46 名無しさん[sage] 2018/03/25(日) 21:25:29 ID:dr8mfbeg0




『彼女は堕ちたのだ、万能感に酔いしれて、傲慢な欲望で満たされた聖杯へと堕ちたのだ』



( ^ω^)「おしまい」

ξ゚⊿゚)ξ「えっ……あの後はどうなったの?」

( ^ω^)「さあ? まあ色々あったんじゃないですか?」

ξ゚⊿゚)ξ「えぇー……そんなぁ、最後にどうなったか分からないなんて……」

( ^ω^)「みんな分かっちまうのも無粋かも知れませんよ、まあこれがそうとは限りませんけど」

ξ゚⊿゚)ξ「むう……あれで終わりなのは分かったけど、何だか難しかったわ」

( ^ω^)「そ? 結構単純な話ですよ、みんなの何がいけなかったと思います?」

ξ゚⊿゚)ξ「えー……いけなかったこと…………信じたこと?」

( ^ω^)「惜しいけど違いますねぇ、正解は『信仰心が足りなかった』です」

ξ゚⊿゚)ξ「しんこうしんが」

( ^ω^)「女の子みたいにいっそ盲信して、疑いなんか持たなきゃ良かったんですよ」


48 名無しさん[sage] 2018/03/25(日) 21:26:25 ID:dr8mfbeg0


ξ゚⊿゚)ξ「でも、それも良くないんじゃないの?」

( ^ω^)「まあ盲信してたらいずれみんな死んだでしょうね!」

ξ;゚⊿゚)ξ「だめじゃない!」

( ^ω^)「信じなくても死んでましたよどうせ」

ξ;゚⊿゚)ξ「えー……」

( ^ω^)「死ねって言われたら躊躇いなく死ぬくらいが良いんですよ信仰なんて」

ξ;゚⊿゚)ξ「こわいー……」

( ^ω^)「怖いですよねぇ、ほんとあのろくでなしは自分は手を下さないクズですよ」

ξ゚⊿゚)ξ「ろくでなし」

( ^ω^)「誰よりも人を愛して、満足するまで弄ぶ、好青年の皮を被ったろくでなしですよ」

ξ゚⊿゚)ξσ「お口が悪いー」

σ)^ω^)「あーん」

ξ゚⊿゚)ξ「それにしても……女の子のお母さんは、どうして居なくなったのかしら」

( ^ω^) 「きっと女の子より大切なものが出来たんですよ、悲しいですね」

ξ゚⊿゚)ξ「そっかぁ……」

( ^ω^)「まあまあ、それより次のお話はどうです?」


49 名無しさん[sage] 2018/03/25(日) 21:27:28 ID:dr8mfbeg0


ξ゚ -゚)ξ「むー……お母さんもひどいわ……」

( ^ω^)「ほらほら可愛いお顔が台無しですよ、笑って笑って」

ξ゚⊿゚)ξ「いーやっ、本取ってくるね」

( ^ω^)「ちぇっ、はーぁい」


 僕が傍らのテーブルに本を置くと、膝から降りた少女は
  唇を尖らせながら、本棚まで次の本を取りに行く。

 予想通り、彼女が持ってきたのは2と金糸で縫われた渋い橙色の表紙。

 再び僕の膝に飛び乗り、次のお話を聞く姿勢に入る。


 何だかんだで、この趣味の悪いお話を楽しむつもりらしい。


ξ゚⊿゚)ξ「今度のタイトルは……んー……」

( ^ω^)「堕ちて落ちて夢心地」

ξ゚⊿゚)ξ「まだわかるわ」

( ^ω^)「それじゃ、読みましょうかね」


50 名無しさん[sage] 2018/03/25(日) 21:27:56 ID:dr8mfbeg0




 それは、生真面目な少年の話。

 それは、疑問も抱かずただ従っていただけの話。

 それは、ほんの些細な自由すら夢想した事も無かった話。

 前しか見てこなかった真面目なだけの彼は、いったい何を夢見るのでしょうか。




『おちておちてゆめごこち。』



 彼の傍らで眠るのは、だらしのない一人の男。






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