566 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 21:06:10 ID:XFuFepbkO

 行く道は様々、賑やかな街や静かな村。

 時には冷たい風を、時には暖かな風を受けて歩いて行く。

 周囲にはいつも移り変わり続ける景色。
 聞こえるのは人の声や風の音、喧騒も静けさも耳へと流れ込む。

 石畳を踏み、土を踏み、景色の中を渡り歩くのは、三人。


 一人はどこか情けない顔をした、人の良い魔導師。
 もう一人は、表情を浮かべず自由に振る舞う戦士。

 その二人の間に居るのは、明るく元気な女の子。


       【旅のようです】
     【最終話 先生も一緒だよ】



 彼らの間にはいつも、穏やかでいて賑やかな空間が存在する。

立ち絵

568 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 21:08:18 ID:XFuFepbkO

 窓から射し込む光、小鳥のさえずり。

 天蓋付きのベッドの上に横たわる少女は淡い色の寝間着を纏い、すやすやと寝息をたてていた。

 レースのカーテン越しに部屋へと溢れる光が、少女のまぶたをくすぐる。
 ん、と声を洩らして身動ぎする少女は、シーツを握り締めながら体を起こした。

 さらりと短めの髪が揺れ、朝の光を反射させる。
 鮮やかな緑色がきらきらと眩しくて。

 フリルとレースがあしらわれた寝間着の袖で目元を擦り、小さく欠伸をする。
 そして腕を上へぐぐっと上げて伸びをし、眠そうな目を開いた。


イル*- -)リ"「んー……」

イル*゚ー゚)リ゙ パチリス


 可愛い女の子だと思った?

 大正解、ミセリちゃんでしたー!

569 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 21:10:43 ID:XFuFepbkO

 大きな窓にかかるカーテンをしゃっと開き、そこから見える景色に息を吐く。
 街全体を見渡せるこの部屋には、豪奢な家具が並んでいる。

 クローゼットや机に椅子、ベッド、ドレッサー、色んなものがある。
 そしてそれらが、いつものわたしたちには見る事も出来ない様なものである事が分かる。


 金銀財宝と言う様なきらびやかさではない、しかし清楚に、それでいて気品のある豪華さ。

 そんな部屋にぽつんと存在するわたしは、慣れた手付きでドレッサーの前に座って髪をすく。

 少し癖のある髪をカチューシャでまとめ、先に着替えれば良かったと思いながら寝間着を脱いだ。
 いつもの白いシャツを着て、サスペンダー付きのズボンを履いて、花の髪飾りを付ける。


ミセ*゚ー゚)リ「ふー……やっぱこの服が落ち着くや」


 ドレッサーに置かれた小さな容器を持って、少し移動。
 窓際の椅子にぽすんと腰掛けて、外を眺めた。

 わたしたちがここに来る途中に通った街道が見えて、その時の事を思い返す。

570 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 21:12:21 ID:XFuFepbkO

──────────


ミセ*゚ー゚)リ「……せんせ、ここって」

(´・_ゝ・`)「王都だね」

(‘_L’)「戻ってきたな」

(´・_ゝ・`)「道順で言うとね」

ミセ*゚ー゚)リ「あっちの森にドクオさんの塔があるんだよね」

(´・_ゝ・`)「そうそう」

(‘_L’)「城下町か、久々だな」

(´・_ゝ・`)「久々だね、城下町は」

(‘_L’)「昔はよく来たな」

(´・_ゝ・`)「ここに学校があるからね」

ミセ*゚ー゚)リ「広いなー……」

571 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 21:14:12 ID:XFuFepbkO

ミセ*゚ー゚)リ「……入んないの? 町に」

(´・_ゝ・`)「いや、なんか……緊張すると言うか」

(‘_L’)「緊張ほぐすか」

(´・_ゝ・`)「どうやって?」

(‘_L’)「おい魔法撃てよデミタス」

(´・_ゝ・`)「そんないじめっ子みたいな催促しないでよ」

(‘_L’)「ほらアレ撃て、イン、イン……ええと」

ミセ*゚ー゚)リ「インなんとかさん?」

(´・_ゝ・`)「それ魔法でもなんでもないよ」

(‘_L’)「インフィニットストラスト」

(;´・_ゝ・`)「だから魔法じゃないから!!」

572 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 21:16:15 ID:XFuFepbkO

(‘_L’)「撃てよインフィニットストラスト」

(#´・_ゝ・`)「撃てるか!! インディグニション撃ってやろうか!!」

ミセ*゚ー゚)リ「あなたのハートにインディグニション」

(‘_L’)「エロゲソングみたいだな」

(#´・_ゝ・`)「教え子に変な事を吹き込むな!!」

ミセ*゚ー゚)リ「緊張ほぐれたねせんせ」

(´・_ゝ・`)「ああ、うん……まあ……」

(‘_L’)「じゃあ入るか」

(´・_ゝ・`)「もう良いや……入ろう……」

ミセ*゚ー゚)リ「て言うか何で緊張するの?」

(´・_ゝ・`)「んー、逃げるみたいに飛び出したからなあ」

(‘_L’)「俺も」

573 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 21:18:06 ID:XFuFepbkO

ミセ*゚ー゚)リ「……戦争が嫌だったから?」

(´・_ゝ・`)「うん……本当は行かなきゃいけなかったんだよね、戦場に」

ミセ*゚ー゚)リ「そう、なんだ……おっちゃんは?」

(‘_L’)「戦士は軍に進むと強制的に出る事になる、それが嫌で卒業と同時に逃げた」

ミセ*゚ー゚)リ「なるほど」

(´・_ゝ・`)「僕は強制じゃなかったけど……国や軍のやり方が嫌でね」

(‘_L’)「ま、あの頃は酷かったしな」

(´・_ゝ・`)「それで逃げ出して、被害にあった街なんかを回ってたんだ」

ミセ*゚ー゚)リ「で、わたしを見付けたの?」

(´・_ゝ・`)「そ、だから結果的に逃げ出した事に後悔は無いよ」

ミセ*゚ー゚)リ「……でもそれ、国から怒られない?」

(´・_ゝ・`)「それが怖くて町に入れない」

ミセ*゚ー゚)リ「ああ、なるほど……」

574 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 21:20:30 ID:XFuFepbkO

(´・_ゝ・`)「でも城から呼び出し食らっちゃったし、行くしか無いかぁ」

ミセ*゚ー゚)リ「何でいきなり呼び出されたんだろうね」

(´・_ゝ・`)「うーん、何でだろう……ドクオさんからボスケテって手紙が来たのも気になる」

ミセ*゚ー゚)リ「ドクオさん……」

(‘_L’)「町回るのは後にするか」

(´・_ゝ・`)「だね、先に城に行こう」


 いつぞやの物価の高い街よりも、立派で広い城下町。
 お城の近くには大きな施設、どうやらあれが学校らしい。

 今は関係が無いので見ようとは思わないけど、年齢で言うとわたしが居てもおかしくない場所。
 とは言え、別に勉強は先生たちと出来るし、キャリアとかどうでも良いし本当にどうでも良い。


 緊張した面持ちの先生と、何も考えてなさそうなおっちゃん。

 その間に居るわたしは、何を考えれば良いのかわからないので、おっちゃんと同じ様な顔。

575 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 21:22:35 ID:XFuFepbkO

 そして辿り着いたお城は、予想以上に大きくて圧倒された。

 兵士が武器を持って門の前に立ち、来訪者をねめつける。
 威圧感に圧倒されながら、わたしは先生の後ろに隠れながらお城を見上げる。

 おどおどと先生が兵士に近付いて、呼び出されたとか魔導師だとかを告げる。
 すると、兵士はぴしりと頭を下げてから、鈍い音をさせて門が開いた。


ミセ;゚ー゚)リ「……せんせ……なんか、すごい……」

(´・_ゝ・`)「うん……城になんて滅多に来ないから、僕もちょっと……」

(‘_L’)「うめぇ」

(´・_ゝ・`)「何してる」

(‘_L’)「花うめぇ」

(;´・_ゝ・`)「やめて!! 本当にやめて!! 花壇を荒らさないで!!」

(‘_L’)「おいそこの兵士、お前確か実地訓練で漏らした奴だろ」

(;´・_ゝ・`)「フィレンクトちょっと自由すぎるから! やめて!?」

576 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 21:24:13 ID:XFuFepbkO

(‘_L’)「あれ俺の後輩」

(´・_ゝ・`)「後輩はエリートか」

(‘_L’)「はは、ただの一般兵がエリートか、休み無いし給料安いぞあいつら」

(´・_ゝ・`)「安定はしてるよね」

(‘_L’)「毎日毎日門の前に立つだけの仕事が良い仕事なら俺は冒険者になるわ」

ミセ*゚ー゚)リ(何かピリピリしてんなおっちゃん……)

(´・_ゝ・`)「フィレンクト」

(‘_L’)「何だ」

(´・_ゝ・`)「冒険者だからって花壇の花を食べていいわけじゃない」

(‘_L’)

(´・_ゝ・`)

(‘_L’)「てへぺろ」

(´・_ゝ・`)" ゴッ

(‘_L’)「痛い!」

ミセ*゚ー゚)リ(いやいつも通りだわ)

578 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 21:26:23 ID:XFuFepbkO

ミセ*゚ー゚)リ「おぉぉ……お城の中だ……廊下に絨毯敷いてる……ふかふかだ……」

(‘_L’)「ミセリ、その壺の窪み押してみろ」

ミセ*゚ー゚)リσ゙「何?」カチッ

:ミセ*゚ー゚)リ: ゴゴゴゴゴ

ミセ*゚ー゚)リ「……あの、何か壁が開いて道が出てきたんだけど」

(´・_ゝ・`)「フィレンクト、緊急脱出口を堂々と披露しないで」

(‘_L’)「あとその額縁スライドさせてみろ」

ミセ*゚ー゚)リσ゙ ガショッ

:ミセ*゚ー゚)リ: ゴゴゴゴゴ

ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃん、これ金庫」

(´・_ゝ・`)「本当に止めなさい」

ミセ*゚ー゚)リ「まず何でしってんの……」

(‘_L’)「戦士は頻繁に城に入る事あるからな」

579 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 21:28:11 ID:XFuFepbkO

(´・_ゝ・`)「お、あっちで話があるみたい」

(‘_L’)「人様を呼び出して何の話だろうな」

(´・_ゝ・`)「さあ、何だろ」

('A`)「ボスケテッ!!」バーン!

(;´・_ゝ・`)「ドクオさん!?」

(‘_L’)「ドクオさんがドア蹴破ったの初めて見たぞおい……」

('A`)「あ、デミタスとお嬢ちゃん、あとフィレンクト」

(‘_L’)「ちーっす」

(;´・_ゝ・`)「どうしたんですかドクオさん、引きこもりのドクオさんが城に居るなんて……」

('A`)「その通りだから流すが突如迎えが来た」

ミセ*゚ー゚)リ「おとなしくしたがったの?」

('A`)「いや全然、先にクーが城に行ったんだけどね」

ミセ*゚ー゚)リ「行ったんだけど?」

('A`)「うちのメイドが玉座に座ったりして遊ぶから回収しに来いって」

ミセ*゚ー゚)リ「それは駄目だわ」

580 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 21:30:12 ID:XFuFepbkO

ミセ*゚ー゚)リ「あとドクオさん、その格好どうしたの?」

('A`)「ああ、このザガートみたいな肩当てとマント?」

ミセ*゚ー゚)リ「そうそう、髪も下ろしてるしすごい魔導師みたい」

('A`)「実は俺って魔導師なんだ」

ミセ*゚ー゚)リ「なんだってー(棒)」

('A`)「城に来た時に着替えさせられた、一応は英雄らしくしろって」

ミセ*゚ー゚)リ「そのマント……ローブ……? の下ってどうなってるの?」

('A`)「パジャマ」

ミセ*゚ー゚)リ「どこが英雄らしいんだ……」

('A`)「実際はほら、何か将軍みたいな感じの格好させられてる」

ミセ*゚ー゚)リ「すげー金の縁取りしてある、よく見たら杖とか持ってる、ドクオさん魔導師みたい」

('A`)「この杖すごく邪魔だし重いしやるせない気分になる」

ミセ*゚ー゚)リ「ドクオさん、杖の裏のとこに『魔力増強用』って書いてある」

('A`)「これ以上増強してどうすんの……」

ミセ*゚ー゚)リ「魔法使いの花嫁だもんね……」

('A`)「それ嘘だけどね……」

582 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 21:32:24 ID:XFuFepbkO

(´・_ゝ・`)「あ、ドクオさん、何か向こうで話があるらしいから行きましょう」

('A`)「俺そこから逃げてきたのに」

(‘_L’)「飯とか食えねーかな」

(´・_ゝ・`)「お茶菓子くらいならあるんじゃない?」

('A`)「帰りたい」

(´・_ゝ・`)「ほら行きますよ、妖怪レス数増やし」

('A`)「ひどいあだ名を付けられた」

(‘_L’)「死体とネクロマンサー」

('A`)「懐かしいあだ名で呼ばれた」

ミセ*゚ー゚)リ「わたしもついてって良いの?」

(´・_ゝ・`)「どうだろう…………あー、先にお泊まりの部屋にご案内しますって」

ミセ*゚ー゚)リ「やんわりすっ込んでろって言われたならしょうがない」

(´・_ゝ・`)「ごめんね、先に行っておいてくれる?」

ミセ*゚ー゚)リ「ほーい、またにードクオさん」

('A`)「またなー」

584 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 21:34:35 ID:XFuFepbkO

 先生たち三人が別室に連れて行かれるのを見ていると、一人のメイドさんが現れた。
 メイドさんに連れられ、わたしはわたしで宿泊する部屋へと移動する。

 お城の中は広くて豪華で、派手では無いけどそこかしこにお高そうなものがたくさんある。

 それに同じ様な場所が多くて、ここがどこかなんてもうさっぱり分からない。
 元に居た場所には一人では戻れないだろうなと思いながら、メイドさんの案内で部屋に辿り着く。

 案内された部屋は、豪華なベッドらや机と椅子やらドレッサーやら、精錬された華やかさ。

 何かもう12歳の語彙では、豪華だとしか言い様がない。

 つまり取り敢えず豪華な部屋だ。


ミセ*゚ー゚)リ「ほへー……広い……」

 「お荷物を、お嬢さん」

ミセ*゚ー゚)リ「あ、はい、ありがとうございます!」

 「どうぞごゆっくり、お体を休めて下さいね」

ミセ*゚ー゚)リ「は、はい!」

586 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 21:36:27 ID:XFuFepbkO

 「お嬢さん」

ミセ*゚ー゚)リ「は、はい?」

 「まだ気付かれませんか?」

ミセ*゚ー゚)リ「へ?」


 メイド服を纏った、黒髪で背の高い女性がそっとエプロンを外す。

 服のボタンを外して、少しずつ肌が見えてわたしは焦ってそれを止めようとする。

ミセ;゚ー゚)リ「ちょ、ちょっ、メイドさん!?」

 「ふっ……僕もまだまだ行けますね……」

ミセ;゚ー゚)リ「へ?」

川 ゚ -゚)「すり替えておいたのさ!!」
  _,
ミセ;゚Д゚)リ「妖怪レス数増やしだぁあ!?」

川 ゚ -゚)「嫌ですねお嬢さん、そんなに美しいだとか素晴らしいだとか照れますよ」
  _,
ミセ;゚Д゚)リ「言ってねぇ!!」

587 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 21:38:15 ID:XFuFepbkO

川 ゚ -゚)「いやー豪華ですね部屋、普段は塔の中にしか居ないから新鮮だわ」

ミセ*゚ー゚)リ「つか何でここに居んのクーさん……」

川 ゚ -゚)「女装イケてたでしょう」

ミセ*゚ー゚)リ「ああうん、声がイケメンだなとは思ってたけど」

川 ゚ -゚)「顔がまずイケメンだからしょうがないですね」

ミセ*゚ー゚)リ「そうだね、プロテインだね」

川 ゚ -゚)「まあお茶でも飲みましょうよ、淹れま」

ミセ*゚ー゚)リ「わたしが淹れます」

川 ゚ -゚)「手首を本気で掴まれた上に笑顔で阻止された……」

ミセ*゚ー゚)リ「わたしをあまり侮らない方が良い……これでもオークを殴り潰した事がある……」

川 ゚ -゚)「ガチじゃないですか、焦るわ」

588 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 21:40:04 ID:XFuFepbkO

ミセ*゚ー゚)リ「あとオークの肉をクーの肉と見間違えた人が居たらしいよ」

川 ゚ -゚)「僕の肉とか食ったら人魚の肉みたいな効果ありますよ」

ミセ*゚ー゚)リ「あーゲテ食い的な?」

川 ゚ -゚)「言う様になったなおいお嬢さん」

ミセ*゚ー゚)リ「はいお茶、THE 普通の味」

川 ゚ -゚)「うっめ、普通のうっめ」

ミセ*゚ー゚)リ「ドクオさんには敵わないけどね」

川 ゚ -゚)「しょうがないですよ、ご主人様キモいし」

ミセ*゚ー゚)リ「どんな言いぐさだ」

川 ゚ -゚)「ご主人様の笑顔とかマジヤバイ、世界滅ぼそうとしてる変態みたいな笑顔マジヤバイ」

ミセ*゚ー゚)リ「ドクオさん笑うの下手そうだわ……」

川 ゚ -゚)「下手ってレベルじゃない、人前で笑ったら逮捕される」

ミセ*゚ー゚)リ「クーさんが安定の容赦のなさだなー」

590 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 21:42:35 ID:XFuFepbkO

川 ゚ -゚)「何か面白いもん無いかなー」

ミセ*゚ー゚)リ「クーさんが泊まる訳じゃないのに物色し始めた」

川 ゚ -゚)「お、お嬢さんこれこれ」

ミセ*゚ー゚)リ「ん?」

川 ゚ -゚)「ドレスありますよドレス」

ミセ*゚ー゚)リ「わー綺麗だね」

川 ゚ -゚)「プロデューサーさん! ドレスですよドレス!!」

ミセ*゚ー゚)リ「欲しいからってアイマスみたいに言わないで」

川 ゚ -゚)「それよりほら、サイズ合いますよ」

ミセ*゚ー゚)リ「あら本当」

川 ゚ -゚)

ミセ*゚ー゚)リ

川 ゚ -゚)「良いではないか! 良いではないか!!」
  _,
ミセ;゚Д゚)リ「いやー! お代官様ー!!」

591 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 21:44:28 ID:XFuFepbkO

川 ゚ -゚)「……相変わらず切ない体型ですねお嬢さん」
  _,
ミセ#゚Д゚)リ「年頃の娘の肌着姿を見てそれかい!!」

川 ゚ -゚)「まあ別に性的な意味での興味とかまるで無いんで安心してくださいよ、勃起しません」
  _,
ミセ#゚〜゚)リ「言い切られるとそれはそれでムカつくわ……」

川 ゚ -゚)「まあこの絶世の美貌のイケメイドに脱がされるとかたぶん追加料金ですよ」

ミセ*゚ー゚)リ「そんなエロ漫画あった気がする」

川 ゚ -゚)「お嬢様セクロスの時間ですってか、たぶん携帯厨にしかわかりませんよこれ」

ミセ*゚ー゚)リ「強制的に工場のラインでって言うのがシュール過ぎる」

川 ゚ -゚)「アレは本当によくわからない、あと最近は男友達が女子になってとかありますね」

ミセ*゚ー゚)リ「あーあるね、いじめっこに云々とか」

川 ゚ -゚)「正直ちょっと読んでみたい」

ミセ*゚ー゚)リ「奇遇ですね、わたしもあれは気になる」

593 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 21:46:58 ID:XFuFepbkO

川 ゚ -゚)「でも彼女が男になってもケツには突っ込まねぇだろって思うんですよ」

ミセ*゚ー゚)リ「二次元だから」

川 ゚ -゚)「それもそうか」

ミセ*゚ー゚)リ「基本的に見えないように描かれなかったり消されてたりするよね」

川 ゚ -゚)「ああ、乳首とか」

ミセ*゚ー゚)リ「そうそう、最近はそれも堂々と見えてたりして戸惑う」

川 ゚ -゚)「ぶっちゃけ頭おかしいですよねあの手のバナー、外で見たらヤバい」

ミセ*゚ー゚)リ「そうなんだよねー、普通のページにも広告であったりするから困る」

川 ゚ -゚)「お嬢さん、コルセット締めるから息吐いてー」

ミセ*゚3゚)リ「ふぅぅぅぅぅぅ……」

川 ゚ -゚)゙「そぉい!!」ギリリィ
  _,
ミセ;゚听)リ"そ「ぉぼえっ!?」

594 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 21:48:43 ID:XFuFepbkO

川 ゚ -゚)「よし締まった」
  _,
ミセ;゚Д゚)リ「ぉ、ぉぉぉぉ……ぐるじ……」

川 ゚ -゚)「でもドレス着るならそれくらいが普通なんですよね……よっこらせっくす」
  _,
ミセ;゚〜゚)リ「こ、これは……きっちぃな……」

川 ゚ -゚)「ところでお嬢さん」

ミセ*゚ー゚)リ「ん?」

川 ゚ -゚)「お嬢さん的にはこのイケメイドに着替えさせられてどんな気分ですか」

ミセ*゚ー゚)リ「いや、別に……とりたてて特別な気分には……」

川 ゚ -゚)「なんとイケメン甲斐のない事か、出会い頭に顔真っ赤だったのに」

ミセ*゚ー゚)リ「慣れたし中身に問題が見えて」

川 ゚ -゚)「お嬢さんアレですよね、彼氏出来ないって感じ」

ミセ*゚ー゚)リ「別に欲しくもないです」

川 ゚ -゚)「どうですかこのイケメイドは」

ミセ*゚ー゚)リ「クーさん彼女欲しいの?」

川 ゚ -゚)「ぶっちゃけいらん」

ミセ*゚ー゚)リ「ですよねー」

595 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 21:50:29 ID:XFuFepbkO

川 ゚ -゚)「だって考えてもみてください、この美貌のイケメンですよ、街に来るたび言い寄られて」

ミセ*゚ー゚)リ「男に?」

川 ゚ -゚)「お嬢さんは腐女子か何かですか」

ミセ*゚ー゚)リ「周囲に思ったよりホモが多くて」

川 ゚ -゚)「あの二人ホモだったんですか」

ミセ*゚ー゚)リ「いやそれはどうだろう」

川 ゚ -゚)「ご主人様も興味ないし、僕も……特に無いなあ」

ミセ*゚ー゚)リ「何でみんな性欲OFFしてんだろうね」

川 ゚ -゚)「バリバリ全開でも嫌だと思いますけど」

ミセ*゚ー゚)リ「確かに嫌だわ」

川 ゚ -゚)「ご主人様は……何だろう、わけわかんねぇなあいつ」

ミセ*゚ー゚)リ「ご主人様なのに」

596 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 21:52:19 ID:XFuFepbkO

川 ゚ -゚)「基本的に飯食って布団で寝て本読めてりゃ良いんですよねあの人」

ミセ*゚ー゚)リ「うん知ってる」

川 ゚ -゚)「食欲>睡眠欲>>>>>越えられない壁>>>>>性欲(笑)って感じ」

ミセ*゚ー゚)リ「ああ、うん……そんな感じだわ……」

川 ゚ -゚)「よし、着せ終わりましたよ」

ミセ*゚ー゚)リ「すげー苦しい!」

川 ゚ -゚)「せっかくだし服以外も何かしますか、髪とか」

ミセ*゚ー゚)リ「クーさんって料理以外は結構出来るよね」

川 ゚ -゚)「嫌だなあお嬢さん、家事以外はって言ってくださいよ」

ミセ*゚ー゚)リ「ははは、余計駄目じゃねーか」

川 ゚ -゚)「ま、ドジっ子メイドって事で良いじゃないですか」

ミセ*゚ー゚)リ「良いけどね別に……あ、髪飾りはずしちゃうの?」

川 ゚ -゚)「今は外した方が良いですからね」

597 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 21:54:17 ID:XFuFepbkO

川 ゚ -゚)「髪をちょっと巻いてー」

イル*゚ー゚)リ「おぉ……ゆるふわ……(笑)」

川 ゚ -゚)「リボンで止めて、飾りを付けて……化粧いりますかね」

イル*゚ー゚)リ「お任せー」

川 ゚ -゚)「んじゃちょびっとだけ……はい完成」



ミセ*゚ー゚)リ「おお、お嬢さんっぽい……クーさん謎の技術」

川 ゚ -゚)「二度とドレスとか描きたくない」

ミセ*゚ー゚)リ「そんな本音を」

川 ゚ -゚)「まあ似合いますよ普通に、可愛らしい」

ミセ*゚ー゚)リ「ありがと、クーさんは何か着ないの?」

川 ゚ -゚)「僕はこれが正装ですから」

ミセ*゚ー゚)リ「執事服?」

川 ゚ -゚)「メイドです」

ミセ*゚ー゚)リ「まだ言い張るのか」

598 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 21:56:10 ID:XFuFepbkO

ミセ*゚ー゚)リ「お、クーさんこれ何? 綺麗な箱」

川 ゚ -゚)「開けてみたらわかるんじゃないですか?」

ミセ*゚ー゚)リ「どれどれ……何これ綺麗、お菓子?」

川 ゚ -゚)「あーボンボンですね、砂糖菓子ですよ」

ミセ*゚ー゚)リ「……食べても良いの?」

川 ゚ -゚)「良いんじゃね?」

ミセ*゚ー゚)リ「どれ、ひとつ……」


 綺麗なピンクの小さなお菓子、丸い形のそれは何だか繊細な手触り。

 そっとひとつ持ち上げて、口にいれてみる。

 口の中に転がる砂糖菓子はさらりと溶けてしまって、中から少しお酒の味がするシロップが溢れた。

 生まれてはじめて食べる、食感、味、舌触り。
 気品の漂い優しい砂糖の味、鼻に抜けるお酒の風味、あっというまに口の中から消えるそれ。

599 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 21:58:07 ID:XFuFepbkO

ミセ*´ヮ`)リ「なんだこれ……超おいしい……」

川 ゚ -゚)「あら良いお顔、じゃあ僕もひとつ」

川 ゚ -゚))モグ

川 ゚ -゚)

川 ゚ -゚)「あ、うっめぇこれ」

ミセ*´ヮ`)リ「顔変わんないなあクーさん……」

川 ゚ -゚)「僕の笑顔もなかなかエグいのは自覚してますから、いやつかこれ超うめぇ」

ミセ*´ヮ`)リ「笑ってみてよクーさん」

川 ゚ -゚)

ミセ*´ヮ`)リ

川 ゚∀゚)ニゴリ

ミセ;´ヮ`)リ「超こえぇ!?」

600 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 22:00:07 ID:XFuFepbkO

川 ゚ -゚)「この美貌ですけど笑顔だけは何かエグいんですよね、お嬢さんのその顔分けてほしい」

ミセ*´ヮ`)リ「うへー……うまぁこれ……」

川 ゚ -゚)「畜生ほやほやした顔しやがって、微笑みとかどうすれば良いんだろう」

ミセ*´ヮ`)リ「こう、にっこりと」

川 ゚ー゚)ニヤリ

ミセ;´ヮ`)リ「何か怖い怖い」

川 ゚ヮ゚)ニキョリ

ミセ*´ヮ`)リ「あーそんな感じそんな感じ」

川 ゚ヮ゚)「どうですか、美メイドですか」

ミセ*´ヮ`)リ「う、うん……まあ……」

川 ゚ヮ゚)

ミセ;´ヮ`)リ

川 ゚ヮ゚)「HとEROを足したらヒーロー!!」

ミセ;´ヮ`)リ「壊れた!?」

601 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 22:02:17 ID:XFuFepbkO

川 ゚ヮ゚)「美メイドですか」

ミセ;゚ー゚)リ「う、うん……」

川 ゚ヮ゚)「何か言いたいなら言ってください」

ミセ;゚ー゚)リ

川 ゚ヮ゚)

ミセ;゚ー゚)リ「なんか……目が笑ってない」

川 ゚ヮ゚)

川 ^ヮ^)ニギョリ

ミセ;゚ー゚)リ「ふ、不安になる! なんか不安になる!」

川 ^ヮ^)「美メイドデスカ……ドウデスカ……」
  _,
ミセ;゚Д゚)リ「怖い怖い! 無性に怖い!」

川 ^ヮ^)「ウフフ……コレデ……僕モ……美メイド……」
  _,
ミセ;゚Д゚)リ「やめて! 笑わないで! 無理しないで!!」

川 ^ヮ^)「信者と言う字を足したら儲け!!」
  _,
ミセ;゚Д゚)リ「また壊れた!?」

602 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 22:04:05 ID:XFuFepbkO

川 ゚ -゚)「あー顔がひきつる、無理だわこれ」

ミセ;゚ー゚)リ「クーさんは普段が一番だよ、うん……」

川 ゚ -゚)「全くこんなパーフェクトな僕でも笑顔だけは苦手だなんて」

ミセ*゚ー゚)リ「欠点がある方が萌えるらしい」

川 ゚ -゚)「なるほど、ある意味でパーフェクトですね」

ミセ*゚ー゚)リ「クーさんに萌えるかどうかは別にして」

川 ゚ -゚)

ミセ*゚ー゚)リ

川 ^ワ^)ニギャァ……

ミセ;゚ー゚)リ「ごめんやめて」

(´・_ゝ・`)「はー疲れた、ミセリ君いるー?」

ミセ*゚ー゚)リ「あ、せんせ! お疲れさまー!」

(´・_ゝ・`)「ああ居た居た、ありが……クーちゃん?」

川 ゚ -゚)「あ、どうもデミタス様」

603 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 22:06:26 ID:XFuFepbkO

(´・_ゝ・`)「何だ一緒に居たんだ、ドクオさんが探してたよ」

川 ゚ -゚)「しばらく探させといて下さい、運動不足だし」

(´・_ゝ・`)「んーわかった……ミセリ君かわいい格好してるね、お姫様みたいだ」

ミセ*゚ー゚)リ「えへへー、クーさんが着せてくれた」

(´・_ゝ・`)

川 ゚ -゚)

(´・_ゝ・`)「良かったねミセリ君、似合ってるよ」

ミセ*゚ー゚)リ「うん!」

川 ゚ -゚)(一瞬殺意を感じた……)

ミセ*゚ー゚)リ「せんせも着替えたんだ、魔導師っぽいね」

(´・_ゝ・`)「一応は魔導師だからね、服のデザインはドクオさんの下位互換って感じだけど」

ミセ*゚ー゚)リ「似合ってるよー、せんせかっちりした服似合うもん」

604 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 22:08:22 ID:XFuFepbkO

(‘_L’)「あー茶菓子食った食った」

ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃんもお疲れさまー……うわあ……」

(‘_L’)「第一声がそれか」

ミセ*゚ー゚)リ「おっちゃん……すごく……何か……近衛兵隊長みたい……」

(‘_L’)「褒めてるのか何なのか」

ミセ*゚ー゚)リ「褒めてるっちゃ褒めてる、ただ普段のおっちゃんから想像もできないいでたちで」

(´・_ゝ・`)「オールバックに軍服だからね」

(‘_L’)「他に無いからって軍服着せやがって、パンツに勲章付けてやろうか」

ミセ*゚ー゚)リ「ははは、おっちゃん本当どうしようもねぇな」

(‘_L’)「お前こそ何か…………何だ……七五三?」
  _,
ミセ#゚Д゚)リ「渦巻く怒りが熱くする! これが咆哮の臨界! 波動撃!!」

(‘_L’)「ドレスで!?」

606 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 22:10:28 ID:XFuFepbkO

川 ゚ -゚)「どうぞデミタス様、お茶です」

(´・_ゝ・`)「ああ、ありが」

(´・_ゝ・`)

(´・_ゝ・`)「と、う……」

ミセ*゚ー゚)リ「ああ……せんせがクーさんのお茶を……」

(‘_L’)「俺にも寄越せクソガキ」

川 ゚ -゚)「はいはいどうぞクソオヤジ」

(‘_L’)「まっず、普通にまっず、緑のゲロ吐きながらブリッジで駆け回りそう」

川 ゚ -゚)「しれっと言いやがったこのオッサン」

ミセ*゚ー゚)リ「せんせほら、このお菓子食べたら良いよ、ちょーおいしいの」

(´・_ゝ・`)「おお、これは王室御用達のボンボン……食べられるとは思わなかった」

ミセ*゚ー゚)リ「あ、やっぱすごいやつなんだ……」

(´・_ゝ・`)「この間の宿代より高いよ」

ミセ*゚ー゚)リ「食べるのもったいなくなってきた……」

607 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 22:12:41 ID:XFuFepbkO

ミセ*゚ー゚)リ「ところで二人とも、偉い人となんの話してたの?」

(´・_ゝ・`)「ああ、最近の功績とかの話だよ」

ミセ*゚ー゚)リ「功績……って何かしたっけ」

(´・_ゝ・`)「ほら、解毒薬を提供したって言うアレとか」

ミセ*゚ー゚)リ「あれ情報はあったんだから普通に出来るはずなのにね」

(´・_ゝ・`)「あと、展示されてる歴史とかの誤りを正したとか」

ミセ*゚ー゚)リ「……あれ、ちゃんとなったの?」

(´・_ゝ・`)「うん、ドクオさんに連絡して書き直してもらうように言っておいたんだ」

川 ゚ -゚)「連絡受けてご主人様が珍しくブチギレてましたよあれ」

(´・_ゝ・`)「あ、そうだったんだ」

川 ゚ -゚)「何考えてんだよ馬鹿なんじゃないの国が何をしてきたか綺麗事だけ並べ立てて
      ちゃんとした歴史や経歴も書かず何が功績だよ何が英雄だよあいつらやる気あんのか
      俺はただ痴話喧嘩止めただけだよまず英雄って書くなよしかも何だこの内容は
      本気でふざけんなよ被害を受けた人達の気持ちを考えろよ調子乗んなメテオ撃つぞ」

川 ゚ -゚)「って、ガチギレ過ぎて引いた」

(´・_ゝ・`)「本気でガチギレだった」

608 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 22:14:17 ID:XFuFepbkO

川 ゚ -゚)「ご主人様はめんどくさがりだけどクソ真面目ですからね」

(´・_ゝ・`)「それもドクオさんの良いところだよ、人の痛みに敏感な人だ」

川 ゚ -゚)「ま、そうですけどね、怖がりだしヘタレだし」

(´・_ゝ・`)「そうそう、それでドクオさんからの進言もあって僕らが呼ばれた」

ミセ*゚ー゚)リ「呼んでどうすんの? お給料増えるとか?」

(‘_L’)「国のお抱えにならないか、ってよ」

ミセ*゚−゚)リ「ぇ……」

(´・_ゝ・`)「フィレンクトの腕は良いし、国に置きたい気持ちは分かるよ」

(‘_L’)「お断りだけどな」

(´・_ゝ・`)「はは、知ってるよ」

ミセ*゚−゚)リ「……せんせもおっちゃんも、国のやり方……嫌なんだよね?」

(´・_ゝ・`)「戦争が終わってから王が変わったんだ、今は王子が王になってる」

ミセ*゚−゚)リ「……」

610 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 22:16:51 ID:XFuFepbkO

(´・_ゝ・`)「だから、今後のために、もっともっと国を良くするために力を貸してほしいって」

川 ゚ -゚)「ご主人様も同じ感じで呼ばれてますよ、ご主人様の場合は戦力的な意味ですけど」

(´・_ゝ・`)「いざと言う時のために使えたら百人力だろうからね」

川 ゚ -゚)「百人力っつーか百万人力ですけどね」

(´・_ゝ・`)「ああ、否定できない……あの人一個師団相手の模擬戦で瞬殺してたよね……」

川 ゚ -゚)「キモすぎワロエナイ」

(´・_ゝ・`)「まあ、僕も国民として国の今後のために出来る事はしたいけど」

ミセ*゚−゚)リ「……じゃあ、せんせは……お城の人になるの?」

(´・_ゝ・`)「ならないよ?」

ミセ;゚−゚)リ「えっ?」

(´・_ゝ・`)「手伝いはする、でも僕は旅を続けるよ」

ミセ;゚−゚)リ「ぇ……で、でも……」

611 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 22:18:30 ID:XFuFepbkO

(´・_ゝ・`)「僕は国の今後のために働きたいとも思う、でもミセリ君と旅をする方が大事」

(‘_L’)「俺は?」

(´・_ゝ・`)「あーはいはい大事大事」

ミセ*゚−゚)リ「……わたしがせんせの生活の邪魔になるなら、旅はやめても良いんだよ?」

(´・_ゝ・`)「ううん違うよ、君は僕の生活の一部、ミセリ君と一緒に居る方が大切なんだ」

ミセ*゚−゚)リ「せんせ……」

(‘_L’)「なぁ俺は?」

(´・_ゝ・`)「ちょっと黙ってて」

ミセ*゚ー゚)リ「……ありがと、せんせ」

(´・_ゝ・`)「こちらこそ、ありがとうミセリ君」

(‘_L’)

川 ゚ -゚)

(‘_L’)「俺は……?」

川 ゚ -゚)「いい話なんだから今は黙っときましょうよ」

612 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 22:20:27 ID:XFuFepbkO

(´・_ゝ・`)「しかし、なかなか息苦しいなあこの格好」

(‘_L’)「脱いでも良いかこれ」

(´・_ゝ・`)「晩餐会があるから着とかなきゃ駄目」

ミセ*゚ー゚)リ「わたしもまさかこのまま……?」

(´・_ゝ・`)「そのまま」

ミセ*゚ー゚)リ「うわぁ……食べれる気がしない……」

(´・_ゝ・`)「マントは外しても良いかなぁこれ、肩当てが邪魔……」

(‘_L’)「付けとけよ、俺も肩にフリンジみたいなのついてんだぞ」

(´・_ゝ・`)「フィレンクトのは軍服だからなあ、うーん動きにくい」

川 ゚ -゚)「まあたまには良いんじゃないですか、似合ってますよ」

(´・_ゝ・`)「クーちゃんも着替えてみたら?」

川 ゚ -゚)「僕はこれが正装ですってば」

613 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 22:22:09 ID:XFuFepbkO

('A`)「ボスケテ!!」

(´・_ゝ・`)「あ、ドクオさん」

('A`)「ちょっと歩けばみんながサインとか求めてくる! 怖い!!」

(´・_ゝ・`)「ああ、ここじゃ顔は知れてるでしょうしね……」

('A`)「あ、クー居た」

川 ゚ -゚)「チーッス」

('A`)「探させないでよ、探してる間に弟子入り志願を三桁くらい食らったよ」

川 ゚ -゚)「良い弟子居ました?」

('A`)「弟子とか持つ気無いから拒否った」

川 ゚ -゚)「ご主人様もまたキモい格好して、キモさに磨きがかかってますね」

('A`)「本当にキモいを日常会話に盛り込み過ぎだよ」

川 ゚ -゚)「それなりの格好をすればこれなりには見えるんですから毛布とかまとわないで下さいよ」

('A`)「便利だよあれ、あったかいし寝れるし」

川 ゚ -゚)「まあ素敵、死ね」

614 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 22:24:17 ID:XFuFepbkO

(´・_ゝ・`)「ああそうだ、ドクオさん色々とありがとうございます」

('A`)「あー展示物のあれ? 俺も気分悪かったし」

(´・_ゝ・`)「いや、解毒薬のあれです」

('A`)「あー……あーあーあー、海辺の町か」

(´・_ゝ・`)「そうそう、ドクオさん本の出版とかしてたんですね」

('A`)「してないよ、あの本一冊だけ作った」

(´・_ゝ・`)「えっ」

('A`)「前に洞窟を通った時に毛玉が居たからさ、危ないなーと思って」

(´・_ゝ・`)「それで、本を?」

('A`)「うん、日記のつもりで書いてたら図書館の人に置かせてくれって言われたから」

(´・_ゝ・`)「……運が、よかったんだなぁ……マジで……」

('A`)「まあでも胸騒ぎ感じてたし、星に聞こうかと思ってたからもしもの時は薬送ったよ」

川 ゚ -゚)「ご主人様っていちいち行動遅いですよね」

('A`)「自覚してるし心に刺さる」

615 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 22:26:24 ID:XFuFepbkO

ミセ*゚ー゚)リ「でもわたしとおっちゃんで薬作ったよ!」

('A`)「うんうん、大変だったろうな、よくやったね」

ミセ*゚ー゚)リ「へへー、オークぶん殴ったよ!」

('A`)「なにそれ強い」

(‘_L’)「あれは怖かった」

('A`)「えっ」

(‘_L’)「本気で怖かった、ミセリが」

('A`)「お嬢ちゃん……」

ミセ*゚3゚)リ「ちょっとキレて撲殺しかけただけだもーん」

('A`)「ちょっと……えぇ……? お嬢ちゃんモンクか何かになるの……?」

(‘_L’)「本気で武道家とかが合うと思う」

('A`)「今度ナックルとか装備してみたら……?」

(´・_ゝ・`)(知らない間に教え子がすごい事に……)

616 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 22:29:06 ID:XFuFepbkO

ミセ*゚ー゚)リ「ご飯までまだ時間あるね」

(´・_ゝ・`)「だね、どうする?」

ミセ*゚ー゚)リ「んー、のんびりしたい」

(´・_ゝ・`)「じゃあこのままで良いかな、」

ミセ*゚ー゚)リ「うん、ドクオさんせっかくだから何か教えてー」

('A`)「何が知りたい?」

ミセ*゚ー゚)リ「生い立ちとか」

('A`)「予想外過ぎる」

ミセ*゚ー゚)リ「ドクオさんが大魔導師になった経緯とか」

('A`)「んー……家を飛び出して塔で独り暮らししながら勉強してた」

ミセ*゚ー゚)リ「学校には行ってないんだよね」

('A`)「あー行ってない行ってない、その件で父親と喧嘩して家出したから」

ミセ*゚ー゚)リ「あ、そうだったんだ」

617 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 22:30:43 ID:XFuFepbkO

('A`)「昔は勉強だけ出来れば魔導師になれると思ってたからね、学校に行っても無駄だと思って」

ミセ*゚ー゚)リ「へ? 何で学校なのに……勉強する場所でしょ?」

('A`)「周囲のレベルに合わせても勉強にならないと思って」

ミセ*゚ー゚)リ

('A`)

ミセ*゚ー゚)リ「最初から話してください」

('A`)「長くなります」

ミセ*゚ー゚)リ「良いから良いから」

('A`)「えーと……ガキの頃から勉強は得意だった」

ミセ*゚ー゚)リ「ふむふむ」

('A`)「速読とか瞬間記憶に近いものがあったし、理解力も無駄にあった」

ミセ*゚ー゚)リ「ふむふむ」

('A`)「だからガキの頃には親父と同じくらいの知識とその使い方を持ってた」

川 ゚ -゚)(きっしょ)

619 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 22:32:28 ID:XFuFepbkO

('A`)「だから自信過剰になってて、勉強なら自力でした方が身になると」

川 ゚ -゚)(嫌なガキ過ぎる)

('A`)「そんで親父に勘当に近い事されて家出して、貯金はたいてあの塔を買った」

ミセ*゚ー゚)リ「ドクオさん……」

('A`)「そっから図書館とか通って古本とか買って黙々と勉強し続けた」

ミセ*゚ー゚)リ「よく生きられたねドクオさん」

('A`)「動物性タンパク以外は自家栽培出来るからね、年齢的に魔導師登録は出来なかったけど」

ミセ*゚ー゚)リ「その時はいくつだったの?」

('A`)「家を出たのが12歳」

ミセ*゚ー゚)リ(どんだけだよ……)

(´・_ゝ・`)(魔導師としての自信が砕けて行く)

(‘_L’)(マジで嫌なガキ過ぎる)

川 ゚ -゚)「超きめぇ」

('A`)「声に出てる出てる」

621 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 22:35:03 ID:XFuFepbkO

('A`)「それから適当に数年経って、図書館に居たらこの二人が居た」

ミセ*゚ー゚)リ「お、せんせとおっちゃんがエピソードに」

('A`)「うるさいから取り敢えずメテオ撃った」

ミセ;゚ー゚)リ「初対面でメテオ……」

('A`)「いやーあの頃はメテオ撃ったらアレだと思ってなかったんだよね、威力以外で」

(´・_ゝ・`)「まあ子供は普通撃てませんからね」

('A`)「そうなんだよね、それから周囲の目が替わった」

(‘_L’)「あれは痛かった」

(´・_ゝ・`)「我ながらよく生きてた」

('A`)「手加減できなくてごめんね」

ミセ*゚ー゚)リ「……ドクオさん、どこまでチート性能なの? インフレしてるよ?」

('A`)「自分が多少気持ち悪い」

川 ゚ -゚)「元からキモいです」

('A`)「予想通りの反応です」

623 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 22:36:52 ID:XFuFepbkO

川 ゚ -゚)「しかもさっきから同じ人にきめえって言われてますね」

('A`)「泣いても良いかな」

川 ゚ -゚)「マジきめえ」

('A`)「つか長くなるから良いよ俺の話しは、何かどんどん引かれるし」

ミセ*゚ー゚)リ「えー……じゃあせんせは?」

(´・_ゝ・`)「僕は普通だけど……小さい頃に両親を事故で亡くして、孤児院で育った」

ミセ*゚ー゚)リ「せんせも孤児だったんだ」

(´・_ゝ・`)「うん、体質の問題でスカウトされた時に、魔導師として成功して恩返ししたくて」

ミセ*゚ー゚)リ「おー」

(´・_ゝ・`)「まあ大人になる頃にはその孤児院無くなったけど」

ミセ;゚ー゚)リ「おー……」

(´・_ゝ・`)「それからは普通、学校で勉強して卒業して魔導師になって今に至る」

ミセ*゚ー゚)リ(やべぇ本当に普通だった)

(´・_ゝ・`)「フィレンクトも似た感じだっけ」

(‘_L’)「俺は親が蒸発して親戚の家に居た」

ミセ*゚ー゚)リ「つらくあたられたとか?」

(‘_L’)「いや、子供の居ない老夫婦だったから普通に可愛がられてた」

ミセ*゚ー゚)リ(何だろうこの二人、普通すぎる)

624 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 22:38:36 ID:XFuFepbkO

(‘_L’)「近所の店の手伝いをして小銭を稼いだりしてたらスカウトされて、そのまま学校に」

ミセ*゚ー゚)リ「そのおじさんとおばさん……と言うかおじいさんとおばあさんは?」

(‘_L’)「毎月俺から仕送りしてた、大人になる頃には二人とも寿命で死んだ」

ミセ;゚ー゚)リ「おー……それは、つらいね……」

(‘_L’)「まあ幸せそうな夫婦だったしな、子供になれて良かった」

ミセ*゚ー゚)リ「そっか…………何だろう……普通に良い話だ……」

(‘_L’)「クソガキはよ」

川 ゚ -゚)「僕は生まれてすぐに親に捨てられたところをご主人様に拾われましたけど」

ミセ*゚ー゚)リ(普通じゃなかった)

川 ゚ -゚)「別に親とか記憶にもないんでどうでも良いですけどね」

(‘_L’)「名前は?」

川 ゚ -゚)「ご主人様が付けた」

625 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 22:40:11 ID:XFuFepbkO

ミセ*゚ー゚)リ「クール・フロワだっけ、綺麗な名前だよね」

('A`)「その時読んでた本にクールとかフロワとか出てきた」

川 ゚ -゚)「初めて聞いたんですけどそれ」

('A`)「聞かれなかったからさ」

川 ゚ -゚)「ざけんな」

('A`)「きゅっぷい」

川 ゚ -゚)「すみません墓の場所予約の電話してきます」

('A`)「もはや死が大前提だった」

川 ゚ -゚)「いやもう名前より何より淫獣の声真似が上手かった事が一番腹立たしい」

('A`)「そんな理由で俺は死を宣告されたのか」

ミセ*゚ー゚)リ(クーさん、やっぱり平和……っと)

川 ゚ -゚)「そこ、日記に書かない」

ミセ*゚ー゚)リ「てへぺろっ☆」

626 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 22:42:19 ID:XFuFepbkO

ミセ*゚ー゚)リ「なんだ、みんな案外普通なんだね、ドクオさん以外」

(´・_ゝ・`)「まず僕らはそこそこ凡人だからね」

(‘_L’)「普通より少しだけ優れた点がある程度だからな」

ミセ*゚ー゚)リ「せんせは魔力を少しだけ多く溜め込めて、おっちゃんは身体能力が高いんだっけ」

(´・_ゝ・`)「そうそう、通常がMP100としたら僕は250くらい」

ミセ*゚ー゚)リ「ああ、確かに多いわ」

(‘_L’)「俺は序盤の成長が早いけど後半は技が少なくて馬車に入るタイプ」

ミセ*゚ー゚)リ「ああ……」

川 ゚ -゚)「僕はこの容姿だけは産んだ親に感謝します」

ミセ*゚ー゚)リ「ドクオさん、育て方としてはどうなの?」

('A`)「失敗したと思ってる」

川 ゚ -゚)「この美メイドがずっと一緒に居るんですよ、それだけでも感謝してください」

('A`)「お嬢ちゃんは?」

川 ゚ -゚)「おい無視すんな」

627 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 22:44:09 ID:XFuFepbkO

ミセ*゚ー゚)リ「わたしはー……何だろう、身体能力は普通だよね」

(‘_L’)「腕力は平均より上だと思うぞ」

(´・_ゝ・`)「勉強もよくするし、平均より頭も良いよ」

('A`)「見た目は……普通に可愛い方じゃない?」

川 ゚ -゚)「ご主人様が言うと心から気持ち悪いですね」

('A`)「デミタスと言う内容が逆なら良かったのに」

ミセ*゚ー゚)リ「んー……色々と割と普通かぁ……」

(‘_L’)「胸は平均以下だけどな」

ミセ#゚ー゚)リ「腕力でその言葉を覆してみよう」

(‘_L’)「止めて! お前こないだオークの頭蓋骨陥没させてた!!」

(´・_ゝ・`)「素手で……?」

(‘_L’)「素手で」

(´・_ゝ・`)

(‘_L’)

629 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 22:46:13 ID:XFuFepbkO

(´・_ゝ・`)「ミセリ君、武術習う?」

ミセ*゚ー゚)リ「悪くないと思う」

(‘_L’)「あのひらひら水着で素手でオーク殴り潰してた姿は恐怖でしかなかった」

ミセ*゚ー゚)リ「えへへ、拳が勝った☆」

(‘_L’)「そういやまるで拳壊してなかったなお前……マジで武術系やれよ……」

('A`)「良い先生がこの町にいるけど」

ミセ*゚ー゚)リ「お、どんな人?」

('A`)「ロマネスクって奴、俺の友達」

ミセ*゚ー゚)リ「それ英雄として名前を知ってる」

('A`)「紹介状書くわ、本当は拳メインが居たけど引退したからね」

ミセ*゚ー゚)リ「英雄二人から勉強出来るとか滅多に無いぞこれ……」

(´・_ゝ・`)「ミセリ君の人脈がどんどんすごい事に……」

(‘_L’)「こいつ未来の英雄なんじゃね」

631 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 22:48:23 ID:XFuFepbkO

(´・_ゝ・`)「お、そろそろ晩御飯みたい」

ミセ*゚ー゚)リ「やったー!」

(‘_L’)「よっしゃ飯だ」

('A`)「あー着替えたい、むしろ帰りたい」

川 ゚ -゚)「僕は従者だから待ってますよ」

('A`)「来なさい」

川 ゚ -゚)「チッ、はーい」

ミセ*゚ー゚)リ「ねぇねぇせんせ」

(´・_ゝ・`)「ん?」

ミセ*゚ー゚)リ「お城は、今日限り?」

(´・_ゝ・`)「うん、明日にはいつも通り」

ミセ*゚ー゚)リ「そっか……うん、その方がいいや」

(´・_ゝ・`)「そうだね、いつも通りが一番」

(‘_L’)「軍服脱ぎたいしな」

633 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 22:50:24 ID:XFuFepbkO

(´・_ゝ・`)「じゃ、最初で最後の晩餐会に行こうか」

ミセ*゚ー゚)リ「ほーい」

(‘_L’)「腹減ったー」

('A`)「帰りたーい」

川 ゚ -゚)「眠ーい」

(´・_ゝ・`)「まるでやる気のない返事しか無かった」

ミセ*゚ー゚)リ「いつものことじゃん」

(´・_ゝ・`)「それもそっか、と言うかドクオさん達がすっかりサブレギュラー」

('A`)「我ながらどうしてこうなった」

川 ゚ -゚)「無駄にレス数かさんで困るんですよね」

ミセ*゚ー゚)リ(さすが妖怪レス数増やし……)

(´・_ゝ・`)「まあ良いから、ほらほら出た出た」

ミセ*゚ー゚)リ「せんせー一緒に行こー」

(´・_ゝ・`)「はいはい」

634 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 22:52:13 ID:XFuFepbkO

──────────


ミセ*゚ー゚)リ「なっげぇ回想」


 窓から外を眺めつつ、ボンボンをひとつ口に放り込む。
 しゃり、と噛み砕くとあふれだす華やかな匂いに、うっとり。

 しかしこんな待遇も状態もこれまで。

 もうすぐお城を出て、いつも通りの生活に戻ります。


ミセ*゚ー゚)リ「……一人で寝るの、やっぱ寂しいな」


 広すぎる部屋、広すぎるベッド。
 わたし一人だけと言う状態に慣れていないため、ふかふかのベッドもあまり楽しめなかった。

 狭い部屋でも、固いベッドでも、やっぱり三人じゃなきゃ嫌。
 わたしと先生とおっちゃん、三人でなきゃ、楽しくない。

635 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 22:54:46 ID:XFuFepbkO

 ドクオさんとクーさんは、晩御飯のあとに泊まりもせず帰ってしまったらしい。

 やっぱりドクオさんは華やかな場が苦手で、あの少し暗い塔の生活が好きみたいです。

 少しもったいない気もするけど、それでこそドクオさんと言うか。
 本当は半端なくものすごい人なのに、すごい人のオーラが無さすぎる。


ミセ*゚ー゚)リ「せんせもおっちゃんも、それなりにはすごいんだよなぁ」


 普通だとは言ったけど、お城に呼び出される時点でそれなりにはすごい。
 ただ二人ともドクオさんと同じくらい欲の無い人だから、あっさりお城を出てしまう。

 本当はすごくありがたい申し出だったはず。
 お城のお抱えになるだなんて、夢見る人はたくさん居るはずなのに。

 おっちゃんは本当に興味が無いみたいだけど、先生はどうだろう。

 昔は国のために働いて、出世も少しは夢見てただろうに。


 わたしは本当に、二人の重荷じゃ無いんだろうか。

636 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 22:56:18 ID:XFuFepbkO

 先生やおっちゃんの邪魔では無いだろうか。
 二人の生活や将来の邪魔をしていないんだろうか。


 おっちゃんは軍に入らなくても、城下町に住んで戦士として生活出来るはず。

 先生はお城の専属魔導師になって、十分安定した生活を送れるはず。

 わたしはドクオさんが書いてくれた紹介状に従い、英雄の元で住み込み修行だって出来る。


ミセ*゚−゚)リ「…………」


 旅をするのは楽しい。

 二人と一緒は、楽しいし、幸せだ。


 でも本当に、二人はそれで良いんだろうか。

 根なし草で、各地をふらふら旅して、未来も収入も安定しない生活。

 二人とも落ち着いても良い歳だし、お嫁さんだって貰ってもおかしくない。

637 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 22:58:03 ID:XFuFepbkO

 竜さんも言ってたように、わたしは、まだ先が長い。

 そんなわたしが、二人を振り回して良いんだろうか。


(´・_ゝ・`)「ミセリ君、準備できたー?」

ミセ*゚ー゚)リ「あっ……う、うん! 出来てる!」

(´・_ゝ・`)「よし、じゃあ出発しようか、忘れ物は無いね?」

ミセ*゚ー゚)リ「うん!」


 ボンボンの容器を置いて、わたしは駆け足で部屋を後にする。

 胸に抱えたもやもやは、まだそのまま。


(‘_L’)「あー肩凝った、あとで揉めデミタス」

(´・_ゝ・`)「片手しか無いから無理」

(‘_L’)「お前義手作っただろ」

(´・_ゝ・`)「一応ね、でも魔力で動かすから疲れる」

(‘_L’)「何のための義手だよ……」

638 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 23:00:18 ID:XFuFepbkO

ミセ*゚ー゚)リ「はー……お城、出ちゃったね」

(´・_ゝ・`)「名残惜しい?」

ミセ*゚ー゚)リ「んー……ベッドはふかふかだった」

(´・_ゝ・`)「だね、部屋も広いし」

ミセ*゚ー゚)リ「でも寂しかった」

(´・_ゝ・`)「ははは、今日からは三人で一部屋だよ」

ミセ*゚ー゚)リ「やったー」

(‘_L’)「喜ぶ事かそれ」

ミセ*゚ー゚)リ「だって寂しかったもーん……ね、せっかくだから町見たい」

(´・_ゝ・`)「良いよ、こないだもろくに見れなかったしね」

ミセ*゚ー゚)リ「わーい! なんか無いかなー」

(‘_L’)「城で何か貰ったか?」

(´・_ゝ・`)「ああ、何かボーナスみたいなの貰ったよ」

(‘_L’)「豪遊出来るな」

(´・_ゝ・`)「しないよ、今後のための貯金」

(‘_L’)「堅実だなお前……」

640 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 23:02:17 ID:XFuFepbkO

ミセ*゚ー゚)リ「お、せんせあれあれ」

(´・_ゝ・`)「ん? ……ああ、ボンボンのお店だね」

ミセ*゚ー゚)リ「あれ美味しかったんだよねー…………何だこの値段」

(‘_L’)「うわぁ……月給くらい無いかこれ……」

(´・_ゝ・`)「だから言ったでしょ、他の商品はまだしもこのボンボンだけは異様な値段」

(‘_L’)「引くわこれ……」

ミセ;゚ー゚)リ「また食べたいけど無理だこれ……こわぁ……」

(´・_ゝ・`)「僕がケーキ作ってあげるから、それで我慢してね」

ミセ*゚ー゚)リ「マジかよたぎる」

(‘_L’)「ケーキ、だと……」

ミセ*゚ー゚)リ「ふふん、おっちゃん食べた事無いでしょ、わたしは昔から食べてるもんね」

(‘_L’)「ぐ、ぐぬぬ……」

641 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 23:04:49 ID:XFuFepbkO

(´・_ゝ・`)「あ、ちょっと役所行かなきゃ、今月分の報告と引き出ししてない」

(‘_L’)「城から出てすぐする事かそれ」

(´・_ゝ・`)「今日の宿は取ってもらったし、町は二人で見て回っておいで」

ミセ*゚ー゚)リ「ほーい」

(‘_L’)「はいよー」

(´・_ゝ・`)「一応お金渡しとくけど、無駄遣いしないようにね」

(‘_L’)「おいあの屋台行こうぜ」

ミセ*゚ー゚)リ「あのお店可愛い」

(´・_ゝ・`)「無駄遣いする事しか考えてない……!」

(‘_L’)「俺の報告はまだしなくて良いのか?」

(´・_ゝ・`)「フィレンクトはまだ大丈夫、じゃあ行ってきます」

ミセ*゚ー゚)リ「いってらっしゃーい」

(‘_L’)「いってこーい」

642 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 23:06:14 ID:XFuFepbkO

(‘_L’)「さて、うろうろするか」

ミセ*゚−゚)リ「……」

(‘_L’)「どこを見た……どうした?」

ミセ*゚−゚)リ「ねぇ、おっちゃん」

(‘_L’)「何だ?」

ミセ*゚−゚)リ「わたしは、あの……せんせの、邪魔じゃない?」

(‘_L’)「何だ急に」

ミセ*゚−゚)リ「せんせの足、引っ張ってないかなって……」

(‘_L’)「それはないな、それだったらむしろ俺の方が邪魔だろうし」

ミセ*゚−゚)リ「自覚あるんだ……でもそれもないよ」

(‘_L’)「マジかよ」

ミセ*゚−゚)リ「マジマジ」

643 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 23:08:32 ID:XFuFepbkO

(‘_L’)「急に何かと思ったら、そんな事か」

ミセ*゚−゚)リ「そんな事……なのかなぁ」

(‘_L’)「今さら気にする事だとも思わんけど」

ミセ*゚−゚)リ「……わたしは、せんせの役に立てるかな?」

(‘_L’)「あー……前に言わなかったか?」

ミセ*゚−゚)リ「え?」

(‘_L’)「ほら、お前はあいつに拾われたって言ったが、あいつはお前に拾われたと思ってる」

ミセ*゚−゚)リ「……わたしに?」

(‘_L’)「ああ、守るものも目標も無くしたあいつがお前を見つけたんだ」

ミセ*゚−゚)リ「……」

(‘_L’)「あいつはお前を見つけた時、守るものがまだあるのだと救われた」

ミセ*゚−゚)リ「わたしが、せんせを……」

644 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 23:10:17 ID:XFuFepbkO

(‘_L’)「ほらな、そんな事だろ」

ミセ*゚−゚)リ「んー……」

(‘_L’)「お前が居なければ今のあいつも居ない、役に立つどころか恩人だよお前は」

ミセ*゚−゚)リ「そっか……そう、だったんだ……」

(‘_L’)「……ちょっと羨ましいな」

ミセ*゚−゚)リ「へ?」

(‘_L’)「一応は長い友人なのに俺にはあいつを救えない、俺は先に逃げ出したからな」

ミセ*゚−゚)リ「でも……おっちゃんと居るせんせは、楽しそうだよ?」

(‘_L’)「マジかよ」

ミセ*゚−゚)リ「マジマジ」

(‘_L’)「そうか……なら、まあ良かった」

ミセ*゚ー゚)リ「……おっちゃんもせんせが大好きなんだね」

(‘_L’)「それを肯定したら気持ち悪い事になるけどな」

ミセ*゚ー゚)リ「否定はしない」

(‘_L’)「ちくしょう」

646 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 23:12:09 ID:XFuFepbkO

ミセ*゚ー゚)リ「わたし、魔導師になれるかなぁ」

(‘_L’)「また剣なら俺が教えるし、やっぱりお前は拳が合うと思うけど」

ミセ*゚ー゚)リ「剣……戦士か、それもも良いなあ」

(‘_L’)「将来の夢はまだ見つからないか?」

ミセ*゚ー゚)リ「うん、まだだね」

(‘_L’)「そうか、ならまた夢を探すために旅をすれば良い」

ミセ*゚ー゚)リ「……うん、そだね」

(‘_L’)「旅が終わる時は、まだ先で良いな」

ミセ*゚ー゚)リ「うん」

(‘_L’)「少し早いけど、そろそろ宿に行くか」

ミセ*゚ー゚)リ「うん!」

(‘_L’)「ところで宿はどこだ」

ミセ*゚ー゚)リ「知らない!」

647 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 23:14:11 ID:XFuFepbkO



ミセ*゚ー゚)リ「はー……やっと宿ついたよ……」

(‘_L’)「足だりぃ……」

(´・_ゝ・`)「ああお帰り、遅かったね」

(‘_L’)「お前な、宿の場所くらい教えとけ」

ミセ*゚ー゚)リ「宿を探し回ったぜ……」

(´・_ゝ・`)「宿の場所自体は役所ででも聞けば良かったんじゃない?」

ミセ*゚ー゚)リ

(‘_L’)

(´・_ゝ・`)

ミセ*゚ー゚)リ「せんせ何してんの?」

(´・_ゝ・`)「ケーキを作ってます」

ミセ*゚ー゚)リ「まーじでっ!?」

648 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 23:16:20 ID:XFuFepbkO

ミセ*゚ー゚)リ「いつ出来るのっ、いつ出来るのっ!?」

(´・_ゝ・`)「もう出来るからはしゃがないの、手洗っておいで」

ミセ*゚ー゚)リ「はーい!」

(‘_L’)「……」

(´・_ゝ・`)「何、その目」

(‘_L’)「バリバリ義手無しでいけるじゃねーか……」

(´・_ゝ・`)「腕が無くてもクリームを泡立てられるってさっき知ったよ」

(‘_L’)「便利そうだな、物を動かす魔法」

(´・_ゝ・`)「疲れるけどね、まだ慣れてないし」

(‘_L’)「ふーん……まだ出来ないのか?」

(´・_ゝ・`)「今ナッペしてくら君も手を洗ってきなさい」

(‘_L’)「へーい」

649 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 23:18:06 ID:XFuFepbkO

(´・_ゝ・`)「苺乗せて……よし、出来た」

ミセ*゚ー゚)リ「洗ってきた!」

(´・_ゝ・`)「はいお帰り、切り分けるから少し待ってね」

ミセ*゚ー゚)リ「…………」

(´・_ゝ・`)「手元をガン見しないで……」

ミセ*゚ー゚)リ「ケーキを切り分ける際に求められるのは正確さだよね」

(´・_ゝ・`)「均等にね……はいどうぞ、ただのショートケーキ」

ミセ*゚ヮ゚)リ「わーい! いっただきまーす!!」

(´・_ゝ・`)「お茶淹れてくる」


 先生お手製のケーキを一口頬張ると、生クリームの甘さとスポンジの柔らかさがいっぱいに広がる。

 宿探しでへとへとになった体に満ちて行く甘さ、間に挟まれた苺フィリングの甘酸っぱさ。

 少し固めのクリームは、口に入れればとろりと溶けてしまう。
 ふわふわのスポンジがそのクリームと混じり合い、苺の酸味がそこに加わる。

 決して派手でも華やかでもない味。
 けれど何だか懐かしい、落ち着く味。

651 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 23:20:07 ID:XFuFepbkO

 孤児院に居た頃から、何かお祝い事の時に作ってくれた。
 甘くて優しくてふわふわで、みんな先生の作るお菓子が大好きだった。

 正直な話、孤児院のみんなにはこのケーキを食べられなくなった事を謝罪したい。

 意外と言うか予想通りと言うか、先生は料理が上手い。
 そしてお菓子作りも同じくらいか、あるいはそれ以上に上手い。

 分量に気を使うから普段はあんまりね、と笑うけど、個人的には毎日食べたいくらいです。

 クッキーとかケーキとか、タルト、パイ、プリンにゼリー。
 いつだって、先生の手作りは美味しいもの。

 ご飯も美味しい、先生の作るシチューやグラタン以上のものはきっとない。
 味だけではなく、先生が作ったと言う気持ち、それがあるだけでその上は存在しない。


ミセ*´ヮ`)リ「……せんせがお城の人にならなくて良かった……」

(´・_ゝ・`)「え?」

ミセ*´ヮ`)リ「あの高いお菓子は美味しかったけど、わたしはせんせのケーキのが好き……」

(´・_ゝ・`)「……ありがと、ミセリ君」

ミセ*´ヮ`)リ「えへー、こちらこそー」

652 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 23:22:11 ID:XFuFepbkO

(´・_ゝ・`)「はいお茶、フィレンクトは何し」

(‘_L’)「おかわり」

(´・_ゝ・`)「普通に食ってたよ」

(‘_L’)「おかわり」

(´・_ゝ・`)「無いよ」

(‘_L’)「おかわり!」

(´・_ゝ・`)「無いよ!」

(‘_L’)「寄越せ!」
  _,
ミセ;゚Д゚)リ「いやー! わたしのは絶対あげないから!!」

(‘_L’)「知るか!!」
  _,
ミセ;゚Д゚)リ「ちょ、おま、や、に゙ゃあああぁああぁあッ!!?」

(‘_L’)「うめぇ!!」
  _,
ミセ#;Д;)リ「ぜんぜぇえええ!! おっちゃんが食べたぁああああああ!!」

(´・_ゝ・`)「天光満つる所に我はあり、黄泉の門開く所に汝あり、いでよ、神の雷! インディグネイション!!」

(‘_L’)「久々のガチ詠唱!?」

653 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 23:24:08 ID:XFuFepbkO
  _,
ミセ#;Д;)リ「ぅううぅううう……」

(´・_ゝ・`)「ミセリ君、また作ってあげるから……」
  _,
ミセ#;Д;)リ「わたしのけーき……」

(´・_ゝ・`)「あとフィレンクトが魔法と拳術の練習相手してくれるらしいよ」

(#)_L’)「えっ」
  _,
ミセ#;Д;)リ

(#)_L’)


ミセ#゚ー゚)リ「行こうぜおっちゃん、久々にキレちまったよ」

(‘_L’)「最近もキレてたよ!?」

ミセ#゚ー゚)リ「ミセリ・アンジェニュは女の子ォ!!」

(‘_L’)「知ってひでぶっ!?」

(´・_ゝ・`)「外で人に迷惑をかけないようにねー」

655 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 23:26:14 ID:XFuFepbkO

(´・_ゝ・`)「ふー……」

(´・_ゝ・`)

(´・_ゝ・`)「賑やかだなぁ、本当に……」

(´・_ゝ・`)「旅をして良かったな、大事な家族が二人も出来た……」

(´・_ゝ・`)「まだまだ、落ち着いてはいられないなぁ」


<ちょーきゅーはおー!

<何を撃とうとしてんの!?

<でんえーだーん!!

<ただの物理!?


(´・_ゝ・`)「二人ともー、物とか壊さない様にねー?」

<はーい!

<俺が壊れる!

<シネェ!

656 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 23:28:10 ID:XFuFepbkO

(´・_ゝ・`)「……二人ともありがとう、これからもよろしくね」

(´・_ゝ・`)「これからもまだ、三人でうろうろしたいな……」

(´・_ゝ・`)『ううん、これからは四人だったね……』

(´・_ゝ・`)

(´・_ゝ・`)「誰だ妊娠オチにしようとしたの」

('A`)「どっこい俺だ」

(´・_ゝ・`)「帰ったんじゃ無かったんですか?」

('A`)「良い話でしめようとしたところを申し訳ないが話がある」

(´・_ゝ・`)「良くない話ですか?」

('A`)「お嬢ちゃんに魔導師の素質がある事がわかりました」

(´・_ゝ・`)「えっ」

('A`)「帰ってから何となく調べたら素質がありました」

659 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 23:31:00 ID:XFuFepbkO

(´・_ゝ・`)

('A`)

(´・_ゝ・`)「どれくらい……?」

('A`)「ソリテール家の養女にして良い?」

(;´・_ゝ・`)「そんなに!?」

('A`)「因みにこれは町やあらゆる魔導師組合に広まってしまいました」

(;´・_ゝ・`)「何で!?」

('A`)「俺がうっかり世間話をしてうっかり広まるだなんて」

(;´・_ゝ・`)「ドクオさん何してんの!?」

('A`)「因みに拳術の素質も相当高いのでジョブチェンジ時の参考にどうぞ」

(´・_ゝ・`)「教え子もチート性能だった」

('A`)「じゃ、伝えるだけ伝えたから、今後は魔導師達のスカウトから上手く逃げ回ってね」

(;´・_ゝ・`)「無責任! ドクオさんの無責任! 責任取ってくださいよ!?」

661 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 23:33:04 ID:XFuFepbkO

ミセ*゚ー゚)リ「せんせただ……えぇ……?」

(;´・_ゝ・`)「あ、おかえ……変な感じのところを聞かれた!?」

(´・_ゝ・`)『これからも三人……ううん、これからは四人で旅をしようね』

(;´・_ゝ・`)「アテレコすんな!!」

ミセ*゚ー゚)リ「せんせ……赤ちゃんが……?」

(;´・_ゝ・`)「出来るかぁ!!」

(‘_L’)「ただ……えっ、妊娠……?」

(;´・_ゝ・`)「もう良いよ! 出来るわけないだろ!! ドクオさんのモヤシ!!」

('A`)「初めて後輩に罵られた……!?」

ミセ*゚ー゚)リ「せんせ、わたしお姉ちゃんになるんだね……!」

(‘_L’)「相手は……誰だ……ッ!?」

(;´・_ゝ・`)「んなわけあるかぁああああああ!!」

ミセ*゚ー゚)リ(おもしれー)

(‘_L’)(おもしれー)

('A`)(おもしれー)

662 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 23:34:20 ID:XFuFepbkO

(;´・_ゝ・`)「あーもードクオさん帰って! 後日また賠償を要求します!」

('A`)「そんなエラの張った友人みたいな事を……分かったよ、またなー」

ミセ*゚ー゚)リ「またねー」

(‘_L’)「またー」

(;´・_ゝ・`)「全くもう……混乱スキル持ちなんだから……」

ミセ*゚ー゚)リ「実際は何の話してたの?」

(´・_ゝ・`)「ん、今後の旅の方針についてちょっとね」

ミセ*゚ー゚)リ「方針?」

(´・_ゝ・`)「うん、勉強の分野を広げようかなって」

ミセ*゚ー゚)リ「おー! 楽しそう!」

(´・_ゝ・`)「フィレンクトも先生だよ」

(‘_L’)「えっ」

(´・_ゝ・`)「頑張ってね、僕は拳術とか無理だから」

(‘_L’)「俺は剣術メインだよ……!?」

663 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 23:36:15 ID:XFuFepbkO

(´・_ゝ・`)「明日には町を出るから、準備しなきゃね」

ミセ*゚ー゚)リ「ほーい」

(‘_L’)「拳術かあ……」

(´・_ゝ・`)「ああそうだミセリ君、今後は一人でうろつかないようにね」

ミセ*゚ー゚)リ「何でまた急に」

(‘_L’)「竜に会いに行ったりするからだろ」

ミセ*゚ー゚)リ「てへぺろっ☆ ……あ、早めに日記書いとこ」

(´・_ゝ・`)「今日なんか勉強したっけ」

ミセ*゚ー゚)リ「ひみつー」



 季節:春   場所:城下町

 勉強内容:これからも三人とたまに五人で、ずっと一緒に続けて行く予定。

665 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 23:38:41 ID:XFuFepbkO

ミセ*^ー^)リ「……えへへ」

(´・_ゝ・`)「どうしたの?」

ミセ*゚ー゚)リ「ひーみつ! ずっと一緒に続けようね!」

(´・_ゝ・`)「うん、もちろん」

(‘_L’)「デミタス、飯って何時ごろだ」

(´・_ゝ・`)「まだ先だよ、干し肉でもかじってて」

ミセ*゚ー゚)リ「わたしも欲しいかも」

(´・_ゝ・`)「二人して……」



 行く道は様々、賑やかな街や静かな村。
 時には冷たい風を、時には暖かな風を受けて歩いて行く。

 周囲にはいつも移り変わり続ける景色。
 聞こえるのは人の声や風の音、喧騒も静けさも耳へと流れ込む。

 石畳を踏み、土を踏み、景色の中を渡り歩くのは、三人。
 彼らの間にはいつも、穏やかでいて賑やかな空間が存在する。


 三人は時おり五人になりながら、町から町へと渡り歩く。

 彼らはまだ続ける、終着駅はまだ見えないから、ただただ彼らは笑顔を振り撒き歩き行く。


 三人の旅は、まだまだ終わらない。




【旅のようです おわり】

667 ◆tYDPzDQgtA 2012/03/25(日) 23:40:09 ID:XFuFepbkO





ミセ*゚ー゚)リ「これって僕らの冒険は始まったばかりだエンドじゃね?」

(´・_ゝ・`)「しーっ」

(‘_L’)「しーっ」

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