- 476 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 21:42:36 ID:ocZj9b9MO
行く道は様々、賑やかな街や静かな村。
時には冷たい風を、時には暖かな風を受けて歩いて行く。
周囲にはいつも移り変わり続ける景色。
聞こえるのは人の声や風の音、喧騒も静けさも耳へと流れ込む。
石畳を踏み、土を踏み、景色の中を渡り歩くのは、三人。
一人はどこか情けない顔をした、人の良い魔導師。
もう一人は、表情を浮かべず自由に振る舞う戦士。
その二人の間に居るのは、明るく元気な女の子。
【旅のようです】
【六話 おい、どこだよ】
彼らの間にはいつも、穏やかでいて賑やかな空間が存在する。
立ち絵
- 477 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 21:44:35 ID:ocZj9b9MO
わたしは今、道に居ます。
正しくは、街と街を繋ぐための街道。
舗装された道をてっこらてっこら、三人並んで歩いている。
道の左右に広がるのは木々やら原っぱやら、あとは広い畑なども見えます。
見通しの良い場所、畑があると言うことは、そろそろ次の街が近いと言うこと。
ミセ*゚ー゚)リ「せんせ、次はどんなとこ?」
(´・_ゝ・`)「んー、変わったところかな」
ミセ*゚ー゚)リ「変わったところ?」
(´・_ゝ・`)「うん、少しね」
(‘_L’)「食う物が変わってるとかか」
(´・_ゝ・`)「まあ変わってるけど、本当に君は食べる事ばっかりだね」
(‘_L’)「何が食える」
(´・_ゝ・`)「聞けよ」
- 478 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 21:46:26 ID:ocZj9b9MO
ミセ*゚ー゚)リ「つかおっちゃん、めっちゃ小麦色だね」
(‘_L’)「そうか?」
(´・_ゝ・`)「むしろしげるに近いよ、真っ黒だよ」
(‘_L’)「泳ぎ過ぎたか」
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃんガチでフジツボ食べるんだもん」
(‘_L’)「食えって言うから」
(´・_ゝ・`)「何も海に潜って直食いしなくても」
(‘_L’)「しょっぱかった」
(´・_ゝ・`)「当然だよ」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせは海楽しかった?」
(´・_ゝ・`)「うん、興味深かったよ」
ミセ*゚ー゚)リ「興味深いは楽しいなのか……」
- 479 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 21:48:18 ID:ocZj9b9MO
(´・_ゝ・`)「お、街が見えてきた」
ミセ*゚ー゚)リ「あ、本当だ……のどかだね!」
(´・_ゝ・`)「うん、でも」
先生が何かを言おうとした瞬間、突然響き渡る轟音。
地面を揺らし、鼓膜を揺さぶるその音にわたしとおっちゃんは身を固くして目を見開く。
何事かと先生を見上げると、普段通りな澄ました顔で街の方を見ているだけ。
ごおうごおうと、何かが吼える様な音がまた強く響き、先生の右腕にしがみつく。
おっちゃんが剣に手をやると、先生はそれを黙ったまま制した。
そして少しの時間を置いてから、音が止んだ。
ミセ;゚−゚)リ「せせせせんせ!? 今の何!?」
(‘_L’)「今のは……まさか、竜か?」
ミセ;゚−゚)リ「竜!? 実在すんの!?」
- 480 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 21:50:17 ID:ocZj9b9MO
(´・_ゝ・`)「うん竜、ここには普通に居るよ」
ミセ;゚−゚)リ「そんな涼しい顔で!?」
(´・_ゝ・`)「まあまあ落ち着いて、ここの竜は余所者には何もしないから」
ミセ;゚−゚)リ「そ、そなの……?」
(´・_ゝ・`)「ここの人たちは、竜を崇拝しているんだ」
(‘_L’)「……だから街の奴らは平然としてるのか」
(´・_ゝ・`)「ここでは竜の咆哮なんて日常茶飯事だろうからね」
ミセ;゚−゚)リ「でも……さすがにびっくりした……」
(´・_ゝ・`)「そうそう、ミセリ君」
ミセ;゚−゚)リ「ほい?」
(´・_ゝ・`)「ここでは、ミセリ君にとって色々不思議な事があるだろうけど、
街の人達からすれば、それは心から信じてる事……だから、決して否定しないようにね」
ミセ;゚−゚)リ「? ……よくわかんないけど、わかった!」
- 481 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 21:52:34 ID:ocZj9b9MO
(´・_ゝ・`)「よし、じゃあ入ろうか」
(‘_L’)「肉食えるな」
ミセ*゚ー゚)リ「お肉だね」
(´・_ゝ・`)「本当に食欲優先だなあ……」
先生のあとをついて、街の中へと入るわたしたち。
街と言うよりも村にも見える、のどかな田舎風景。
入り口で凄いのを聞いたけど、本当に街の人達は平和そのものの表情。
やっぱりこれが普通なんだなあと思いつつ、ごくごく平凡な宿屋へと入って行く。
部屋を取って、案内された部屋に荷物を置いて少し休憩。
窓から眺められる景色も、普通そのもの。
山が近くて緑が多いのは、個人的には嬉しい点です。
ミセ*゚ー゚)リ「……のどかだねー」
(´・_ゝ・`)「だね、平和なところだよ」
(‘_L’)「竜なんて姿も見えないしな」
- 482 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 21:54:21 ID:ocZj9b9MO
(´・_ゝ・`)「そうそう居ても困るからね」
ミセ*゚ー゚)リ「困るの?」
(´・_ゝ・`)「困る困る、伝説上の竜そのものだから大きいし」
ミセ*゚ー゚)リ「あー、そりゃ困るね」
(´・_ゝ・`)「それに竜は気高い生き物だからね、そう簡単に姿を見せちゃいけないんだよ」
ミセ*゚ー゚)リ「んーと、尊厳に云々?」
(´・_ゝ・`)「そうそう、それにここでは崇拝対象だし……プライドも高いだろうからね」
ミセ*゚ー゚)リ「ふーん……竜も大変だなぁ」
(´・_ゝ・`)「取り敢えず宿に居るのもアレだし、色々見て回ろうか」
ミセ*゚ー゚)リ「ほーい」
(‘_L’)「お、屋台がある」
ミセ*゚ー゚)リ「マジで!」
(´・_ゝ・`)「勉強しようよ……」
- 484 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 21:56:07 ID:ocZj9b9MO
三人揃って宿を後にし、街の中をうろうろ見て歩く。
色んなお店や色んな屋台、良い匂いもたくさん溢れています。
お店には竜の角や牙を加工した物も売られていて、ここが特別な場所である事がよくわかる。
土の匂いも草の匂いも、みんな今まで辿ってきた道や街と変わらない。
だけど、ひとつ違う匂い。
それは生臭い様な、血の匂いにも似た奇妙な匂い。
ミセ*゚ー゚)リ「……これが、竜の匂いなのかな」
(‘_L’)「鼻良いなお前」
ミセ*゚ー゚)リ「なんか、不思議な感じ……見た目は普通なのになーんか違う」
(´・_ゝ・`)「その土地に色んな風習があるように、全く同じものは無いからね」
ミセ*゚ー゚)リ「うん……でも、やっぱ不思議だなぁ」
- 485 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 21:59:38 ID:ocZj9b9MO
おっちゃんが屋台で食べ物を買って食べ歩いてるけど、わたしは食べる気が起きなかった。
不思議な匂いのせいなのか、何だか胸の辺りがぐるぐると気持ち悪い。
どうしたのかなあと胸をさすっていると、道の向こうから行列がやって来るのが見えた。
行列はお神輿みたいなものを担いでいて、その上には白い服を来た女の人。
その行列が近くまで来ると、さっきまで賑やかだった街の人達が揃って静かになり、頭を下げる。
わたしとおっちゃんが不思議そうに首を傾げていると、先生は少し複雑そうな顔で頭を下げた。
おっちゃんと顔を見合わせてから、先生に合わせてわたしたちも頭を下げておく。
しゃんしゃんと鈴の音、静かな足音。
かすかに聞こえる、すすり泣く声。
ちらりと先生を見ると、先生は無言でゆっくり首を横に振った。
ミセ*゚ー゚)リ「……せんせ、あれは……?」
(´・_ゝ・`)「うん……」
ミセ*゚ー゚)リ「? ……お嫁さん?」
- 486 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 22:01:43 ID:ocZj9b9MO
行列が通りすぎ、街の人達がまた賑やかさを取り戻す。
顔を上げたわたしは先生に問い掛けるも、先生は少し言葉を濁した。
(´・_ゝ・`)「お嫁さん……か、間違ってはないかな……」
ミセ*゚ー゚)リ「……じゃあ、何で泣いてる人がいたんだろ」
(´・_ゝ・`)「…………あれは、竜への生け贄だよ」
ミセ;゚−゚)リ「!?」
(´・_ゝ・`)「信仰の対象に、生け贄や貢ぎ物をするのは珍しい事じゃない」
ミセ;゚−゚)リ「で、でも……生け贄って、さっきの女の人……」
(‘_L’)「……止めとけミセリ」
ミセ;゚−゚)リ「だ、だってさ……さっきの人、死んじゃうんじゃないの……!?」
(´・_ゝ・`)「言ったでしょ、理解できない事があってもここではそれは普通の事……否定をしてはいけないよ」
ミセ;゚−゚)リ「そう、だけど……でも……」
- 487 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 22:02:38 ID:ocZj9b9MO
先生は、困った様に曖昧に笑った。
それを見たわたしは、それ以上もう何も言えなくて、眉を寄せながらうつむく。
_,
ミセ ゚−゚)リ「……何で、そんな事するんだろ」
(‘_L’)「竜が求めてるんだろうな」
_,
ミセ ゚−゚)リ「何で……?」
(‘_L’)「ここが平和なのは竜が居るからだ、戦争の被害を受けた様子もない」
_,
ミセ ゚−゚)リ「竜が、ここ守ってんの?」
(‘_L’)「たぶんな、だからその見返りに貢ぎ物を求めるんだろう」
_,
ミセ ゚−゚)リ「無償では守っちゃくれないのか……なんかなぁ……」
(‘_L’)「働けば金が貰えるのと一緒だ、竜には人間が給金代わりなんだろ」
_,
ミセ ゚−゚)リ「なーんだかなぁ……」
(‘_L’)「デミタスも言ってただろ、否定はしてやるな」
- 488 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 22:04:25 ID:ocZj9b9MO
むすくれながら、三人で街観光を再開。
けどわたしは、もう素直にそれを楽しめなくなっていた。
よく見てよく聞いてみれば、街の人達は口々に竜様だ何だと言っている。
ありがたいとか素晴らしいとか、竜を完全に盲信している人達。
わたしにはそれが理解出来なくて、何だか恐怖すら感じてしまう。
胸に渦巻くぐろぐろした何かは、どんどん強くなるばかり。
どうして、生きているのにわざわざ死にに行くような事をするんだろう。
どうして、あの女の人は表情も崩さずに運ばれていったんだろう。
どうして、家族や友達が死にに行くのに、だれも止めはしないんだろう。
どうして、どうして、どうして。
わからない事ばかりが溢れる街。
わたしは、ここが、苦手かもしれない。
- 489 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 22:06:50 ID:ocZj9b9MO
(´・_ゝ・`)「あ、ミセリ君」
ミセ*゚ー゚)リ「ん?」
(´・_ゝ・`)「ここの民族衣装の貸し出しがあるよ、着てみる?」
ミセ*゚ー゚)リ「そんな気分じゃないかも……」
(´・_ゝ・`)「結構似合いそうだよ」
ミセ*゚ー゚)リ「どれどれ……あ、かわいい」
(´・_ゝ・`)「着てみる? 嫌な気分も晴れるかも」
ミセ*゚ー゚)リ「……うん、着る!」
(´・_ゝ・`)「ん、すみません衣装の貸し出しをお願いします」
(‘_L’)「この串焼きうめぇ」
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃんずっと食べてるね」
(‘_L’)「食うか、竜の肉らしいぞ」
ミセ*゚ー゚)リ「信仰の対象食べれるわけないじゃん」
(‘_L’)「まあそれもそうか」
- 490 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 22:08:37 ID:ocZj9b9MO
●
⌒リノ*゚ー゚)リ「せんせ、どお?」
(´・_ゝ・`)「お、似合うよミセ……リ、君……?」
(‘_L’)「似合うぞリノリ」
⌒リノ*゚ー゚)リ「どつくぞ」
(´・_ゝ・`)「冗談冗談、可愛いよ」
⌒リノ*゚ー゚)リ「へへー、なんかひらひらして落ち着かない」
(‘_L’)「ポニテにするとリノリになるのかリノリ」
⌒リノ*゚ー゚)リ「パダーマ」
(‘_L’)「あっつ!!」
(´・_ゝ・`)「あ、ちゃんと撃てる様になったんだね」
⌒リノ*゚ー゚)リ「一回撃つとMP尽きるけどね!」
(‘_L’)「MP使いきってまで撃つなよ!」
- 491 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 22:10:15 ID:ocZj9b9MO
(´・_ゝ・`)「着たまま外歩けるらしいし、少し歩こうか」
⌒リノ*゚ー゚)リ「ちょっと恥ずかしいねこれ……」
(´・_ゝ・`)「大丈夫大丈夫、みんな慣れてるよ」
⌒リノ*゚ー゚)リ「んー…………あ、あれ」
(´・_ゝ・`)「ん?」
⌒リノ*゚ー゚)リ「さっきの、生け贄の人」
(´・_ゝ・`)「ああ、ここで一旦休んでから行くんだね」
⌒リノ*゚ー゚)リ「ふーん……」
(‘_L’)「デミタス」
(´・_ゝ・`)「何?」
(‘_L’)「金が尽きた」
(´・_ゝ・`)「買い食いしすぎ」
- 492 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 22:12:12 ID:ocZj9b9MO
(´・_ゝ・`)「しょうがないなあ……じゃあ役所に行こうか」
(‘_L’)「戦士の勲章出しとく」
(´・_ゝ・`)「ズボンに手を突っ込まない」
⌒リノ*゚ー゚)リ「せんせ、わたし待ってるー」
(´・_ゝ・`)「うん、あんまりうろうろしない様にね」
⌒リノ*゚ー゚)リ「ほーい」
(´・_ゝ・`)「ほら行くよフィレンクト……ズボンを下ろさないで!!」
(‘_L’)「いや勲章がなかなか……」
⌒リノ*゚ー゚)リ「おっちゃん、もうパンツに勲章付けないでよ」
(‘_L’)「一番無くさないんだよここが」
(´・_ゝ・`)" ゴッ
(‘_L’)「痛い!」
- 493 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 22:14:17 ID:ocZj9b9MO
先生とおっちゃんが役所へ向かい、わたしは一人ぼんやりと壁にもたれかかる。
民族衣装はちょっと可愛いけど、やっぱりここは苦手かも。
きっと役所に行ったら、展示物に竜の素晴らしさについてとかたくさん書いてそうだし。
あんまりうろうろ歩き回る気分にもなれなくて、ため息混じりに周囲を見回す。
目に入るのは、ずっと同じ状態で座る生け贄の人。
綺麗な白い装束を纏い、静かに座り続けている。
少し眺めてから、わたしはそっと女の人に近付く。
誰も咎めないって事は、近付いても大丈夫って事なのかな。
そっと顔を覗き込み、頭にかけてある布の隙間から目が合った。
⌒リノ*゚ー゚)リ「……あの、お話ししても、大丈夫ですか?」
川 ゚ 々゚)「ぁ……えぇ、大丈夫、ですよ」
- 494 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 22:16:14 ID:ocZj9b9MO
⌒リノ*゚ー゚)リ「あの、えっと……その、どこに、行くんですか?」
川 ゚ 々゚)「あちらのお山……竜様がね、いらっしゃいますの……」
⌒リノ*゚ー゚)リ「竜、様……」
川 ゚ 々゚)「えぇ、えぇ……竜様は、とっても尊いお方……わたしたちを守って下さるの」
⌒リノ*゚ー゚)リ「そう、なんだ……すごい方なんですね」
川 ゚ 々゚)「えぇ、とおっても……わたし、神子に選ばれて、幸せですわぁ」
⌒リノ*゚ー゚)リ「……神子、かぁ」
川 ゚ 々゚)「竜様になら、この身も全て許せますもの……身も心も魂も、血肉も何もかも……」
⌒リノ*゚ー゚)リ「……あっちの、お山にいらっしゃるんですね」
川 ゚ 々゚)「えぇ……早く、お会いしたいわぁ……」
⌒リノ*゚ー゚)リ「…………ありがとうございました、お話ししてくれて」
川 ゚ 々゚)「いいえ……そんな、こちらこそ」
⌒リノ*゚ー゚)リ「あんまりお邪魔できないし、失礼しますね」
川 ゚ 々゚)「はい、ごゆっくり、していってくださいね……」
- 495 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 22:18:03 ID:ocZj9b9MO
なんか、おかしい。
盲信している、狂信している。
自分が食べられるかも知れないのに、幸せそうにふわふわと笑う神子。
心から幸せそうに、どこも見ていない濁った目で笑う、綺麗な人。
背筋が冷える感覚に、わたしは身を震わせて歩き出した。
⌒リノ ゚−゚)リ「……なんなんだろ、ここ……」
⌒リノ ゚−゚)リ
ミセ ゚−゚)リ" バサリ
ミセ ゚−゚)リ「竜様、か……」
わたしは人の目につかないように、そっと脇道へと入り込む。
そしてそのまま、近くに見える山へと向かって歩き出した。
- 496 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 22:20:04 ID:ocZj9b9MO
街の中から林へ入り、そのまま森へと突き進む。
大して時間もかからず、足は斜面を感じた。
どこに竜が居るかはわからない、けど竜は大きい。
大きければ、尻尾くらいは見つかるかもしれない。
別に、竜に会って何かしたいわけじゃない。
ただ、確認してみたかった。
危ない事は何となくわかってる。
でもわたしは、納得できない。
ミセ ゚−゚)リ「本当に……竜様って、呼ばれるような存在なのかな」
竜が何を考え、何を望んで、何をしているのか。
この目で確かめなければ、わたしは納得なんてできない。
暴いてはいけないものを暴こうとしている様な背徳感。
怒られるのがわかっている事をしようとしている、この好奇心。
わたしの足はもう止まらない。
- 497 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 22:22:06 ID:ocZj9b9MO
ざわざわ、風に蠢く木々の葉擦れ。
草木の緑の匂いが薄れ、土や岩肌の匂いに変わる。
それと同時に、不思議な匂いも濃くなる。
側にあるものは、岩や草木、大きな岩肌に手をついて息を吐く。
周囲には誰もいない、わたしだけが歩いている。
なのになぜか、奇妙な気配を感じた。
まるで目の前にいる様な、すぐ後ろにいる様な。
心臓の動きが早くなるのがわかる。
どくどく、ぞわぞわ、わたしの体が何かを拒絶している。
これ以上進んではいけないと、何かが警告している気がした。
『贄、か?』
けどその警告は、少しばかり遅かったみたいだ。
- 499 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 22:24:19 ID:ocZj9b9MO
突然響いたその声は、人のものではなかった。
大きくはなく、でもお腹の底に響くような低さはわたしの身を固くさせる。
言葉が聞こえた、けど人とは違う声、全身を包む緊張感に目を見開き、周囲を見回す。
でも声の主らしき姿は見えず、余計にわたしは混乱してしまう。
すると、そばにあった土色の岩肌が蠢いた。
ミセ;゚−゚)リ「ッ!?」
『贄、ではなさそうだな、小娘』
ミセ;゚−゚)リ「ぇ……あ、あ……の」
『目の前に居る、顔を上げろ』
どこから響くのかもわからない声に従い、わたしは恐る恐る顔を上げる。
目の前にあった岩の突起が、目を開いた。
- 501 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 22:27:07 ID:ocZj9b9MO
ミセ;゚−゚)リ「ぅえッ!?」
『なんだ、子供か……迷い込んだのか』
大きな目玉がぎょろりとこちらを見て、岩そのものがずず、と動く。
土や葉をぱらぱらと落としながら起き上がった岩。
その形は、本で見た事がある、竜の姿に似ていて。
ミセ;゚−゚)リ「ぁ、う……竜……?」
『擬態していては分かりにくいか?』
ミセ;゚−゚)リ「ぇ、ぎ、擬態?」
大きな岩、彫刻で竜を作ろうとしてる途中の様なそれ。
それは口らしき場所を動かしながら、砂やらをぱらぱら落として喋る。
- 502 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 22:28:32 ID:ocZj9b9MO
圧倒的な質量と、威圧感。
見た目はそうとは言いにくいが、確かに竜である事は感じられる。
大きな口、尖った角、少し長い首に畳んだ翼。
それらはすべて、おとぎ話に出てくる竜そのものではあった。
粗削りな形状の竜は、わたしを前にして静かに数回頷く。
ぎょろりとした大きな目玉で頭の先から爪先までをじいっと眺め、少しだけ笑った様に見えた。
少しの間そうして沈黙していると、突然大きな風が吹き荒れる。
ごおうと吹き抜ける風にわたしは驚き目を閉じて、顔をかばう様に腕をあげた。
風は、一陣だけですぐに過ぎ去った。
体に風を感じなくなり、そっと腕を下ろし、まぶたを持ち上げる。
ミ,,゚Д゚彡「よう」
ミセ;゚−゚)リ
ミ,,゚Д゚彡
ミセ;゚−゚)リ「…………誰?」
- 503 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 22:30:23 ID:ocZj9b9MO
(´・_ゝ・`)「だからフィレンクト、パンツに付けないでって言ったよね」
(‘_L’)「うわ……なんか変な刺さり方してて取れねぇ……」
(´・_ゝ・`)「何考えてるの本当に……もう良いよ脱いでき」
(‘_L’)「ここで!?」
(´・_ゝ・`)「途中で切らないで、トイレ行ってこい」
(‘_L’)「無理これ、パンツ脱ぐレベル」
(´・_ゝ・`)「もう千切れよ……」
(‘_L’)「俺のパンツへの愛情無さすぎだろお前……」
(´・_ゝ・`)「愛情持てってのがまずおかしいよ……」
(‘_L’)「お、こっからあの店見えるんだな」
(´・_ゝ・`)「ん? ……ああ本当だ」
(‘_L’)「おい、あのチビどこ行った」
(´・_ゝ・`)「観光してるんじゃない?」
- 504 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 22:32:20 ID:ocZj9b9MO
(‘_L’)「何だそれ危機感無さすぎるだろ」
(´・_ゝ・`)「大丈夫だよ、何かあったらわかるから」
(‘_L’)「えっ」
(´・_ゝ・`)「防犯ブザーの魔法かけてあるから」
(‘_L’)「何だその便利な魔法」
(´・_ゝ・`)「良いからほら、早く勲章出してよ」
(‘_L’)「だからパンツから取れねぇって」
(´・_ゝ・`)「ちょっと見せて」
(‘_L’)「ほれ」
(´・_ゝ・`)" ブチィッ!
(‘_L’)「お前ひどくね!?」
(´・_ゝ・`)「ひどくないひどくない、すみません魔導師と戦士なんですが」
- 505 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 22:34:53 ID:ocZj9b9MO
ミセ*゚ー゚)リ「……竜なの?」
ミ,,゚Д゚彡「竜だよ竜」
ミセ*゚ー゚)リ「ただのマッチョなイケメンに見えるよ?」
ミ,,゚Д゚彡「人間に擬態した方が話しやすいだろ」
ミセ*゚ー゚)リ「しかも無駄にフレンドリーじゃない?」
ミ,,゚Д゚彡「話しやすいだろ?」
ミセ*゚ー゚)リ「ああ、はい、確かに」
ミ,,゚Д゚彡「ところでお前、贄じゃないだろ? 何でこんなとこ居るんだよ」
ミセ*゚ー゚)リ「竜と話してみたかったから来てみた」
ミ,,゚Д゚彡「アグレッシブだなーお前」
ミセ*゚ー゚)リ「よく言われる」
- 506 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 22:36:31 ID:ocZj9b9MO
ミセ*゚ー゚)リ「……ねぇ竜さん」
ミ,,゚Д゚彡「おう」
ミセ*゚ー゚)リ「生け贄もらってるんだよね?」
ミ,,゚Д゚彡「おう」
ミセ*゚ー゚)リ「生け贄って本当にほしいの?」
ミ,,゚Д゚彡「んー……ここを住処にしてる竜はな、人間より先に居たんだ」
ミセ*゚ー゚)リ「長生きだもんね竜って」
ミ,,゚Д゚彡「おう、んでな、結構前に突然人間が来てここに住んでも良いかって聞いてきた」
ミセ*゚ー゚)リ「ふむ」
ミ,,゚Д゚彡「まあ人間とかどうでも良いし、こっちの生活の邪魔しなけりゃ良いって了承した」
ミセ*゚ー゚)リ「意外と心広いんだね」
ミ,,゚Д゚彡「竜に言う事かそれ……まあしばらくは平和だったけどよ、ある時ちょっと飢饉になった」
- 507 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 22:38:52 ID:ocZj9b9MO
ミ,,゚Д゚彡「俺ら竜は自然と同化してるし、飯とか食わなくても平気だけど人間は違うだろ」
ミセ*゚ー゚)リ「……食べなきゃ、死んじゃうね」
ミ,,゚Д゚彡「だよな、でもそいつらは自力で何とかしようとしてた、でもどうしようもなかった」
ミセ*゚ー゚)リ「……」
ミ,,゚Д゚彡「んだからよ、俺が尻尾の先っぽくれてやったんだよ、食えって」
ミセ*゚ー゚)リ「…………優しいね」
ミ,,゚Д゚彡「まー気紛れだけどさ、一応は近所に住んでるし……何か夢見悪いだろ」
ミセ*゚ー゚)リ(何かドクオさんみたいな事言ってるな……)
ミ,,゚Д゚彡「そしたらそいつら、すげー感謝してきてさ、このご恩は忘れませんつって」
ミセ*゚ー゚)リ「良い事だね」
ミ,,゚Д゚彡「だな、んでそいつらは竜の肉食ったから体も強くなって生き残れたわけよ」
ミセ*゚ー゚)リ「竜の肉ってそんなにすごいの?」
ミ,,゚Д゚彡「すげーよ、尻尾の先だからそんなに効果ねぇけど良い肉だと不老不死とかなれる」
ミセ*゚ー゚)リ「パネェな……」
ミ,,゚Д゚彡「だろ、ちっとは崇めろよ。そしたら元気になって持ち直したんだよ人間が」
- 508 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 22:40:59 ID:ocZj9b9MO
ミ,,゚Д゚彡「んでだ、えーと……野菜とかとれる様になったから、捧げ物つって持ってきた」
ミセ*゚ー゚)リ「へー」
ミ,,゚Д゚彡「時々野菜持ってくるからさ、何かお返ししなきゃだろ、近所付き合い的に」
ミセ*゚ー゚)リ「フレンドリー過ぎるよ竜さん」
ミ,,゚Д゚彡「円滑な近所付き合いって大事だぜ、んでまあそんな事がずっと続いてさ」
ミセ*゚ー゚)リ「竜って近所付き合い気にするのか……」
ミ,,゚Д゚彡「何か人間が何回か代替わりすると、野菜から肉に変わってな」
ミセ*゚ー゚)リ「ふむむ」
ミ,,゚Д゚彡「また何回か代替わりすると、何でか人間持ってくる様になった」
ミセ*゚ー゚)リ「……情報がねじ曲がっちゃったのかな」
ミ,,゚Д゚彡「たぶんな、でも拒絶も出来ないわけよ、だから大人しく受け取ってた」
ミセ*゚ー゚)リ「間違いを正せば良かったのに」
ミ,,゚Д゚彡「そこまですんのもめんどくせーし」
ミセ*゚ー゚)リ「竜さん……」
- 509 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 22:43:33 ID:ocZj9b9MO
ミ,,゚Д゚彡「その辺からな、生け贄を与えられる代わりに、こっちも色々渡す様になった」
ミセ*゚ー゚)リ「何か……本末転倒だね」
ミ,,゚Д゚彡「だよなぁ……んで今は、尻尾の肉や間引いた子供の肉や卵を渡している」
ミセ*゚ー゚)リ「……もう生け贄いらなくない?」
ミ,,゚Д゚彡「こっちから強いる事はないしな、ぶっちゃけいらん、と言うか貰っても困る」
ミセ*゚ー゚)リ「めんどくさがらずに言ってあげればいいのに……」
ミ,,゚Д゚彡「そう言うけどな、代価もなしに身を削れば竜の力を甘く見られる、それは駄目なのよ」
ミセ*゚ー゚)リ「でも……」
ミ,,゚Д゚彡「それに生け贄を与えられても別に食わねーし、生け贄はみんな生きてるし」
ミセ*゚ー゚)リ「えっ」
ミ,,゚Д゚彡「だって飯必要ないし、今日来る生け贄も俺の嫁みたいなもんだし」
ミセ*゚ー゚)リ「えっ」
- 510 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 22:44:51 ID:ocZj9b9MO
ミセ*゚ー゚)リ「…………竜さん、どんくらいの頻度で生け贄もらってるの?」
ミ,,゚Д゚彡「半年に一回くらい」
ミセ*゚ー゚)リ「お嫁さんどんだけ居るのそれ」
ミ,,゚Д゚彡「だから貰っても困るんだって、嫁が多すぎて維持費はんぱねーんだよ」
ミセ*゚ー゚)リ(本当にドクオさんみたいな事言ってる……)
ミ,,゚Д゚彡「ぶっちゃけ尻尾とかすぐ生えるし、先端切っても先の方は痛覚ねーし」
ミセ*゚ー゚)リ「えぇ……」
ミ,,゚Д゚彡「増えすぎたらアレだから間引かなきゃいけねーし、こっちは困る事なんも無いんだよ」
ミセ*゚ー゚)リ「竜さん……」
ミ,,゚Д゚彡「しょうがねーじゃん……竜ってもともとプライド高いしさ」
ミセ*゚ー゚)リ「全くそうは見えないけど」
ミ,,゚Д゚彡「他の竜とかな、竜全体の名誉のためにも人間に甘く見られちゃ駄目なんだよなあ」
- 511 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 22:46:48 ID:ocZj9b9MO
ミセ*゚ー゚)リ「大変だねぇ、竜さんも……」
ミ,,゚Д゚彡「大変なんだよ……意外と……」
ミセ*゚ー゚)リ「ところで何でここに住んでるの? 巣作りドラゴン?」
ミ,,゚Д゚彡「それエロゲ」
ミセ*゚ー゚)リ「エロゲ知ってるの竜さん」
ミ,,゚Д゚彡「お前こそ何で知ってんだ、十やそこらだろ」
ミセ*゚ー゚)リ「12歳」
ミ,,゚Д゚彡「何千歳下かな……」
ミセ*゚ー゚)リ「本当に長生きだな竜さん……」
ミ,,゚Д゚彡「まあ長く生きてもたいした事ねーよ、暇だし寝てばっかだし、たまに変な人間来るけど」
ミセ*゚ー゚)リ「わたしとか?」
- 512 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 22:48:21 ID:ocZj9b9MO
ミ,,゚Д゚彡「そうそうお前とか、あとひょろ長い魔導師とか来たわ」
ミセ*゚ー゚)リ「顔色悪くて髪の長い?」
ミ,,゚Д゚彡「あーそんなんそんなん、面白かったよあいつ、変な従者連れてんの」
ミセ*゚ー゚)リ(間違いなくドクオさんだよ……何してるのドクオさん……)
ミ,,゚Д゚彡「元気かねーあいつ、俺の肉食ったから間違いなく元気だろうけど」
ミセ*゚ー゚)リ(しかも食べたのかよドクオさん……)
川 ゚ -゚)「ご主人様、キモいです」
('A`)「えっ、何もしてないのにいきなり?」
川 ゚ -゚)「いや先手打っとこうかと思って」
('A`)「何その理不尽な発言……何もしてないのに……」
- 513 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 22:50:18 ID:ocZj9b9MO
ミ,,゚Д゚彡「まーそんなわけで、別に生け贄とかいらんから」
ミセ*゚ー゚)リ「わかった」
ミ,,゚Д゚彡「あーでも町の人間には言うなよ、生け贄を必要ないと思われるのも困るから」
ミセ*゚ー゚)リ「……わかった」
ミ,,゚Д゚彡「生け贄とか、よそ者には気持ち悪く感じるだろうな、あいつら俺を信仰してるし」
ミセ*゚ー゚)リ「……」
ミ,,゚Д゚彡「でもこれが、この土地で古くから存在する関係なんだよ、今さらどうしようもねぇ」
ミセ*゚ー゚)リ「ん……」
ミ,,゚Д゚彡「ま、お前はまだ子供だしな、もっと色々知ってみろよ、無理に理解はすんな」
ミセ*゚ー゚)リ「……うん」
ミ,,゚Д゚彡「ここだけでなく、他の土地土地に固有の文化がある、それは受け入れろ
それがどんなに野蛮な風習だろうと受け入れはしろ、理解はしなくて良い」
ミセ*゚ー゚)リ「うん……頑張る」
- 514 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 22:52:15 ID:ocZj9b9MO
ミ,,゚Д゚彡「無理はすんなよ、俺より短いけどお前にとっちゃまだまだ先は長くある」
ミセ*゚ー゚)リ「竜さんの先は、どれくらいあるの?」
ミ,,゚Д゚彡「生きるのに飽きても飽きてもまだ足りないくらい長いよ、嫌になるくらいな」
ミセ*゚ー゚)リ「……苦しいと思う?」
ミ,,゚Д゚彡「ちったあな、まあ嫌でも生きるけどよ」
ミセ*゚ー゚)リ「それは、生きたいから?」
ミ,,゚Д゚彡「それはわかんねぇけど死にたくもねぇし、生きたくても生きられない奴は多い」
ミセ*゚ー゚)リ「その分も、生きるの?」
ミ,,゚Д゚彡「…………」
ミセ*゚ー゚)リ「……竜さん?」
ミ,,゚Д゚彡「本当はな、ちょっと後悔してんだよ」
ミセ*゚ー゚)リ「後悔?」
- 515 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 22:54:29 ID:ocZj9b9MO
ミ,,゚Д゚彡「飢饉の時さ、俺がもっと早く尻尾でもやっときゃ、もっともっと生き延びた奴が居た」
ミセ*゚ー゚)リ「ぁ……」
ミ,,゚Д゚彡「でも俺がめんどくせーとか立場とか気にしてたから、遅くなったんだよ」
ミセ*゚ー゚)リ「…………」
ミ,,゚Д゚彡「それに、多くの命を背負うのは怖いよ、竜でも怖い、背負いきれないと思った」
ミセ*゚ー゚)リ「本当……似てるなぁ」
ミ,,゚Д゚彡「俺の弱虫でさ、人間は多く死んだんだよな……嫌だよな、何か……」
ミセ*゚ー゚)リ「そう、だね……」
ミ,,゚Д゚彡「悔しくて申し訳なくてさ、何も言わないけど助けを待ってるのは知ってたのに」
ミセ*゚ー゚)リ「うん……」
ミ,,゚Д゚彡「……だからさ、今生きてる奴らの命くらいは背負いたいわけよ
あの時、俺が見殺した奴らの代わりにはならないけどさ……助けたいんだよな」
- 516 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 22:56:04 ID:ocZj9b9MO
ミセ*゚ー゚)リ「竜さんは、優しいね……先生達みたい」
ミ,,゚Д゚彡「お前の先生も、苦労してんだな」
ミセ*゚ー゚)リ「うん……馬鹿みたいに苦労してる」
ミ,,゚Д゚彡「はは、お前が苦労させてんだろ向こう見ず」
ミセ*゚ー゚)リ「へへ、否定出来ないや」
ミ,,゚Д゚彡「まあだから、貰っても困る生け贄を受け取って、あいつらを守るよ……守るんだよ」
ミセ*゚ー゚)リ「……竜さん」
ミ,,゚Д゚彡「ん?」
ミセ*゚ー゚)リ「かっこいい」
ミ,,゚Д゚彡「あんがとよ」
ミセ*゚ー゚)リ「先生達の次にね?」
ミ,,゚Д゚彡「へいへい、お前も嫁達の次くらいに可愛いもんだよ」
ミセ*゚ー゚)リ「へへへ」
- 517 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 22:58:08 ID:ocZj9b9MO
ミ,,゚Д゚彡「あー、もう陽が落ちてきたな」
ミセ*゚ー゚)リ「本当だ、もう夕方だね」
ミ,,゚Д゚彡「どうせこっそり来たんだろ、先生が心配すっからもう帰れ」
ミセ*゚ー゚)リ「バレてら……うん、そろそろ帰る」
ミ,,゚Д゚彡「あっちの道から真っ直ぐ行けば町に戻れる、贄の奴とも会わないで済む」
ミセ*゚ー゚)リ「おー、ありがと竜さん」
ミ,,゚Д゚彡「おう、気を付けて帰れよ」
ミセ*゚ー゚)リ「そうだ、最後に1つ」
ミ,,゚Д゚彡「んあ?」
ミセ*゚ー゚)リ「お嫁さんたちどこにいんの?」
ミ,,゚Д゚彡「あっちにある洞窟、普段は俺もそこに住んでる」
ミセ*゚ー゚)リ「エロゲかよ……今日は何で出てたの?」
ミ,,゚Д゚彡「贄来るから待ってた、尻尾も渡すし」
- 518 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 23:00:19 ID:ocZj9b9MO
ミセ*゚ー゚)リ「竜さん最初は擬態してたんだよね」
ミ,,゚Д゚彡「岩になってたな」
ミセ*゚ー゚)リ「今は人間に擬態してんだよね」
ミ,,゚Д゚彡「うん」
ミセ*゚ー゚)リ「元の姿はどんなんなの?」
ミ,,゚Д゚彡「本とかに似た様なのよく載ってる」
ミセ*゚ー゚)リ「あー……ガチで伝説通りなんだ」
ミ,,゚Д゚彡「まあそうだな、基本はみんな似た様な形だし」
ミセ*゚ー゚)リ「今度また本当の姿見せてねー」
ミ,,゚Д゚彡「あんまうろちょろ入ってくんなよ、道危ないし」
ミセ*゚ー゚)リ「ほーい」
ミ,,゚Д゚彡「あと今日の飯は俺の尻尾だ思う」
ミセ*゚ー゚)リ「食べにくいわ」
- 519 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 23:02:14 ID:ocZj9b9MO
竜さんと別れを告げ、わたしは言われた道へと進んで行く。
来た時よりも歩きやすい、死角でありながらも多少整った道。
一度だけ竜さんを振り返り、ぶんぶん手を振る。
呆れた様に笑いながらも手を振り返してくれた竜さんの姿は、本で見たドラゴンの姿をしていた。
ミセ*゚ー゚)リ「……いい人だったな、竜さん」
ミセ*゚ー゚)リ「人じゃないか……いい竜?」
ミセ*゚ー゚)リ
ミセ*゚ー゚)リ「まあ良いや、それより話せて良かった」
今日の事は、わたしと竜さんだけの秘密にしておこう。
町の人に知られたら面倒な事になりそうだし、先生は危ない事をするなと怒りそう。
それに、何となく、話してはいけない気もする。
話した内容はもちろん、わたしの行動も、竜さんの苦しみも。
これは、わたしの竜さんだけの秘密。
小さな小さな密約。
- 520 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 23:04:12 ID:ocZj9b9MO
(´・_ゝ・`)「お、ミセリ君いた」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせー、お仕事どうだった?」
(´・_ゝ・`)「問題なかったよ、ミセリ君は? 危ない事とかなかった?」
ミセ*゚ー゚)リ「だいじょーぶだいじょーぶ、ところで何でおっちゃん落ち込んでるの?」
(‘_L’)「俺のパンツが……」
ミセ*゚ー゚)リ「すげぇどうでも良かった」
(‘_L’)「あんまりだよお前ら」
(´・_ゝ・`)「ほらそろそろ夕飯の時間だよ、宿に戻ろう」
ミセ*゚ー゚)リ「はーい!」
(‘_L’)「お前らはもう少し俺のパンツについて考えろ」
(´・_ゝ・`)「普通に嫌だよ」
ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃんそれは無いわ」
(‘_L’)「ひどい!」
- 521 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 23:06:20 ID:ocZj9b9MO
(´・_ゝ・`)「と言うか何度も言うけどパンツに勲章付けないで」
(‘_L’)「他につける場所がない」
(´・_ゝ・`)「あるよ!」
(‘_L’)「ねぇよ!」
(´・_ゝ・`)「マダンテ!!」
(‘_L’)「死ぬッ!?」
ミセ*゚ー゚)リ(通常運転だなー)
(´・_ゝ・`)「よし行こう、夕飯が楽しみだね」
ミセ*゚ー゚)リ「うん!」
(´・_ゝ・`)「ミセリ君、今日は何をしてたの?」
ミセ*゚ー゚)リ「色々見てた、風習とか文化とか」
(´・_ゝ・`)「うんうん、ちゃんと勉強してたんだね」
ミセ*゚ー゚)リ「もっちろん!」
- 522 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 23:08:36 ID:ocZj9b9MO
(´・_ゝ・`)「で、本当は何してたの?」
ミセ;゚ー゚)リ「読まれてる、だと……」
(´・_ゝ・`)「そりゃミセリ君の事くらいわかるよ、竜の匂いするし」
ミセ;゚ー゚)リ「う……あの……えっと」
(´・_ゝ・`)
ミセ;゚ー゚)リ
(´・_ゝ・`)「ミセリ君」
ミセ;゚ー゚)リ「ごめんなさい……」
(´・_ゝ・`)「全くもう、竜のところに行ったんでしょ」
ミセ;゚ー゚)リ「ご、ごめんなさい……」
(´・_ゝ・`)「ここの竜は友好的でも、他はそうとは限らないからね?」
ミセ;゚ー゚)リ「はぁい……」
(´・_ゝ・`)「まあ問題無かったなら良いよ、怪我も無いね?」
ミセ*゚ー゚)リ「うん、それは大丈夫!」
- 523 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 23:10:14 ID:ocZj9b9MO
(´・_ゝ・`)「ん、じゃあ行こう……もう危ない事はしないようにね?」
ミセ;゚ー゚)リ「反省してます……」
(´・_ゝ・`)「反省してるなら良いよ、その代わりちゃんと気を付けてね」
先生にはみんなお見通しだったけど、それ以上は聞かなかった。
何があったとか、何を話したとか。
聞いてはいけないと言う事を、先生は察しているのだろう。
わたしにも、竜さんにも、とても優しい人。
誰かを傷付ける事を嫌がって、何でもかんでも背負い込もうとする。
バカがつくくらい正直で、びっくりするほどお人好し。
人の事は気にするのに、自分の事にはとんと無頓着。
もっと、ちゃんと自分の事を大事にしてほしいけど、無理をさせるのはいつだってわたし。
いっつも苦労させてごめんね、なんて。
先生の無くなった左腕を見ながら、こっそりと思うのだった。
- 524 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 23:12:18 ID:ocZj9b9MO
宿に戻った私たちは、その足で食堂へと向かう。
いつのまにやら時間はすっかり晩御飯時、厨房から漂う良い匂いにお腹がきゅうと鳴った。
そう言えば、今日はろくに食べていない。
妙な気持ち悪さはもう感じない、ご飯だってお腹いっぱい食べられそうだ。
向かい合って席につき、先生を見上げて笑った。
先生もわたしを見てにっこり笑い、楽しみだねと小さく言う。
それから数分待って、運ばれてきたのはお肉料理。
分厚いお肉をそのままステーキにしており、お肉な上にはガーリックとパセリのバター。
じゅうじゅうと鉄板の上で跳ねる脂の音を聞くだけで、空腹はさらに増してゆく。
付け合わせはブロッコリーとニンジンのソテー、ほかほかのパンがふたっつお皿に乗っている。
ふと先生の分を見てみると、そちらはもう細かく切り分けられたものだった。
腕が片方だけなのを見て、お店の人が気を配ってくれたのか。
先生はほんの少しだけ悲しそうな顔をして、お店の人にありがとうを告げる。
- 525 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 23:14:20 ID:ocZj9b9MO
ミセ*゚ー゚)リ「美味しそうだね、せんせ!」
(´・_ゝ・`)「うん、今日のお肉は特別らしいよ」
ミセ*゚ー゚)リ「えっ……」
(´・_ゝ・`)「竜の肉が入ったから、それを焼いてくれたんだって」
_,
ミセ;゚〜゚)リ「……」
(´・_ゝ・`)「竜の肉は栄養豊富でビタミンが……どうしたの変な顔して」
_,
ミセ;゚〜゚)リ「あ、いや……何でも…………食べづれぇよ竜さん……」
(´・_ゝ・`)「? ……じゃあ、食べようか」
ミセ*゚ー゚)リ「はーい! いっただきまーす!」
ナイフでお肉を切ると、見た目に反して柔らかく難儀する事なく切り分けられる。
切ったお肉をフォークで刺して口に運ぶと、口の中いっぱいに肉汁、脂、噛むたび溢れる独特の風味。
竜の肉と言うから、固くて少し食べにくいのだろうと思っていたのに、そんな事はまるでない。
脂は乗ってるし肉自体も柔らかい、この少し癖のある味は竜の肉だからだろうか。
塩コショウを振ってあるだけで、他にはバターが乗ってるだけで何もかかっていない。
それでも臭みは無いし、お肉そのものの味を十分味を感じられる。
- 526 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 23:16:06 ID:ocZj9b9MO
パンをむしって口に放り込んでみると、外はパリパリのあつあつで中はふわふわ柔らかい。
付け合わせのお野菜は少し芯が残るものの、歯応えに差が出るのもなかなか。
ちらりと先生を見ると、片腕でも滞りなく食べられてるみたい。
少しほっとしてお肉を口に運ぶわたしを、先生が少し困った様に笑いながら見ていた。
たっぷりのお肉を食べても、意外とお腹が重くはならない。
お腹が膨れないわけではなく、胃にしつこさを感じないのだ。
なぜだろうとお腹を撫でて首を傾げていると、視界の端に何かが映った。
ミセ*゚ー゚)リ「…………せんせ」
(´・_ゝ・`)「ん?」
ミセ*゚ー゚)リ「何それ」
顔を上げたわたしの目に映ったのは、勝手に裂けるパンや、お茶を混ぜるスプーン。
透明な左手にパンを持ち、右手でむしって口に運ぶ、様に見える。
パンを置くと、今度は少し大きいお肉の塊をフォークで押さえたお肉を右手に持つナイフで切る。
もちろん、フォークを持つ手は無いので空中に浮いてる様にしか見えないわけで。
- 528 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 23:18:03 ID:ocZj9b9MO
(´・_ゝ・`)「何、って……ご飯?」
ミセ;゚ー゚)リ「いや違う、なんか違う! そっちじゃない!」
(´・_ゝ・`)「ああ、こっちかな……フォークだね」
ミセ;゚ー゚)リ「そうだね! 浮いてるね!」
(´・_ゝ・`)「魔導師だからね、物を動かすくらいは出来るよ」
ミセ*゚ー゚)リ「あ……そういやドクオさんもやってたな……」
(´・_ゝ・`)「コントロールは難しいけど、慣れたら腕がある様に使える」
ミセ*゚ー゚)リ「ほへー……すげーせんせ」
(´・_ゝ・`)「腕が無くなってから数日後にドクオさんから手紙が来てね」
ミセ*゚ー゚)リ「どうやって届くのそれ」
(´・_ゝ・`)「気が付いたら鞄に入ってる、返事はいつのまにか届いてる」
ミセ*゚ー゚)リ「何それこわい」
- 530 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 23:20:22 ID:ocZj9b9MO
(´・_ゝ・`)「手紙に、物を動かすコツと魔力の溜め方が書いてあった」
ミセ*゚ー゚)リ「……ドクオさんは、知ってるのかな」
(´・_ゝ・`)「知ってるだろうね……それで、少し練習して出来る様になっておいたんだ」
ミセ*゚ー゚)リ「そんなすぐにいけちゃうもんなの?」
(´・_ゝ・`)「昔やった事があったからね、その時はうまく出来なかったけど」
ミセ*゚ー゚)リ「そっか……良かった……」
(´・_ゝ・`)「気遣わせてごめんね」
ミセ*゚ー゚)リ「じゃあ、今までみたいにご飯食べれるの?」
(´・_ゝ・`)「うん、大丈夫だよ」
ミセ*゚ー゚)リ「……あーんは?」
(´・_ゝ・`)
ミセ*゚ー゚)リ
(´・_ゝ・`)「あ、あーん」
ミセ*゚ー゚)リ「はい、あーん」
- 532 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 23:22:18 ID:ocZj9b9MO
ミセ*゚ー゚)リ「これで着替えに戸惑わなくて済むね、せんせ」
(´・_ゝ・`)「片腕でズボン履くのが恐ろしく難しかった」
ミセ*゚ー゚)リ「シャツは頑張れるんだけどねー……」
(´・_ゝ・`)「あとマントが羽織りづらい羽織りづらい」
ミセ*゚ー゚)リ「お風呂とかトイレとかは?」
(´・_ゝ・`)「うんまあ、まあ、うん、ご飯食べてるしね」
ミセ*゚ー゚)リ「てへぺろっ☆」
(´・_ゝ・`)「しかし、竜の肉って思ったよりも美味しいね」
ミセ*゚ー゚)リ「うん、お腹が脂っぽくならないし柔らかいし」
(´・_ゝ・`)「保存食に干した肉も売ってるみたいだから、あとで買っておこうか。」
ミセ*゚ー゚)リ「うん!」
わいわいと話ながら、久々に賑やかな食事をした。
お腹はしっかりくちくなり、元気よく手を合わせてのごちそうさまでした。
食後にお茶を飲んで、それでもまだ先生と話す。
わたしの話を楽しそうに聞く、先生の顔が好き。
- 533 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 23:24:33 ID:ocZj9b9MO
ミセ*´ヮ`)リ「はー……おなかいっぱい」
(´・_ゝ・`)「うん、ボリュームがしっかりしてた」
ミセ*´ヮ`)リ「竜さんマジ美味しい……」
(‘_L’)「飯!!」
(´・_ゝ・`)「ポテンシャル高いなー」
(‘_L’)「今日は保存食なのかカロリーメイトなのかを教えろ」
(´・_ゝ・`)「おにぎり」
(‘_L’)「えっ」
(´・_ゝ・`)「おにぎりと肉の佃煮」
(‘_L’)「前にちゃんと握れなくて落ち込んでもう作らないって言ってたのに……!?」
(´・_ゝ・`)「握れる様になったから、前と同じってわけにはいかないけど」
(‘_L’)グッ
(´・_ゝ・`)「無言でガッツポーズって……」
- 534 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 23:26:49 ID:ocZj9b9MO
- _,
ミセ*゚−゚)リ「むー……またおっちゃんがおにぎり独占……」
(´・_ゝ・`)「お肉食べたでしょ、明日また食べると良いよ」
_,
ミセ*゚−゚)リ「……今日だけは譲ってやんよ」
(‘_L’)「ふん、負け惜しみを」
_,
ミセ#゚−゚)リ「バシルーラ」
(‘_L’)「止めてッ!?」
(´・_ゝ・`)「ミセリ君も少しずつ魔法使えるようになってきたね」
ミセ*゚ー゚)リ「練習してるもん、おっちゃんで!」
(´・_ゝ・`)「分からない事があったら言ってね」
ミセ*゚ー゚)リ「うん!」
(´・_ゝ・`)フィレクト回収してくるから、先に部屋へ戻っておいて」
ミセ*゚ー゚)リ「はーい!」
(´・_ゝ・`)「うわぁ、すごい山の方まで飛んだなぁ……」
- 535 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 23:28:37 ID:ocZj9b9MO
先に部屋に戻ったわたしは、ベッドに腰掛けて鞄から図鑑を取り出す。
幻獣や神獣についてが載ってるページまでめくり、そこに書かれた内容を見た。
トカゲが基本で、羽があって、角があって、炎を吐いたり空を飛んだり。
血はあらゆる病気を治すとか、肉を食べると不老不死になれるとか。
結婚を控えた雄の竜が巣作りをし雌の竜に気に入られなければ大変な事になるだとか。
夜の生活面でもしっかりと予行練習を重ね準備をしとくだとか金銀財宝を溜め込んでおくだとか。
ソ●トハウスキャラより2004年6月25日に発売されており価格は税込9240円だとか。
ミセ*゚ー゚)リ「これ後半おかしいだろ……」
ぱたんと図鑑を閉じて鞄に仕舞い、入れ違いで日記を取り出し開く。
季節:冬 場所:竜の町
勉強内容:みんなそれぞれ色々大変そう、生け贄も受け入れる、ドクオさん不老不死疑惑。
- 537 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 23:30:07 ID:ocZj9b9MO
ミセ*゚ー゚)リ「ふー……お風呂入って寝たいけど、せんせまだだなぁ……」
ミセ*゚ー゚)リ「バシルーラはやり過ぎたか……」
ミセ*゚ー゚)リ
ミセ*゚ー゚)リ「勉強しとこっかな」
ミセ*゚ー゚)リ「竜の勉強、竜の勉強……」
ミセ*゚ー゚)リ「雷鳴と共に現る者、氷嵐の支配者……偉大なる赤竜……どれもトラウマじゃねーか」
ミセ*゚ー゚)リ「海竜アビト、泥竜ノスト、砂竜ジュナー、草竜タープ、樹竜、岩竜、風竜ラーウィ……」
ミセ*゚ー゚)リ「樹と岩の名前は?」
ミセ*゚ー゚)リ「オーラ、カイザー、ワイバーン、ジャブジブ、ウォリア、ナイト、ベヘモス……」
ミセ*゚ー゚)リ「ベンダスナッチ、ヘンナー、パンク……ヘンナー可愛い」
ミセ*゚ー゚)リ「ドランゴ引換券」
ミセ*゚ー゚)リ「武闘家くらいマスターしといてくれよ……」
- 539 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 23:32:18 ID:ocZj9b9MO
(´・_ゝ・`)「ただいまー」
ミセ*゚ー゚)リ「おかえりなさーい」
(´・_ゝ・`)「フィレンクト、先にお風呂入るからご飯待ってね」
(‘_L’)「おー」
ミセ*゚ー゚)リ「お風呂お風呂ー」
(´・_ゝ・`)「日記は書いた?」
ミセ*゚ー゚)リ「うん!」
(´・_ゝ・`)「じゃあお風呂入って寝ようか」
ミセ*゚ー゚)リ「はーい!」
(‘_L’)「早くしろよー」
(´・_ゝ・`)「はいはい」
ミセ*゚ー゚)リ「せんせお母さんみたいだね」
(´・_ゝ・`)「そろそろ自覚してる」
- 540 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 23:34:09 ID:ocZj9b9MO
ミセ*゚ー゚)リ「せんせエプロンつけたら? なんかひらひらのやつ」
(´・_ゝ・`)「誰が得するのそれ」
ミセ*゚ー゚)リ「知らない」
(‘_L’)「お前は着ないのかエプロン」
ミセ*゚ー゚)リ「着ない」
(‘_L’)「さっぱり即答するなよ……」
(´・_ゝ・`)「フィレンクトは?」
(‘_L’)「着ない」
(´・_ゝ・`)「だと思ったよ」
ミセ*゚ー゚)リ「そういやせんせ、髪伸びたね」
(´・_ゝ・`)「んー、切るのが面倒でついね」
ミセ*゚ー゚)リ「ミセリも伸びたなー、そろそろ邪魔」
(´・_ゝ・`)「ミセリ君は量が多いからなあ」
(‘_L’)「もっさもっさしてるよなお前」
ミセ*゚ー゚)リ「るっせー」
- 542 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/18(日) 23:36:20 ID:ocZj9b9MO
ミセ*゚ー゚)リ「髪が伸びると頭洗うの大変なんだよなぁ……」
(´・_ゝ・`)「あ」
ミセ*゚ー゚)リ「ん?」
(´・_ゝ・`)「服、レンタルだったよね」
ミセ*゚ー゚)リ
(´・_ゝ・`)
ミセ*゚ー゚)リ「超過料金、どんくらいかなぁ……」
(´・_ゝ・`)「財布が厳しいなぁ……」
ミセ*゚ー゚)リ「まあそれは明日ね、お風呂入ろせんせ」
(´・_ゝ・`)「うん、取り敢えず超過料金の話は明日にしよう」
お風呂に入ったあと、先生に頭を拭いてもらってベッドに入る。
ふかふかのお布団に包まれて見た夢は、竜さんの背中に乗っけて貰ってる夢だった。
おわり。