- 132 名無しさん[sage] 2018/03/25(日) 22:31:21 ID:dr8mfbeg0
『彼女は堕ちたのだ、与えられた物を抱きしめて、強欲にも更なる何かを求めて甘い甘い水底へと堕ちたのだ』
( ^ω^)「おしまい」
ξ゚⊿゚)ξ「……何だか、不思議なお話だったわ」
( ^ω^)「不思議って言うか頭がおかしいって言うか」
ξ゚⊿゚)ξσ)^ω^)「あぁー」
ξ゚⊿゚)ξ「女の子は、幸せだったの?」
( ^ω^)「幸せだったと思いますよ?」
ξ゚⊿゚)ξ「じゃあ、良かったのかしら……」
( ^ω^)「まあ主観的には良かったんじゃないですかね」
ξ゚⊿゚)ξ「うーん……」
- 133 名無しさん[sage] 2018/03/25(日) 22:32:58 ID:dr8mfbeg0
ξ゚⊿゚)ξ「でも、女の子は悪い事は……してない……のよね?」
( ^ω^)「まぁ悪かったのは産まれか頭でしょうね」
ξ゚⊿゚)ξσ「でもお友だちが悪かった感じもあんまりしないの」
σ)^ω^)「あぁぁー」
ξ゚⊿゚)ξ「ひどい事は沢山してるみたいなのに……」
( ^ω^)「まあどっちも頭おかしいですし」
ξ゚⊿゚)ξ三σシュッ
三σ)^ω^)「あひん」メシュッ
ξ゚⊿゚)ξ「どっちも何だか、空っぽな感じだった」
( ^ω^)「実際に空っぽだったと思いますよ、あれが人に物を与えるのは本能です」
ξ゚⊿゚)ξ「本能……」
( ^ω^)「何も考えず求められた物を与えるだけの木偶の坊、まあ相性が良かったんでしょうね」
ξ゚⊿゚)ξ「……お友だちは、幸せだったのかしら」
( ^ω^)「さて?」
- 134 名無しさん[sage] 2018/03/25(日) 22:33:52 ID:dr8mfbeg0
ξ゚⊿゚)ξ「それにしても……この子はどうして、壊れたままで生まれてきたの?」
( ^ω^)「神様の手違いで、少しいびつになってしまったんですよ、きっと」
ξ゚⊿゚)ξ「お母さんが死んじゃったって、途中で一回だけ出たわよね、あれはどうして?」
( ^ω^)「きっと悲しい間違いが起きてしまったんでしょうねぇ、お父さんはそれを受け入れられなかったんですよ、きっと」
ξ゚⊿゚)ξ「そっかぁ…………そしてお馴染みの最後のわからなさ……」
( ^ω^)「もう最期が分かると期待するのやめません?」
ξ゚⊿゚)ξ「意地悪なお話ばっかり」
( ^ω^)「そう褒めないで下さいよ」
ξ゚⊿゚)ξσ「褒めてなーい……」
σ)^ω^)「あぁんあー」
ξ゚ -゚)ξ「むう……意地悪なんだから」
( ^ω^)「まあまあ、お嬢さん、ほら可愛いんだから笑って」
,,ξ゚⊿゚)ξ「次の本を持ってくる……」
( ^ω^)「うーん切り替えが早くてよろしい」
腑に落ちない、と言った顔で彼女は膝から降りて行く。
僕は積んだ本を崩れないように微調整して、一番上に先程まで読んでいた物を置いた。
幸いと言うべきか、彼女は『くぅ』のように壊れてはいない。
だからこそ様々な事を教える事が出来るし、考える事も出来る。
- 135 名無しさん[sage] 2018/03/25(日) 22:34:13 ID:dr8mfbeg0
彼女は、目の前に落とされた不幸とも幸福とも言えない存在に、眉を寄せるような少女だ。
バカ正直にまっすぐ育ち、嘘もつけない清廉潔白さ。
そんな真っ白な、まっさらなところが良いんだ。
頭の中身なんて空っぽで、僕の言葉を疑えない愚かなところが可愛いんだ。
ああ僕のお姫様はこんなに可愛い。
当の本人は未だに釈然としない顔で、緑の本を抱えて戻ってくる。
表紙の文字は4、なかなかろくでもないぞこれは。
ξ゚⊿゚)ξ「んっしょ、と」
( ^ω^)「はいお帰り」
ξ゚⊿゚)ξ「ただいま、えっと今度は……んー……知ってる気がするのに読めない……」
( ^ω^)「妬けた靴で踊り果て」
ξ゚⊿゚)ξ「惜しかったわ……」
( ^ω^)「何にも言ってなかったですよね」
ξ゚⊿゚)ξ「こ、今度はどんなお話?」
( ^ω^)「あー無かった事にしてるーぅ」
ξ;゚⊿゚)ξ「どんなお話なのよぅっ!」
- 136 名無しさん[sage] 2018/03/25(日) 22:34:40 ID:dr8mfbeg0
それは、我慢する少年の話。
それは、何も言わずにに笑っている話。
それは、自分の感情すら飲み下してきた話。
自分の意志を押さえ込んできた彼は、いったい何を主張するのでしょうか。
『やけたくつでおどりはて。』
彼の隣に立っているのは、人当たりの良い優男。