211 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 21:06:10 ID:f5inV5CgO

 行く道は様々、賑やかな街や静かな村。

 時には冷たい風を、時には暖かな風を受けて歩いて行く。

 周囲にはいつも移り変わり続ける景色。
 聞こえるのは人の声や風の音、喧騒も静けさも耳へと流れ込む。

 石畳を踏み、土を踏み、景色の中を渡り歩くのは、三人。


 一人はどこか情けない顔をした、人の良い魔導師。
 もう一人は、表情を浮かべず自由に振る舞う戦士。

 その二人の間に居るのは、明るく元気な女の子。


       【旅のようです】
     【三話 先生あれ買って】



 彼らの間にはいつも、穏やかでいて賑やかな空間が存在する。

立ち絵

212 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 21:09:35 ID:f5inV5CgO

 わたしは今、街に居ます。


 広い道、行き交う人々。
 見た事もない建物や乗り物、ざわざわと賑やかな街。
 少し先の市場ではいろんな人、近くのお店にもいろんな人。

 隣には案内板を見る先生と、足元の蟻の列を見守るおっちゃん。

 わたし達は、あれからまた旅をしてこの街に来ました。
 ここは昔、わたしが住んでいた街と同じくらい都会です。

 と言っても、わたしの住んでた街はもう無いけど。


 ここは戦争の被害を免れたのか、それとも復興が終わったのか。
 ずいぶんと賑やかで華やかで、とても数年前の戦争を感じさせません。

 戦場から離れていたのかなと思いつつ、先生を見上げる。
 いつも通り、何となく情けない顔をした多少イケメンである。


 こんな顔でも、戦場に立つ可能性があったんだなあ。

213 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 21:12:21 ID:f5inV5CgO

ミセ*゚ー゚)リ「せんせ、すっごい都会だね」

(´・_ゝ・`)「ん? うん、そうだね」

ミセ*゚ー゚)リ「ここは戦争の被害を受けなかったの?」

(´・_ゝ・`)「うーん、多少は受けたと思うよ、目に見える部分はもう修繕されてるけど」

ミセ*゚ー゚)リ「なるほど……」

(´・_ゝ・`)「でも見えない部分は、きっとまだ傷がある」

ミセ*゚ー゚)リ「見えない部分って?」

(´・_ゝ・`)「人の中は目に見えないでしょ」

ミセ*゚ー゚)リ「あ……心とかは、まだだよね……」

(´・_ゝ・`)「うん……ほらフィレンクト、蟻見てないで行くよ」

(‘_L’)「すっぱい」

(´・_ゝ・`)「食うなよ」

215 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 21:15:23 ID:f5inV5CgO

(´・_ゝ・`)「取り敢えず宿屋だね、荷物を置いてから街を見て回ろう」

ミセ*゚ー゚)リ「うん」

(´・_ゝ・`)「……何か、たまには可愛いものでも見ようか?」

ミセ*゚ー゚)リ「! うん!」

(´・_ゝ・`)「ん、じゃあ行こう」

ミセ*゚ー゚)リ「はーい!」

(‘_L’)「口の中がヒリヒリする」

(´・_ゝ・`)「口開けて」

(‘_L’)「あー」

(´・_ゝ・`)「どくどく」

(‘_L’)「定期ダメージがッ!!」

ミセ*゚ー゚)リ(口を開けさせた意味はいったい)

216 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 21:18:08 ID:f5inV5CgO


 で、宿屋まで来たわけですが。


(´・_ゝ・`)「えっ……ここも……?」


 正しくは、いくつか宿屋を回ったわけですが。


(´・_ゝ・`)「えぇ……一晩一部屋この値段ですか……」

(‘_L’)「通常の一週間分くらいだな」

(´・_ゝ・`)「……じゃあ一部屋お願いします、ベッド一つで良いです」

(‘_L’)「えっ」

(´・_ゝ・`)「ミセリ君がベッドで僕らは床だよ」

(‘_L’)


 どうやら、宿賃がスゴいみたいです。

217 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 21:21:04 ID:f5inV5CgO

(´・_ゝ・`)「参ったなあ……こんなに物価が高いとは……」

ミセ*゚ー゚)リ「そんなに?」

(´・_ゝ・`)「うん……三日泊まるとフィレンクトの村で一週間豪遊出来るくらい……」
  _,
ミセ;゚д゚)リ「たっけぇ!!」

(‘_L’)「金は大丈夫なのか」

(´・_ゝ・`)「財布見る?」

(‘_L’)

(´・_ゝ・`)

(‘_L’)「…………えっ、マジで……?」
  _,
ミセ;゚д゚)リ「おっちゃんが素の反応するくらいなの!?」

(´・_ゝ・`)「宿賃に食事代も入ってるから夕飯と朝食は何とかなる」
  _,
ミセ;゚д゚)リ「お昼は……?」

(´・_ゝ・`)「ミセリ君、あの草が食べられるよ」
  _,
ミセ;゚д゚)リ「都会でサバイバル!?」

218 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 21:24:42 ID:f5inV5CgO

(´・_ゝ・`)「これは駄目だ、旅の準備も出来ない、と言うかここの物価じゃ薬草も買えない」
  _,
ミセ;゚д゚)リ「ど、どうするの……?」

(´・_ゝ・`)「仕事をします」

(‘_L’)「頑張れ」

(´・_ゝ・`)「メラゾーマ」

(‘_L’)「あっつ!!」
  _,
ミセ;゚д゚)リ「せんせ駄目だよ! MPの無駄遣いだよ!!」

(´・_ゝ・`)「ハッ、そうだ節約しなきゃ」

(‘_L’)「ホイミは」

(´・_ゝ・`)「今回は無い」

(‘_L’)「あんまりだ」

(´・_ゝ・`)「よし、役所に行こう、今までの分の代金が少しは振り込まれるはず」

ミセ;゚ー゚)リ「何か生々しいなー……」

220 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 21:27:10 ID:f5inV5CgO

(´・_ゝ・`)「役所はすぐそこか……ミセリ君はどうする? 暇だと思うけど」

ミセ*゚ー゚)リ「お役所見学するー」

(´・_ゝ・`)「分かった、じゃあ行こう」

ミセ*゚ー゚)リ「ほーい」

(´・_ゝ・`)「フィレンクトもちゃんと国と契約して登録しとこうか」

(‘_L’)「えー」

(´・_ゝ・`)" ゴッ

(‘_L’)「痛い! 黙って蹴るな!」

ミセ*゚ー゚)リ「せんせ、狙うなら向こう脛だよ」

(´・_ゝ・`)「よし来た」

(‘_L’)「おい止めろ! お前の靴の先に鉄板入ってるんだぞ!」

(´・_ゝ・`)"「安全靴便利だからね」ゴッ

(‘_L’)「痛い!!」

(´・_ゝ・`)「知ってる」

(‘_L’)「ひどい!!」

221 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 21:31:20 ID:f5inV5CgO

(´・_ゝ・`)「常識的に考えてひどいのは人一倍食べるのにその代金をすべて僕に任せてる君」

(‘_L’)「デミタス見ろ、あの屋台が美味そうだ」

(´・_ゝ・`)" ゴッ

(‘_L’)「痛い!」

(´・_ゝ・`)「だから自分の食べる分くらいは稼いで」

(‘_L’)「おい見ろあの店の肉がきっと美味いぞ」

(´・_ゝ・`)" ゴッ

(‘_L’)「痛い!!」

ミセ*゚ー゚)リ「せんせーあれ美味しそう」

(´・_ゝ・`)「お金入ったら食べてみようか」

(‘_L’)「贔屓だ」

(´・_ゝ・`)" ゴッ

(‘_L’)「痛い! せめて何か言いながらつっこめ!! 悲しい!!」

222 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 21:34:43 ID:f5inV5CgO



(´・_ゝ・`)「すみません、魔導師登録をしてるデミタスですが給金の方を引き出したいんです」

(‘_L’)「銀行か」

(´・_ゝ・`)「あと隣の馬鹿の戦士登録を」

(‘_L’)「おいせめて名前で言え」

(´・_ゝ・`)「あ、これ今の依頼表ですか…………ふむ」

(‘_L’)「『逃げ出した猫を探してほしい』……クエスト埋め以外では絶対選ばんなこれ」

(´・_ゝ・`)「複数回あるタイプのクエストっぽいけどね」

(‘_L’)「ああなるほど……たぶん手間ばっかりかかって貰えるのは消費アイテムだな」

(´・_ゝ・`)「ああ……」

ミセ*゚ー゚)リ(何だこのゲーム脳……)

223 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 21:37:19 ID:f5inV5CgO

 お役所は思ったより大きな建物で、小綺麗かつ人が結構居る。
 どうやら子供が来る場所ではないのか、周囲には大人ばかり。

 先生とおっちゃんが窓口で手続きやら何やらをしている間、わたしはどうするか。

 お役所の仕事を見るにも、見えるのは受け付け窓口と依頼を貼り出した掲示板。
 よくあるギルドみたいな状態です。

 とは言っても、ギルドはギルドで別にある。

 愛好会とか民間の間で作られたり、習い事の延長みたいな形だからよく言うギルドではないけど。


ミセ*゚ー゚)リ(んー、どうしよ)


 二人の手続きは時間がかかるらしく、窓口から離れない。

 思ったより見学するものがなく、わたしは暇をもてあます。


ミセ*゚ー゚)リ(ん……国の歴史見学?)


 どうやら、暇を潰せそうです。

224 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 21:40:09 ID:f5inV5CgO

 天井から下がる「国の歴史見学コーナー」と言う看板を見つけ、
 わたしは先生に声をかけてから、その看板に従い移動。

 別室と言うには広い、ホールと言うには狭い空間。
 そこにはいろんなパネルなどが飾り付けられ、国についてがある程度細かく書かれている。

 お勉強にはちょうど良い。
 鞄からノートとペンを取り出して、順番にそれを見て行くことにします。


ミセ*゚ー゚)リ「ええと、国の発祥……元々は小さな町だった…………西と東で別れて……へー」


 最初の方は、国の成り立ち。
 西と東にあった町がひとつになって云々。


ミセ*゚ー゚)リ「へー、妖怪ってのが居たんだ……何だ妖怪って」


 何かよくわかんないから適当に見てから次に移動。


ミセ*゚ー゚)リ「お、古代の魔導具だ……昔は箒で空飛んだんだ……」

 古代の魔導具のレプリカ、どう見てもただの箒だけど昔はこれで空を飛んだらしい。
 人が空を飛ぶのはにわかに信じがたいけど、今でも魔導師は空を飛べるとか何とか。

226 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 21:43:15 ID:f5inV5CgO

ミセ*゚ー゚)リ「せんせとかドクオさんも飛べるのかな……」


 隣にある現代の飛空船のミニチュア、乗った事は無いけどこの街にもあるのを見かけた。
 とは言え乗船料が高いのでまず乗る事はありません、世の中は無情です。


ミセ*゚ー゚)リ「おー、これは最近のだ……名だたる英雄たちか……」


 次は、割りと最近にすごい行いをした英雄達の紹介。
 百戦錬磨のロマネスクと言う戦士や、類いまれなる才能を持つドクオと言う魔導師。

 えっ

  _,
ミセ;゚д゚)リ「ドクオさん……ガチですごい人じゃん……」


 ええと、ドクオ・ソリテール、超名門と言われる魔導師家系のソリテール家の生き残り。
 幼い頃より魔導に進み、十代の内に一般上級魔導師をもしのぐ実力を身に付けた。
 魔導師育成学校には進まず独学のみで身に付けたその知識と実力は国で随一。
 近年は表舞台に立つ事は無かったが、五年続いた戦争を一人で終結させた英雄でもある。
 現在では国直属の魔導師になる誘いを何度も受けてはいるが、全てを断っている。
 その居場所を知る者は国の上層部の人間のみであり、最近は従者と旅をしていた模様。
 今後の活躍とその力を後世に残すため、実子の存在を期待されているがその噂はまるでない。

  _,
ミセ;゚д゚)リ「長いよ!!」

227 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 21:46:17 ID:f5inV5CgO
  _,
ミセ;゚д゚)リ「はー……英雄なのは知ってたけど、ここまでガチとは……」
  _,
ミセ;゚д゚)リ
  _,
ミセ;゚д゚)リ「つか何でせんせは居場所知ってたのよ」
  _,
ミセ;゚д゚)リ
  _,
ミセ;゚д゚)リ「あと実子は無理だわ」


 ドクオさんに対する突っ込みは尽きないけど、取り敢えず次。

 三年前の、戦争について。


ミセ ゚−゚)リ「……」


 あんま、見たくないな。

 でも、これも見た方が良いよね。

228 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 21:49:59 ID:f5inV5CgO

 魔王率いる魔族との戦争。
 その理由は領土の奪い合いや殺戮が目的等と言われているが、真偽は定かではない。

 責め込んだ魔族を退けるべく振り上げられた正義の剣。
 数多の犠牲を払い、五年の戦いが続いた。

 王は勇者を率い、忠実なる軍を率い、魔王軍と戦う。
 そして突如姿を表した魔導師により、戦争は終結。

 尊い犠牲を払ったが、国は犠牲者と残された者のために保護と救助に尽力。
 人々は皆、国に感謝を



ミセ ゚−゚)リ「…………なにこれ」


 馬鹿みたい。
 何が尊い犠牲だ。


ミセ ゚−゚)リ「忠実なる軍……?」


 先生とおっちゃんは、国のやり方が嫌で抜けたのに。

229 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 21:52:16 ID:f5inV5CgO

ミセ ゚−゚)リ「残された者の、保護と救助?」


 じゃあ何で、ご飯も食べられない日々が続いた。

 わたしが先生に拾われるまで、何を食べて生きてたと思ってんだ。

 親の肉の味を、知ってんのかよ。


ミセ ゚−゚)リ「…………馬鹿みたい」


 軍や国が何をしたんだか。

 破壊されたわたしの故郷で、略奪まがいの事してたのは誰だ。
 軍が使う資源だ何だと、残された金品も持っていったのは誰だ。

 国は誰も助けなかった。

 わたしを助けたのは先生だ。

 今にも死にそうなわたしを抱き締めてくれたのは、先生の震える腕だ。

 泣きながらごめんねって言ったのは先生だ、頭を撫でてくれたのも先生だ、国なんかじゃない。

231 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 21:55:16 ID:f5inV5CgO

ミセ ゚−゚)リ「ふざけんなよ……何だこれ」


 わたしを保護し、急ごしらえの孤児院に連れていってくれた先生。
 寝る事も忘れて、わたしのために、みんなのために必死で働いた先生。
 時々すごく悲しそうにわたしたちを見る先生の目が、見ていて悲しくて。

 毎日を必死に生きて、生きて、生きて、死んでやるもんかって生きて。

 状況が少し落ち着いて、人の多い町に孤児院が移転する時、わたしと先生は旅に出た。


 先生が、わたしの家族。
 わたしのお父さんで、お母さん。

 家族、に、なりたい。


ミセ ゚−゚)リ「……そんなせんせを、絶望させた国が……何様だよ」

(´・_ゝ・`)「おーいミセリ君」

ミセ ゚−゚)リ「!」

233 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 21:58:36 ID:f5inV5CgO

(´・_ゝ・`)「ん、どうしたの?」

ミセ ゚−゚)リ「……何でもない」

(´・_ゝ・`)「? …………ああ、これか」

ミセ ゚−゚)リ「……嘘ばっかだ、これ」

(´・_ゝ・`)「ミセリ君……」

ミセ ゚−゚)リ「…………」

(´・_ゝ・`)「こうやって、耳触りの良い言葉ばかり並べるのも、きっとつらいからだよ」

ミセ ゚−゚)リ「でも、嘘だ」

(´・_ゝ・`)「うん……けど、みんなきっと悲しんだんだ」

ミセ ゚−゚)リ「……」

(´・_ゝ・`)「それに、綺麗な事しか許されない事もある」

ミセ ゚−゚)リ「おかしいよ、そんなの……」

(´・_ゝ・`)「……少しずつ変えて行こう、僕らに出来る事から、少しずつ」

ミセ ゚−゚)リ「…………うん」

234 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 22:01:43 ID:f5inV5CgO

(´・_ゝ・`)「行こう、ミセリ君」

ミセ ゚−゚)リ「……」

(´・_ゝ・`)「ミセリ君?」

ミセ ゚−゚)リ「だっこ」

(´・_ゝ・`)「はいはい、行こう」

ミセ ゚−゚)リ「ん」


 大人ってのは、汚いものなんだろうか。

 簡単に嘘を並べて、澄ました顔で人を騙す。

 それなのに、それを見て先生はしょうがないんだよ、と笑う。


 先生はお人好し過ぎるよ。

 わたしには、まだわからないよ。

236 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 22:04:05 ID:f5inV5CgO

(‘_L’)「だから、中退ではないと何度」

(‘_L’)「いや待て逃亡ではない、卒業証書ある」

(‘_L’)「だからいや、いやだから、だから! 戦士の資格はあるから!」

(‘_L’)「えっ、十年以上無功績だと剥奪……?」

(´・_ゝ・`)「まだ受付と戦ってたの君」

(‘_L’)「俺……戦士じゃなかった……」

(´・_ゝ・`)「あ、これ紹介状です、これでいける筈ですけど」

(‘_L’)「おい何だそれ」

(´・_ゝ・`)「ドクオさんからの紹介状、十年放置で剥奪は卒業時に説明されたでしょ」

(‘_L’)

(´・_ゝ・`)「だからドクオさんが俺の紹介があれば特別にいけるって書いてくれたじゃない」

(‘_L’)

(´・_ゝ・`)

237 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 22:07:19 ID:f5inV5CgO

(´・_ゝ・`)「君は僕とドクオさんが話してる時に何を聞いてたの」

(‘_L’)「メイドと戦ってた」

(´・_ゝ・`)「君は馬鹿だ」

(‘_L’)「今は否定できない」

(´・_ゝ・`)「否定も何も普通に馬鹿だから」

(‘_L’)「ぐぬぬ」

(´・_ゝ・`)「あ、受理できましたか、ありがとうございます」

(‘_L’)「これで俺も戦士か」

(´・_ゝ・`)「その証明勲章無くさず付けといてよね、それ無くしたら次は無理」

(‘_L’)「パンツに付けとく」

(´・_ゝ・`)「君は役所に申請する度にズボンを脱ぐつもりか」

(‘_L’)「逮捕されるか」

(´・_ゝ・`)「逮捕されるよ」

238 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 22:10:16 ID:f5inV5CgO

(‘_L’)「いや具は出さないからいけるはず……どうしたそれ」

(´・_ゝ・`)「変わらないよ逮捕だよ……ああ、ちょっとね」

(‘_L’)「珍しいな、甘ったれか」

(´・_ゝ・`)「まだ子供だよ、当然だ」

(‘_L’)「俺の胸に来るか」

(´・_ゝ・`)「キモいよフィレンクト」

(‘_L’)「じゃあお前が来るか」

(´・_ゝ・`)「きしょい」

(‘_L’)「傷付く」

(´・_ゝ・`)「きしょい」

(‘_L’)「それやめて、切ない」

(´・_ゝ・`)「じゃあきしょい事言わないで、ほら行くよ」

(‘_L’)「うん……」

(´・_ゝ・`)「落ち込まないでよめんどくさいな……」

239 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 22:13:21 ID:f5inV5CgO

(´・_ゝ・`)「ほらミセリ君、どこに行く? ある程度ならお金が入ったから行けるよ」

ミセ ゚−゚)リ「……」

(´・_ゝ・`)「お昼でも食べる? それとも甘いものでも食べようか」

(‘_L’)「食う事ばっかりか」

(´・_ゝ・`)「君が言うな」

ミセ ゚−゚)リ「……いらない……」

(´・_ゝ・`)「じゃあ、最初に言った様に何か可愛い物でも見ようか?」

ミセ ゚−゚)リ「いい……」

(‘_L’)「(……おいデミタス)」

(´・_ゝ・`)「(なにコソコソと)」

(‘_L’)「(何で拗ねてるんだそのチビは)」

(´・_ゝ・`)「(国の歴史を見たみたい、そこに戦争についても書いてた)」

(‘_L’)「(ああ……どうせ恥も外聞もなく綺麗事を並べ立ててあったんだろう)」

(´・_ゝ・`)「(そ、この子は戦災孤児だから……納得出来なかったみたい)」

240 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 22:16:43 ID:f5inV5CgO

(´・_ゝ・`)「じゃあどこに行こうか、宿にこもるのは体に良くないよ」

ミセ ゚−゚)リ「……」

(´・_ゝ・`)「(参ったなあ……どうしたものか)」

(‘_L’)「(お前は保護者だろう、何とかしろ)」

(´・_ゝ・`)「(ううん、そうだけど僕は被害を受けたわけじゃないから気持ちが分からないんだ)」

(‘_L’)「(まあ戦争の被害とは言えないからな……理解は難しいな)」

(´・_ゝ・`)「(うん…………と言うかフィレンクト)」

(‘_L’)「(何だ)」

(´・_ゝ・`)「(何で君テレパス使えるの)」

(‘_L’)「(学生時代に緊急連絡用として教わった)」

(´・_ゝ・`)「(へー、君に魔力あったんだ)」

(‘_L’)「(何かひどいなそれ)」

(´・_ゝ・`)「(脳筋だとばっかり)」

(‘_L’)「(否定しないけど)」

242 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 22:19:33 ID:f5inV5CgO

(´・_ゝ・`)「……ミセリ君、納得出来ないのは分かるけど、国も少しずつ変わろうとしてる」

ミセ ゚−゚)リ「……」

(´・_ゝ・`)「だから今は、あんなのは見なかった事にしよう、考えるのは今じゃなくて良いよ」

ミセ ゚−゚)リ「……」

(´・_ゝ・`)「国を変えるのは、若者の力だ、ミセリ君もその力になれる様になろう」

ミセ ゚−゚)リ「……うん」

(´・_ゝ・`)「あとあれの書き換えは依頼しとく」

(‘_L’)「誰にだ?」

(´・_ゝ・`)「英雄に」





('A`)「えっきし!」

川 ゚ -゚)「風邪ですかご主人様、半径1km以内に近付かないで下さい」

('A`)「それ森のど真ん中に移動する事になるよ」

243 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 22:23:08 ID:f5inV5CgO

(´・_ゝ・`)「だからほら、今は少しでも楽しもう?」

ミセ ゚−゚)リ「うん……」

(´・_ゝ・`)「何か可愛い物でも見に行こう、高価なものは買えないけど」

ミセ ゚−゚)リ「ん……」

(´・_ゝ・`)「降りる?」

ミセ ゚−゚)リ「……もーちょっと」

(´・_ゝ・`)「はいはい」

(‘_L’)

(´・_ゝ・`)「こっち見んな」

(‘_L’)「何も言ってないのにこの扱いか」

(´・_ゝ・`)「こっち見んな」

(‘_L’)「ひどいよなお前」

244 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 22:25:44 ID:f5inV5CgO

(´・_ゝ・`)「あ、ほらこことかどうかなミセリ君」

ミセ ゚−゚)リ「……かわいい」

(´・_ゝ・`)「見てみる?」

ミセ ゚−゚)リ「うん」

(´・_ゝ・`)「よし、じゃあ入ろう」

(‘_L’)(ディスプレイされてる服の値段が昔の月給くらいする……)


 からんころん


(´・_ゝ・`)「ほら、ミセリ君降りて見てごらん」

ミセ ゚−゚)リ「ん……」

(‘_L’)「……デミタス」

(´・_ゝ・`)「なに?」

(‘_L’)「三十路の野郎が入って良い空間かここは」

(´・_ゝ・`)「特に君は違和感凄いね」

246 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 22:28:31 ID:f5inV5CgO

(‘_L’)「身なり整えようかな……」

(´・_ゝ・`)「この店で?」

(‘_L’)「ベルバラみたいになるわ」

(´・_ゝ・`)「想像したら引いたわ」

(‘_L’)「本当ひどいよなお前」

(´・_ゝ・`)「慣れたわ」

(‘_L’)「デミタス、これとかどうだ」

(´・_ゝ・`)「ああ、ミセリ君に似合いそうだね」

(‘_L’)「いやお前に」

(´・_ゝ・`)「僕にリボンつけて歩けと」

(‘_L’)「お前が周囲からうわあって顔されると思うと楽しそうだ」

(´・_ゝ・`)「店から出たら覚えといて」

(‘_L’)「ペロッ、これはベギラマフラグ……!」

247 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 22:31:58 ID:f5inV5CgO

 先生が気を使って、わたしに色々言ってくれた。
 気を使って、高そうなお店にも入ってくれた。

 それなのにわたしはまだ仏頂面で、お店の鏡に映るのはひどい顔。

 楽しそうにしなきゃ、先生にも悪いし、おっちゃんにも悪い。


 二人に見えない位置で、鏡を見ながら頬っぺたを揉む。

 大丈夫、大丈夫。
 わたしはちゃんと笑える。


ミセ*゚ー゚)リ


 よし。


ミセ*゚ー゚)リ(……あんがと、せんせ、おっちゃん)

ミセ*゚ー゚)リ(やっぱわたしは、ミセリは笑ってなきゃだよね)

248 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 22:35:10 ID:f5inV5CgO

ミセ*゚ー゚)リ(……あ、これ可愛い)

ミセ*゚ー゚)リ(あ、こっちも……あれも可愛いな)

ミセ*゚ー゚)リ(このワンピース可愛い……いっつもズボンだからなぁ)

ミセ*゚ー゚)リ

ミセ*゚ー゚)リ(楽しい)

(´・_ゝ・`)「だからフィレンクト、僕にひらひらを合わせないで」

(‘_L’)「意外と似合うんじゃないかこれ」

(´・_ゝ・`)「いや嬉しくない、三十路で男でさすがに嬉しくない」

(‘_L’)「着てみろよ」

(´・_ゝ・`)「女児用の服が着れるか、二重の意味で着れるか」

(‘_L’)「いけるいける、ほら試着室借りろ」

(´・_ゝ・`)「ベギラマで済むと思わないでねフィレンクト」

(‘_L’)「ペロッ、これはベギラゴンフラグ……!?」

ミセ*゚ー゚)リ

ミセ*゚ー゚)リ(楽しい!)

249 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 22:38:04 ID:f5inV5CgO

ミセ*゚ー゚)リ「せんせー」

(´・_ゝ・`)「ん?」

ミセ*゚ー゚)リ「これ着てみたい」

(´・_ゝ・`)「ああ、可愛いね、着てごらん」

ミセ*゚ー゚)リ「うん!」

(´・_ゝ・`)「……よかった、機嫌なおったみたい」

(‘_L’)「デミタス」

(´・_ゝ・`)「ん?」

(‘_L’)「さっきの服、俺の月給くらいした」

(´・_ゝ・`)「…………結構、高給取りだったよね?」

(‘_L’)「十代の給料ではなかったな、一般中流家庭くらい」

(´・_ゝ・`)

(‘_L’)

(´・_ゝ・`)「仕事してくる」

(‘_L’)「落ち着け」

251 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 22:41:08 ID:f5inV5CgO

(´・_ゝ・`)「教え子の期待を裏切るわけにはいかない、僕にはその義務がある」

(‘_L’)「いやさすがに今は金が危ういのは理解してると思うぞ」

(´・_ゝ・`)「それでも、やらなきゃいけない事が……僕には、あるんだ……ッ!」

(‘_L’)「いやかっこよく言うな、今のお前はそんなに安定した給料ではない」

(´・_ゝ・`)「大丈夫だよちょっとアレな仕事をすれば一回で」

(‘_L’)「落ち着け落ち着け、アレな仕事って人の命が関わるタイプだから落ち着け」

(´・_ゝ・`)「いやもうちょっとアレな仕事」

(‘_L’)

(´・_ゝ・`)

(‘_L’)「やめとけ」

(´・_ゝ・`)「うん」

252 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 22:43:35 ID:f5inV5CgO

(‘_L’)「と言うかそんなアレな依頼とかあるのかお前は」

(´・_ゝ・`)「若い頃から結構あったよ、受けた事はないけど」

(‘_L’)「攻めたのか」

(´・_ゝ・`)「会話のキャッチボールちゃんとしない?」

(‘_L’)「ごめん」

(´・_ゝ・`)「君の脳内ちょっとおかしいんじゃない……? ホモなの……?」

(‘_L’)「ごめんて」

(´・_ゝ・`)「引くわ……」

(‘_L’)「ごめんて……」

イル*゚ー゚)リ「着替えた!」

(´・_ゝ・`)「お、ミセリ君…………ミセリ、君……?」

(‘_L’)「イルリ……?」
  _,
イル#゚ー゚)リ「相変わらずムカつくわーそれ……」



253 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 22:44:11 ID:f5inV5CgO

(´・_ゝ・`)「うん、よく似合うよイル……ミセリ君」

(‘_L’)「馬子にも衣装だな」
  _,
イル#゚ー゚)リ「わーいムカつくー」

(´・_ゝ・`)「ははは、冗談冗談、可愛いよ」

(‘_L’)「似合うぞイルリ」

イル*゚ー゚)リ「ありがとせんせ、おっちゃん千切れろ」

(‘_L’)「どこを!?」

イル*゚ー゚)リ「手首」

(‘_L’)「怖い!?」

(´・_ゝ・`)「シックなのも似合うね、もっと可愛らしいのを選ぶと思ったけど」

イル*゚ー゚)リ「あんまりひらひらしてるの似合わないもん、普段ズボンだし」

(´・_ゝ・`)「そうかなぁ……」

イル*゚ー゚)リ「意味もなくひらひらで媚びてどうすんだって話だし」

(´・_ゝ・`)「何そのシビアな発想」

イル*゚ー゚)リ「そう言う立ち位置なら分かるけど、わたし別にそうじゃないし、普段はズボンで良い」

(´・_ゝ・`)「うわぁ……うちの教え子が思ったよりドライだった……」

254 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 22:47:35 ID:f5inV5CgO

(´・_ゝ・`)「でも髪を下ろしたミセリ君は何か新鮮だね」

イル*゚ー゚)リ「前髪はいっつも下ろしてるけどね、カチューシャで髪まとめてるけど」

(´・_ゝ・`)「うん、下ろしたのも可愛いよ」

イル*゚ー゚)リ「えへへ、あんがと、でも邪魔だから普段は下ろさない」

(´・_ゝ・`)「短いからそこまで邪魔ではないと思うけど……」

イル*゚ー゚)リ「描き分けの邪魔」

(´・_ゝ・`)「リアルすぎるよ」

イル*゚ー゚)リ「へへー、お嬢様だよお嬢様、可愛いっしょ」

(‘_L’)「服がな」

イル*゚ー゚)リ「知ってる」

(´・_ゝ・`)「ミセリ君も可愛いよ、会計する?」

イル*゚ー゚)リ「いらない」

(´・_ゝ・`)「即答だと」

255 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 22:50:21 ID:f5inV5CgO

イル*゚ー゚)リ「これ着て旅とかアホの所業だよ?」

(´・_ゝ・`)「いや、まあ、旅には向かないだろうけど……」

イル*゚ー゚)リ「荷物増えるの嫌だし」

(´・_ゝ・`)「荷物持ちならそこに居るよ?」

(‘_L’)「誰の事だ」

(´・_ゝ・`)「君だよ」

(‘_L’)「なん、だと……」

(´・_ゝ・`)「要らないの? 何とか買えるけど」

イル*゚ー゚)リ「月給くらいって聞こえてたから余計いらない」

(´・_ゝ・`)「聞かれてた」

イル*゚ー゚)リ「それにたまに着るから良いんだよ、普段は別にいらない」

(´・_ゝ・`)「うん、まあ……そうかも知れないけど……」

258 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 22:53:07 ID:f5inV5CgO



ミセ*゚ー゚)リ「はー楽しかった」

(´・_ゝ・`)「お疲れさま、本当に服いらないの?」

ミセ*゚ー゚)リ「いらなーい、髪飾り買ってもらったもん」

(´・_ゝ・`)「そうだけど……」

(‘_L’)「良かったな」

(´・_ゝ・`)「何が?」

(‘_L’)「リボン似合うぞ」

(´・_ゝ・`)「うん、まさかミセリ君がねだったリボンを僕がつけるとは思わなかった」

ミセ*゚ー゚)リ「似合うよせんせ」

(´・_ゝ・`)「ははは、ありがとう」

ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃんは似合わないね」

(‘_L’)「当然っちゃ当然だな」

259 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 22:56:25 ID:f5inV5CgO

(´・_ゝ・`)「よし、時間も良いくらいだし宿に戻ろうか」

ミセ*゚ー゚)リ「宿って言うかすげーホテルだよね」

(´・_ゝ・`)「ここ他に宿無いんだよね……財布に厳しい」

ミセ*゚ー゚)リ「別に野宿でも良いのに」

(´・_ゝ・`)「次からしばらく野宿だからね」

ミセ*゚ー゚)リ「そんなにお金無いの?」

(´・_ゝ・`)「ううん、次に行くとこは遠いから」

ミセ*゚ー゚)リ「あー……途中に町とか無いんだ」

(´・_ゝ・`)「うん、しばらくはサバイバルだから覚悟しといてね」

(‘_L’)「任せろ」

(´・_ゝ・`)「君には言ってない」

(‘_L’)「ひどい」

(´・_ゝ・`)「野生のおっさんに言うと思う?」

(‘_L’)「そんなに草むらから飛び出しそうか俺は」

261 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 22:59:30 ID:f5inV5CgO

ミセ*゚ー゚)リ「次はどんなとこ行くの?」

(´・_ゝ・`)「海の近く」

ミセ*゚ー゚)リ「マジで!」

(´・_ゝ・`)「マジで」

ミセ*゚ー゚)リ「やったー海見たことない! 楽しみ!」

(´・_ゝ・`)「海も色々危ない事もあるから、気を付けてね」

ミセ*゚ー゚)リ「クラゲとかね!」

(´・_ゝ・`)「まあそれもあるけど」

(‘_L’)「食う物には困らんな」

(´・_ゝ・`)「否定はしないけど」

ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃんフジツボとか食べてよ」

(‘_L’)「どんな無茶振りだ」

262 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 23:02:41 ID:f5inV5CgO

(´・_ゝ・`)「物によっちゃ美味しいらしいよ」

(‘_L’)「マジかよ食うわ」

ミセ*゚ー゚)リ「生で」

(‘_L’)「生で!?」

(´・_ゝ・`)「よしホテルついた、そろそろ晩御飯だから食堂に行こうか」

ミセ*゚ー゚)リ「はーい」

(‘_L’)「生か……食えるか……?」

(´・_ゝ・`)「どれだけフジツボに思いを馳せてるの君は」

(‘_L’)「生でいくには固そうだ」

(´・_ゝ・`)「食べる事には何の抵抗も無いのね」

(‘_L’)「虫が食えれば何でもいける」

(´・_ゝ・`)「蟹とか海老って海の虫みたいな存在だよね、形状が」

ミセ*゚ー゚)リ「せんせ、それ食べる気失せるよ」

(‘_L’)「食う気が沸いてきた」

ミセ*゚ー゚)リ「おかしい、おっちゃんは絶対おかしい」

263 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 23:05:32 ID:f5inV5CgO

(´・_ゝ・`)「はい食堂についた、大人しく食事を待とうね」

ミセ*゚ー゚)リ「ほーい」

(‘_L’)「虫って結構いけるぞ」

(´・_ゝ・`)「食堂だって言ってるのになんて話題を引きずるの君は」

(‘_L’)「いやマジでマジで」

(´・_ゝ・`)「良いからもう黙ってフィレンクト」

(‘_L’)「蟻とか普通に食うってマジで」

(´・_ゝ・`)「フィレンクト、ちょっと来て」

(‘_L’)「何だチョコでもくれるのか」

(´・_ゝ・`)「黙れ」

ミセ*゚ー゚)リ「いってらっしゃーい」



<マダンテ



ミセ*゚ー゚)リ(せんせが本気出してる)

265 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 23:08:25 ID:f5inV5CgO

ミセ*゚ー゚)リ(……そういやおっちゃんに会った時、せんせはわたしと孤児院で会ったって言ってたな)

ミセ*゚ー゚)リ(…………わたしの事、気遣ってくれてたのかな……思い出さないように)

ミセ*゚ー゚)リ

ミセ*゚ー゚)リ「せんせー、もうご飯来るよー」

(´・_ゝ・`)「はーい」

ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃんは?」

(´・_ゝ・`)「消し炭になってる」

ミセ*゚ー゚)リ「せんせ、もう寝てMP回復するからってマダンテは本気すぎるよ」

(´・_ゝ・`)「いやー久々に本気出した」

ミセ*゚ー゚)リ「そういや今日さ、歴史見たじゃん」

(´・_ゝ・`)「……そうだね」

ミセ*゚ー゚)リ「ドクオさんがガチだった」

(´・_ゝ・`)「ああ、うん、実はドクオさんガチで凄い人だよ」

266 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 23:11:06 ID:f5inV5CgO

ミセ*゚ー゚)リ「せんせよく居場所わかったね」

(´・_ゝ・`)「手紙のやり取りしてるからね、お互いに信頼してるし」

ミセ*゚ー゚)リ「でもドクオさん危なくないの? ガチで命とか狙われそうなくらいだけど」

(´・_ゝ・`)「よその国からちょくちょく暗殺されかけてるらしいよ」
  _,
ミセ;゚д゚)リ「ガチだ!!」

(´・_ゝ・`)「まああの人は生きるチートだから問題は無いと思う」
  _,
ミセ;゚д゚)リ「……国とか狙えるんじゃない?」

(´・_ゝ・`)「世界を狙える、割と本気で征服出来る」
  _,
ミセ;゚д゚)リ「…………無欲な人で良かった」

(´・_ゝ・`)「あれだけの力で『飯食って本読んで布団で寝れれば良い』だからね」
  _,
ミセ;゚д゚)リ「無欲すぎるわ!!」

(´・_ゝ・`)「本当に変わった人だよね……大魔導師って言うかもう支配者になれるのに」
  _,
ミセ;゚д゚)リ「不思議な人だなー……」

267 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 23:14:19 ID:f5inV5CgO

ミセ*゚ー゚)リ「……せんせは?」

(´・_ゝ・`)「僕?」

ミセ*゚ー゚)リ「大魔導師?」

(´・_ゝ・`)「いや、僕は普通くらい」

ミセ*゚ー゚)リ「普通……」

(´・_ゝ・`)「魔王を封じようと集められた魔導師達だけど結局吹き飛ばされるみたいなポジション」

ミセ*゚ー゚)リ「悲惨だよそれ」

(´・_ゝ・`)「上級魔導師てはあるけどね、まあ普通、MPだけは他の人より少し多い」

ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃんは?」

(´・_ゝ・`)「序盤で一時的に仲間になる強い傭兵みたいなポジション」

ミセ*゚ー゚)リ「すげー分かりやすいけど終盤でしれっと死んでそう」

(´・_ゝ・`)「あ、ご飯来たよ」

ミセ*゚ー゚)リ「わーい!」

269 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 23:17:12 ID:f5inV5CgO

 まず目の前に置かれたお皿にはケーキの様に重ねられたお野菜とお肉が、とても綺麗に飾られた物。
 量は少なく、ホテルの人が前菜ですと言った事で先生が首をかしげた。


(´・_ゝ・`)「……あの、これたぶんテーブル間違えてます」

ミセ*゚ー゚)リ「?」

(´・_ゝ・`)「ミセリ君、これフルコースの前菜」

ミセ*゚ー゚)リ「フルコース…………って、超高いやつじゃなかったっけ」

(´・_ゝ・`)「うん超高いやつ、だから間違えてると思う」

ミセ*゚ー゚)リ「ああ、慌てて取り替えに来た」

(´・_ゝ・`)「だよなぁ……普通の部屋取っただけでフルコースは無いわ……」

ミセ*゚ー゚)リ「わーいお肉とリゾットだ!」

(´・_ゝ・`)「わー平和」

ミセ*゚ー゚)リ「ところでせんせ、さっきお店の人が言ってたカプレーゼって何?」

(´・_ゝ・`)「さあ?」

ミセ*゚ー゚)リ「えぇー……」

270 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 23:20:31 ID:f5inV5CgO

 改めて運ばれてきたお皿には可愛らしく盛られたリゾット。
 クリームとキノコの匂いがふわりと漂い、わたしの胃を刺激する。

 さっきのお料理みたいに派手では無いし、具もキノコとみじん切りの玉ねぎだけと言うシンプルさ。
 けどバターのきいた、こくのあるクリームにはこっそりとコンソメの匂い。

 パセリと粉チーズがかけられた事で、彩りも多少は華やか。
 よく炊かれたお米には味が染み、一口食べれば鼻に抜ける濃い風味。

 濃くてまったりした味なのに、どこかさっぱりした感じもするのは炒める時にお酒を入れたからかな。
 噛めば噛むほどにしみだす様な味わいは、大変お上品でお値段だけはあるお味。


ミセ*´ヮ`)リ「んぁー……うまぁ」

(´・_ゝ・`)「うん、美味しいね」

ミセ*´ヮ`)リ「でもこないだもクリームのシチューだったよね……」

(´・_ゝ・`)「レパートリーが少ないんだよ、食べた事があるものしか書けないし」

ミセ*´ヮ`)リ「メタ禁止……うめぇ」

(´・_ゝ・`)「お酒……は止めとこう、追加料金が怖い」

271 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 23:23:33 ID:f5inV5CgO

 クリーム多めで少し水気が多いけど、これはこれで口の中が潤って良い塩梅。
 一緒に並べられたローストビーフを口に運べば、それはもう素晴らしいものでした。

 一口噛み締めればじゅわあと溢れ出す肉汁、無駄な味は一切なく、お肉の味がそれだけで美味しい。
 控えめな味のソースは玉ねぎの甘味をしっかりと感じ、お肉との相性は最高。

 柔らかいけれど柔らかすぎず、歯応えも残したローストビーフ。
 火の通り加減もまさに完璧、少しあっさりめなのでリゾットとの相性だってばっちりです。
 先生は思わずグラスで一杯を頼んでいました。

 お肉に添えられた葉っぱを食べれば、ピリッとした刺激と独特な匂いが鼻に抜ける。

 ホースラディッシュとクレソンだと先生に教えられ、大人の味だけど、わたしにも少し良さがわかった。
 口の中をさっぱりさせてくれる瑞々しいシャキシャキとした歯応え、つんとした辛さがたまらない。


 最後の一口まで無駄にせず、スプーンに残らない様にしっかりと口にしてから。


ミセ*´ヮ`)リ「ごちそーさまでしたー……」

(´・_ゝ・`)「はい、ごちそうさまでした」

272 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 23:26:10 ID:f5inV5CgO

ミセ*´ヮ`)リ「今回は大人の味でしたなー……」

(´・_ゝ・`)「だね、大丈夫だった?」

ミセ*´ヮ`)リ「へーきへーき……お酒の美味しさも理解できそうなレベル……」

(´・_ゝ・`)「それは大人になってからね」

ミセ*´ヮ`)リ「一口」

(´・_ゝ・`)「駄目です」

ミセ*´ヮ`)リ「ほんの一口」

(´・_ゝ・`)「だーめ」

ミセ*´ヮ`)リ「ちぇー……」

(´・_ゝ・`)「成人したら一緒に飲もうね」

ミセ*´ヮ`)リ「せんせー四十路になるよそれ……」

(´・_ゝ・`)「何か刺さった今の……」

273 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 23:29:08 ID:f5inV5CgO

(´・_ゝ・`)「じゃ、行こうか」

ミセ*゚ー゚)リ「あれ、今日はデザートないんだ」

(´・_ゝ・`)「別料金」

ミセ*゚ー゚)リ

(´・_ゝ・`)

ミセ*゚ー゚)リ「よし、お風呂入って寝よう」

(´・_ゝ・`)「うん、寝よう」

ミセ*゚ー゚)リ「毎度の事ながらおっちゃんは?」

(‘_L’)「ひとよーんであーくまのしょっかー」

ミセ*゚ー゚)リ「生命力はんぱねーなおっちゃん」

(‘_L’)「晩飯は?」

ミセ*゚ー゚)リ「いま食べ終わった」

(‘_L’)

ミセ*゚ー゚)リ

274 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 23:32:29 ID:f5inV5CgO

(‘_L’)「…………デミタス」

(´・_ゝ・`)「部屋戻ろうか」

(‘_L’)「デミタス……」

(´・_ゝ・`)「おにぎりあるよ」

(‘_L’)「マジかよやったぜ」

ミセ*゚ー゚)リ「なにそれずっこい」

(‘_L’)「良い飯食っただろうが、握り飯は俺の物だ」
  _,
ミセ*゚3゚)リ「えー……せんせーずるいー、わたしもー」

(‘_L’)「絶対やらん」
  _,
ミセ*゚3゚)リ「ぶーぶーぶー!」

(‘_L’)「へへーん」

(´・_ゝ・`)「何だこの二人……」

276 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 23:35:44 ID:f5inV5CgO

(´・_ゝ・`)「はー疲れた……ミセリ君、先に日記書いちゃいなさいね」

ミセ*゚ー゚)リ「ほーい」

(´・_ゝ・`)「はいフィレンクト、冷たくなっちゃったけど」

(‘_L’)「茶」

(´・_ゝ・`)「はいはい」

(‘_L’)「握り飯うめぇ超うめぇ死ぬ」

(´・_ゝ・`)「おにぎりに命かけないでよ、はいお茶」

ミセ*゚ー゚)リ「いーなー、せんせのおにぎり美味しいもんなー」

(´・_ゝ・`)「誰が握っても一緒じゃない?」

ミセ*゚ー゚)リ「いや違う」

(‘_L’)「全然違う」

(´・_ゝ・`)「何だこのおにぎりマエストロ……」

277 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 23:38:04 ID:f5inV5CgO

ミセ*゚ー゚)リ「よい、しょ……っと」


 季節:冬   場所:街

 勉強内容:歴史、ドクオさんはすごい。


ミセ*゚ー゚)リ「かーけたっと」

(‘_L’)「おいデミタス」

(´・_ゝ・`)「ティッシュなら机にあるでしょ」

(‘_L’)「じゃあアレは」

(´・_ゝ・`)「煙草なら鞄の横ポケット、外で吸ってよ」

(‘_L’)「それ取って」

(´・_ゝ・`)「上着くらい自分で取りなさい」

ミセ*゚ー゚)リ(熟年夫婦か)

279 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 23:41:13 ID:f5inV5CgO

ミセ*゚ー゚)リ「せんせ、書いた」

(´・_ゝ・`)「ん、じゃあお風呂入って寝ようか」

ミセ*゚ー゚)リ「ねむーい」

(´・_ゝ・`)「はいはい、寝たら救助するから」

ミセ*゚ー゚)リ「わーい、そういやシャンプーハットいらなくなってきたよ」

(´・_ゝ・`)「よしよし、よく克服したね」

ミセ*゚ー゚)リ「えへへーん」

(´・_ゝ・`)「まあその歳で必要な方が珍しいんだけどね」

ミセ*゚3゚)リ「顔濡らすの苦手なんだもーん」

(´・_ゝ・`)「フィレンクト、君もさっさとお風呂入って寝なよ」

(‘_L’)y-~「んー」

(´・_ゝ・`)「煙草持ったまま部屋に入らない」

(‘_L’)y-~「おかんか」

280 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 23:44:58 ID:f5inV5CgO

ミセ*゚ー゚)リ「ねーせんせ、あとどんくらいここに居るの?」

(´・_ゝ・`)「んー、数日は居ようと思ったけど……」

ミセ*゚ー゚)リ「けど?」

(´・_ゝ・`)「これじゃ最低限の準備するだけで懐が寒くなるからなあ、早めに行こうか」

ミセ*゚ー゚)リ「はーい」

(´・_ゝ・`)「いけるなら明日には出よう、ミセリ君もそのつもりでね」

ミセ*゚ー゚)リ「はいはーい」

(´・_ゝ・`)「じゃ、お風呂お風呂……うわ広っ」

ミセ*゚ー゚)リ「値段だけあるね……」

(´・_ゝ・`)「たぶん二度と来ないけど、良い思い出にはなったね」

ミセ*゚ー゚)リ「うん……せんせ、お風呂に薔薇浮かせられるよ」

(´・_ゝ・`)「何それ掃除大変そう」

282 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 23:47:30 ID:f5inV5CgO



ミセ*゚ー゚)リ「お風呂上がりほっかほかー」

(´・_ゝ・`)「薔薇勿体無いと思う」

ミセ*゚ー゚)リ「夢も希望もないなー」

(´・_ゝ・`)「フィレンクト、薔薇食べない様にね」

(‘_L’)「えっ」

(´・_ゝ・`)「食べるつもりだったの?」

(‘_L’)「意外と美味いぞあれ」

(´・_ゝ・`)「食うなよ」

(‘_L’)「いけそうなものは何でも食う」

ミセ*゚ー゚)リ「虫はいけそうなものじゃないと思う」

(‘_L’)「えっ」

ミセ*゚ー゚)リ「せんせ、おっちゃんは変だ」

(´・_ゝ・`)「知ってる」

283 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 23:50:22 ID:f5inV5CgO

(´・_ゝ・`)「よし、じゃあおやすみミセリ君」

ミセ*゚ー゚)リ「おやすみなさーい!」

(´・_ゝ・`)「僕は出来る準備しておこう……薬もそろそろ作らなきゃな……」

(´・_ゝ・`)「ああ、明日買う物もメモして……」

(´・_ゝ・`)「非常食が減ってる……後でフィレンクト蹴ろう」

(‘_L’)「美味かった」

(´・_ゝ・`)「風呂から出た時の発言じゃない」

(‘_L’)「何だその袋、見覚えがある」

(´・_ゝ・`)「非常食入れ」

(‘_L’)「いややっぱり見覚え無かった」

(´・_ゝ・`)「向こう脛出して」

(‘_L’)「どうぞ」

(´・_ゝ・`)" ゴッ

(‘_L’)「痛い! 本の角はひどい!」

(´・_ゝ・`)「ミセリ君寝てるから静かに」

(‘_L’)「ごめん」

284 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 23:53:07 ID:f5inV5CgO

(´・_ゝ・`)「あと君バスローブが予想以上に似合わない」

(‘_L’)「薔薇の香りが漂うナイスミドルだな」

(´・_ゝ・`)「ははは、ぬかせ」

(‘_L’)「酒無いのか酒」

(´・_ゝ・`)「別料金」

(‘_L’)「諦めよう」

(´・_ゝ・`)「じゃ、僕もう寝るから君もさっさと寝なよ」

(‘_L’)「んー」

(´・_ゝ・`)「非常食にはもう手を出さない様に」

(‘_L’)「わかったわかった」

(´・_ゝ・`)「じゃあおやすみ」

(‘_L’)「いでっ、何だこれビリっとした」

(´・_ゝ・`)(非常食袋に封印の魔法かけといて良かった)

285 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 23:56:35 ID:f5inV5CgO



ミセ*゚ー゚)リ「朝!」

(´・_ゝ・`)「ふぁ……おはよう、ミセリ君」

ミセ*゚ー゚)リ「おはよーせんせ、朝だよ!」

(´・_ゝ・`)「ん……ちょっと待って、腰が痛い……」

ミセ*゚ー゚)リ「床で寝るからだよー、ベッドに隙間いっぱいあんのに」

(´・_ゝ・`)「いや、ソファで寝てたんだけどな……」

ミセ*゚ー゚)リ「ソファにはおっちゃんが寝てるよ」

(´・_ゝ・`)「落としたなこいつ……」

ミセ*゚ー゚)リ「しかも麻痺かかってるよおっちゃん」

(´・_ゝ・`)「必死で非常食袋を開けようとしたみたいだね」

ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃん……」

287 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/26(日) 23:59:30 ID:f5inV5CgO

ミセ*゚ー゚)リ「まあ良いや、朝ごはんみたいだよ」

(´・_ゝ・`)「おー、じゃあ食べに行こうか……ふぁあ」

ミセ*゚ー゚)リ「せんせって寝起きあんますっきりしてないよね」

(´・_ゝ・`)「血圧低めで……うう、だるい……腰が痛い……肩も痛い……」

ミセ*゚ー゚)リ「中年だなー……」

(´・_ゝ・`)「おかしいなあ、落とされただけでこんなに腰痛いかな……」

ミセ*゚ー゚)リ「何か重い物でも……はっ」

ミセ;゚ー゚)リ(昨日……長い間だっこさせてたな……)

(´・_ゝ・`)「ミセリ君?」

ミセ;゚ー゚)リ「な、何でもない! ごはん食べよ! おっちゃんにはあとでギルティだね!」

(´・_ゝ・`)「そうだね……いたた、湿布あったかな……」

ミセ;゚ー゚)リ(ごめんおっちゃん!)

288 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/27(月) 00:02:25 ID:xvTQQ95IO

 食堂に足を運び、テーブルにつくとホテルの人がパンをどうするかを聞いてきた。
 わたしはよくわからないのでトーストを、先生はパンケーキを注文。

 少し待つと漂い始めるトーストの匂い、少し香ばしくて食欲をそそる朝のごはん。
 その匂いの元がわたしの前に並べられ、勢いよく手を合わせていただきます。

 薄切りトーストにかじりつけば、サクサクの食感と共にじゅわっと溢れるバターの味。
 分厚くてふわふわも良いけど、この薄さとサクサクもなかなかに素敵です。

 カリカリのベーコンはジューシーで、ふわふわなスクランブルエッグにはバターと生クリームの風味。

 瑞々しいサラダはシャキシャキさっぱり、少し油分の回った口の中をすっきりさせてくれる。
 オレンジジュースを一口飲めば、苦味は感じず酸味は控えめでさわやか。


 ふと先生のごはんを見れば、そこにはバターたっぷりのホットケーキ。
 一口ちょーだいとせびって、口にぽんとひときれを入れて貰う。

 バターとシロップの染みたホットケーキ、正しくはパンケーキはふわふわほかほか。
 あんまりにも美味しくて、先生とパンケーキとわたしのトーストを一枚交換。

 このシロップの甘さとバターのしょっぱさ、意外と合うカリカリベーコンにスクランブルエッグ。

 最高と言わざるを得ない朝ごはんです。

289 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/27(月) 00:05:13 ID:xvTQQ95IO

 トーストやパンケーキ、ベーコン、スクランブルエッグ、サラダ。
 全ての味と食感が、素晴らしいバランスを保つ。

 満たされたお腹に綺麗さっぱりからっぽのお皿、そこに残ったオレンジジュースを飲み干して。


ミセ*´ヮ`)リ「ごちそーさまでしたぁ……」


 少し量が少なく感じた朝ごはんも、食べてしまえばなかなかのボリューム。
 先生は隣でコーヒーを飲みながら、満足そうな顔。


ミセ*´ヮ`)リ「美味しかったねーせんせ……」

(´・_ゝ・`)「うん、定番とは言えやっぱり良いね」

ミセ*´ヮ`)リ「はふ……お腹いっぱい……」

(´・_ゝ・`)「食休みしたら、そろそろ行こうか」

ミセ*´ヮ`)リ「はーい……バターって最強だなぁ……」

290 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/27(月) 00:08:17 ID:xvTQQ95IO

(´・_ゝ・`)「ふぅ……お腹もくちくなったし、チェックアウトしようか」

ミセ*゚ー゚)リ「ほーい」

(´・_ゝ・`)「荷物持ってこなきゃね」

ミセ*゚ー゚)リ「うん!」

(´・_ゝ・`)「ちゃんと荷物のチェックしてね」

ミセ*゚ー゚)リ「だいじょーぶだいじょーぶ、髪飾りも付けた!」

(´・_ゝ・`)「うんうん、似合うよ」

ミセ*゚ー゚)リ「せんせリボンは?」

(´・_ゝ・`)「あ、やっぱ付けなきゃ駄目なんだ……」

ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃんとお揃いだよ」

(´・_ゝ・`)「その一点が特別嬉しくない」

ミセ*゚ー゚)リ「ははは、せんせはおっちゃんに厳しいなぁ」

291 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/27(月) 00:11:04 ID:xvTQQ95IO



(´・_ゝ・`)「よし……荷物も持ったね」

ミセ*゚ー゚)リ「うん!」

(´・_ゝ・`)「じゃあ宿賃払わなきゃね」

ミセ*゚ー゚)リ「お財布が怖いなー」

(´・_ゝ・`)「よっと……あ、支払いお願いします」

(´・_ゝ・`)「ああ、残ってる荷物は処分していただいて構いませんから」

(´・_ゝ・`)「それじゃ、どうも」

ミセ*゚ー゚)リ「支払い終わったー?」

(´・_ゝ・`)「うん、終わったよ」

ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃんは?」

(´・_ゝ・`)「残した荷物と一緒に処分して貰おうかと」

ミセ*゚ー゚)リ「はははひでぇ」

(´・_ゝ・`)「深夜にルームサービス頼んでたから倍ギルティ」

293 ◆tYDPzDQgtA 2012/02/27(月) 00:14:38 ID:xvTQQ95IO

ミセ*゚ー゚)リ「ねぇせんせ、レシート見せてよ」

(´・_ゝ・`)「え、見て楽しいもんじゃないと思うけど」

ミセ*゚ー゚)リ「勉強のひとつ! みしてみして」

(´・_ゝ・`)「はいはい、どうぞ」
  _,
ミセ;゚Д゚)リ

(´・_ゝ・`)「どうだった?」
  _,
ミセ;゚Д゚)リ「…………わたし、もうこの街には来ない」

(´・_ゝ・`)「財布的な意味で僕もあんまり来たくない」



 普通のご家庭の二週間分の食費くらいありました。



 おわり。

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