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(´<_` )「何の話だよこれ……妖怪話じゃないのか……」
('A`)「もう諦めろよ……大旦那だからしょうがねェよ……」
(´<_` )「どれだけどらくえ引っ張るんだよ……」
('A`)「しょうがないだろ、大旦那なんだから……」
(´<_` )「……」
('A`)「……」
(´<_` )「……早く行こうぜ……」
('A`)「…………うん」
155 ◆XCE/Wako2nqi 2010/06/27(日) 22:56:13.29 ID:7SXm4qtHO
(`・ω・´)「あー楽しかった、行こうか」
( ^ω^)「……じっちゃん」
(`・ω・´)「ん?」
( ^ω^)「あんまりやってると流石に怒りますお」
(`・ω・´)「ははは、ごめんごめん、じじいはっするしちゃった」
( ^ω^)「ははは」
(`・ω・´)「ははは」
( ^ω^)
(`・ω・´)
( ^ω^)「大概にしろじじい」
(`・ω・´)「本当ごめんね」
160 ◆XCE/Wako2nqi 2010/06/27(日) 22:58:04.48 ID:7SXm4qtHO
( ^ω^)「ったくもう……何でこんなに脱線しなきゃいけないんですかお……」
(`・ω・´)「いや、つい……反省はしてるよ(たぶん)」
( ^ω^)
(`・ω・´)
( ^ω^)「ところで、何で急に西へ?」
(`・ω・´)「流された……うん、ちょっと会わなきゃいけなくて」
( ^ω^)「会う?」
(`・ω・´)「ああ、僕が探し続けた人に」
( ^ω^)「……西に、居るんですかお?」
(`・ω・´)「居るよ、必ず」
( ^ω^)「…………そう、ですかお」
162 ◆XCE/Wako2nqi 2010/06/27(日) 23:00:15.75 ID:7SXm4qtHO
(`・ω・´)「すまないね、僕の我が儘に付き合わせて」
( ^ω^)「それは気にしてませんが……その、人とは?」
(`・ω・´)「僕が旅に出た、理由の人さ」
( ^ω^)「お……」
(`・ω・´)「僕は人を探す為に、旅に出たんだ。会いたくて会いたくてしょうがないから」
( ^ω^)「恋人さん、ですかお?」
(`・ω・´)「うん、ずうっと昔に将来を誓い合った恋人だよ」
( ^ω^)「……」
(`・ω・´)「西にも行ったんだけど……まさか、見落としてたなんてね
……長く生きすぎたかな、勘がすっかり鈍ったみたいだ……」
( ^ω^)「じっちゃん……」
166 ◆XCE/Wako2nqi 2010/06/27(日) 23:02:04.38 ID:7SXm4qtHO
(`・ω・´)「僕はね、文太郎」
( ^ω^)「お?」
(`・ω・´)「僕は昔、人間だったんだよ」
( ^ω^)「えっ……でも、じっちゃんは狐じゃ……?」
(`・ω・´)「遠い遠い、気が遠くなるほど昔に、病で死んだ人間さ
そして死んでから 僕は狐に見初められて、狐としての命を与えられた」
( ^ω^)「じっちゃん……人間だった、のかお……」
(`・ω・´)「もう、昔過ぎる昔の事だよ…………人間だった頃の恋人に、今から会いに行くんだ
何年何十年、何百年に何千年……嫌になるほど生きてきた、それでも巡り会えなかった」
( ^ω^)「…………」
(`・ω・´)「けれど、やっと会える…………鬼になってしまったのは、僕の所為だろうか」
( ^ω^)「嬉しい、ですかお?」
(`・ω・´)「ああ……胸が張り裂けんばかりに高鳴るよ、やっと彼女を、また胸に抱ける」
168 ◆XCE/Wako2nqi 2010/06/27(日) 23:04:04.18 ID:7SXm4qtHO
(`-ω-´)「彼女を探す為に旅をしていたのに……元の場所に戻って会えるなんてね」
( ^ω^)「因果な、ものですお」
(`-ω-´)「何度も嫌になったけれど、生き続けて良かった……
彼女にまた会えると云うだけで、僕が生きていた理由になる……」
( ^ω^)「……じゃあ、急ぎましょう。日が暮れる前に、急いて」
(`・ω・´)「うん、有り難う、皆」
( ^ω^)「……僕は、百鬼夜行のお願いに行くだけですお」
('A`)「俺は坊っちゃんのお守りですから」
(´<_` )「俺は兄者と妹を、助けに行くだけです」
( ^ω^)「だから、じっちゃんの為についてくんじゃありませんお」
('A`)「そうそう」
(´<_` )「だから、気にしないで下さい」
(`-ω-´)「…………良い子達に、育ったね……」
171 ◆XCE/Wako2nqi 2010/06/27(日) 23:06:03.35 ID:7SXm4qtHO
ああ、やっと君に巡り会える。
だからもう、僕の所為で泣く事を止めて。
僕は探し続け、君は待ち続けたのだろうね。
見つけるのが、遅くなってしまったね。
でも、もう良いよ。
君を、抱き締めに行くから。
先代九尾の御狐様。
その方は、長く生き、恐ろしく強いお方。
されどされども、彼のお方も人とかわりは御座いません。
恋に惑い恋に迷い、恋に堕ちては繰り返す。
愛しい女をただ一人、ずうっとずうっと想い続けた先代様。
さあ、想いを届けに参りましょう。
『十二話前編 おわり。』