ#゚Д゚)リ「正座ァ!!」
川 #)-゚)「あ、はい、すみません」
(#)_L’)「やーい怒られろ」
_,,
ミセ#゚Д゚)リ「正座ァア!!」
(#)_L’)「あ、はい、ごめんなさい」
_,,
ミセ#゚Д゚)リ「喧嘩は周囲に迷惑をかけずにやんなさい!!」
川 ゚ -゚)「すみません」
(‘_L’)「ごめんなさい」
_,,
ミセ#゚Д゚)リ「あと! ごはんを!! 粗末に!!! するなァアアアアッ!!!!」
川 ゚ -゚)「すみません! 本当すみません!!」
(‘_L’)「ごめんなさい! 本気でごめんなさい!!」
- 178 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 23:32:22 ID:/iTu5ocUO
- _,,
ミセ#゚皿゚)リ「ふーっ……ふーっ……」
(´・_ゝ・`)「ミセリ君、どうどう」
_,,
ミセ#゚Д゚)リ「落ち着けるか!!」
(´・_ゝ・`)「ど、どうどう! どうどう!」
('A`)「お嬢ちゃんほーら、デザートのプリンは無事だぞー」
_,,
ミセ#゚Д゚)リ「ごはん!!」
('A`)「デミタス、彼女はどんな教育を受けてるの」
(´・_ゝ・`)「戦災孤児なんで食事にはド厳しいんです」
('A`)「ああ、なるほど…………ううん参ったな、ご飯他に無いぞ」
川 ゚ -゚)「あの、僕らはいつまで」
(´・_ゝ・`)「一時間はそこで黙って正座」
川 ゚ -゚)「あ、はい」
(‘_L’)「スネが痛い……」
- 179 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 23:34:11 ID:/iTu5ocUO
(´・_ゝ・`)「参ったなあ……ご飯食べるまでおさまらないよアレ」
('A`)「取り敢えずチャーハ…………ああ、俺らが当たった本で引っくり返されてる……」
(´・_ゝ・`)「あ、だからキレたんだ……」
('A`)「ええとだな、こんな時は」
,,,( ^ω^)「夜分に失礼しますおー」
('A`)「あなたが神か!」
(;^ω^)「はい!?」
(´・_ゝ・`)「あ、初めましてデミタスです」
( ^ω^)「あ、隣の家のブーンです」
('A`)「野菜を! 野菜を下さい!!」
(´・_ゝ・`)「八百屋さんか何かで……?」
( ^ω^)「野菜の錬金術師です、どうぞ増やした人参と玉ねぎとジャガイモです」
('A`)「あなたが神か!!」
(;^ω^)「なんなの!?」
- 180 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 23:36:07 ID:/iTu5ocUO
('A`)「人参ジャガイモ玉ねぎとお肉、ここから導き出される物は!!」
(´・_ゝ・`)「カレーです!!」
('A`)「よし! 魔法フル活用で作るぞ!!」
(´・_ゝ・`)「はい!!」
(;^ω^)「えぇ……何このカオスとしか言い様のない空間……」
('A`)「包丁なぞ使うな! 魔法で行け!!」
(´・_ゝ・`)「はい!!」
(;^ω^)「中年男性とクーさんが正座して、ドクオさんと中年男性が料理して……女児が怖い」
('A`)「フライパンなど無視しろ! メラゾーマだ!!」
(´・_ゝ・`)「はい!!」
(;^ω^)「やだ、あの女児クッションかじってる……怖い……」
('A`)「水!!」
(´・_ゝ・`)「清漣よりいでし水煙の乙女よ契約者の名において命ず!出でよウンディーネ!!」
(;^ω^)「鍋に水を張るためだけに精霊を召喚した!?」
- 181 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 23:38:37 ID:/iTu5ocUO
(;^ω^)「えっと……あの、お忙しそうなんで帰りますおー……」
(;^ω^)
(;^ω^)「し、失礼しましたー……」
,,,( ・∀・)「こんばんはー」
(;^ω^)「あ、モララーさん今日はやめた方がいいですお」
(;・∀・)「……みたいですね」
(;^ω^)「取り敢えずうちで晩飯食いましょうお」
(;・∀・)「あ、はい……あの、失礼しました……」
(;^ω^)「……カオスだなあ」
(;・∀・)「ですねぇ……」
('A`)「お疲れさまでした神!」
(´・_ゝ・`)「お疲れさまでした!」
(;^ω^)「あ、はい……頑張ってくださいお……」
- 182 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 23:40:44 ID:/iTu5ocUO
('A`)「デミタス! 今何分!!」
(´・_ゝ・`)「10分!!」
('A`)「よし完成!!」
(´・_ゝ・`)「ミセリ君おいで! カレーだよ!」
_,,
ミセ#゚皿゚)リ
_,,
ミセ#゚−゚)リ
ミセ*゚ワ゚)リ
ミセ*^ワ^)リ「カレーだあああああ!!」
(´・_ゝ・`)「たんとお食べ! モリモリと!!」
('A`)「腹一杯お食べ! 全力で!!」
ミセ*^ワ^)リ「いっただきまーす!!」
- 184 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 23:42:06 ID:/iTu5ocUO
(´・_ゝ・`)「……疲れた……」
('A`)「うん……俺も……」
(´・_ゝ・`)「すみません何かもう……本当にすみません……」
('A`)「ううん、こっちこそごめんね……」
(´・_ゝ・`)「ミセリ君、美味しいかい……」
ミセ*^ワ^)リ「おいしー!」
('A`)「魔力削った甲斐があるね……」
(´・_ゝ・`)「はい……」
('A`)「お嬢ちゃん、それ食べたらプリンあるからね……」
ミセ*^ワ^)リ「わーい!」
('A`)「ははは、可愛いなあ……はは……」
(´・_ゝ・`)「はは……は……」
- 185 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 23:44:07 ID:/iTu5ocUO
(´・_ゝ・`)「はぁ……やっと落ち着いた」
('A`)「あの二馬鹿は放置して、俺らも食べようか」
(´・_ゝ・`)「ですね」
('A`)「次からはこうならないようにしような」
(´・_ゝ・`)「はい、フィレンクトふん縛って」
('A`)「いやそうじゃなくて、レス数かさみすぎ」
(´・_ゝ・`)「メタいメタい」
('A`)「本当もう疲れた、老体にはきつい」
(´・_ゝ・`)「ドクオさん僕らの三つ上じゃないですか」
('A`)「三つの差って思ってるよりキツいぞ、もう徹夜なんか出来ないぞ」
(´・_ゝ・`)「徹夜は正直僕もキツいです」
ミセ*^ワ^)リ「おかわりー!!」
('A`)「よく食うなー……はいどうぞ」
ミセ*^ワ^)リ「ありがとーございます!!」
('A`)「元気だなー……」
- 186 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 23:46:38 ID:/iTu5ocUO
('A`)「……もう、食ったら風呂入って寝ようか」
(´・_ゝ・`)「はい……ミセリ君、食べ終わったらお風呂いただいて寝るよ」
ミセ*゚ー゚)リ「お勉強は?」
(´・_ゝ・`)「ドクオさんとしてたみたいだし、今日はもう良いよ」
ミセ*゚ー゚)リ「ほーい」
(´・_ゝ・`)「今日はどんな勉強を?」
('A`)「乱数調整」
(´・_ゝ・`)「人の教え子に何を仕込んでるんですか」
ミセ*゚ー゚)リ「魔法使いの花嫁とか勉強したよ」
(´・_ゝ・`)「ドクオさん」
('A`)「うん?」
(´・_ゝ・`)「それエロゲ」
('A`)「うん」
- 187 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 23:48:31 ID:/iTu5ocUO
ミセ*゚ー゚)リ「ドクオさんの魔力がむじんぞーだから、何でなのか気になった」
('A`)「俺は魔力を溜め込む魔法使いの花嫁の男版なんだよって」
(´・_ゝ・`)「嘘を仕込まないで下さい、ドクオさんただ体内で魔力作る体質でしょ」
('A`)「似たようなもんだよ」
(´・_ゝ・`)「ドクオさん別に魔力吐き出さなくても平気じゃないですか」
('A`)「今は上級魔導師四桁分くらい溜まってる」
(´・_ゝ・`)「やっぱ人間じゃないですよドクオさん」
('A`)「たまに居るらしいよ、体内で魔力自己発電体質」
(´・_ゝ・`)「数千億人に一人ですけどね」
('A`)「うちの家系ではたまに居たみたいだよ」
(´・_ゝ・`)「だからソリテール家は超名門魔導師家系なんですよ」
('A`)「体質のお陰で腕が良いみたいに言われるの嫌なんだよね」
(´・_ゝ・`)「そうでしょうけど、そろそろ奥さん貰わないとガチでソリテール家が絶えますよ」
('A`)「えー……めんどくせぇ……」
- 188 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 23:50:04 ID:/iTu5ocUO
ミセ*゚ー゚)リ「ドクオさんそれだけ凄かったらお嫁さん候補いっぱいなんじゃないの?」
('A`)「国から子作りの手配するから来いとは言われてる」
_,
ミセ;゚Д゚)リ「ロマンもへったくれもねぇ!」
('A`)「でもさ、生まれてきた子供の顔がこれに似たら可哀想だよね」
(´・_ゝ・`)「別にドクオさん醜いわけじゃないですよね」
ミセ*゚ー゚)リ「死人みたいな顔色だけどね」
(´・_ゝ・`)「あと姿勢が悪い」
ミセ*゚ー゚)リ「主に顔色が悪い」
('A`)「どんな言いぐさだ」
(´・_ゝ・`)「いい加減に奥さんもらいましょうよ」
('A`)「良いよ家事は俺がするし」
(´・_ゝ・`)「良くない良くない」
ミセ*゚ー゚)リ「ごちそーさまでしたー」
('A`)「プリン持ってくるわ」
(´・_ゝ・`)「あ、逃げた」
- 189 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 23:52:06 ID:/iTu5ocUO
ミセ*゚ー゚)リ「……ねぇせんせ」
(´・_ゝ・`)「ん?」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせはお嫁さんもらわないの?」
(´・_ゝ・`)「僕はまだ考えてないなあ、今は忙しいし」
ミセ*゚ー゚)リ「旅の途中でフラグは建てるものだよ?」
(´・_ゝ・`)「死亡フラグしか建たないんだけどね」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせどんな人がタイプなの?」
(´・_ゝ・`)「うーん、気が少し強くて落ち着いた人かな」
ミセ*゚ー゚)リ「長身でクールな感じ?」
(´・_ゝ・`)「そうそう」
ミセ*゚ー゚)リ「それおっちゃんじゃない?」
(´・_ゝ・`)
ミセ*゚ー゚)リ
(´・_ゝ・`)「キモい……想像したらとことんキモい……」
ミセ;゚ー゚)リ「ごめん……」
- 190 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 23:54:04 ID:/iTu5ocUO
('A`)「はいプリンどうぞ」
ミセ*゚ヮ゚)リ「わーい! ありがとーございます!」
('A`)「あ、お風呂沸かしてあるから入ってね」
(´・_ゝ・`)「じゃあ寝間着持ってきます」
('A`)「おー」
ミセ*´ヮ`)リ「うまぁ……プリンごっさうまぁ……」
('A`)「嬉しそうに食うねー」
ミセ*゚ー゚)リ「美味しいものは全力で楽しむべきです」
('A`)「ははは、良い事だ」
ミセ*゚ー゚)リ「ドクオさんお風呂は?」
('A`)「俺は後で良いよ、それとも一緒に入る? なんつっ」
ミセ*゚ー゚)リ「いーよー」
('A`)
ミセ*゚ー゚)リ「プリンちょーおいしい……なにこれすごい……」
- 191 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 23:56:09 ID:/iTu5ocUO
('A`)「えっ…………えっ?」
ミセ*゚ー゚)リ「はい?」
('A`)「いや、お風呂……えっ?」
ミセ*゚ー゚)リ「? どしたの?」
('A`)「いや、あの……えっ……?」
(´・_ゝ・`)「はいミセリ君の寝間着、食べ終わったらお風呂いただこうね」
ミセ*゚ー゚)リ「ほーい、せんせ頭洗ってよ」
(´・_ゝ・`)「はいはい、いまだにシャンプーハットいるもんね」
ミセ*゚3゚)リ「だって苦手なんだもーん」
(´・_ゝ・`)「お風呂であんまりはしゃいじゃ駄目だよ、すぐ疲れてお風呂で寝るんだから」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせがそのたびに救出してくれるもん」
('A`)
- 193 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/19(日) 23:58:10 ID:/iTu5ocUO
('A`)「……あの…………?」
(´・_ゝ・`)「はい?」
ミセ*゚ー゚)リ「ドクオさんも一緒に入るって」
(´・_ゝ・`)「湯船に三人いけるかなあ……」
('A`)
('A`)「12歳の女児と一緒にお風呂入ってるの……?」
(´・_ゝ・`)「? そうですけど」
ミセ*゚ー゚)リ「昔からだよねー」
('A`)「え、えぇ……えぇぇ……?」
(´・_ゝ・`)「そう言えばドクオさんとお風呂入るの初めてですね」
('A`)「いや、入るのがごく普通みたいに言われても……」
(´・_ゝ・`)「良かったねミセリ君、今日のお風呂は賑やかだよ」
ミセ*゚ー゚)リ「わーい!」
('A`)「どう言う事なの……?」
- 194 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/20(月) 00:00:53 ID:C9i8KNnMO
ミセ*゚ー゚)リ「ごちそーさまでしたー!」
(´・_ゝ・`)「じゃ、お風呂行こうか」
ミセ*゚ー゚)リ「はーい!」
(´・_ゝ・`)「ドクオさん、着替えは?」
('A`)「あ……ぇ…………取ってきます……」
(´・_ゝ・`)「じゃあ先にいただきますね」
ミセ*゚ー゚)リ「いただきますー」
('A`)「あ、うん……すぐ行くわ……」
('A`)
('A`)(おかしいだろ何か……何か…………)
('A`)
('A`)「もう良いや……」
- 195 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/20(月) 00:02:30 ID:C9i8KNnMO
ミセ*゚ー゚)リ「お風呂上がりーほっかほかー」
(´・_ゝ・`)「湯冷めしないようにお布団に入りなさいね」
('A`)「布団敷いといた」
(´・_ゝ・`)「いつのまに」
('A`)「魔法で遠隔操作」
(´・_ゝ・`)「便利だなー……ほらミセリ君、髪をしっかり乾かす」
ミセ*゚ー゚)リ「ほーい」
('A`)「……デミタス」
(´・_ゝ・`)「はい?」
('A`)「お嬢ちゃんの身体の成長が遅い気がする」
_,
ミセ;゚Д゚)リ「これからです!!」
('A`)「いや……さすがに幼児体型過ぎるわ……10歳くらいだわアレ」
_,
ミセ;゚Д゚)リ「こーれーかーらーでーすー!!」
- 196 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/20(月) 00:04:25 ID:C9i8KNnMO
(´・_ゝ・`)「ミセリ君、日記は?」
ミセ*゚ー゚)リ「あ、書きますー!」
季節:冬 場所:ドクオさんち
勉強内容:乱数調整。
ミセ*゚ー゚)リ「書いた!」
(´・_ゝ・`)「いやいやいやいや」
ミセ*゚ー゚)リ「え、ダメ?」
(´・_ゝ・`)「他に何か勉強しなかったの?」
ミセ*゚ー゚)リ「んっとね、アルテマ教えてもらった」
(´・_ゝ・`)「ドクオさん何考えてるんですか」
('A`)「俺に出来うる限りの事をしたまでだ」
(´・_ゝ・`)「かっこよさげに言わないで下さい」
- 197 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/20(月) 00:06:18 ID:C9i8KNnMO
ミセ*゚ー゚)リ「あとアニマの呼び方教えてもらった」
(;´・_ゝ・`)「人の教え子をどうするつもりですか!?」
('A`)「召喚術って使わないからつい教えちゃった」
(;´・_ゝ・`)「ついでえぐいもん呼ばせないで下さい!」
('A`)「まあお嬢ちゃんはまだ魔力の蓄え方を身に付けてないからどうしようもないけど」
(´・_ゝ・`)「それは、まあ……別にまだ魔導師を目指してはないですし……」
('A`)「その代わり魔力を大量に蓄えられる様になったら国とか滅ぼせる」
(´・_ゝ・`)「ミセリ君こっち来て」
ミセ*゚ー゚)リ「ほい?」
(´・_ゝ・`)「1、2の……ぽかん!」
('A`)「こいつ、強制的に忘れさせた……!?」
(´・_ゝ・`)「うちの教え子を兵器みたいにしないで下さい」
('A`)「ごめんごめん、つい楽しくて」
(´・_ゝ・`)「楽しくて覚えさせる技じゃないです」
- 198 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/20(月) 00:08:22 ID:C9i8KNnMO
(´・_ゝ・`)「ほら寝るよ、ドクオさんお疲れ様でした」
('A`)「おー、お疲れー」
ミセ*゚ー゚)リ「おやすみなさーい!」
('A`)「はいはいおやすみ」
川 ゚ -゚)「……」
(‘_L’)「……」
川 ゚ -゚)「寒いですね……」
(‘_L’)「ああ……」
川 ゚ -゚)
(‘_L’)
- 199 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/20(月) 00:10:03 ID:C9i8KNnMO
川 ゚ -゚)「なんか、すみませんでした……」
(‘_L’)「うん、いや……こっちこそ悪かった……」
川 ゚ -゚)
(‘_L’)
川 ゚ -゚)「お腹空いた……」
(‘_L’)「腹減った……」
('A`)「カレー温めたぞー」
川 ゚ -゚)!
(‘_L’)!
('A`)「食ったらお前らも風呂入って寝ろよ」
川 ゚ -゚)「ありがとうございます!」
(‘_L’)「いただきます!」
- 201 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/20(月) 00:12:06 ID:C9i8KNnMO
('A`)「はーやれやれ、今日は疲れた……」
('A`)
('A`)「あ、食ったら洗い物しといてね」
川 ゚ -゚)「はい!」
(‘_L’)「はい!」
('A`)「あらやだ素直……お嬢ちゃんが怒ったのが効いたか……」
('A`)
('A`)「ま、今日くらいは賑やかでも良いか……明日には元通りだしなあ」
('A`)「じゃ、おやすみー」
川 ゚ -゚)「おやすみなさい!」
(‘_L’)「お疲れ様です!」
('A`)「はいはいおやすみー」
おわり。